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ようほうかさんは、なぜ ミツバチを つれて「大いどう」するの?

養蜂家は、なぜミツバチを連れて「大移動」するのか

養蜂家は、なぜミツバチを連れて「大移動」するのか

分野:生きもの

よるの あいだに、トラックの にだいに つまれた 木ばこの 中で、なんまんびきもの ミツバチが しずかに ゆられて いる。

なぜ、ミツバチは、そんなに とおくまで はこばれるのだろう。

夜のあいだに、トラックの荷台に積まれた木箱の中で、何万匹ものミツバチが静かに揺られている。

なぜ、ミツバチは、そんなに遠くまで運ばれるのだろう。

夜間、トラックの荷台に積まれた巣箱の中で、何万匹ものミツバチが運ばれていくことがある。

養蜂家は、なぜミツバチの巣箱を乗せて、何百キロもの距離を移動するのか。日本の「転地養蜂」から、移動中に起きうる「蒸殺」というリスク、そしてアメリカで行われる世界最大の授粉イベントまでをたどる。

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1. さいて いる 花を おいかけて いく「てんちようほう」

1. 咲いている花を追いかける「転地養蜂」

1. 開花前線を追う「転地養蜂」という方法

1つの ばしょに ずっと すばこを おいて おく ようほうを 「ていちようほう」と いう。でも、その ばしょの 花が おわると、ミツバチは あたらしい みつを あつめられなく なる[1]

そこで、春に なると、あたたかい 南から、なのはな、れんげ、アカシアと、花が さく じゅんばんに 合わせて、ミツバチの すばこを つぎつぎに 北へ うつして いく ようほうかが いる。これを 「てんちようほう」と いう[1]

いろいろな 花の みつを、じゅんばんに あつめられるので、1つの ばしょに いる ときより、たくさんの はちみつが とれる[1]

おいしい 食べものを もとめて、きせつごとに ばしょを かえる キャンプの ような ものだ。ただし ほんとうは、ミツバチが じぶんで キャンプさきを えらぶのでは なく、ようほうかが トラックで、すばこを はこんで あげて いる。

1つの場所にずっと巣箱を置いておく養蜂を「定地養蜂」という。でも、その場所の花が咲き終わると、ミツバチは新しい蜜を集められなくなる[1]

そこで、春になると、暖かい南から、菜の花、れんげ、アカシアと、花が咲く順番に合わせて、ミツバチの巣箱を次々に北へ移していく養蜂家がいる。これを「転地養蜂」という[1]

いろいろな花の蜜を、順番に集められるので、1つの場所にとどまっているときより、たくさんのはちみつが採れる。ただし、移動や設備にお金がかかるうえ、気候の変化で花の咲く時期が読みにくくなっており、転地養蜂を行う件数は減ってきている[1]

1つの場所に巣箱を固定して行う養蜂を「定地養蜂」という。特定の場所にとどまる場合、その地域の蜜源植物の開花期間が終わると、それ以上の採蜜量は見込めない[1]

そこで、南から北へ移動する開花前線に合わせて、菜の花、れんげ、アカシアなど蜜源植物の開花時期を追いながら、巣箱を順次北上させる養蜂の方法がある。これを「転地養蜂」と呼ぶ[1]

複数の蜜源植物から順番に採蜜できるため、定地養蜂よりも生産量が高くなるとされる。一方で、移動や設備にかかる生産コストの高さ、気候変動による開花時期の予測困難化、養蜂家の高齢化などを背景に、転地養蜂を行う件数自体は減少傾向にある[1]

2. すばこを トラックに のせて、よるに はこぶ

2. 巣箱をトラックに乗せて、夜に運ぶ

2. 夜間の輸送と、巣箱の中の環境

いどうする ときは、ミツバチの 出入り口を ふさいだ すばこを、トラックの にだいに つみこむ。1回に 50から100この すばこを つむ ことも ある[2]

いどうは、ミツバチが おちついて いて、気おんも ひくい 夜の あいだに おこなわれる ことが 多い。ある ようほう家は、しまねけんまで 5時間ほど かけて、よるに 車を はしらせて いる[2]

移動するときは、ミツバチの出入り口をふさいだ巣箱を、トラックの荷台に積み込む。1回に50から100個の巣箱を積むこともある[2]

移動は、ミツバチが落ち着いていて、気温も低い夜のあいだに行われることが多い。ある養蜂家は、島根県まで5時間ほどかけて、夜のうちに車を走らせている[2]

移動の際は、出入り口を塞いだ巣箱をトラックの荷台に積み込む。1回の輸送で50〜100個の巣箱を積むこともある[2]

輸送は、ミツバチの活動が落ち着き、気温も下がる夜間に行われることが多い。ある養蜂家の例では、九州から島根県まで夜間に約5時間かけて輸送している[2]。巣箱を密閉するのは、輸送中にミツバチが外へ飛び出してしまうのを防ぐためである。

3. 「じょうさつ」という きけん

3. 「蒸殺」という危険

3. 密閉輸送につきまとう「蒸殺」のリスク

すばこの 出入り口を とじて はこぶので、ミツバチは 外に にげられない。ひるまに 気おんが 上がると、たくさんの ミツバチじしんの 体の ねつも あわさって、すばこの 中が とても あつく なる ことが ある[3]

この ままだと、中の ミツバチが 死んで しまう。これを 「じょうさつ」と いう。ひどい ときは、すの ろうまでも とけて しまう ことが あると いう[3]

そこで ようほう家は、あみを つけて 空気が とおる ように したり、氷を つんで 車を 走らせたり、ガソリンスタンドで 水を かけて ひやしたり する[3]

巣箱の出入り口を閉じて運ぶので、ミツバチは外に逃げられない。昼間に気温が上がると、たくさんのミツバチ自身の体の熱も加わって、巣箱の中の温度がどんどん上がってしまう[3]

このままだと、中のミツバチが死んでしまう。これを「蒸殺」と呼ぶ。ひどいときは、巣そのものが溶け出してしまうこともあるという[3]

そこで養蜂家は、通気用の網を付けて空気が通るようにしたり、トラックに氷を積んで走らせたり、給油所で水をかけて冷やしたりと、さまざまな対策をとっている。採蜜のためには巣箱にたくさんの蜂を入れておきたいが、数が多いほど蒸殺の危険も高まるという、悩ましい関係にある[3]

巣箱は出入り口を密閉した状態で輸送されるため、ミツバチは外へ逃げられない。日中に気温が上昇すると、密集したミツバチ自身が発する体熱も加わり、巣箱内部の温度が急激に上昇する[3]

この状態が続くと、巣箱内のミツバチが高温により死んでしまう。これを「蒸殺」と呼ぶ。深刻な場合には、巣そのものが熱で溶け出すこともあるという[3]

養蜂家は、通気用の網を巣箱に取り付ける、トラックに氷を積み込む、給油の際に水をかけて冷却する、休憩時間を最小限にする、気温予報を踏まえて移動日程を調整するなど、複数の対策を組み合わせて蒸殺を防いでいる。採蜜効率を上げるには群れの規模を大きく保ちたい一方、群れが大きいほど蒸殺のリスクも高まるという、養蜂家が抱えるジレンマがそこにある[3]

4. 北へだけでは ない。南へ 「にげる」 いどうも ある

4. 北へだけでなく、南へ「避難」する移動もある

4. 越冬のための、北海道からの南下移動

いどうは、北へ 向かう ものだけでは ない。ふゆに 北海道が さむく なりすぎる 前に、1400キロも はなれた、10ど いじょう あたたかい 場しょまで、3日間で ミツバチを はこぶ ようほう家も いる[4]

その 場しょで、4月の おわりごろまで すごしてから、また 北海道へ もどって いく[4]

移動は、北へ向かうものだけではない。冬に北海道が寒くなりすぎる前に、1400キロも離れた、10度以上暖かい場所まで、3日間かけてミツバチを運ぶ養蜂家もいる[4]

その場所で4月の終わりごろまで過ごしてから、また北海道へ戻っていく。花を追いかける移動だけでなく、寒さを避けるための移動もあるのだ[4]

転地養蜂の移動は、開花前線を追って北上する例だけではない。北海道の冬の厳しい寒さを避けるため、1,400キロメートル離れた、気温が10度以上高い地域まで、3日間かけて巣箱を輸送する事例が報告されている[4]

越冬先では4月末ごろまで滞在し、その後再び北海道へ戻る。転地養蜂には、花を追う北上型の移動だけでなく、寒さを避けるための南下型の移動も存在する[4]

5. せかい 一 大きな、アメリカの「じゅふん だいいどう」

5. 世界最大の「授粉大移動」、アメリカのアーモンド畑

5. 世界最大の授粉イベント、カリフォルニアのアーモンド農園

アメリカの カリフォルニアしゅうには、せかいの アーモンドの 8わり ちかくを つくる、大きな のうえんが ある。でも アーモンドの 花は、こん虫が みつを はこばないと、みが ならない[5]

そこで まいとし 1がつから2がつに、アメリカじゅうから、およそ250まんの ミツバチの グループが、トラックで カリフォルニアへ あつめられる、と いわれて いる。とおくの 州から、2,000マイル(やく3,200キロ)いじょうも はこんだと いう ようほうかも いる。せかいでも とくに 大きな、じゅふんの ための 大いどうだ[5]

アメリカのカリフォルニア州には、世界のアーモンドの8割近くを作る、広大な農園が広がっている。でもアーモンドの花は、昆虫が花粉を運ばないと実がならない[5]

そこで毎年1月から2月に、アメリカ中から、およそ250万群ものミツバチが、トラックでカリフォルニアへ集められるといわれている。北部の州から2,000マイル(約3,200キロ)以上を運んだという養蜂家もいる。これは、世界でも特に大きな、授粉のための大移動だ[5]

アメリカのカリフォルニア州は、世界のアーモンド生産量の8割近くを占める一大産地である。アーモンドの多くの品種は自家受粉しにくく、昆虫による花粉媒介を必要とし、ミツバチが広く利用されている[5]

そのため毎年1月から2月にかけて、全米各地から推定およそ250万群のミツバチのコロニーが、トラックでカリフォルニアへ運び込まれるといわれている(カリフォルニア州のアーモンド園約120万エーカーに、1エーカーあたり2群が必要という計算にもとづく推定)。米農務省(USDA)の調べでは、2017年7月から2018年1月にかけて、北部大平原地域だけで推定約38万4,600群が輸送されており、2,000マイル(約3,200キロ)以上を移動したと報告した養蜂家もいるという。これは世界でも特に規模の大きい授粉イベントとされている[5]。授粉が終わると、多くの群れは北部へ戻り、群れの回復とはちみつ生産にあてられる[5]

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

スーパーに ならんで いる はちみつは、どこから きたのだろう。びんに はって ある シールを 見ると、「れんげ」や 「アカシア」など、花の 名前が 書いて ある ことが ある。その 花が、いつ、どこで さくのかを、おうちの 人と さがして みよう。

お店に並んでいるはちみつが、どんな旅をしてきたか想像したことはありますか。びんのラベルに「れんげ」や「アカシア」など花の名前が書かれていたら、その花が咲く季節と場所を調べてみましょう。ミツバチたちの移動ルートが見えてくるかもしれません。

はちみつの瓶のラベルに、「れんげ」「アカシア」といった単一花蜜の表示があれば、その花の開花時期と地域を調べてみるとよい。採蜜時期と照らし合わせることで、そのはちみつが、いつ、どの地域で集められたのか、ミツバチと養蜂家がいた季節と場所に思いを馳せることができる。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. はちみつコラム「転勤あり?なし? 養蜂スタイルで変わるミツバチの仕事場事情」。 https://miel-mie.com/blog/2024/07/10/about_beekeeper/ (定地養蜂と転地養蜂の違い、菜の花・れんげ・アカシアなど開花時期を追って北上すること、転地養蜂の方が生産量が高いとされること、移動・設備コストや気候変動、養蜂家の高齢化により転地養蜂の件数が減少傾向にあること)
  2. 近藤養蜂場「転地養蜂」。 https://www.832.co.jp/tenchi (鹿児島・大分・島根・北海道を巡る移動ルート、1回に50〜100個の巣箱を積むこと、夜間に約5時間かけて島根県へ移動する例、れんげ・トチ・ハゼ・アカシアなどの蜜源植物)
  3. 北のみつ蜂便り「蒸殺」。 https://naruse-bee.jp/php/freo/index.php/view/207 (蒸殺の定義とメカニズム、巣が溶け出すこともあること、通気網・氷・給油所での散水などの対策、群れの規模と蒸殺リスクのジレンマ)
  4. 山田養蜂場「Beeワールドin日本 北海道から巣箱の大移動 篇/後編篇」。 https://www.3838.com/bee-world/backnumber/210121_jp5/ https://www.3838.com/bee-world/backnumber/210128_jp5/ (北海道から1,400キロ・3日間かけて10度以上暖かい場所へ移動し、4月末ごろまで滞在してから北海道へ戻ること)
  5. 米国農務省 経済調査局(USDA ERS)「Chart of Note」、カリフォルニア大学農業普及局(UC ANR)「Bug Squad」(2件)、The Bee Supply「California Almond Pollination」。 https://www.ers.usda.gov/data-products/charts-of-note/107088 https://ucanr.edu/blog/bug-squad/article/californias-almond-pollination-season-just-buzzin https://ucanr.edu/blog/bug-squad/article/arnon-dag-how-improve-cross-pollination-almond-pear-apple-and-cherry-trees https://thebeesupply.com/blogs/beekeepers-blog/california-almond-pollination (カリフォルニアが世界のアーモンド生産のおよそ8割近くを占めること、アーモンドが昆虫による交雑受粉に依存すること、アーモンド園約120万エーカーに1エーカーあたり2群が必要という計算から全米推定約250万群が1〜2月にトラックで運ばれるとされること、世界でも特に規模の大きい授粉イベントとされること、USDA ERSの調べで2017年7月から2018年1月にかけて北部大平原地域だけで約38万4,600群が輸送され2,000マイル以上を移動したと報告した養蜂家もいること、授粉後は多くが北部へ戻ること)

なおした ところ

更新履歴

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