1. 何か月ごろに 何が できるの?
1. 首のすわりから独り歩きまで、目安の月齢
1. 全国調査が示す到達月齢 ── 「9割以上ができる」時期
赤ちゃんが できるように なる ことには、ふつう 次の 順番が あると 言われます。首が すわる、ねがえりを する、ひとりで すわる、はいはいを する、つかまって 立つ、ひとりで 歩く、です。
日本の 国の 調べでは、9わり 以上の 赤ちゃんが できる ように なる 月れいが まとめられて います[1]。首の すわりは 生まれて 4〜5か月に なる まで、ねがえりは 6〜7か月、ひとりすわりと はいはいは どちらも 9〜10か月、つかまり立ちは 11〜12か月、ひとり歩きは 1さい 3〜4か月 です。
これは 「9わりが できる 月れい」で、「はじめる 月れい」では ありません。はいはいを はじめる 子は、もっと 早くから います。
2. はいはいを しない 子は、どれくらい いるの?
2. 5か国の研究で見えたこと ── 通らない子も、ふつうの範囲
2. WHO多国間研究 ── 4.3%と、到達月齢の幅
ガーナ、インド、ノルウェー、オマーン、アメリカの 5つの 国で、816人の 赤ちゃんが 協力した 研究が あります。4か月から 24か月まで、おって 見ました[2]。
すると、およそ 23人に 1人(4.3%)は、手と ひざで 進む はいはいを しませんでした。みんな 健康な 子です。
はいはいが できる ように なる 月れいも、5.2か月から 13.5か月と、大きな はばが ありました。ひとりで 歩く 月れいは 8.2か月から 17.6か月です。この はばは、健康な 子の 「ふつうの ちがい」だと 書かれて います[2]。
心配な ときは、けんしんや 小児科で 聞いて みると いいでしょう。
4.3%の子は、ハイハイをしなかった
WHOが行った運動発達の研究には、ガーナ、インド、ノルウェー、オマーン、アメリカの816人が協力し、4〜24か月のあいだ追跡されました。健康な子の約90%は、五つの動作を共通の順序で達成しました。一方で、4.3%は四つんばいのハイハイをしませんでした[2]。約23人に1人の計算です。
「ふつう」の幅は広い
ハイハイができるようになった月齢は、5.2〜13.5か月の幅でした。ひとりで座るのは3.8〜9.2か月、ひとりで歩くのは8.2〜17.6か月です。これは外れ値を除いた範囲で、研究は、健康な子の幅のある違いを表す範囲だと説明しています[2]。
腹ばいの時期も、ない子がいる
アドルフらが28人を追った研究の要旨では、15人が腹ばいで進む時期を経て四つんばいになり、13人は腹ばい移動の時期を飛ばしたとされます[3]。発達は、決まった段階を順に上る形ではないようです。
月齢の目安から外れて気になるときは、数字だけで決めず、乳幼児健診や小児科で相談するのが安心です。
WHO Multicentre Growth Reference Study の運動発達研究は、ガーナ・インド・ノルウェー・オマーン・米国の816人を4〜24か月で追跡した。健康な子の約90%は共通の順序で五つの運動を達成した一方、4.3%は四つんばいのハイハイを示さなかった[2]。「五つ」は、6項目のうち順序が共通だったものを指し、4.3%は、ハイハイという動作自体が観察されなかった子の割合である。
達成月齢の幅(1〜99パーセンタイル)は、四つんばいのハイハイが5.2〜13.5か月、ひとり座りが3.8〜9.2か月、独り歩きが8.2〜17.6か月であった。この幅は健康な子の幅のある違いを表し、平均ではない[2]。
Adolph ら(1998)の縦断研究(28人)の要旨によれば、15人が腹ばい移動の時期を経て四つんばいに移り、13人はその時期を飛ばした。要旨の範囲では、発達は厳密に固定された段階の連なりではなかったことになる[3]。個々の子の受診の目安は、ここでは述べない。
3. はいはいで まなんだ ことは、歩く ときも つかえるの?
3. 這って覚えた「この坂は危ない」は、歩くと使えない
3. 姿勢に結びつく学習 ── 36度の坂の実験
はいはいを した けいけんは、月れいよりも、まわりに 合わせて うまく 動く ことに つながる、と 研究者の カレン・アドルフは まとめて います[4]。
こんな 実験も ありました。歩きはじめの 赤ちゃんに、とても きゅうな 坂を 見せます。はいはいの しせいで 近づくと、赤ちゃんは 坂を おりるのを やめました。ところが、その すぐ あとに 立って 歩く しせいで 近づくと、同じ 坂を おりようと したのです[4]。
「あぶない」と 分かった ことが、はいはいの 体の 中だけに 入って いる ようです。歩く 体では、もう一度 ためす ひつようが あるのかも しれません。
ただし これは 実験室の 坂での お話です。おうちの 中の あんぜんに、そのまま あてはめる ことは できません。
4. はいはいを する 子には、何が 見えて いるの?
4. 這う子は、床を見ている時間が長い
4. 視野と視線の比較 ── 這う子と歩く子
13か月の 赤ちゃん 30人が てつだった 研究が あります。はいはいを する 子と、歩く 子の 15人ずつに、めがねの ような きかいを つけて、何を 見て いるかを しらべました[5]。
見て いる 高さは、はいはいの 子が 平均 66センチ、歩く 子が 135センチと 出ました。およそ 2ばいの ちがいです。
はいはいの 子は、はんぶん くらい(54%)の 場面で ゆかを 見て いました。歩く 子は 3わり 弱(28%)です。お母さんや お父さんを 見る 場面は、はいはいの 子が 37%、歩く 子が 54%でした。
はいはいの 子は、下を 見ながら 進んで いる ようです。歩く 子は、はいはいの 子より、お世話を する 人を 見る ことが 多かったそうです。
13か月の子の目線を測る
カレン・アドルフらの研究グループは、13か月の30人(這う子15人、歩く子15人)に視線を測る装置をつけてもらい、遊んでいるときの視野と視線を調べました[5]。子の平均的な経験は、這う子が約4.6か月、歩く子が約1.9か月でした。
66cmと135cm
視野の高さは、平均で這う子が約66cm、歩く子が約135cmでした。約2倍の差です。這う子は場面の54.4%で床を見て、歩く子は28.5%でした。養育者を見た割合は、這う子が36.6%、歩く子が54.1%です[5]。
這う子の視野には、壁が少なく、床が多く入っていた、と報告されています。同じ部屋にいても、動き方が変わると、見える景色が変わるようです。
Kretch, Franchak & Adolph(2014)は、13か月児30人(這う子15人:ハイハイ経験の平均4.6か月、歩く子15人:歩行経験の平均1.9か月)に頭部装着型の視線計測装置をつけ、自由遊びでの視野と視線を比較した。視野の高さは、這う子で平均約66cm、歩く子で約135cmだった。這う子は場面の54.4%で床を見たのに対し、歩く子は28.5%であり、養育者を見る割合は這う子36.6%、歩く子54.1%だった[5]。
這う子の視野は壁が少なく床が多く、歩く子は視線を前方の養育者に向ける傾向があった。この数値は二次的な要約経由であり、原論文の表での再確認は今回できていない。30人・13か月児という小さな標本での結果でもある。ここから、移動様式が「見える世界」を変えうる、という仮説までは立てられるが、学習への長期的影響までは示されていない。
5. 歩きはじめたら、どれくらい 歩くの?
5. 歩き始めは、1時間に2000歩以上
5. 歩行練習の量 ── 「ハイハイの次」の数字
歩きはじめの 赤ちゃんは、1時間に 2000歩より 多く 歩くと 研究で 報告されて います。12〜19か月の 子の 平均は 2368歩で、こけた 回数は 17回でした[6]。
14か月の 子では、1時間に 進む 長さが、およそ 7つぶんの サッカー場だと 紹介されて います。
これは 歩く ときの 数字で、はいはいの 数字では ありません。でも、体を 動かして ためす 回数が、とても 多い ことは 分かります。
何千歩も歩き、何度もころぶ
12〜19か月の子が自由に遊ぶ1時間を数えた研究では、平均2368歩、転んだ回数は平均17回でした。14か月児の場合、1時間に2000歩を超え、進んだ距離は合わせて約7フットボール場ぶんに当たる、と紹介されています[6]。
これは歩行の数字で、ハイハイの歩数ではありません。ただ、乳児が体を使って試す回数の多さを想像させてくれます。前の章の坂の実験のように、経験が動き方を変えていく背景には、こうした積み重ねがあるのかもしれません。
Adolph ら(2012)は、12〜19か月の歩行児の自由遊び1時間あたりの歩数を平均2,368歩、転倒を平均17回と報告した。14か月児は1時間に2,000歩超を歩き、累積距離は約7フットボール場ぶんに及ぶ[6]。この数字は検索で得た要旨の抜粋にもとづき、歩行に関するものであって、ハイハイの歩数ではない。
第3章の結果と合わせると、移動の経験は、質だけでなく量の面でも大きい。ただし、この量が発達の原因なのか、発達した結果として増えるのかは、この資料からは決められない。
「見える 高さ」を 体験して みよう
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
やって みよう
- ひざを ついて 部屋を 見わたす。 家の 人と いっしょに、ひろい あんぜんな ばしょで ゆっくり、ゆかに ひざと 手を ついて、部屋を 見て みましょう。立った ときと、見える ものが ちがうかな。
- 赤ちゃんの 話を 聞く。 家の 人に、小さい ころ はいはいを したか、聞いて みましょう。しなかった 人も、いるかも しれません。早い おそいを くらべる ためでは ありません。
今日できること
- 床の高さから部屋を見る。ひざと手をついた姿勢で、床と壁のどちらが多く見えるか、机の上に何があるか、確かめてみます。ものにぶつからない広い場所で、ゆっくりやります。
- 身近な人の話を聞く。家族に、自分がどう動き始めたかを聞いてみましょう。ハイハイの時期や型はさまざまで、早い遅いの比べ合いをするためではありません。
自分で確かめてみる
- 目の高さと視野を比べる。立った姿勢と四つんばいの姿勢で、同じ部屋の同じ方向を見て、床と壁がどれくらいの割合で見えるかを比べる。ものにぶつからない広い場所で、ゆっくり行う。乳児の視線測定の結果と、どこが似て、どこが違うかを考える。
- 数字の読み方を確かめる。出典[1]の「90%以上が可能な月齢」と、[2]の「1〜99パーセンタイルの幅」が、それぞれ何を表す数字かを整理し、開始時期の目安と混ぜないで読み比べる。
資料を読むなら
WHOの運動発達研究(Acta Paediatrica, 2006)は英語の論文で、5つの国の816人を追い、達成月齢の幅を表にまとめている。Adolph(2008)の総説は、移動経験と学習の関係を、坂の実験を含めて紹介している。厚生労働省の調査概要は日本語で読める。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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出典について:公的な調査資料と、学術論文の公開情報を使っています。
- 厚生労働省 乳幼児身体発育調査 調査結果の概要(PDF)。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf (各動作が90%以上できる月齢、ハイハイの基準)
- WHO Motor Development Study, Acta Paediatrica (2006)。 https://cdn.who.int/media/docs/default-source/child-growth/child-growth-standards/indicators/motor-development-milestones/who-motor-development-study-windows-of-achievement-for-six-gross-motor-development-milestones.pdf?sfvrsn=3425c1dc_0 (ハイハイをしなかった子の割合、達成月齢の幅)
- Adolph, Vereijken & Denny (1998) Learning to crawl, Child Development。 https://srcd.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1467-8624.1998.tb06213.x (腹ばい移動の時期の有無。要旨で確認)
- Adolph (2008) Learning to Move, Current Directions in Psychological Science(PubMed Central)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2658759/ (移動経験と適応的な動き、36度の坂の実験)
- Kretch, Franchak & Adolph (2014) Crawling and walking infants see the world differently, Child Development(PubMed Central)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4059790/ (這う子と歩く子の視野の高さと視線)
- Adolph et al. (2012) How do you learn to walk? Thousands of steps and dozens of falls per day, Psychological Science(PubMed)。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23085640/ (歩き始めの歩数と転倒の回数)
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