3Dプリンターは、どうやって かたちを つくるの?

3Dプリンター ── プラスチックを積み上げて立体を作るしくみ

3Dプリンター ── プラスチックを積み上げて立体を作るしくみ

分野:技術

紙に いんさつする プリンターは、インクを 出しますが、 3Dプリンターは りったいを つくる ことが できます。

どうやって、たいらな 紙では なく、りったいの ものを つくって いるのでしょうか。

この きじでは、その しくみと、あまり しられて いない にほんじん はつめいかの はなしを 見て いきます。

紙に印刷するプリンターは、インクを出しますが、3Dプリンターは立体を作ることができます。

どうやって、平らな紙ではなく、立体のものを作っているのでしょうか。

この記事では、その仕組みと、あまり知られていない日本人発明家の話を見ていきます。

1980年、名古屋の研究員だった小玉秀男は、世界に先駆けて「光造形」という3Dプリンターの基本技術を発明した。しかし、ある手続きの見落としから特許を取得できず、その発明は忘れられていく。

4年後、アメリカのチャック・ハルが同じしくみで特許を取り、3Dプリンターの歴史が始まった。プラスチックを積み上げる方式、光で固める方式、2つのしくみと、日本人発明家の知られざる物語をたどる。

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1. にほんじんが さいしょに はつめいして いた

1. 日本人が最初に発明していた

1. 1980年、小玉秀男が発明した「光造形法」

3Dプリンターの もとに なる ぎじゅつを、じつは にほんじんが せかいで さいしょに はつめいして いました。

1980年、なごやしの けんきゅういんだった こだま ひでおは、 ひかりを あてた ところだけ かたまる じゅしを、 すこしずつ つみかさねて りったいを つくる ほうほうを はつめいしました[1]。でも、 その あと ひつような てつづきを しなかった ため、とっきょを とる ことが できなかったのです[1]

3Dプリンターの基本となる技術は、実は日本人が世界で最初に発明していました。1980年、名古屋市工業研究所の研究員だった小玉秀男は、展示会で見かけた新聞の版を作る装置からヒントを得て、光を当てた場所だけ固まる樹脂を少しずつ積み重ねて立体を作る「光造形法」を発明しました[1]

特許を逃した、ある見落とし

小玉本人の説明によれば、特許は出願したものの、その後に必要な手続きを行いませんでした。特許の専門家に転職したことで自分の発明への関心を失い、手続きの期限が来ていたことを、何年もあとになって初めて知ったといいます[1] [5]

3Dプリンターの基本となる技術は、実は日本人が世界で最初に発明していた。1980年、名古屋市工業研究所の研究員だった小玉秀男は、展示会でたまたま見かけた新聞の版を作る装置からヒントを得て、光を当てた場所だけ固まる樹脂を1層ずつ積み重ねて立体を作る「光造形法」を発明した[1]

特許を逃した、ある見落とし

小玉本人の説明によれば、特許は出願したが、その後に必要な「審査請求」という手続きを行わなかった。弁理士(特許の専門家)に転職したことで自分の発明への関心を失い、審査請求の期限が来ていたことを、何年もあとになって商社から頼まれた調査で初めて知ったという[1][5]。研究段階では「丸太小屋のような家の模型」程度しか作れず、周囲の評価も低かった[1]

2. アメリカで うまれた 3Dプリンター

2. アメリカで生まれた3Dプリンター

2. 1984年、チャック・ハルの特許と3D Systems社

こだまの はつめいから 4年ご、アメリカの チャック・ハルが、おなじ しくみで とっきょを とりました [2]。ハルは 1986年に かいしゃを つくり、1987年に せかいで さいしょの 3Dプリンターを はつばいしたのです[2]

小玉の発明から4年後の1984年、アメリカのチャック・ハルは、同じ「光造形」のしくみで特許を出願しました[2]

3D Systems社とSLA-1

ハルは1986年に3D Systems社を共同設立し、1987年には世界初の商用3Dプリンター「SLA-1」を発売しました[2]。こうして、3Dプリンターという言葉とともに、この技術を世に広めたのはアメリカの会社となりました。

小玉の発明から4年後の1984年、アメリカのチャック・ハルは、同じ「光造形」のしくみで特許を出願した(米国特許第4,575,330号)[2]

3D Systems社とSLA-1

ハルは1986年に3D Systems社を共同設立し、1987年には世界初の商用3Dプリンター「SLA-1」を発売した[2]。こうして、3Dプリンターという言葉とともに、この技術を世に広めたのはアメリカの会社となった。小玉が特許を取得していれば、歴史は違っていたかもしれない。

3. ひかりで かためる ほうほう

3. 光で固める方法

3. 光造形方式のしくみ

「こうぞうけい(SLA)」と いう ほうしきは、えきたいの じゅしに、目に 見えない ひかり(しがいせん)を あてて、 あたった ところだけ かためます。

すこしずつ 下に さげながら、なんども なんども ひかりを あてる ことで、りったいの かたちが できあがって いくのです[3]。ちょうど、 水の 中に うすい こおりを なんまいも かさねて いく ような イメージです。ただし、じっさいには こおりでは ありません。

「光造形方式(SLA)」という方式は、液体の樹脂に、目に見えない光(紫外線)を当てて、当たった場所だけを固めます。

1層ずつ、少しずつ

1層固めるごとに台を少しずつ下げ、その上にまた光を当てて固める、という作業をくり返すことで、少しずつ立体の形ができあがっていきます[3]。この方式は、表面がなめらかで、細かい形も正確に再現できるのが特徴です。

「光造形方式(SLA)」は、液体の樹脂に紫外線(目に見えない光)を当て、光が当たった部分だけを固める技術だ。

1層ずつ、少しずつ

1層固めるごとに台を少しずつ下げ、その上にまた光を当てて固める、という作業を何百回、何千回とくり返すことで、少しずつ立体の形ができあがっていく[3]。この方式は、表面がなめらかで、細かい形も正確に再現できるのが特徴だ。

4. とかして つみあげる ほうほう

4. 溶かして積み上げる方法

4. 1989年、FDM方式とStratasys社

ひかりで かためる ほうほうの あと、べつの ほうほうも はつめいされました。プラスチックの いとを ねっして とかし、ほそい あなから おしだしながら、1そうずつ つみあげて いく「FDM方式」です [4]

2009年ごろ、この ぎじゅつの とっきょが きれました [4]。それを きっかけの ひとつとして、いろんな かいしゃが つくれる ように なり、 ねだんが やすく なって いきました。だから いまでは、 がっこうや いえでも 3Dプリンターを 見かける ように なったのです。

光造形方式のあと、アメリカのスコット・クランプが、別の方式を発明しました。プラスチックの糸(フィラメント)を熱で溶かし、細いノズルから押し出しながら1層ずつ積み上げていく「FDM方式」です[4]。クランプは妻とともにStratasys社を設立し、1989年にこの技術の特許を出願しました[4]

特許が切れて、一気に安くなった

この特許は出願から20年の期間を終えて2009年ごろに満了しました[4]。これをきっかけの1つとして、多くの会社が自由にFDM方式のプリンターを作れるようになり、価格が下がったと考えられています。それが、3Dプリンターが学校や家庭にも広がる一因になりました。

光造形方式のあと、アメリカのスコット・クランプが、別の方式を発明した。プラスチックの糸(フィラメント)を熱で溶かし、細いノズルから押し出しながら1層ずつ積み上げていく「FDM方式」(熱溶解積層方式)だ[4]。クランプは妻とともにStratasys社を設立し、1989年10月にこの技術の特許を出願した(米国特許第5,121,329号)[4]

特許が切れて、一気に安くなった

この特許は出願から20年の存続期間を終え、2009年10月ごろに満了した[4]。これをきっかけの1つとして、多くの会社が自由にFDM方式のプリンターを作れるようになり、価格が下がったと考えられている。それが、3Dプリンターが学校や家庭にも広がる一因になった。

5. くうちゅうに えを かく ペンも ある

5. 空中に絵を描く「3Dペン」もある

5. 3Dプリンターと3Dペンの違い

おおくの 3Dプリンターは、だいの上に すこしずつ ざいりょうを かさねて いく きかいで、くうちゅうに じかに えを かく ようには できて いません。

でも、手で もって つかう「3Dペン」と いう どうぐ なら、プラスチックを ねっして とかしながら、くうちゅうで せんを かく ように りったいを つくる ことが できます

多くの3Dプリンターは、台の上に少しずつ材料を重ねていく機械で、空中に直接絵を描くようにはできていません。

ただし、これとは別に、手で持って使う「3Dペン」という道具があります。FDM方式と同じように、プラスチックを熱で溶かしながらペン先から押し出す道具で、こちらは実際に空中で線を描くようにして立体を作ることができます

多くの3Dプリンターは、台の上に少しずつ材料を重ねていく機械で、空中に直接絵を描くようにはできていない。

ただし、これとは別に、手で持って使う「3Dペン」という道具がある。FDM方式と同じように、プラスチックを熱で溶かしながらペン先から押し出す道具で、こちらは実際に空中で線を描くようにして立体を作ることができる。3Dプリンターと3Dペンは、材料を溶かして積み上げるという基本のしくみは同じだが、機械が自動で正確に積み上げるか、人の手で自由に描くかという違いがある。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

じぶんでも、3Dプリンターに ついて しらべて みましょう。

あんぜんな ばしょで できる こと

  • ねんど や つみきで、うすい そうを かさねて りったいを つくって みる。 3Dプリンターと おなじ ように、下から すこしずつ つみあげて みましょう。
  • おうちや がっこうに 3Dプリンターが あるか、大人に きいて みる。 見せて もらえたら、どんな ものが つくれるか かんさつ して みましょう。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「3Dプリンターは、にほんじんが さいしょに はつめいして いた」だけで じゅうぶんです。

自分でも、3Dプリンターについて調べてみましょう。

今日できること

  • 粘土や積み木で、薄い層を重ねて立体を作ってみる。3Dプリンターと同じように、下から少しずつ積み上げてみましょう。
  • 家や学校に3Dプリンターがあるか、大人に聞いてみる。見せてもらえたら、どんなものが作れるか観察してみましょう。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「光造形とFDM、どっちが早く作れるの?」だけでも十分です。

小玉秀男の物語という視点を持つと、身近な技術の歴史がより興味深く見えてきます。

手を動かして確かめる

  • 粘土や紙を薄く重ねて、立体を作る実験をしてみる。3Dプリンターと同じように、下から少しずつ積み上げる方式を体感してみましょう。
  • 光造形方式とFDM方式、それぞれの長所と短所を調べてみる。仕上がりの美しさ、材料の値段、作れる大きさなど、比べる観点はいろいろあります。

一次情報にあたる

小玉秀男氏自身のインタビュー記事には、発明から特許を逃すまでの経緯が、本人の言葉で詳しく語られている。

メモのすすめ

気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。「光造形法は1980年、日本人が発明した」という一文でもかまいません。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事は、下にあげた公開情報をもとに書いています。文章や図を無断で転載してはいません。もっと正確に知りたいときは、必ず下の出典にあたってください。リンク先の内容や、リンク先で起きたことについて、当サイトは責任を負いません。

出典について:本人インタビュー記事、Wikipedia、3Dプリント事業者の解説記事、米国特許庁の公開情報を使っています。

  1. 「3Dプリンターで特許を逃した僕の『失策と教訓』」 - 日経ビジネス。 https://business.nikkei.com/atcl/report/16/063000051/070500003/ (小玉秀男氏本人へのインタビュー。1980年の光造形法発明の経緯と、審査請求を行わなかったために特許を逃した経緯についての解説)
  2. 3Dプリンター - Wikipedia(日本語版)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/3Dプリンター (1984年のチャック・ハルによる特許出願、1986年の3D Systems社設立、1987年のSLA-1発売についての解説)
  3. 光造形方式の基礎知識 - SOLIZEオンライン3Dプリント。 https://online.solize.com/blog/about-sla (光造形方式(SLA)の基本的なしくみについての解説)
  4. US5121329A - Apparatus and method for creating three-dimensional objects - Google Patents。 https://patents.google.com/patent/US5121329A/en (スコット・クランプによるFDM技術の特許、1989年10月30日の出願日についての一次資料)
  5. 「3Dプリンターに見る技術革新と特許」 - 発明通信社。 https://www.hatsumei.co.jp/?p=5593 (小玉秀男氏の1980年4月の特許出願、7年の審査請求期限を過ぎて出願が失効した経緯についての解説。日経ビジネスのインタビュー内容を別の資料で裏づけるために使用)

なおした ところ

更新履歴

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