1. あわは、どこから 出て くるの?
1. 泡は、決まった場所から列になって出てくる
1. 泡の列 ── 液体中ではなくグラス壁の点から
コップの 中を じっと 見て みましょう。あわは、水の まん中から とつぜん 出るのでは なく、かべや 下の、決まった ところから 出て くる ことが 多い ようです。
おなじ ところから 一つ、また 一つと 出るので、あわが 一れつに ならびます。これが 「あわの れつ」です。
では、その ところには、なにが あるのでしょうか。
途中からはわいてこない
グラスの中の泡は、液体の何もない場所から急に出てくるのではなく、グラスの壁に付いた小さな点から生まれ、列をつくってのぼるように見えます。シャンパンの泡を調べた論文でも、泡が生まれる点は壁の上に限られていたと報告されています[3]。
その点は、泡の「起点」や「核」と呼ばれます。核が動かず、そこから次の泡が出るので、泡の列は同じ場所に立ち続けます。
2. あわの もとは、ぎゅっと つめられた ガス
2. 泡のもとは、圧力で溶かしこまれた二酸化炭素
2. 泡の中身と過飽和 ── 圧力で溶かした二酸化炭素
あわの 中身は、空気では なく、たんさんガス(二さんかたんそ)です。ペットボトルの ふたを あける まえ、ガスは 水の 中に ぎゅっと おしこまれて います[2]。
コカ・コーラの せつめいでは、水を つめたく して、力を かけて ガスを とかして います。ふったり 氷を 入れたり すると、ガスが 外へ 出ようと して、あわに なります[1]。
ふうせんに 空気を ぎゅうぎゅうに 入れると、小さな あなから 空気が 出て きます。あわの 出かたも、これに 少し にています。ただし ほんとうは、ガスが 水に とけて いる 点が ふうせんとは ちがいます。
3. あわの 出はじめは、なにが きめる?
3. 泡の起点は「傷」か「繊維」か、説明が分かれる
3. 泡の核の正体 ── 傷説とセルロース繊維説
ガスが あわに なるには、まず 小さな 空気の たまりが いります。その たまりが ある ところが、あわの 出はじめに なる ようです。
その たまりを つくる ものは、なんでしょう。おおさかだいがくの しょうかいでは、コップの かべの 細かい「きず」から あわが 出ると せつめいして います[4]。
いっぽう、シャンパンを しらべた けんきゅうでは、かべに ついた 小さな「せんい」が 見つかりました。ほそ長い くだの ような もので、中に 空気が たまって いました[3]。
どちらが 正しいのか、この 記事では 一つに きめません。飲み物の しゅるいや、コップの ようすで ちがう ことも あるかもしれません。
コップの微細な傷
大阪大学基礎工学部の研究紹介は、コップの壁についた微細な傷から気泡が発生すると説明しています。ソーダ水の気泡はあっという間に直径0.5mm程度に成長し、密度差で浮き上がるそうです[4]。
壁に付いた空洞の繊維
一方、シャンパンの泡を調べた論文は、泡の発生点の多くが、壁に付いた長さ約0.1mm(100µm)の細長い中空の繊維の上にあったと報告しました。口の直径は数µm(1µmは0.001mm)で、性質はセルロース繊維に合うといいます[3]。
この繊維は、空気中や、グラスを拭く布から来ると紹介されています。液を注ぐときに、繊維の中に小さな空気だまりが閉じこめられるそうです[6]。
どちらか一つとは言えない
研究の対象も、シャンパンとソーダ水でちがいます。そこで「傷は関係ない」とも「繊維がすべて」とも決められません。二つの説明があると知ったうえで、次の章を読んでください。
核の正体には、少なくとも二つの説明がある。大阪大学基礎工学部の研究紹介は、コップの壁の微細な「キズ」から気泡が発生すると述べる[4]。これに対し、AJEV 53(2) の論文(Liger-Belairら)は、シャンパンのグラス壁で調べた発生点の大半が、長さ約100µm、開口部の径が数µmの中空で細長い繊維の上にあったと報告し、その特徴からセルロース繊維と考えられると結論する[3]。同論文は、ガラスの傷が主役とする通説とは異なる結果を示している。
このセルロース繊維は、空気中のほこりや、グラスを拭く布に由来し、液を注ぐ過程で空気だまりを閉じこめるとされる[6](この点は本文に到達できず、検索要約に基づく)。
論文の表現は「示唆する(suggest)」であり、清涼飲料水のグラスでも同じかどうかは、要旨からは判断できない。傷か繊維かは、飲料・容器・研究方法が違えば結果も違いうる問題として、両説を並べておくのが現時点では妥当と考える。
4. のぼりながら、あわは 大きく なる
4. のぼるうちに泡が育ち、浮く力が増す
4. 泡の成長と上昇 ── 二酸化炭素の拡散と浮力
あわが 出はじめの ところを はなれると、まわりの 水から、たんさんガスが あわの 中へ 入って いきます。だから あわは、のぼる うちに 少しずつ 大きく なります[5]。
あわは 水より かるいので、上へ うかびます。おおさかだいがくの しょうかいでは、ソーダ水の あわは 一ミリの 半分ぐらいまで 大きく なって、あっという間に 水面から ぬけて いきます[4]。
シャンパンの せつめいでは、あわが 大きく なると 上へ おす 力も 大きく なって、のぼる ほど 少しずつ はやく なる、と しょうかいされて います[6]。
のぼりながら育つ
シャンパンなどの泡の形成と成長の主な仕組みは、二酸化炭素の拡散だと報告されています。泡のまわりの液体に溶けている二酸化炭素が、泡の中へ入りこんでいく動きです[5]。
泡はのぼる間もガスを取りこみ続けるので、大きくなります。大阪大学の紹介では、ソーダ水の泡は直径0.5mm程度に育ち、気体と液体の密度差でのぼって、すぐ飲み物の外へ抜けます[4]。
大きいほど浮く力が強い
シャンパンの解説では、泡が大きくなると浮力も増えるので、上昇はだんだん速くなると紹介されています[6]。ただしこれはシャンパンの研究の紹介で、原文までは確認できていません。炭酸飲料一般の速さを、ここから決めることはできません。
泡の形成と成長の主な物理過程は二酸化炭素の拡散であると、ACS Omega (2021) の論文は述べる[5]。泡は上昇しながらさらに拡散でガスを取りこんで大きくなり、浮力が増して上昇が加速すると紹介されている[6]。American Scientistの紹介では、フルートグラスでの上昇時間は1〜5秒、10cm上昇で平均直径は約500µmとされる。
これらの数値はシャンパンの値であり、清涼飲料水には当てはめない。清涼飲料水については、大阪大学の紹介が、ソーダ水の気泡は約500µm(0.5mm)に成長し、密度差で浮上してすぐ飲料の外へ抜けると述べている[4]。一方、AJEVの論文は、シャンパンで泡が壁の発生点を離れる瞬間の直径を14〜31µmと測っている[3]。ただし飲料が違うため、この二つの数値から成長の倍率を求めることはできない。
5. れつが つづくのは、どうして?
5. 泡の列が続くのは、起点が残るから
5. 泡の列の持続と温度の影響
あわが 一つ 上へ のぼっても、もとの ところには 空気の たまりが のこって いると 考えられて います。そこへ また ガスが あつまって、次の あわが できます。
時計の ように、一定の ペースで 次々と 出る、と いう せつめいも あります[6]。ですから あわの もとが のこる かぎり、あわの れつは つづきます。
つめたい ほうが ガスは 水に とけやすく、ぬるく なると 出やすく なります[7]。ぬるい たんさんが すぐに ぬけるのは、この ためです。
次々と出る泡
核の空気だまりに二酸化炭素が入りこんで泡になり、離れていく。この繰り返しが、時計のように規則正しい泡の列になると紹介されています[6]。核が壁に残っている間は、この繰り返しが続くと考えられます。
ここまで泡の数は、シャンパンの測定では、注いで3分後で1秒に1回に満たない列から、およそ30回の列までありました[3]。核ごとに、泡の出る速さは大きくちがうようです。
ぬるいと、抜けやすい
気体は、温度が上がると液体に溶けにくくなります[7]。飲み物がぬるいと、二酸化炭素が泡として出ていきやすく、早く気が抜けます。冷蔵庫の冷たい炭酸飲料が長持ちするのは、そのためと考えられます。
泡が離れた後も核の空気だまりが残る限り、泡の生成は繰り返される。Liger-Belairらの説明として、二酸化炭素が空気だまりに拡散して泡が時計のように出ると紹介されている[6]。AJEVの論文は、シャンパンを注いで3分後の発生点ごとの泡の発生頻度を測り、1秒に1回未満のものから約30回までの幅があったと報告している[3]。約30回とは、およそ0.03秒に1個の泡が離れる計算である。
頻度は二酸化炭素濃度・液温・周囲圧力などで変わるとされる。気体の溶解度は温度上昇で下がるため[7]、ぬるい炭酸ほど泡が出やすく、気が抜けやすい。温度上昇による頻度増加率の具体的な数値は、検索要約のみで原文を確認できていないため、ここでは載せない。
6. じぶんで しらべて みよう
6. 自分でも調べてみたくなったら
6. 自分でも調べてみたくなったら
あわの れつを さがそう
おとなと いっしょに、きれいな コップに たんさんすいを そっと つぎます。まず、あわが 出て くる ところを さがして、どこから 何本 出るか、絵に かきます。
すこし 待って、おなじ ところから 出つづけるか 見ます。おなじ 水でも、つめたい ものと 少し あたたかい ものを 二つ 用意して、どちらが 早く あわが 出なく なるかも 見られます。
のみ おえたら、コップは おとなと いっしょに あらいます。
今日できること
透明なコップに炭酸水を静かに注ぎ、泡が出る場所を探します。数分後にもう一度見て、泡の列が同じ場所から出ているか、場所は動いたかを絵で記録します。コップを変えて比べると、傷や繊維の説明を自分の目で考える手がかりになります。ただし、見えた泡の起点が傷か繊維かは、この観察では決められません。
もっと調べるなら
「過飽和」「核形成」「浮力」といった言葉で調べると、泡の仕組みが、雲や沸騰など別の現象にもつながっていることが見えてきます。
今日できること
透明なコップに炭酸水を静かに注ぎ、泡の列の位置と本数、時間経過による変化を記録する。コップを替える、液温を変える(冷蔵庫の水と室温の水など)と比較できる。飲み物が違うため、結果は炭酸水の観察として扱い、シャンパンの論文の数値には結びつけない。
資料を読むなら
泡の起点は[3](英語の論文。要旨だけでも図表から様子が想像しやすい)と[4](日本語の研究紹介)、成長の仕組みは[5]、炭酸飲料の作り方は[1]に出ている。[6]と[7]は検索の要約で確認したため、原文に当たることを勧める。清涼飲料水の泡の上昇速度を実測した資料は、この記事では扱っていない。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の説明に使った資料です。[6]と[7]は要約でしか確かめられていません。
- コカ・コーラ お客様FAQ https://j.cocacola.co.jp/info/faq/detail.htm?faq=18013 (炭酸の入れ方、振る・氷の影響)
- 学研キッズネット 科学なぜなぜ110番 https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0474/ (泡の正体は炭酸ガス)
- Liger-Belair et al., Close-up on Bubble Nucleation in a Glass of Champagne, Am. J. Enol. Vitic. 53(2) https://www.ajevonline.org/content/ajev/53/2/151.full.pdf (泡の発生点、頻度、泡の大きさ。英語)
- 大阪大学基礎工学部 コップの中に見える泡と物理(2018) https://www.es.osaka-u.ac.jp/ja/latest-research/2018/01/post_2.html (傷から泡が発生、ソーダ水の泡の大きさ)
- ACS Omega 2021 Toward In Silico Prediction of CO2 Diffusion in Champagne Wines https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8153942/ (泡の成長は二酸化炭素の拡散。英語)
- American Scientist, Bubbles and Flow Patterns in Champagne https://www.americanscientist.org/article/bubbles-and-flow-patterns-in-champagne (繊維の由来、成長と加速。英語。検索要約で確認)
- eguweb ヘンリーの法則と炭酸飲料 https://eguweb.jp/science/81107/ (温度と気体の溶けやすさ。検索要約で確認)
なおした ところ
更新履歴
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