1. 1かいの しつもんで、どれくらい つかうの?
1. 1回の質問で、どれくらい使うのか
1. Googleが公表した実測値 ── 2025年8月
2025年8月、グーグルという 会社が、自分たちの AI 「ジェミニ」に 文字で 1かい しつもんした ときに つかう でんきや 水の りょうを はっぴょうしました [1]。
それに よると、でんきは 0.24ワットじ、水は 0.26ミリリットル (しずく 5てき ぶん くらい)でした[1]。 テレビを 9びょう みまん 見る のと おなじくらいの でんきだと せつめいされて います[1]。
Googleが自社サービスで測った数字
2025年8月、Googleという会社が、自社のAI「Gemini」に文字で 1回質問したときに使う電気や水の量を発表しました [1]。
電気0.24Wh、水0.26ミリリットル
それによると、電気は0.24Wh(ワット時)、水は0.26ミリリットル (しずく5滴ぶんくらい)でした(どちらも真ん中あたりの値) [1]。テレビを9秒未満見るのと同じ くらいの電気だと説明されています[1]。 ただしこの数字は、Geminiでのテキスト質問にかぎった測定で、 画像や動画を作るとき、AIを訓練するときの電気は含まれていません [1]。
2025年8月、GoogleはGeminiアプリのテキストプロンプト1回あたりの エネルギー消費・二酸化炭素排出・水消費について、実測にもとづく データを公表しました[1]。
それによると、中央値でエネルギー消費量は0.24Wh、二酸化炭素 排出量は0.03g-CO2e、水消費量は0.26ミリリットル(しずく約5滴 ぶん)でした。テレビを9秒未満視聴するのとほぼ同じエネルギー量 だと説明されています[1]。過去12か月 間で、質問1回あたりのエネルギー消費量は33分の1に、二酸化炭素 排出量は44分の1に減少したともしています[1]。
ただし、この測定はテキストプロンプトのみを対象としており、 画像・動画生成や、モデルの訓練にかかるエネルギー消費は範囲外 です[1]。この数字はGoogleの 自社インフラでの測定であり、他社のAIサービスにそのまま 当てはまるとは限りません。
2. すいていちは、なぜ かわって きたの?
2. 推定値は、なぜ大きく変わってきたのか
2. 推定値の変遷 ── なぜ10倍も違っていたのか
2023年ごろ、「AIに 1かい しつもんすると、でんきを 3ワットじ くらい つかう」と いう すいそくが、よく つかわれて いました。
でも 2025年、べつの けんきゅうしゃたちが あらためて しらべた ところ、その やく10ぶんの1である 0.3ワットじ くらいだろうと いう けっかに なりました[2]。りゆうは、 AIの しくみが かしこく なった ことと、さいしょの すいそくが こたえの ながさを おおく 見つもり すぎて いた ことです [2]。
2023年ごろの推測は「3Wh」
2023年ごろ、「AIに1回質問すると、電気を3Whくらい使う」という 推測が、報道などでよく使われていました。
2025年の見直しで「0.3Wh」に
しかし2025年、別の研究者たちが改めて計算しなおしたところ、 その約10分の1である0.3Whくらいだろうという結果になりました [2]。理由は、AIの仕組みや使う コンピュータが効率よくなったことと、最初の推測が「答えの 長さ」を実際より多く見つもりすぎていたことです [2]。Googleが発表した0.24Whという 数字も、この見直し後の数字に近い水準です。
2023年、研究者アレックス・デ・フリース氏が発表した「ChatGPTへの 1回のクエリで約3Whを消費する」という推定値は、報道などで 広く引用されてきました。
しかし2025年、Epoch AIの研究者らが改めて見積もったところ、 代表的な質問1回あたりのエネルギー消費量は約0.3Whという、 およそ10分の1の結果になりました[2]。 この差の主な要因は、2023年当時と比べてモデルやハードウェアの 効率が向上したことに加え、デ・フリース氏の推定が「1回の質問で 2000トークンの出力」という、実際の利用実態よりかなり多い 仮定にもとづいていたためです。Epoch AIはより実態に近い 500トークンという仮定で再計算しています[2]。
Googleが独自に測定した0.24Whという数字も、この見直し後の 水準とおおむね一致しています。ただし、これらは異なる企業・ 異なるモデル・異なる測定方法にもとづく数字であり、単純に 並べて比較できるものではない点には注意が必要です。
3. AIぜんたいでは、どれくらい つかうの?
3. AI全体では、どれくらい使うのか
3. データセンター全体の電力需要 ── IEAの分析
1かいの しつもんは、すこししか でんきを つかいません。でも、 せかいじゅうで ものすごい かいすう つかわれて いるので、 ぜんぶ あわせると おおきな りょうに なります。
こくさいエネルギーきかん(IEA)と いう そしきの しらべに よると、AIや いろいろな インターネットの サービスを ささえる「データセンター」ぜんたいで つかう でんきは、 2024年に やく415テラワットじ でした[3]。これは 2030年までに、 やく2ばいの 945テラワットじまで ふえると よそくされて います[3]。
4. なんで 水も つかうの?
4. なぜ、水も使うのか
4. データセンターと水 ── 冷却のための蒸発
データセンターの中の コンピュータは、うごく あいだ とても あつく なります。あつく なりすぎると こわれて しまうので、 ひやす ひつようが あります。
ひやす ほうほうの 1つが、水を じょうはつさせる ほうほう です。あせを かくと すずしく かんじる のと にた しくみで、 水が きえる ときに まわりの ねつを うばって いく ことを りようして いるのです。この ほうほうでは、じょうはつした 水は もう つかえないので、水を どんどん つかう ことに なります。
コンピュータの熱を冷やす必要がある
データセンターの中のコンピュータは、動いているあいだ とても熱くなります。熱くなりすぎるとこわれてしまうので、 冷やす必要があります。
水を蒸発させて冷やす方法
冷やす方法の1つが、水を蒸発させる方法です。汗をかくと涼しく 感じるのと似たしくみで、水が蒸発するときに周りの熱をうばって いくことを利用しています。この方法では、蒸発した水はもう 使えないので、水をどんどん使うことになります。
データセンター内のサーバーは稼働中に大量の熱を発生させます。 この熱を一定の温度以下に保てないと、機器の故障やパフォーマンス 低下につながるため、冷却が不可欠です。
代表的な冷却方式の1つが、水の気化熱を利用する蒸発式冷却です。 汗が蒸発するときに体の熱をうばって涼しく感じるのと同じ原理で、 水が液体から気体に変わるときに周囲の熱を吸収する性質を利用 しています。この方式では蒸発した水はそのまま大気中に失われる ため、継続的に新しい水を補給する必要があり、これがデータ センターの水消費量の主な要因になっています。
5. へらす くふう
5. 使う量を減らす工夫
5. 消費量を減らす取り組み ── 水を使わない冷却
マイクロソフトと いう 会社は、2024年8月から、水を じょうはつさせずに ひやす、あたらしい データセンターの つくりかたを はじめました[4]。
この つくりかたなら、水を そとに にがさずに、おなじ 水を なんども つかいまわす ことが できます。1つの データセンターで、1年間に 1おく2500まん リットルいじょうの 水を、つかわずに すむと されて います[4]。
6. どう かんがえれば いいの?
6. どう考えればいいのか
6. 数字をどう受け止めるか ── 規模と推定の限界
1かいの しつもんだけを 見ると、つかう でんきや 水は とても すくないです。でも、せかいじゅうで つかわれる かいすうを あわせると、はなしは かわって きます。
そして、この きじで しょうかいした すうじも、これから さらに かわって いく かのうせいが あります。だいじな ことは、1つの すうじだけを しんじるのでは なく、「いつ、 だれが、どうやって はかったのか」を たしかめる ことです。
1回は小さくても、合わせると大きい
1回の質問だけを見ると、使う電気や水はとても少ないです。 しかし、世界中で使われる回数を合わせると、話は変わって きます。
数字の出どころを確かめる
そして、この記事で紹介した数字も、これからさらに変わって いく可能性があります。大事なのは、1つの数字だけを信じる のではなく、「いつ、誰が、どうやって測ったのか」を確かめる ことです。
個々の質問1回あたりの消費量は小さくても、利用回数の規模を かけあわせると、データセンター全体の電力需要という形で 無視できない量になります。この「個別には小さいが、総量では 大きい」という構造は、AIの環境負荷を考えるときに欠かせない 視点です。
この記事で紹介した数字の多くは、公表からまだ日が浅く、今後 さらに更新される可能性があります。デ・フリース氏の2023年の 推定に対し、2025年にEpoch AIが別の前提で再推定し、約10分の1 という結果を示したように、測定方法や前提条件の違いによって、 同じ「1回の質問」でも算出される数字は大きく異なります。 1つの数字だけを鵜呑みにせず、その数字がいつ・誰によって・ どのような前提で測定されたものかを確認する必要があります。
じぶんでも やって みる
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちで つかって いる でんきの りょうは、電気りょうきんの おしらせなどで 見る ことが できます。
きょう できる こと
- おうちの でんきの りょうを しらべて みる。 電気りょうきんの おしらせを、おうちの人と いっしょに 見て みましょう。
- 1ワットじが どれくらいか かんがえて みる。 LEDでんきゅうを 1じかん つけっぱなしに すると、 だいたい どれくらいの でんきを つかうか、 おうちの人と しらべて みましょう。
きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「データセンターって なに?」だけで じゅうぶんです。
おうちで使っている電気の量は、電気料金のお知らせなどで 見ることができます。
今日できること
- おうちの電気の量を調べてみる。 電気料金のお知らせを、おうちの人といっしょに見てみましょう。
- 他の家電と比べてみる。 エアコンや電子レンジが1時間にどれくらいの電気を使うか 調べて、AI1回分の電気(0.24Wh)と比べてみましょう。
気になった数字を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口に なります。「テラワット時って、ワット時の何倍?」だけでも 十分です。
電力使用量の単位(Wh、kWh、TWh)の関係を整理しておくと、 この記事で出てきた数字の規模感がつかみやすくなります。
手を動かして確かめる
- 単位換算をしてみる。 1TWh(テラワット時)は1兆Wh(ワット時)です。Googleが 公表した1回0.24Whという数字と、IEAが示した年間415兆Whと いう数字が、どれくらいのけたの差があるか計算してみましょう。
- 一次資料の測定方法を読む。 Googleの技術文書やIEAの報告書では、何を測定に含め、何を 含めていないかが明記されています。数字だけでなく、その 前提条件にも注目してみてください。
気になった数字や単位を1つだけノートに記録しておきましょう。 「推定値は2年で10分の1になった」という変化そのものでも かまいません。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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出典について:Googleは自社の測定結果を公表した公式ブログ、IEAは国際エネルギー機関という政府間組織、Epoch AIはAIの動向を分析する研究機関、Microsoftは自社の取り組みを公表した公式ブログです。
- Google Cloud Blog, “Measuring the environmental impact of AI inference”(英語)。 https://cloud.google.com/blog/products/infrastructure/measuring-the-environmental-impact-of-ai-inference (2025年8月、Geminiアプリのテキストプロンプト1回あたりのエネルギー・CO2・水消費量の実測データ公表)
- Epoch AI, “How much energy does ChatGPT use?”(英語)。 https://epoch.ai/gradient-updates/how-much-energy-does-chatgpt-use (2025年の再推定と、2023年の推定値との比較、差が生まれた理由の解説)
- Scientific American, “AI Will Drive Doubling of Data Center Energy Demand by 2030”(英語。IEA「Energy and AI」報告書の内容を報じた記事)。 https://www.scientificamerican.com/article/ai-will-drive-doubling-of-data-center-energy-demand-by-2030/ (2025年4月10日発表のIEA報告書にもとづく、世界のデータセンターの電力消費量の実績と予測の報道。IEA公式サイトは自動アクセスを制限しており、直接リンクできないため報道記事を出典とした)
- Microsoft Cloud Blog, “Sustainable by design: Next-generation datacenters consume zero water for cooling”(英語)。 https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-cloud/blog/2024/12/09/sustainable-by-design-next-generation-datacenters-consume-zero-water-for-cooling/ (2024年8月からのゼロウォーター冷却設計と、節水量・導入計画の公式発表)
なおした ところ
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