なんで 大人は へんな カタカナことばを つかうの?

大人はなぜ変なカタカナ言葉を使うのか ── 「エビデンス」の意外な生まれ方

大人はなぜ変なカタカナ言葉を使うのか ── 「エビデンス」の意外な生まれ方と、伝わらない理由

分野:歴史・文化

「エビデンス」「アグリー」……大人が かいしゃで つかう、へんな カタカナの ことば。聞いても なんの ことか わからない ことが ありますよね。

じつは、大人じしんも、おなじように こまって いる ことが、 国の しらべで わかって います。

この きじでは、大人が カタカナことばを つかう りゆうと、 「エビデンス」という ことばの いがいな はじまりを 見て いきます。

「エビデンス」「アグリー」……大人が会社で使う、変なカタカナの言葉。聞いても何のことかわからないことがありますよね。

実は、大人自身も、同じように困っていることが、国の調べでわかっています。

この記事では、大人がカタカナ言葉を使う理由と、「エビデンス」という言葉の意外な始まりを見ていきます。

「エビデンス」「アグリー」「アジェンダ」……大人が会社で使う、こうした横文字の言葉に、意味がわからず困ったことはないだろうか。

実は、大人自身も同じように感じていることが、国の調査でわかっている。

この記事では、大人がカタカナ語を使う理由、「エビデンス」という言葉が医療から広まった意外な経緯、そして国が言い換えを提案したことがある事実をたどっていく。

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1. 大人も じつは こまって いる

1. 大人も実は困っている

1. 大人も実は困っている ── 国の調査から

「エビデンス」「アグリー」「アジェンダ」……大人が かいしゃで つかう、こうした よこもじの ことばに、いみが わからず こまった ことは ないでしょうか。

じつは、大人じしんも おなじように かんじて いる ことが、国の しらべで わかって います。

国の しらべに よると、カタカナことばの いみが わからず こまる ことが「ある」と こたえた人は、あわせて 8わり いじょうも いました。

「エビデンス」「アグリー」「アジェンダ」……大人が会社で使う、こうした横文字の言葉に、意味がわからず困ったことはないでしょうか。

実は、大人自身も同じように感じていることが、国の調査でわかっています。

文化庁が2018年に行った「国語に関する世論調査」によると、読んだり聞いたりする言葉の中に出てくる外来語やカタカナ語の意味がわからずに困ることが「よくある」「たまにはある」と答えた人は、合わせて83.5パーセントにのぼりました[1]

また、カタカナ語を交えて話したり書いたりすることについて「どちらかと言うと好ましくない」と感じる人は35.6パーセントで、「好ましい」と感じる人(13.7パーセント)よりずっと多くいました[1]。カタカナ語の使用を好ましくないと感じる人も、一定数いるのです。

「エビデンス」「アグリー」「アジェンダ」……大人が会社で使う、こうした横文字の言葉に、意味がわからず困ったことはないだろうか。実は、大人自身も同じように感じていることが、国の調査でわかっている。

文化庁が2018年(平成29年度)に行った「国語に関する世論よろん調査」によると、読んだり聞いたりする言葉の中に出てくる外来語やカタカナ語の意味がわからずに困ることが「よくある」「たまにはある」と答えた人は、合わせて83.5パーセントにのぼった[1]

また、カタカナ語を交えて話したり書いたりすることについて「どちらかと言うと好ましくない」と感じる人は35.6パーセントで、「好ましい」と感じる人(13.7パーセント)よりずっと多かった[1]。カタカナ語の使用を好ましくないと感じる人も、一定数いるのだ。

2. なぜ カタカナことばを つかうの

2. なぜカタカナ言葉を使うのか

2. なぜカタカナ語を使うのか ── 「エビデンス」の生まれ方

では、どうして 大人は わざわざ カタカナことばを つかうのでしょうか。りゆうの 1つは、あたらしい かんがえかたが がいこくから 入って きた とき、ぴったり あう 日本語が まだ ない ことが あるからです。

たとえば「エビデンス」(しょうこ)という ことばは、 1990年に、カナダの お医者さんが はじめた あたらしい いりょうの かんがえかたに、1991年に つけられた 名まえでした。 その ごろ、ほかの いろいろな しごとでも つかわれるように なりました。

もう1つの りゆうは、日本語で いうより、すこし かっこよく きこえるからです。まるで、なかまうちだけで つうじる、 かっこいい あいことばを つかいたく なるような ものです。

では、なぜ大人はわざわざカタカナ言葉を使うのでしょうか。理由の1つは、新しい考えかたが外国から入ってきたとき、それにぴったり合う日本語がまだない場合があることです。

たとえば「エビデンス」(証拠・根拠)という言葉が広まるきっかけは、1990年、カナダの大学の医師が、新しい医療の考えかたを発表したことでした。この医師は、当初この方法を「科学的医療」と呼ぼうとしましたが、同僚から「今までの医療が科学的でないみたいだ」と反対され、代わりに「エビデンスに基づく医療」という呼びかたを1991年に正式に発表しました[2]。この考えかたが医療の外にも広まり、いまではビジネスの場でも「エビデンス」という言葉が使われるようになりました[2]

もう1つの理由は、日本語で言うよりも、少し軽く、スマートな印象を与えられるからだと言われています。

では、なぜ大人はわざわざカタカナ語を使うのだろうか。理由の1つは、新しい考えかたが外国から入ってきたとき、それにぴったり合う日本語がまだない場合があることだ。

たとえば「エビデンス」(証拠・根拠こんきょ)という言葉が医療の分野で広まったきっかけは、1990年、カナダのマクマスター大学のゴードン・ガイアットという医師が、新しい教育方法を導入しようとしたことだった。ガイアットは当初この方法を「科学的医療」と呼ぼうとしたが、同僚から「今までの医療実践には科学的な厳密さが欠けているように聞こえる」と反対され、代わりに「エビデンス・ベースド・メディスン(根拠に基づく医療、略してEBM)」という呼びかたを1991年に正式に発表した[2]。この考えかたが医療の外にも広まり、いまではビジネスの場でも「エビデンス」という言葉が使われるようになった[2]

もう1つの理由は、日本語で言うよりも、少し軽く、スマートな印象を与えられるからだと言われている。同じ「証拠を見せて」と言うより、「エビデンスをお願いします」と言うほうが、かたすぎない言いかたに聞こえる、という具合だ。

3. 「アグリー」の きけんな おとしあな

3. 「アグリー」の落とし穴

3. 「アグリー」の落とし穴 ── 発音の意外なずれ

カタカナことばには、おもわぬ おとしあなも あります。かいしゃで「さんせい する」と いう いみで つかわれる「アグリー」 (えいごの agree)は、その れいです。

日本語ふうの「アグリー」という はつおんは、えいごを はなす人には、さんせいの いみの agreeではなく、みにくいと いう いみの uglyに きこえて しまう ことが あります。

まるで、日本語でも にた おとの ことばで べつの いみに きこえて しまう ことが あるのと おなじです。えいごを はなす人の 前で「アグリーです」と 言った つもりが、 まったく ちがう いみに きこえて しまう ことも あるのです。

カタカナ言葉には、思わぬ落とし穴もあります。会社で「賛成する」という意味で使われる「アグリー」(英語のagree)は、その代表例です。

日本語ふうの「アグリー」という発音は、英語を話す人には、賛成の意味のagreeではなく、みにくいという意味のuglyに聞こえてしまうことがあります[3]。「アグリーです」と言ったつもりが、まったく違う意味に聞こえてしまう可能性があるのです。

このように、カタカナ言葉は、もとの英語とは微妙に発音や意味がずれてしまうことがあります。日本語の中で独自に育った、いわば「日本製の外国語」なのです。

カタカナ語には、思わぬ落とし穴もある。ビジネスの場で「賛成する」という意味で使われる「アグリー」(英語のagree)は、その代表例だ。

日本語ふうの「アグリー」という発音は、英語を話す人には、賛成の意味のagreeではなく、みにくいという意味のuglyに聞こえてしまうことがある[3]。「アグリーです」と言ったつもりが、まったく違う意味に聞こえてしまう可能性がある。

このように、カタカナ語は、もとの英語とは微妙に発音や意味がずれてしまうことがある。日本語の中で独自に育った、いわば「日本製の外国語」なのだ。

4. 国が カタカナごを「言いかえよう」と ていあんした

4. 国が、カタカナ語を「言い換えよう」と提案したことも

4. 国が、カタカナ語を「言い換えよう」と提案したことも

わかりにくい カタカナことばが ふえすぎる ことを、国じしんが もんだいだと かんがえた ことが ありました。

2002年、国立国語けんきゅうじょという ところが、 やくしょの ぶんしょなどで つかわれる わかりにくい カタカナ ことばに ついて、わかりやすい 日本語への 言いかえを かんがえはじめました。

2003年から 2006年に かけて、あわせて 176この ことばの 言いかえあんが しめされました。

わかりにくいカタカナ言葉が増えすぎることを、国自身が問題だと考えたことがありました。

2002年、国立国語研究所は「外来語」委員会を設置し、行政の文書や新聞などで使われるわかりにくいカタカナ言葉について、言い換えの案を検討し始めました。2003年から2006年にかけて4回にわたって提案が発表され、合計176語の言い換え案が示されました[4]。たとえば「アーカイブ」は「保存記録」というように、わかりやすい日本語への言い換えが提案されました[4]

ただし、すべてのカタカナ言葉をなくそうとしたわけではありません。すでに広く定着している言葉を無理に言い換えると、かえって伝わりにくくなるという意見もありました[4]

わかりにくいカタカナ語が増えすぎることを、国自身が問題だと考えたことがあった。

2002年(平成14年)、国立国語研究所は「外来語がいらいご」委員会を設置し、行政の文書や新聞などで使われるわかりにくいカタカナ語について、言い換えのあんを検討し始めた。2003年から2006年にかけて4回にわたって提案ていあんが発表され、合計176語の言い換え案が示された[4]。たとえば「アーカイブ」は「保存記録」というように、わかりやすい日本語への言い換えが提案された[4]

ただし、すべてのカタカナ語をなくそうとしたわけではない。すでに広く定着している言葉を無理に言い換えると、かえって伝わりにくくなるという意見もあった[4]

5. じつは「おなじ いみ」じゃない こともある

5. 実は「同じ意味」ではないことも

5. 実は「同じ意味」ではないことも

さっきの 国の しらべでは、「ししん」と「ガイドライン」の ように、にた いみで つかわれる 日本語と カタカナことばの くみを あげて、おなじ いみか どうか くらべて います。

「おなじ いみだ」と こたえた人に、やくしょが みんなに 向けて 出す ぶんしょでは どちらの ことばを つかうべきか 聞いた ところ、しらべた 6つの くみ ぜんぶで「日本語の ほうが いい」と こたえた人の ほうが おおかったのです。

つまり おおくの人は、みんなに つたえる ばめんでは、カタカナ ことばより、日本語で わかる ことばの ほうが あんしんだと かんじて いるのです。

先ほどの文化庁の調査では、「指針」と「ガイドライン」のように、似た意味で使われる漢字の言葉とカタカナ言葉の組を挙げて、それが「同じ意味」か「使い分けができる言葉」かも聞いています。

「共同事業体」と「コンソーシアム」の組では、「共同事業体の意味しか分からない」と答えた人が52.6パーセントと最も多くいました。また、「同じ意味だ」と答えた人に、役所などが不特定多数の人に向けて出す文書ではどちらの言葉を使うべきか聞いたところ、6つの言葉の組すべてで「漢字を使った言葉のほうがいい」と答えた人が、「カタカナ言葉のほうがいい」と答えた人を上回りました[1]

つまり多くの人は、みんなに伝える場面では、聞き慣れたカタカナ言葉よりも、日本語でわかる言葉のほうが安心だと感じているのです。カタカナ言葉には、かっこよさや新しさという利点がありますが、それが「伝わりやすさ」を上回るとは限らないのです。

先ほどの文化庁の調査では、「指針」と「ガイドライン」のように、似た意味で使われる漢字語とカタカナ語の組を挙げて、それが「同じ意味」か「使い分けができる言葉」かも聞いている。

「共同事業体」と「コンソーシアム」の組では、「共同事業体の意味しか分からない」と答えた人が52.6パーセントと最も多かった。また、「同じ意味だ」と答えた人に、役所などが不特定多数の人に向けて出す文書ではどちらの言葉を使うべきかを聞いたところ、6つの言葉の組すべてで「漢字を使った語のほうがいい」と答えた人が、「カタカナ語のほうがいい」と答えた人を上回った[1]

つまり多くの人は、みんなに伝える場面では、聞き慣れたカタカナ語よりも、日本語でわかる言葉のほうが安心だと感じている。カタカナ語には、かっこよさや新しさという利点があるが、それが「伝わりやすさ」を上回るとは限らないのだ。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

じぶんの まわりで つかわれて いる カタカナことばを さがして みましょう。

きょう できる こと

  • おうちの 人に、しごとで つかう カタカナことばを 聞いて みる。 どんな いみか、日本語で 言うと どうなるか、聞いて みましょう。
  • テレビや かんばんで、カタカナことばを さがして みる。 見つけた ことばを、日本語に 言いかえられるか かんがえて みましょう。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「エビデンスって、もともと なんの いみ?」 だけで じゅうぶんです。

自分の周りで使われているカタカナ言葉を探してみましょう。

今日できること

  • 家の人に、仕事で使うカタカナ言葉を聞いてみる。どんな意味か、日本語で言うとどうなるか、聞いてみましょう。
  • テレビや看板で、カタカナ言葉を探してみる。見つけた言葉を、日本語に言い換えられるか考えてみましょう。

出かけてできること

  • 図書館で、外来語辞典やカタカナ語辞典を見てみる。
  • ニュース番組で、カタカナ言葉がどれくらい使われているか数えてみる。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「アジェンダって結局どんな意味なの?」だけでも十分です。

自分の周りで使われているカタカナ語について調べてみよう。

手を動かして確かめる

  • ニュースや新聞でカタカナ語を数えてみる。1つの記事や番組に出てくるカタカナ語をすべて書き出し、日本語に言い換えられるか、言い換えるとニュアンスがどう変わるかを考えてみる。
  • 家族や先生に、仕事でよく使うカタカナ語を聞いてみる。業界によって使われるカタカナ語が違うことに気づけるはずだ。

一次情報にあたる

国立国語研究所の「外来語」言い換え提案は、全文が公式サイトで公開されている。文化庁の「国語に関する世論調査」も、毎年の結果が公式サイトで読める。ニュース記事の要約と、元になった調査報告書を読みくらべると、伝わる過程で数字がどう単純化されているかに気づける。

メモのすすめ

「エビデンス」のように、専門用語として生まれた言葉が一般に広まる例は珍しくない。今使われている流行語も、10年後には同じ道をたどっているかもしれない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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出典について:文化庁・国立国語研究所は政府機関、Wikipediaは百科事典、その他は解説記事です。

  1. 文化庁「平成29年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」。 https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/r1393038_01.pdf (カタカナ語の意味がわからず困る人の割合、好ましくないと感じる人の割合、漢字語とカタカナ語の使い分け意識についての出典)
  2. Wikipedia「根拠に基づく医療」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/根拠に基づく医療 (1990〜1991年、ゴードン・ガイアットによる「エビデンス・ベースド・メディスン」という呼称の誕生経緯についての出典)
  3. マイナビニュース「カタカナビジネス語『アグリー』は、誤解に注意!」。 https://news.mynavi.jp/article/20150820-a155/ (「アグリー」がagreeとuglyの両方に聞こえうるという指摘についての出典)
  4. 国立国語研究所「『外来語』言い換え提案 第1回~第4回 総集編」。 https://www2.ninjal.ac.jp/gairaigo/Teian1_4/index.html (2002年の「外来語」委員会設置、2003〜2006年の4回にわたる176語の言い換え提案についての出典)

なおした ところ

更新履歴

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