1. ダンボールの なかには、なにが あるの?
1. 箱のふちをのぞくと ── 3枚の紙と、波
1. 段ボールの構造 ── 表ライナ・中しん・裏ライナの3枚
ダンボールの はしを よく 見て みましょう。まんなかに、なみの かたちの かみが あります。その うえと した に、たいらな かみが はって あります[1]。
たいらな かみを「ライナ」、なみの かみを「なかしん」と いいます。ふつうの ダンボールは、うえの ライナ、なかしん、したの ライナの 3まいで できて います。
この かみは、ただの ノートの かみより あつく、木や、つかいおわった かみから つくった、あつい かみです[1]。
2. うすい かみが、どうして かたく なるの?
2. 波が上下の紙を離しておく ── 薄い紙でも曲がりにくい板になる
2. サンドイッチ構造 ── 中しんが間隔をあける役目
ライナは、1まいだけなら うすくて、ぐにゃっと まがります。でも、なかしんを はさむと、ぐっと まがりにくく なります。
なかしんは、うえと したの ライナの あいだを あけて おく、すきまの やくめを して います[2]。なかしんが 高いほど、ライナどうしが はなれて、まがりにくく なると いわれます。
2かいだての ゆかを 思いうかべて みましょう。うえの ゆかと したの ゆかを、まんなかの かべや はしらが ささえて います。ダンボールは、それに にて います。ただし ほんとうの ダンボールは、かべでは なく、かみの なみが ささえて います。
ライナ1枚だけなら、薄くてぐにゃりと曲がります。ところが中しんをはさんで3枚を貼り合わせると、とたんに曲がりにくい板になります。
資料では、中しんはライナ同士の間隔をあける「スペーサー」の役をすると説明されています[2]。中しんが高いほど、上下のライナの間が広がり、板は曲げにくくなります。薄い紙でも、間をあけるだけで曲がりにくくなるのです。
中しんは、上下のライナの間隔をあけるスペーサーとして働き、薄い紙でも曲げに強い板になる。この構造は、平らな板2枚の間に芯を挟んだ「サンドイッチ構造」と説明される[2]。中しんが高いほどライナの間が広がり、曲がりにくくなる。
3. なみは、さんかくなの? まるなの?
3. 三角形とアーチ ── 波の形が力を逃がす
3. 三角形に見える波と、実際のアーチ形
ダンボールを よこから 見ると、さんかくが つらなって いるように 見えます[3]。さんかくは、てっぺんを おされても、ちからが ひだりと みぎに わかれて、くずれにくい かたちです。
おなじ かんがえかたは、てっきょうや、東京スカイツリーにも つかわれて いると いわれます[3]。
ただし、ほんとうの なみは、さんかくでは なく、まるみの ある かたちです。まるい なみは、アーチにも なって います。アメリカの 会社の あつまりは、なみが ライナに くっつくと、あらゆる むきからの まげる ちからや おす ちからに たえると せつめい して います[4]。
4. どうして かるいの?
4. 軽さの正体は、波の間の空気
4. 中空構造 ── 数百グラムの箱と空気の層
ダンボールは、なかが からっぽの ところが たくさん あります。だから、とても かるく、1つの はこは、たった 数百グラムです[5]。
なみの あいだの 空気は、ものを まもる やくめも します。ぶつかった ときは クッションに なり、あたたかさや つめたさを にがしにくく します[5]。
段ボールは、波の間が空いた中空構造なので軽く、箱1個の重さはわずか数百グラムだといいます[5]。
空気の層は、軽さだけでなく、ぶつかったときの衝撃をやわらげ、外の温度の変化を伝えにくくする働きもします[5]。
段ボールは中空構造のため軽く、箱1個が数百グラム程度とされる。空気の層は緩衝の働きだけでなく、断熱の働きも持ち、保冷に向くという。空気の層には、外の温度変化を伝えにくくする働きもある[5]。
強さを担う波形の空間が、同時に軽さと断熱も生んでいる。1つの構造が複数の役割を兼ねる点が、この材料のわかりやすい特徴だ。
5. なみには、つよい むきが あるの?
5. 波の向きで、強さが変わる
5. 波の方向 ── 圧縮に強い向きと、折れ線のずれ
ダンボールの なみには、むきが あります。なみの すじが、たてに たって いる むきだと、うえから おされる ちからに つよいと いわれます[7]。すじが よこに ねて いると、うえからの ちからに よわく なります。
おりまげる ときも、むきで ちがいます。なみに 直角に おると きれいに まがり、なみと おなじ むきに おると、なかしんの やまが はんぱつして、おりめが ずれやすく なります[7]。
6. なみの おおきさは、みんな おなじ?
6. 波の大きさは何種類もある ── A・B・C・Eフルート
6. フルートの規格 ── 高さと山数のちがい
ダンボールの なみの おおきさには、いくつか しゅるいが あります。おおきな なみの ダンボールは あつく、こまかい なみの ダンボールは うすく なります[6]。
いちばん おおきい「A」の なみは、たかさが 4.5〜4.8ミリメートルほど。いちばん こまかい「E」は、1ミリメートルと ちょっと です。おおきな はこには おおきな なみ、くだものや おかしの はこには こまかい なみ、と つかい わけられます。
段ボールの波(フルート)の大きさには、A・B・C・Eなどの規格があります。波が高いほど厚く、細かいほど薄い段ボールになります[6]。
Aフルートは高さが4.5〜4.8mmで、30cmの幅に34山ほど。Eフルートは高さが1.10〜1.15mmで、30cmに80山以上あります。Aの波は、Eの波のおよそ4倍の高さです。
実際の段ボールの厚さは、これにライナの厚さが加わります。
波(フルート)の標準規格は、30cmあたりの山数と高さで決まる。Aは高さ4.5〜4.8mmで34±2山、Cは3.5〜3.8mmで40±2山、Bは2.5〜2.8mmで50±2山、Eは1.10〜1.15mmで80山以上とされる[6]。高いほど厚く、細かいほど薄い。
Aの高さはEの約4倍(4.5÷1.10≒4.1)である。実際の板厚には、ライナの厚さが加算される点にも注意したい。
7. ダンボールは、だれが つくったの?
7. 帽子の内側から、荷物の箱へ ── 名前が決まるまで
7. 1856年から1909年へ ── 特許・改良・命名
なみの かたちの かみは、1856ねんに イギリスで とっきょに なりました。さいしょの つかいみちは、シルクハットの うちがわです。かぜが とおって、やわらかい ざいりょうでした[8]。
のちに、にもつを はこぶ ために つかう かんがえが、アメリカで うまれます。1871ねんに、ジョーンズという 人が とっきょを とりました[9]。そのあと、ライナを つけて 強くする かいりょうが なされたと いわれます[2]。
日本では、1909ねんに いのうえ ていじろうという 人が、わたくりきと いう きかいを ヒントに、じぶんで きかいを つくったと つたえられます[9]。名前の こうほは、なまこがみ、なみがたがみ など、いくつも ありました。さいごは「だんの ついた ボールがみ」で わかりやすくて いいやすいと、「ダンボール」に なりました[8]。
波の形の紙は、1856年に英国で特許になりました。最初の用途は、シルクハットの内側です。通気性とクッション性を兼ねる素材として使われたといいます[8]。
荷物を運ぶ材料としては、1871年12月20日に、アルバート・ジョーンズが米国で特許を取りました。このときは、波の紙の片側にだけライナがある形でした。数年後にオリバー・ロングが、ライナを付ける改良をしたとされます。ただし、資料によってロングの改良の内容の説明が食い違っています[2][9]。
日本では、1909(明治42)年に井上貞治郎が、綿繰り機をヒントに自分で機械を考えつくり、ボール紙に段をつけたものを作ることに成功し、「段ボール」と名づけて事業を始めた、と伝えられています[9]。名前の候補には、弾力紙、波型紙、なまこ紙などがあったそうです。「段の付いたボール紙」が単純で分かりやすく、語呂もよいとして決まりました[8]。
波形の紙は1856年に英国で特許になり、シルクハットの内側の、通気性と緩衝性を兼ねる素材として使われた[8]。
輸送用としては、1871年12月20日にアルバート・ジョーンズが米国で特許を取得した(片側だけにライナ)。1874年にはオリバー・ロングが改良したと伝わるが、両面にライナを貼ったとするWikipediaと、片面段ボールとする全団連系の記述とで説明が分かれており、ここではライナ付きの改良にとどめる[2][9]。
日本では、1909(明治42)年に井上貞治郎(いのうえ ていじろう)が、綿繰り機(わたくりき)をヒントに機械を自作し、ボール紙に段をつけたものの製造に成功、「段ボール」と命名して事業を始めた[9]。候補には弾力紙・波型紙・波状紙・しぼりボール・なまこ紙・浪形紙・防衝紙・波型ボールがあり、「段の付いたボール紙」が単純で語呂もよいとして選ばれた[8]。
8. ダンボールの はしを 見て、おって みよう
8. 自分でも調べてみたくなったら
8. 自分でも調べてみたくなったら
つかいおわった ダンボールばこの ふちを、よく 見て みましょう。なみの すじが、ならんで います。なみの すじは、たての むきでしょうか、よこの むきでしょうか。はこを 立てて おいた ときの むきと、くらべて みます。
つぎに、はこの ふたの おりめを 見て みます。おりめは、なみの すじと 直角でしょうか、おなじ むきでしょうか。はさみや カッターは つかわず、ちからを いれすぎないように します。
使い終わった段ボール箱を1つ用意して、まずふちをのぞいてみましょう。波の筋は、箱を立てたときに縦に走っていますか、横に走っていますか。
次に、箱のふたの折り目を見てみます。折り目は、波の筋と直角に走っていますか、同じ向きですか。カッターやはさみは使わず、無理な力をかけないようにします。
もっと調べるなら、業界団体(全国段ボール工業組合連合会)のサイトに、構造や種類、歴史がまとまっています。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:業界団体(日本・米国)の解説ページ、波の向きを扱った事業者の解説、百科事典的な記述を突き合わせて使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 全国段ボール工業組合連合会「段ボールのしくみ」。 https://zendanren.or.jp/pages/45/ (段ボールの定義、3枚構成、原紙の材料について)
- Wikipedia "Corrugated fiberboard". https://en.wikipedia.org/wiki/Corrugated_fiberboard (中しんがライナの間隔をあけるサンドイッチ構造の説明と、米国での特許・改良について)
- 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの構造(トラス構造)」。 https://zendanren.or.jp/pages/46/ (三角形の連なりとしての説明について)
- Fibre Box Association "What is Corrugated". https://www.fibrebox.org/what-is-corrugated (波をアーチとみる説明と、波の間の空間がクッションになることについて)
- 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの優れた特徴」。 https://zendanren.or.jp/pages/50/ (軽さ、断熱・緩衝の働きについて)
- 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの種類」。 https://zendanren.or.jp/pages/47/ (フルートの高さと山数の規格について)
- アイロップ「段ボールシートの方向について」。 https://ailop.co.jp/information/ailopinfo111/ (波の向きによる圧縮強さと折り曲げやすさについて)
- 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの歴史」。 https://zendanren.or.jp/pages/65/ (1856年の特許とシルクハット、名前の候補と決まった理由について)
- 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの発祥」。 https://zendanren.or.jp/pages/66/ (ジョーンズの特許と、日本での井上貞治郎の製造について)
なおした ところ
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