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バナナは「木」じゃ ない? くきの ひみつ

バナナは、木ではなく草だって本当?「みき」に隠された秘密

バナナは、木ではなく草だって本当なのか

分野:生きもの

バナナの ふさを ささえている、あの ふとい 「みき」。もし わぎりに したら、木のように 「年りん」が 出て くるのだろうか。

じつは、出て こない。バナナは、木では ないからだ。

バナナの実の房を支えている、あの太い「みき」。もし輪切りにしたら、木のように年輪が出てくるのだろうか。

実は、出てこない。バナナは、木ではないからだ。

バナナの果房を支える太い「みき」を輪切りにしても、木のような年輪は出てこない。バナナは植物学的には木ではなく、草だからだ。

種のないバナナはどうやって増えるのか。その増え方が、かつて世界中のバナナをほぼ壊滅させた「パナマ病」、そして今も広がり続ける「新パナマ病」とどうつながっているのか。寒い岡山でバナナを育てる日本の技術まで、バナナをめぐる意外な歴史をひもとく。

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1. バナナは、木では なくて「くさ」

1. バナナは、木ではなく「草」

1. 「偽茎」は、どうやってできているのか

バナナの あの ふとい みきは、木の みきとは 中みが ちがう。木の みきは かたい「木」で できていて、わぎりに すると 年ごとに ふえる 「年りん」が 見える。でも バナナの みきを わぎりに しても、年りんは 出て こない[1]

みきの 中みは、たまねぎを たてに ながく のばした ような ものだ。皮のような ものが、なんまいも かさなって できている。ただし ほんとうは、たまねぎでは なく、はっぱの ねもとの ぶぶんが、なんまいも かさなって、みきのように 見えて いるだけなのだ[1]

だから バナナは、木では なく「くさ」の なかまだ。せかいで いちばん 大きい「くさ」だと 言われる ことも ある。

バナナのあの太いみきは、木のみきとは中身が違う。木のみきは、かたい「木質」でできていて、輪切りにすると年ごとに増える「年輪」が見える。でもバナナのみきを輪切りにしても、年輪は出てこない[1]

玉ねぎを、縦に長く伸ばしたようなものだ。皮のようなものが、何枚も重なってできている。ただし本当は、玉ねぎではなく、葉の付け根の部分が何枚も重なり合って、みきのように見えているだけなのだ。この「みき」は、植物学では「偽茎(ぎけい)」と呼ばれる[1]

木質を持たず、地上部が固く育たないバナナは、植物の分類上は木ではなく、草(草本)の仲間になる。世界最大の草本植物とされることもある[1]

バナナの果房を支える太いみきは、樹木のみきとは構造が異なる。樹木のみきは木質でできており、輪切りにすると成長にともなう年輪が現れる。しかしバナナのみきを輪切りにしても、年輪は現れない[1]

この「みき」は、実際には葉鞘(ようしょう。葉の付け根が茎を包むように鞘状になった部分)が幾重にも重なり合ってできたもので、植物学では偽茎(ぎけい)と呼ばれる。玉ねぎの断面が何層もの皮の重なりでできているのに近い構造だと考えるとイメージしやすい[1]

木質を持たず、二次肥大成長(幹が年々太くなる成長)をしないため、バナナは植物学上は木本ではなく草本に分類される。バショウ科バショウ属に属し、世界最大の草本植物と紹介されることもある[1]

2. たねが ないのに、どうやって ふえるの?

2. 種がないのに、どうやって増えるの?

2. 種のないバナナは、クローンで増える

スーパーで 売って いる バナナには、たねが 見あたらない。じつは 今 食べられて いる バナナの ほとんどは、たねが できない しくみに なって いる[1]

では、どうやって ふえるのか。バナナは、じめんの 下に ある「くき」から、あたらしい めを 出す。この めを 「きゅうが」と いい、それを ほりおこして 植えかえる ことで、あたらしい バナナの木(くさ)が そだって いく[1]

たねから そだてる ときと ちがい、この やり方で ふえた バナナは、もとの バナナと まったく 同じ せいしつを 持つ「コピー」に なる。

スーパーに並んでいるバナナには、種が見当たらない。実は、今食べられているバナナのほとんどは、種ができない仕組みになっている[1]

では、どうやって増えるのか。バナナは、地面の下にある茎(地下茎)から、新しい芽を出す。この芽を「吸芽(きゅうが)」といい、それを掘り起こして植え替えることで、新しいバナナが育っていく[1]

種から育てるのと違い、この方法で増えたバナナは、もとのバナナとまったく同じ遺伝子を持つ「コピー」、つまりクローンになる。

市販されているバナナの果肉には、種がほとんど見当たらない。栽培品種の多くは染色体を3セット持つ三倍体で、減数分裂が正常に進まず正常な種子ができない(不稔)という性質を持つためである[1]

種子で増やせない栽培バナナは、地下茎から発生する吸芽(きゅうが)を株分けする栄養繁殖によって増やされる[1]

種子による繁殖では、両親の遺伝子が組み合わさり、少しずつ異なる個体が生まれる。しかし吸芽による繁殖は、もとの個体の遺伝子をそのまま複製するクローン増殖であり、世界中で栽培される同一品種のバナナは、遺伝的にほぼ同一の個体の集合ということになる。

3. むかし、せかいの バナナが きえかけた 話

3. むかし、世界のバナナがほぼ消えかけた話

3. グロス・ミチェル種は、なぜ「パナマ病」で壊滅したのか

むかし、せかいで 食べられて いた バナナは、「グロス・ミチェル」と いう しゅるいが 多かった。でも、その バナナが、「パナマ病」と いう カビの びょうきに かかって、つぎつぎに かれて しまった[2]

どうして、ひがいが これほど 広い はんいに 広がったのか。まえの 章で 見たように、せかいで そだてられて いた グロス・ミチェルの おおくが、おなじ せいしつを 持つ「コピー」だった。だから 1本が この びょうきに よわければ、おなじ しゅるいの おおくの バナナが、おなじように よわかった[2]

こまった 人たちは、この びょうきに つよい べつの しゅるい「キャベンディッシュ」に かえて いった。いま スーパーで よく 見る バナナは、この キャベンディッシュだ[2]

むかし、世界で食べられていたバナナは、「グロス・ミチェル」という品種が中心だった。でも、この品種が「パナマ病」というカビの病気にかかり、次々に枯れていってしまった[2]

どうして、これほど広い範囲で被害が深刻になったのか。それは、前の章で見たように、世界で栽培されていたグロス・ミチェルの多くが、同じ遺伝子を持つ「コピー」だったからだ。1本が病気に弱ければ、同じ品種の多くのバナナが、同じように弱かった[2]

追い詰められた生産者たちは、この病気に強い別の品種「キャベンディッシュ」への切り替えを進めた。今スーパーでよく見かけるバナナは、このキャベンディッシュである[2]

20世紀前半、世界の輸出用バナナの主力品種はグロス・ミチェルだった。しかしこの品種は、フザリウムというカビの仲間(糸状菌)による「パナマ病」に対する抵抗性を持たず、中南米・カリブ海地域のプランテーションで壊滅的な被害を受けた[2]

この病気による被害がこれほど広範囲かつ深刻になった背景には、前章で見たクローン増殖の性質がある。吸芽で増やされたグロス・ミチェルは遺伝的にほぼ同一であり、1個体が病原菌に弱ければ、世界中の同品種の畑がそろって同じ脆弱性を抱えることになる[2]

1950年代、生産者たちはパナマ病(現在ではレース1、TR1と呼ばれる系統)への抵抗性を持つ別品種、キャベンディッシュへの転換を進めた。現在世界の輸出用バナナの大半を占めるキャベンディッシュは、この危機を受けて選ばれた品種である[2]

4. じつは 今も、おなじ ことが おきている

4. 実は今も、同じことが起きている

4. 新パナマ病(TR4)は、今も広がり続けている

キャベンディッシュに かえれば、もう あんしんだと 思われて いた。でも 1980年代に、この キャベンディッシュも かれさせて しまう、あたらしい パナマ病が 出て きた。これを 「しんパナマ病」と いう[2]

しんパナマ病は、アジアで 広がった あと、2019年には、南アメリカの 国、コロンビアでも 見つかった[3]

キャベンディッシュも、せかいじゅうが おなじ「コピー」だ。もし この びょうきに よわければ、せかいじゅうの キャベンディッシュが、おなじように あぶなくなる[3]

キャベンディッシュに切り替われば、もう安心だと思われていた。しかし1980年代、このキャベンディッシュまで枯らしてしまう新しい系統のパナマ病が現れた。これを「新パナマ病(TR4)」と呼ぶ[2]

新パナマ病はアジアで広がったあと、2019年には南アメリカのコロンビアでも確認され、コロンビア政府が非常事態を宣言する事態になった[3]

キャベンディッシュも、世界中が同じ「コピー」である以上、この病気に弱ければ、世界中の畑が同じように危険にさらされる[3]

キャベンディッシュへの転換によって危機は去ったかに見えたが、1980年代、キャベンディッシュにも感染する新系統、TR4(トロピカル・レース4、新パナマ病)が確認された[2]

TR4は東南アジアを中心に感染域を広げたのち、2019年にコロンビアで初めて確認され、南米大陸への上陸が確定した。コロンビア政府は同年8月、非常事態を宣言している[3]

輸出用として広く栽培されるキャベンディッシュの多くも、吸芽によるクローン増殖で育てられ、遺伝的に近い個体群である。1世紀近く前にグロス・ミチェルを壊滅させた構図と同じ弱点を、現在のバナナ産業もそのまま抱えている[3]

5. さむい おかやまで バナナを そだてる わざ

5. 寒い岡山でバナナを育てる技術

5. 凍結解凍覚醒法で、寒冷地でもバナナを育てる

バナナは あたたかい 国の くだものだ。でも おかやまけんで、ふゆに こおる ような さむさの 中でも、バナナを そだてて いる 人たちが いる[4]

つかって いるのは、「とうけつかいとうかくせいほう」と いう わざだ。マイナス60どぐらいまで ゆっくり こおらせてから、また ゆっくり とかすと、その 木(くさ)が 本らい 持って いた、さむさに つよく なる ちからが 目ざめると 言われて いる[5]

この わざを つかう ある のうかは、日本には バナナを たべる 虫が すくない ため、のうやくを あまり 使わずに そだてられると せつめいして いる[4]

バナナは、本来は温暖な地域の果物だ。しかし岡山県で、冬に氷点下になるような寒さの中でも、バナナを育てている生産者がいる[4]

使われているのは、「凍結解凍覚醒法(とうけつかいとうかくせいほう)」という技術だ。マイナス60度前後まで時間をかけて凍らせ、また時間をかけて解凍するというストレスを与えると、その植物が本来持っていた、寒さに強くなる力が目覚めると考えられている[5]

この技術を用いるある生産者は、暖かい地域と違って日本にはバナナを食べる害虫が少ないため、農薬をほとんど使わずに育てられると説明している[4]。ブランド名の付いた国産バナナとして販売されている例もある[4]

バナナは本来、熱帯・亜熱帯地域で栽培される果物である。しかし岡山県では、冬季に氷点下を記録する気候条件のもとで、バナナを栽培している生産者がいる[4]

用いられているのは、田中節三氏が開発した「凍結解凍覚醒法」という技術である。植物の組織を時間をかけてマイナス60度前後まで冷却・凍結させ、再び時間をかけて解凍するという外部ストレスを与えることで、休眠していた耐寒性の遺伝子が働き始めると説明されている[5]。この技術により、230種類以上の熱帯植物が温帯地域でも栽培可能になったとされ、バナナは半年ほどで実をつけ始め、9か月目には収穫できるようになるという[5]

また、この技術を用いるD&Tファームは、温暖な原産地では病害虫対策に農薬が使われることが多いのに対し、日本国内にはバナナを加害する天敵がほとんどいないため、無農薬での栽培が可能になっていると説明している[4]。クローンという遺伝的な弱点そのものをなくすのではなく、栽培環境を作り変えることで乗り越えようとしている。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

スーパーや やおやさんで、バナナの ふさの つけねを 見て みよう。木のように かたい しんが あるだろうか。それとも、うすい かわのような ものが なんまいも かさなって いるように 見えるだろうか。よく かんさつして みよう。

スーパーや八百屋さんで、バナナの房のつけ根を観察してみよう。木のような硬い芯があるだろうか、それとも薄い層が何枚も重なっているように見えるだろうか。房のつき方や実の並び方もあわせて見てみると、新しい発見があるかもしれない。

スーパーや八百屋で売られているバナナの房のつけ根の断面を観察し、木質の芯があるかどうか、葉鞘の重なりを思わせる層状の構造が見えるかどうかを確かめてみよう。可能であれば、キャベンディッシュ以外の品種(モンキーバナナや国産バナナなど)とも比べてみると、見た目や果肉の違いに気づけるはずだ。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. フリー百科事典『ウィキペディア』「バナナ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/バナナ (バナナが草本であり偽茎(仮茎)は葉鞘が幾重にも重なったものであること、バショウ科バショウ属に分類されること、栽培バナナは三倍体で不稔となること、吸芽の株分けで繁殖すること)
  2. フリー百科事典『ウィキペディア』「バナナパナマ病」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/バナナパナマ病 (グロス・ミチェル種がパナマ病で大きな被害を受け1950年代にキャベンディッシュへの転換が進んだこと、1980年代にキャベンディッシュにも被害を及ぼす新パナマ病(TR4)が出現したこと)
  3. ニューズウィーク日本版「バナナ絶滅の懸念...世界で猛威をふるう『新パナマ病』、ついに南米に」(2019年8月)。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/08/post-12875.php (新パナマ病(TR4)が2019年にコロンビアで初めて確認され、南米大陸に上陸したこと、コロンビア政府が非常事態を宣言したこと)
  4. spaceshipearth「凍結解凍覚醒法とバナナの新規需要創造に挑む『D&Tファーム』」。 https://spaceshipearth.jp/dtfarm/ (D&Tファームが2015年に岡山県岡山市で創業したこと、凍結解凍覚醒法の開発者が田中節三氏であること、日本には天敵がほとんどいないため農薬散布の必要がないこと、「もんげーバナナ」という名称)
  5. フリー百科事典『ウィキペディア』「凍結解凍覚醒法」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/凍結解凍覚醒法 (マイナス60度前後まで時間をかけて凍結・解凍する外部ストレスにより耐寒性遺伝子が働くとされる仕組み、230種類以上の熱帯植物が温帯地域で栽培可能になったこと、バナナが半年で結実し9か月目に収穫できるとされること)

なおした ところ

更新履歴

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