1. くらい かべで、おしりを ふる
1. お尻を振って進み、8の字を描いて戻る
1. 尻振りダンスの形 ── waggle phase と return phase
ミツバチが おどる ところは、すの 中の かべです。はなを 見つけた ハチは、おしりを ひだりみぎに ふりながら、まっすぐ すすみます。
そのあと、ぐるっと まわって、はじめの ところへ もどります。つぎは はんたいの まわりで もどります。これを くりかえすと、8の 字に なります[1]。
この ダンスは、かふん、みつ、水など、なかまに 教えたい ものが あるときに おどられると いわれます。
2. 「うえ」が たいように なる
2. 「上」を太陽の向きに置きかえる
2. 方向の符号化 ── 鉛直方向を基準にした太陽との角度
すの かべは、じめんに たいして まっすぐ 立って います。かべの 上は、そらの ほうです。ミツバチは、この 「うえ」を、たいように 見たてて います。
まっすぐ 上に すすめば、「たいようの ほうへ」です。すこし ななめに すすめば、たいように たいして その ぶんだけ ずれた ほうへ、という いみに なります[1]。
ただし、「上」は あくまで ものさしの ひとつで、いつも たいように むかう ことでは ありません。
暗い巣の中に、太陽を持ちこむ
巣の壁はほぼ垂直に立っています。ミツバチは、この壁の真上(重力と反対の向き)を、太陽の方向に見立てるようです。尻振りしながら進む直線部分が、真上からどれだけ傾いているかで、方角を表します[1]。
その傾きは、巣から見て「太陽の方向」と「花の方向」のあいだの角度に対応します[1]。花が太陽の方向にあるなら、まっすぐ上に進むことになります。
基準は「上」であって、太陽ではない
注意したいのは、上向きが「太陽に向かって行け」という意味ではないことです。「上」はものさしの目盛りの0にあたります。花が太陽と反対にあれば、傾きは大きくなります。
方向は、尻振り相の直進部分が鉛直(重力の上向き)となす角で表される。この角が、巣から見た太陽の方位と餌場の方位のあいだの角度に対応する[1]。巣の暗い壁面で、重力を基準に太陽を代用する符号化である。
誤解しやすいのは、「上向き=太陽に向かう」ではなく、「上向き=太陽の方位」という基準の置き方である点だ。餌場が太陽と同じ方位なら垂直に進み、その差が大きいほど傾く。
3. 長く ふると、とおい ところ
3. 尻振りの長さが距離になる
3. 距離の符号化 ── 1秒≒1kmという目安と円形ダンス
とおさは、おしりを ふりながら すすむ「ながさ」で つたえます。ながく ふるほど、はなは とおい ところに あります[1]。
ダンスが 1びょう つづくと、およそ 1キロメートル さきを あらわす、と いう 目やすが あります[2]。ハチが 1びょうで 1キロ とぶ わけでは ありません。
はなが ちかい ときは、8の 字が くずれて、まるい ダンスに なります。ちかさは、80メートルくらいと いう ものも あります[3]。
4. たいようは うごくのに、どうする?
4. 動く太陽と、雲に隠れた太陽
4. 太陽方位の時刻補正 ── 太陽コンパス
たいようは、一日の うちに、すこしずつ うごきます。それなのに、ダンスの 角度が ずれて しまっては こまります。
ダンスを する ハチは、時こくに よる たいようの ようすの かわりかたを おぼえて いて、それを ならして つたえる と いわれます[1]。
太陽は時間とともに空を動くので、そのままでは角度がずれていきます。ダンスをするハチは、時刻に応じて太陽の位置がどう変わるかを学んでいて、その動きを補正して方向を伝えると説明されています[1]。
雲で太陽が見えないときの手がかりは、この補正とは別の話です。ハチが何を手がかりに、どうやって時刻の変化を知るのかは、この記事の資料では詳しく分かりませんでした。
太陽方位は時刻とともに変化する。ダンスをするハチは、方位角が時刻の関数として変わることを学習し、太陽の時間依存の動きを補正して方向を伝えるとされる[1]。曇天時の手がかり(空の偏光パターンなど)はこの補正とは別の話で、今回の資料では扱えていない。
補正を支える感覚・時計のしくみは、今回の資料では詳しく扱えていない。
5. あんごうを とき あかした 人
5. 暗号を読み解いたフォン・フリッシュ
5. フォン・フリッシュとノーベル賞(1973年)
この ダンスの いみを といた のが、カール・フォン・フリッシュと いう 科学者です。ハチの ダンスが ことばの ように はたらくと 考えました[1]。
1973ねん、ノーベルしょうを もらいました。ほかの 二人の 科学者と いっしょに、です。
ダンスに意味があることを解き明かしたのは、動物の行動を研究したカール・フォン・フリッシュです。ハチが踊るときの角度と長さを観察して読み解いた仕事は、1973年のノーベル生理学・医学賞につながりました[1]。ローレンツ、ティンバーゲンと共同の受賞です。
カール・フォン・フリッシュは尻振りダンスを解読し、1973年にノーベル生理学・医学賞をローレンツ、ティンバーゲンとともに受賞した[1]。
6. 「においで さがした だけ?」の うたがい
6. 「においで探しただけでは」という疑いと、レーダー
6. 反論とハーモニックレーダー追跡(Riley et al., 2005)
ダンスの いみを うたがう 科学者も いました。「なかまは、ダンスを 読んだ のでは なく、においで さがして いる だけ では」と いう 考えです[4]。
2005ねんに、ハチに 小さな レーダーの そうちを つけて、とんだ みちを おいかける じっけんが ありました。ダンスを 見た ハチの おおくは、はなの ちかくまで まっすぐ とんで いきました[5]。
ぴったり はなに つくのでは なく、ちかくに ついて から、さがす ように とびます。
7. いまも わからないこと
7. 動画から読み取る技術と、これから
7. 自動解読 ── 30分の動画に数日かかっていた作業
ダンスを 動画に とって、いみを 読みとる しごとは、とても じかんが かかります。日本の 研究所では、コンピューターに よみとらせる ほうほうが つくられました[2]。
むかしは、30ぷんの 動画を 読むのに、なん日も かかって いたそうです。
ダンスの動画から意味を読み取るのは、地道な作業です。農研機構は、動画から尻振りダンスを自動で見つけ出して解読する方法を開発しました。これまでは、30分の動画を解読するのに数日かかっていたそうです[2]。
ダンスの意味は解読されても、ハチが暗い巣の中でどう受け取っているのか、ダンスのどの部分が本当に大事なのかは、まだ調べる余地が残っています。
農研機構は、動画からダンスを自動で抽出・解読する方式を開発した。従来、30分の動画の解読には数日を要していた[2]。
ダンスの符号化が確かめられても、受け手がどの感覚で情報を得て、どの要素が本質的なのかは、より詳しい研究が必要な段階にある、と考えられる。ロボットで再現する研究もあるが、今回の資料では確認が足りないため扱わない。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの 中で、ミツバチに なって みましょう。ゆかから てんじょうへ むかう ほうを 「上」と きめます。おうちの 人に、ぜんぜん 見えない 場所を、うでで まっすぐ ゆびさして もらいます。
「上」から どれだけ ずれて いるか、かみに かいて ください。つぎに、その かみを 見て、おなじ ばしょが わかるか ためして みます。
今日できること:壁の真上(床から天井へ向かう向き)を「上」と決めて、家族が台所など見えない場所を指さした角度を、紙の上に矢印で描いてみましょう。矢印だけで、別の人がその場所を当てられるか試します。距離は、矢印の横にゆらす回数で足すなど、自分で決めて構いません。
公式情報:農研機構のプレスリリース「尻振りダンスを自動解読」は日本語で読めます。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数字の一部は資料によって差があるため、目安として扱っています。事実は下の資料をもとにしています。
- The Apiarist「The waggle dance」 https://theapiarist.org/the-waggle-dance/ (ダンスの形・方向・時刻補正・ノーベル賞)
- 農研機構 プレスリリース(尻振りダンスを自動解読) https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/niaes/130830.html (距離の目安・自動解読)
- ミツバチのダンス(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/ミツバチのダンス (円形ダンスの目安)
- ScienceDaily(2005年5月) https://www.sciencedaily.com/releases/2005/05/050512114116.htm (反論・放す実験)
- phys.org(2005年5月) https://phys.org/news/2005-05-bees-equipped-radar-waggle-controversy.html (レーダー追跡)
なおした ところ
更新履歴
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