1. クーイマンさんの、てづくりの きかい
1. クーイマンさんが作った、手作りの記録計
1. クーイマンの手作り記録計と、始まりの1台
アメリカの 研究者 クーイマンさんが、なんきょくに いる アザラシの もぐる ふかさを しらべたいと おもいました。
そこで、だいどころで つかう タイマーを かいぞうして、ふかさを きろくする そうちを つくりました。この そうちを、1960年代に アザラシの せなかに つけて、もぐる ようすを しらべたのです[3]。
この、てづくりの きかいが、いまの「バイオロギング」と よばれる ほうほうの、さいしょの 1台でした。
この きかいには、いったい どんな しくみが 入って いたのでしょう。
アメリカの研究者クーイマンさんが、南極にいるウェッデルアザラシの潜る深さを調べたいと考えました。
そこで、台所で使うキッチンタイマーを改造して、深さを記録する装置をつくりました。この装置を1960年代にアザラシの背中につけて、潜る様子を調べたのです[3]。
この、手作りの機械が、いまの「バイオロギング」と呼ばれる方法の、最初の1台でした。
この装置には、いったいどんなしくみが入っていたのでしょうか。
アメリカの生物学者G.L.クーイマンは、南極に生息するウェッデルアザラシの潜水行動(深さ・時間)を調べようと考えた。
そこで、キッチンタイマーを改造した時間深度記録計(TDR)を開発し、1960年代にアザラシへ装着した。これにより、潜水中の深さの変化を、時間を追って連続的に把握することが初めて可能になった[3]。
この手作りの装置が、「バイオロギング」と呼ばれる研究手法の出発点となった。
この装置には、どのような技術が用いられていたのか。
2. どうして、そんな ことが わかるの?
2. バイオロギングって、どんなしくみ?
2. データロガーには、さまざまなセンサーが積まれている
バイオロギングでは、小さな きろくそうちを、動物の からだに つけます。
この そうちには、はやさや、ふかさ、水おん、いちなどを はかる、いろいろな センサーが 入って います[2]。おとなが つける「スマートウォッチ」が、うんどうりょうや しんぱくすうを はかって くれるのと、すこし にて います(ただし 本当は、水の 中でも つかえる ように、もっと じょうぶに 作られて います)。
動物が およいだり、もぐったり する あいだ、そうちが ずっと データを きろくし つづけます。
あとで そうちを かいしゅうすれば、その 動物が どこで、どんな ふうに くらして いたかが わかります。
この ほうほうは、どうやって 日本にも 広がって いったのでしょう。
バイオロギングでは、小さな記録装置(データロガー)を、動物の体につけます。
この装置には、速さ・深さ・水温・位置などを測る、いろいろなセンサーが入っています[2]。大人がつける「スマートウォッチ」が、運動量や心拍数を測ってくれるのと、少し似ています(ただし実際は、水の中でも使えるように、もっと頑丈に作られています)。
動物が泳いだり、潜ったりするあいだ、装置がずっとデータを記録しつづけます。
あとで装置を回収すれば、その動物がどこで、どんなふうに暮らしていたかが分かります。
この方法は、どうやって日本にも広がっていったのでしょうか。
バイオロギングでは、超小型のデータロガーを野生動物の体に装着する。
データロガーには、加速度センサー・深度(圧力)センサー・温度センサー・GPSなどの衛星測位システム・光量センサーなど、複数のセンサーが搭載されている[2]。
動物が遊泳・潜水する間、装置はデータを連続的に記録しつづける。
後日、装置を回収してデータを解析することで、動物がどこで、どのように行動していたかが明らかになる。
この手法は、どのように日本へも広がっていったのか。
3. 「バイオロギング」と いう 名前は、日本から
3. 「バイオロギング」という名前は、日本から生まれた
3. 内藤靖彦らが育て、東京で世界に広まった名前
クーイマンさんの はっぴょうから 20ねんほど たった 1980年代、日本の 国立きょくちけんきゅうしょの 内藤靖彦さんたちの グループが、なんきょくの アザラシや ペンギンを つかった けんきゅうを すすめました[4]。
そして 2003年、東京で ひらかれた かいぎを きっかけに、「バイオロギング」と いう 名前が、せかいじゅうに ひろがって いきました[3][6]。
いまでは、あたりまえに つかわれて いる この 名前、じつは 日本で うまれた ことばです。
こうして 広がった バイオロギングで、いったい どんな ことが わかったのでしょう。
4. 海の中でしか わからない こと
4. 海の中でしか分からないこと
4. アザラシの潜水記録と、海鳥の意外な狩り
なんきょくの 海に すむ ウェッデルアザラシは、いちばん ふかい ときで 904メートルも もぐり、96分間も 水の 中に いた ことが あります[4]。
こんなに ふかく、ながく もぐる ようすは、人間が じかに 見に 行く ことが できません。バイオロギングだからこそ、わかった ことです。
ほかにも、ある 海鳥が、クラゲの まわりに あつまる 小さな 魚を、クラゲを りようして つかまえて いる ことも わかりました[5]。
こうした 発見は、大きな 動物だけでは ありません。もっと みぢかな 魚でも、おどろく ことが わかりました。
5. マグロは、時そく80キロでは およいで いなかった
5. マグロは、時速80キロでは泳いでいなかった
5. バイオロギングが崩した、マグロ「時速80キロ」神話
むかしから、「マグロは 時そく80キロで およぐ」と いわれて きました。
でも、マグロの からだに きろくそうちを つけて、じっさいに はかった 研究者が います。ふだんの およぎかたでは、時そく 3キロくらいだったと いいます(全力で およぐ ときは、これより はやく なります)[1]。
80キロと いう すう字は、つりを して いた ときに、マグロが かかって いとが 出て いく はやさを、マグロの およぐ はやさだと おもいこんで けいさんした ものでした[1]。
大きな 船を つかっても わからなかった ことが、なぜ 小さな きかいを 動物に つけるだけで わかるのでしょう。
6. なぜ、動物に はかって もらうのか
6. なぜ、動物に測ってもらうのか
6. 動物を「観測プラットフォーム」として使う理由
なんきょくの 海のように、人間の ふねが 入りにくい ばしょが あります。マグロの ように、ずっと およぎつづける 魚に、船で ぴったり ついて いく ことも かんたんでは ありません。
でも、アザラシや マグロは、じぶんの ちからで、その ばしょまで 行く ことが できます。
動物に きかいを つけて おけば、動物が いった さきの 水おんや ふかさの データを、いっしょに あつめて きて くれます[6]。人間が 行けない ところへの「おつかい」を、動物に たのむような ものです(ただし 本当は、動物は おつかいを たのまれた つもりは ありません)。
つまり、動物 じしんが、海を しらべる どうぐに なって くれます。
南極の海のように、人間の船が入りにくい場所があります。マグロのように、ずっと泳ぎつづける魚に、船でぴったりついていくことも簡単ではありません。
でも、アザラシやマグロは、自分の力で、その場所まで行くことができます。
動物に機械をつけておけば、動物が行った先の水温や深さのデータを、いっしょに集めてきてくれます[6]。人間が行けないところへの「おつかい」を、動物に頼むようなものです(ただし実際には、動物はおつかいを頼まれたつもりはありません)。
つまり、動物自身が、海を調べる道具になってくれます。
南極の氷に閉ざされた海域のように、船舶による観測が困難な場所がある。マグロのように広範囲を高速で回遊する魚に、船で追随しつづけることも容易ではない。
しかし、アザラシやマグロなどの海洋動物は、そうした場所にも自力で到達できる。
動物に記録装置を装着しておけば、動物が訪れた先の水温・塩分・深度といった海洋環境データを、行動データとあわせて収集できる[6]。
動物自身を、海洋観測のプラットフォームとして活用しているのである。
じぶんでも やって みる
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
じぶんでも、かんがえたり、たしかめたり して みましょう。
やって みる
- じぶんの うでどけいや、おうちの 人の スマートウォッチを 見て みる。もし これを 動物に つけるなら、どこを くふうしたら いいか かんがえて みる(水に つよく する、外れにくく する、など)。
- 水ぞくかんに 行く きかいが あったら、ペンギンや ウミガメが もぐる ようすを 見て みる。どのくらいの 時間、水の 中に いるか、はかって みる。
水ぞくかんでは、ガラスや さくに おしつけたり しないで、みんなが 見やすい ように 気を つけましょう。
自分でも、考えたり確かめたりしてみましょう。
やってみる
- 自分の腕時計や、家の人のスマートウォッチを見てみる。もしこれを動物につけるなら、どこを工夫したらいいか考えてみる(水に強くする、外れにくくする、など)。
- 水族館に行く機会があったら、ペンギンやウミガメが潜る様子を見てみる。どのくらいの時間、水の中にいるか、時計で測ってみる。
水族館では、ガラスや柵に押しつけたりしないで、みんなが見やすいように気をつけましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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出典について:ナショナルジオグラフィック日本版、NTT研究所のメディア、Biologging Solutions(専門企業)、国立極地研究所、サイエンスポータル、笹川平和財団の公開情報を使いました。このメモは、これらの機関・企業のものではなく、個人のまとめです。
- ナショナルジオグラフィック日本版「マグロは時速80キロで泳がない!?」。 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20110615/274130/?P=3 (バイオロギングで実測したマグロの遊泳速度〔時速約3キロ〕、時速80キロ説の由来〔釣り糸の速度との混同〕)
- NTT研究所メディア「Beyond Our Planet」「バイオロギングとは何か?基礎技術の解説から応用まで」。 https://www.rd.ntt/se/media/article/0041.html (データロガーに搭載されるセンサーの種類)
- Biologging Solutions「バイオロギングとは|原理・歴史・応用」。 https://www.biologging-solutions.com/ja/biologging (クーイマンによるキッチンタイマー式記録計〔1963年開発〕、2003年東京シンポジウムでの用語の広まり。バイオロギング関連企業の解説記事)
- 国立極地研究所「極」特集「潜る動物を使って海洋環境を調べる」。 https://kyoku.nipr.ac.jp/special/2156 (内藤靖彦らによる南極でのバイオロギング研究、ウェッデルアザラシの潜水記録〔904メートル・96分間〕)
- サイエンスポータル「バイオロギングで追跡。海鳥がクラゲで魚獲り」。 https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20151030_01/index.html (海鳥がクラゲを利用して小魚を捕食する行動の発見)
- 笹川平和財団 海洋政策研究所「日本のバイオロギング研究」。 https://www.spf.org/global-data/opri/perspectives/prsp_017_2021_iwata.pdf (動物を活用した海洋環境データの収集という意義。2003年東京の第1回国際バイオロギングシンポジウムで用語が広まったこと)
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