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あかちゃんの ききては いつ きまるの?

赤ちゃんの利き手はいつ決まる?おなかの中から幼児期までの流れ

利き手の発達:胎児期の腕の動きから乳幼児期の定着、遺伝の寄与まで

分野:からだ

おなかの中の あかちゃんは、10しゅうごろに、右うでを よく うごかす子が おおいと いわれます。でも、うまれてから 6〜14か月に まいつき しらべた 研究では、はんぶんより おおくの 子が、まだ どちらの手にも かたよりが ありませんでした。ききては、いつ、どうやって きまるのでしょうか。この きじでは、おなかの中から ようじの ころまでの ながれと、いでんの わりあいが わかります。

おなかの中の赤ちゃんは、妊娠10週ごろに右腕を多く動かす子が多いと報告されています。ところが、生まれてから6〜14か月まで毎月調べた別の研究では、6割の子はその間、どちらの手にもかたよりがありませんでした。利き手は、いつ、どんな順序で固まるのでしょうか。胎児期から幼児期までの流れと、遺伝がどのくらい関わるのかが分かります。

妊娠10週の胎児72人の超音波記録では、85%が右腕を左腕より多く動かしたと紹介されている。一方、生後6〜14か月に毎月観察した38人では、61%が乳児期を通じて手の好みを示さなかった。胎児期の偏りは、どのように乳幼児期の利き手へつながるのか。発達の段階と、双子研究などが示す遺伝の寄与が分かる。

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1. うまれる まえから はじまっているの?

1. 生まれる前から右腕を多く動かす

1. 胎児期の腕の動きと指しゃぶりの偏り

おなかの中の あかちゃんを、ちょうおんぱで のぞいた 研究が あります。10しゅうの 赤ちゃん72人を みたら、85パーセントで、右うでの ほうが 左うでより よく うごいたと ほうこくされています[1]。

ゆびしゃぶりも しらべられました。224人のうち、右の おやゆびを すった 子は 94.6パーセント。左は 12人だけでした[2]。

まるで 手の 「くせ」の たねが、もう あるみたいですね。ただし、これは 「かたよりが ある子が おおい」という はなしで、ぜんいんが そうという ことでは ありません。

この 子たちを 10〜12さいまで おいかけた 研究では、およそ 9わりの 子で、ゆびしゃぶりの 手と ききてが おなじでした[3]。

超音波で妊娠10週の胎児72人を調べた研究では、85%が右腕を左腕より多く動かしたと紹介されています[1]。指しゃぶりでも同じ向きの偏りがあり、224人の胎児のうち右の親指を好んだのは94.6%、左は12人(5.4%)でした[2]。

この偏りは、生まれたあとにつながるのでしょうか。胎児期の指しゃぶりの手と、10〜12歳のときの利き手を75人で比べた研究では、約9割で同じでした[3]。二次的な紹介では、胎児期に右を好んだ60人は、全員が10〜12歳のときに右利きだったと報告されています。

おなかの中の偏りが、どこから来るのかも調べられています。胎児5人の首から胸の脊髄を調べたところ、遺伝子のはたらき方に左右差がありました。脳と脊髄がつながる前から腕の動きに偏りがあるため、脊髄がその出発点かもしれないという提案です[4]。5人の結果なので、原因が分かったと言える段階ではありません。

胎児期にはすでに運動の偏りが観察される。Hepper らの研究として、妊娠10週の胎児72人のうち85%で右腕の動きが左腕より多かったと紹介されている[1]。指しゃぶりの左右も調べられ、胎児224人中、右の親指を好んだのは94.6%、左は12人(5.4%)だった[2]。成人の右利きが約9割(後述)であることと比べても、右への偏りは大きい。ここで示す数値は二次紹介と検索抜粋に基づく点に注意したい。

胎児期の選好は、その後の利き手と関連する。Hepper, Wells & Lynch(2005)は、胎児期に指しゃぶりの手を記録した75人を10〜12歳で追跡した。胎児期に右を好んだ60人は全員が右利きで、全体では約9割(70人ほど)が一致したと紹介されている[3]。左を好んだ15人の内訳は、資料から確かめられなかった。

出発点については仮説がある。Ocklenburg ら(2017)は、胎児5人の頸部・胸部の脊髄で、発育に伴って変わる遺伝子発現の左右差を報告した。運動野と脊髄が結びつく前から腕の動きに偏りがあることから、脊髄が利き手の分子的な出発点かもしれないと提案している[4]。対象が5人であり、因果を示すものではない。

2. 6か月ごろの あかちゃんは?

2. 6か月ごろ:まだ決まっていない子が多数

2. 乳児期:6〜14か月の観察と「取る手」

うまれてからは どうでしょう。6か月から 14か月まで、まいつき 38人の 赤ちゃんを みた 研究が あります。おもちゃに 手を のばす ようすを しらべました。

この あいだに 右手に かたよった 子は 15人(39パーセント)。のこりの 23人(61パーセント)は、どちらの手にも かたよりが ありませんでした[5]。

「まだ きまっていない」のは、ふつうの ことのようです。ものを とる とき、じぶんの 手を まだ ためして いる ところ、と いえるかも しれません。

生まれてからの利き手は、どうでしょうか。生後6〜14か月に毎月観察した38人の研究では、右手に偏った子が15人(39%)でした。残りの23人(61%)は、乳児期を通じてどちらの手にも偏りがありませんでした[5]。

90人の乳児を同じ月齢で調べた別の研究もあります。ものに手を伸ばして「取る手」の好みは6か月ごろから見られました[6]。ただし、これは「利き手が決まった」という意味ではなく、手を出す側の傾向が先に見えてくる、ということです。

出生後の発達は段階的に進む。生後6〜14か月に毎月観察した38人の研究では、乳児期に右手へ偏った子は15人(39%)で、残る23人(61%)は利き手なしだった[5]。つまり6か月前後に偏りが見えない状態は、少数派ではなく典型的な範囲に入る。

90人の乳児を6〜14か月に毎月調べた研究では、ものに手を伸ばす「取る手(リーチ)」の好みは6か月で見られた[6]。ただし、これは操作の手の好みとは別の指標であり、6か月の時点で利き手が確定するという意味ではない。

3. もつ 手は、あとから きまる

3. 「持って使う手」は遅れて現れる

3. 操作の手の遅れと、幼児期の分化

おなじ 研究で、ものを もって うごかす 手を しらべると、はっきり かたよるのは 11か月ごろでした。14か月に なっても、まだ きまらない 子が たくさん いました[6]。

さいしょの 研究の 18〜24か月では、右手が 76パーセント、左手が 21パーセントに なりました。赤ちゃんの ころ かたよりの なかった 子も、この ころには どちらかに かたよって いました[5]。

ききては、ある日 とつぜん きまるのでは なく、じわじわ すがたを あらわして くるようです。

ものを持って動かす手の好みは、取る手よりあとに現れます。90人の研究では、約11か月でようやく統計的に意味のある偏りになり、14か月でも多くの子は操作の手が定まっていませんでした[6]。

さらに、18〜24か月の幼児期になると、76%が右、21%が左に偏りました。乳児期に偏りがなかった子も、この時期にはどちらかに偏っていました[5]。利き手は、取る手から持って使う手へ、少しずつ段階をふんで固まるようです。

手の好みは、動作の種類によって現れる時期が異なる。上記の90人の研究では、取る手の偏りは6か月で見られたのに対し、持って操作する手の偏りは約11か月でようやく統計的に有意になり、14か月でも多くの子で定まっていなかった[6]。

38人の追跡研究では、18〜24か月の幼児期に76%が右、21%が左だった。乳児期に偏りがなかった子も、この時期にどちらかへ偏った[5]。以上から、利き手は胎児期の傾向を出発点に、取る手、操作の手、幼児期と段階的に分化していくと考えられる。ただし、これらは少人数の観察研究である。

4. いでんは どのくらい かんけいする?

4. 遺伝が説明するのは、約4分の1

4. 双子研究とゲノム解析にみる遺伝の寄与

ききては おやから うけつぐの でしょうか。ふたごの 家族 5万4千人ぶんを しらべた 研究では、いでんで せつめいできる 部分は およそ 4ぶんの 1でした[7]。

のこりは、ひとりひとり ちがう 環境かんきょうなどで せつめいされています。

ただ、これは 「1人の ききてが 4ぶんの 1 いでんで きまる」という いみでは ありません。人の あつまり ぜんたいで、ちがいの 4ぶんの 1 くらいを いでんで せつめいできる、という ことです。

双子とそのきょうだい約5万4千人を分析した研究では、遺伝が利き手のばらつきの約4分の1(23.64%)を説明し、残りは一人ひとりの環境と考えられました[7]。

ここで大切なのは、これが「集団のばらつきをどれだけ遺伝で説明できるか」という割合であることです。一人の利き手の4分の1が遺伝で決まる、という意味ではありません。

また、英国の約50万人の遺伝子データを使った解析では、遺伝子の違い(SNP)から推定した遺伝率は約4.35%で、双子研究の20〜25%より低くなりました[8]。単一の「左利き遺伝子」では説明できないことがうかがえます。

遺伝の寄与は、双子研究とゲノム解析で推定されている。Medland ら(2009)は、オーストラリアとオランダの双子とそのきょうだい(約5.4万人、2.5万家族余)を分析し、加法的遺伝効果が利き手の分散の約4分の1(23.64%)を説明し、残りは非共有環境で説明されるとした[7]。

一方、英国バイオバンク約50万人のゲノムデータによるSNPベースの遺伝率は、左利きで4.35%と有意ながら低く、双子研究の推定20〜25%を大きく下回る[8]。この差は、SNPで捉えきれない遺伝的要因などが考えられるが、どちらも「一人の利き手が遺伝で決まる割合」ではなく、集団内の分散に対する説明割合である。

5. うまれてからの ことは?

5. 生まれてからの環境との関係

5. 出生後の要因との関連と、その解釈

それでは、うまれてからの くらしは どうでしょう。イギリスの 約やく50万人を しらべた 研究では、左ききの 人は 9.3パーセントでした。ほかの ことが いくつか かんけいして いましたが、ちがいは ちいさく、これで 手の ようすを よそうする ことは ほとんど できませんでした[8]。

世界では、右手を このむ 人が およそ 9わり、左手が 1わりと いわれます[8]。

どちらの 手も、その人の 「ふつう」です。

イギリスの約50万人を調べた研究では、左利きは9.3%でした。生まれたときの体重や母乳で育ったかどうかなど、いくつかの要素が関連していましたが、その差は小さく、利き手を予測する力はほとんどありませんでした[8]。関連しているからといって、原因だとは言えません。

世界全体では、右手を好む人が約90%、左手を好む人が約10%だと紹介されています[8]。少数派でも、それはごくふつうの、人の多様さの一部です。

出生後の要因も検討されている。英国バイオバンク501,730人の分析では、左利きは9.3%(男10.4%、女8.4%)で、双子など多胎で11.2%、単胎で9.5%だった。出生時の体重が約26g軽いこと、母乳育ちで右利きの確率がやや高いこと(オッズ比1.11)が関連したが、予測力は小さく(疑似R²=0.005)、因果は示されていない[8]。

世界的には、右手を好む人が約90%、左手を好む人が約10%とされる[8]。左利きは病的な状態ではなく、人の集団に一定の割合で見られる多様性である。

6. じぶんでも しらべてみたい とき

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. さらに調べるために

きょう できること:ふだん つかう 手を、いくつかの ことで くらべてみましょう。字を かく、ボールを なげる、はさみを つかう、ドアを あける。ぜんぶ おなじ 手でしょうか。ちがう 手が でて くるかも しれません。

もし ちかくに あかちゃんが いたら、まえに おもちゃを おいて、どちらの手で とるか、ながめてみましょう。1回では きめず、なんども ようすを みます。あかちゃんの 手を むりに うごかしては いけません。

今日できること:字を書く、ボールを投げる、はさみを使うなど、いくつかの動作で使う手を思い出してみましょう。すべて同じ手でしょうか。動作によって手が変わる人も、いるかもしれません。

身近に赤ちゃんがいるときは、おもちゃを体の正面に置き、どちらの手で取るかを何度か見てみましょう。1回では決めつけず、日をかえて見るのがポイントです。赤ちゃんの手を無理に動かしてはいけません。

もっと知りたくなったら:出典の研究は、PubMed や PMC の論文検索で読めます。「handedness infant」で探せます。

身近な動作(書く、投げる、はさみ、歯みがき)で使う手を書き出し、動作ごとに手が違うかを見る。身近に乳児がいる場合は、玩具を正面に置いて取る手を複数回・日を変えて記録する方法がある。1回の観察で決めつけないこと、乳児の手を無理に動かさないことが前提となる。

原典に当たるなら、出典欄の PMC の2本(乳児期と幼児期の追跡研究、乳児のプレヘンションの研究)が、月齢ごとの図表を確かめやすい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

胎児期の3件(Hepper 1990、2005、Psychology Today の紹介)は、二次紹介と検索抜粋に基づく。

  1. Psychology Today「Does Left-Handedness Develop Before or After Birth?」(胎児の腕の動きの紹介) https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-asymmetric-brain/202006/does-left-handedness-develop-before-or-after-birth (妊娠10週の腕の動き)
  2. Hepper ら「Origins of fetal handedness」(1990) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2215661 (胎児の指しゃぶりの左右)
  3. Hepper, Wells & Lynch「Prenatal thumb sucking is related to postnatal handedness」Neuropsychologia 43(2005) https://pure.qub.ac.uk/en/publications/prenatal-thumb-sucking-is-related-to-postnatal-handedness/ (胎児期と10〜12歳の利き手)
  4. Ocklenburg ら「Epigenetic regulation of lateralized fetal spinal gene expression」eLife 6:e22784(2017) https://elifesciences.org/articles/22784v1 (脊髄の遺伝子発現の左右差)
  5. 乳児期(6〜14か月)と幼児期(18〜24か月)の手の好みを追った研究(PMC3615031) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3615031 (38人の追跡)
  6. 乳児の手の好みの発達を調べた研究(PMC4417424) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4417424 (取る手と操作の手)
  7. Medland ら「Genetic influences on handedness」Neuropsychologia(2009) https://researchers.mq.edu.au/en/publications/genetic-influences-on-handedness-data-from-25732-australian-and-d/ (遺伝の割合)
  8. 英国バイオバンク約50万人の利き手の研究(PMC6345846) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6345846/ (左利きの割合、遺伝率、関連要因)

なおした ところ

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