このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

いとが からまるのは なぜ? ── ベイトリールの ひみつ

バックラッシュ ── ベイトリールの糸が絡まるのはなぜか

バックラッシュ ── ベイトリールの糸が絡まるのはなぜか

分野:海・釣り

つりざおを おもいきり ふると、リールの 中で いとが ぐしゃぐしゃに からまる ことが あります。

なぜ、こんな ことが おきるのでしょうか。

ルアーが とまった あとも、リールの 中の いとは まだ 出てくる ことが あります。 この きじでは、その りゆうと、からまりを ふせぐ くふうを 見て いきます。

釣りざおを思いきり振ると、リールの中で糸がぐしゃぐしゃに絡まることがあります。

なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。

ルアーが止まったあとも、リールの中のスプールは回りつづけようとします。糸がからまるのは、その回転が関係しています。この記事では、その理由と、絡まりを防ぐ工夫を見ていきます。

ベイトリールでルアーを思いきり投げると、糸がぐしゃぐしゃに絡まってしまうことがある。「バックラッシュ」と呼ばれるこのトラブルは、なぜ起きるのか。

1820年ごろにアメリカで生まれたリールから、1952年にスウェーデンのアブ社が発表した遠心ブレーキ搭載リール、1982年に日本のダイワが開発した磁石のブレーキまで、糸が絡まないようにする工夫の歴史をたどる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 1820年ごろ、アメリカで うまれた リール

1. 1820年ごろ、アメリカで生まれたリール

1. 1820年ごろ、ジョージ・スナイダーが作った「ケンタッキーリール」

「ベイトリール」は、いとを まいて ある ぶひん(スプール) が くるくる まわると、いとが でて いく リールです。

アメリカの とけいしょくにんだった ジョージ・スナイダーが、いとを まきとる ぶひんが まわる リールを、1820年ごろまでに アメリカで はじめて つくった 人だと つたえられて います (じぶん用に さいしょに つくったのは、1810年 ごろとも いわれます)[1]。

「ベイトリール」は、糸を巻いておく部品(スプール)がくるくる回って、糸を送り出すタイプのリールです。

時計職人が作ったリール

アメリカのケンタッキー州で時計職人をしていたジョージ・スナイダーが、1820年ごろまでに、こうしたリールをアメリカで初めて作った人だと伝えられています(自分用に最初に作ったのは1810年ごろとの記録もあります)[1]。この形のリールは、のちに「ケンタッキーリール」と呼ばれるようになりました。

「ベイトリール」は、糸を巻きとる部品(スプール)自体が回転するタイプのリールだ。竿先から糸を送り出しながらスプールも一緒に回るため、遠くへ正確に投げやすいという長所がある。

時計職人が作ったリール

アメリカのケンタッキー州パリスで時計職人・銀細工職人をしていたジョージ・W・スナイダーが、1820年ごろまでに、アメリカ製として最初のこの形のリールを作ったとされる(本人が個人用に最初の試作をしたのは1810年ごろとの記録もある)[1]。この形のリールは、のちに「ケンタッキーリール」と呼ばれ、19世紀を通じて同じ地方の職人たちの手で作られ続けた[1]。

2. なぜ いとが からまるの?

2. なぜ糸が絡まるの?

2. バックラッシュが起きるしくみ

ベイトリールは、スプールが くるくる まわって いとを おくりだします。

ルアーが 水面に おちて とまっても、スプールは すぐには とまりません。じてんしゃの タイヤの ように、 いきおいで まわりつづけようと するのです。 その ぶん だけ、いとが よぶんに 出て きて、リールの中で ぐしゃぐしゃに からまって しまいます。これが「バックラッシュ」です。

ベイトリールは、スプールがくるくる回って糸を送り出します。

回りつづけようとするスプール

ルアーが水面に落ちて止まっても、スプールはすぐには止まりません。自転車のタイヤのように、いきおいで回りつづけようとするのです。スプールが回りつづけるため、糸が余分に出てきて、リールの中でぐしゃぐしゃに絡まってしまいます。これが「バックラッシュ」です。

ベイトリールは、スプールが回転して糸を送り出すしくみだ。

回りつづけようとするスプール

ルアーが着水したり、空気抵抗で減速したりすると、糸を引っぱる力は弱まる。ところが、スプールには回転を続けようとする性質(慣性)があるため、スプールが回りすぎて、ルアーが引っぱるよりも多くの糸が送り出されてしまう。その差の分だけ糸がたるみ、リールの中でぐしゃぐしゃに絡まってしまう。これが「バックラッシュ」と呼ばれるトラブルだ。

3. 1952年、まわりを おさえる ブレーキ

3. 1952年、回転をおさえるブレーキ

3. 1952年、アブ社が発表した遠心ブレーキ

この もんだいを ふせぐ ために、ブレーキの しくみが かんがえられました。

1952年、スウェーデンの アブしゃが、スプールの まわる はやさに あわせて じどうで ブレーキが きく「えんしんブレーキ」を つんだ リールを はっぴょうしました [2]。

この問題を防ぐために、ブレーキのしくみが考え出されました。

回転の速さで効き目が変わる

1952年、スウェーデンのアブ社が、スプールの回る速さに合わせて自動でブレーキが効く「遠心ブレーキ」を積んだリール「アンバサダー」を発表しました[2]。回転が速いときほど強くブレーキが効き、遅くなるとゆるむしくみです。

この問題を防ぐために、ブレーキのしくみが考え出された。

回転の速さで効き目が変わる

1952年、スウェーデンのアブ社は、スプールの回転速度に応じて自動的に働く「遠心ブレーキ」を組み込んだリール「アンバサダー」を発表した[2]。おもりのような部品が遠心力で外側に広がり、リール内側の壁に触れてブレーキをかけるしくみで、回転が速いときほど強く効き、遅くなるとゆるむ[2]。

4. 1982年、じしゃくの ブレーキ

4. 1982年、磁石のブレーキ

4. 1982年、ダイワが開発した磁石のブレーキ

それから 30年ほど あと、べつの ブレーキも うまれました。

1982年、日本の ダイワしゃが、じしゃくの ちからで スプールの まわりかたを おさえる ブレーキを かいはつしました[3]。じしゃくは、ぶひんに さわらずに ブレーキを かける ことが できます。

それから30年ほどあと、別のブレーキも生まれました。

触れずにブレーキをかける

1982年、日本のダイワ社が、磁石の力でスプールの回転をおさえるブレーキ「マグサーボ」を開発しました[3]。磁石は部品に直接触れずにブレーキをかけることができ、この方式は現在の「マグフォース」というシステムに受けつがれています[3]。

それから30年ほどあと、別の方式のブレーキも生まれた。

触れずにブレーキをかける

1982年、日本のダイワ社が、磁石の力でスプールの回転をおさえる非接触式のブレーキ「マグサーボ」を開発した[3]。金属製のスプールが磁石のそばを通ると、回転を弱める力が生まれるしくみで、遠心ブレーキのように部品どうしが直接ぶつかることがない。この方式は、現在の「マグフォース」というシステムに受けつがれている[3]。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

じぶんでも、まわる ものが とまりにくい ようすを かんさつして みましょう。

あんぜんな ばしょで できる こと

  • おとなに おねがいして、じてんしゃの タイヤを まわして もらい、こいで いなくても しばらく まわりつづける ようすを みて みる。 スプールが とまりにくいのと にた しくみです。
  • 大人と いっしょに、つりぐてんで ベイトリールの ブレーキダイヤルを 見せて もらう。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「バックラッシュは、いとを おくりだす ぶひんが まわりつづける せいで おきる」だけで じゅうぶんです。

自分でも、回るものが止まりにくい様子を観察してみましょう。

今日できること

  • 大人に自転車のタイヤを回してもらい、手を近づけずに、こいでいなくてもしばらく回りつづける様子を観察してみる。スプールが止まりにくいのと似たしくみです。
  • 大人といっしょに、釣り具店でベイトリールのブレーキダイヤルを見せてもらう。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「サミングって、どうやるの?」だけでも十分です。

スプールの慣性という視点を持つと、ベイトリールの構造がより興味深く見えてきます。

手を動かして確かめる

  • 自転車の車輪を手で回して、こいでいなくてもしばらく回りつづける様子を観察してみる。慣性によって物体が回転を続けようとする性質を体感してみましょう。
  • 遠心ブレーキとマグネットブレーキ、それぞれの長所と短所を調べてみる。飛距離、扱いやすさ、価格など、比べる観点はいろいろあります。

一次情報にあたる

釣り具メーカー各社の技術解説ページには、ブレーキシステムの詳しいしくみがまとめられている。

メモのすすめ

気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。「遠心ブレーキは1952年に発表された」という一文でもかまいません。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事は、下にあげた公開情報をもとに書いています。文章や図を無断で転載してはいません。もっと正確に知りたいときは、必ず下の出典にあたってください。リンク先の内容や、リンク先で起きたことについて、当サイトは責任を負いません。

出典について:Wikipedia、釣り具の歴史を専門に扱うアーカイブサイト、釣り具メーカーの技術解説記事を使っています。

  1. George W. Snyder - Wikipedia(英語版)。 https://en.wikipedia.org/wiki/George_W._Snyder (1820年ごろのジョージ・スナイダーによるリール製作とされる経緯、時計職人としての経歴、「ケンタッキーリール」という呼び名についての解説)
  2. History of the ABU 5000 - Bass Fishing Archives。 https://bass-archives.com/history-of-the-abu-5000/ (1952年の「アンバサダー」の発表と、遠心ブレーキを積んだリールとしての開発経緯についての解説)
  3. Technology - DAIWA(公式サイト)。 https://www.daiwa.com/scandinavia/brand/technology (1982年のマグサーボの発表と、現行のマグフォースシステムへの発展についての公式解説)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  低学年むけで、自転車のタイヤを回す観察を「おとなにお願いして回してもらう」形に直し、スナイダーのリールの説明に「糸を巻きとる部品が回る」ことを足しました(先生の目での読み直しによる)。
  •  低学年むけ・高学年むけで、「スプール」が糸を送り出す部品であることが最初の説明で分かるように言いかえました(先生の目での読み直しによる)。
  •  低学年むけ・高学年むけの導入に、ルアーが止まったあともスプールが回りつづける話を足しました。高学年むけの観察は、大人にタイヤを回してもらい手を近づけない形に直しました。中学生むけでは、磁石ブレーキの説明から「電磁誘導」の語を外し、スプールが回りすぎて糸が余分に出る説明も言いかえました。低学年むけ・高学年むけでは、スプールが「糸を巻いてある部品」だと分かるようにしました(先生の目での読み直しによる)。
  •  低学年むけで、スプールが回ると糸が出ていくことと、メモの文が単独で分かることを直し、高学年むけで、余分な糸が出る理由(スプールが回りつづけること)を明示しました(先生の目での読み直しによる)。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。