このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ダンボールは、かみなのに どうして じょうぶで かるいの?

紙の箱が重い荷物を支えるのはなぜ? ── 段ボールの波のしくみ

段ボールはなぜ強くて軽いのか ── 波の構造と、1856年からの歴史

分野:技術

ひっこしの ひ、ダンボールばこが なんだんも つみあがります。なかみは、ほんや おさらです。それでも、した の はこは、なかなか つぶれません。

はこは、かみで できて います。かみ 1まいなら、ゆびで くしゃっと つぶせるのに、ふしぎです。はこの はしを のぞくと、なみの かたちの かみが 見えます。この なみは、なにを して いるのでしょうか。

引っこしの日、段ボール箱は何段も積み上げられます。中身は本や食器で、それなりに重いはずです。それでも、下の箱がすぐにつぶれることはあまりありません。

素材は、ただの紙です。1枚なら指でくしゃっと丸められます。箱のふちを見ると、平らな紙のあいだに、波の形の紙がはさまっています。この波が何をしているのか、強さと軽さの理由、そして波のある紙がどうして箱になったのかを順にたどります。

段ボールは、平らな紙の間に波形の紙を貼り合わせた材料で、何段も積んだ荷物の重さに耐え、しかも1箱が数百グラムほどしかない[5]。紙という薄い素材が、なぜこうなるのか。

答えは、波形の中しんの形と、その内側の空間にある。この記事では、業界団体の解説を中心に、構造の説明(サンドイッチ、トラス、アーチ)、波の向きと大きさの規格、そして1856年の英国から1909年の日本までの歴史を、複数の資料を突き合わせてたどる。実際の強度の数値比較までは、資料で確かめられていない。

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1. ダンボールの なかには、なにが あるの?

1. 箱のふちをのぞくと ── 3枚の紙と、波

1. 段ボールの構造 ── 表ライナ・中しん・裏ライナの3枚

ダンボールの はしを よく 見て みましょう。まんなかに、なみの かたちの かみが あります。その うえと した に、たいらな かみが はって あります[1]。

たいらな かみを「ライナ」、なみの かみを「なかしん」と いいます。ふつうの ダンボールは、うえの ライナ、なかしん、したの ライナの 3まいで できて います。

この かみは、ただの ノートの かみより あつく、木や、つかいおわった かみから つくった、あつい かみです[1]。

段ボール箱のふちをよく見ると、真ん中に波の形の紙があり、その上下に平らな紙が貼ってあります[1]。

平らな紙が「ライナ」、波の紙が「中しん」です。標準的な段ボールは、表ライナ、中しん、裏ライナの3枚でできています。ライナと中しんを合わせた原料の紙を、段ボール原紙といいます。

原紙は、木材パルプや古紙から作った厚い紙(板紙)です[1]。ただし紙そのものはふつうの紙の仲間で、特別に硬い材料ではありません。強さの理由は、材料より貼り合わせ方にありそうです。

全国段ボール工業組合連合会の解説では、段ボールは、波形に成形した中しんの片面または両面にライナ(平らな板紙)を貼ったものと定義される。標準は表ライナ・中しん・裏ライナの3枚構成である[1]。

ライナと中しんの原料は、木材パルプや古紙から作った厚い紙で、その総称が段ボール原紙だ[1]。材料はふつうの板紙であり、強さの説明は材料そのものではなく、貼り合わせた構造に向かう。

2. うすい かみが、どうして かたく なるの?

2. 波が上下の紙を離しておく ── 薄い紙でも曲がりにくい板になる

2. サンドイッチ構造 ── 中しんが間隔をあける役目

ライナは、1まいだけなら うすくて、ぐにゃっと まがります。でも、なかしんを はさむと、ぐっと まがりにくく なります。

なかしんは、うえと したの ライナの あいだを あけて おく、すきまの やくめを して います[2]。なかしんが 高いほど、ライナどうしが はなれて、まがりにくく なると いわれます。

2かいだての ゆかを 思いうかべて みましょう。うえの ゆかと したの ゆかを、まんなかの かべや はしらが ささえて います。ダンボールは、それに にて います。ただし ほんとうの ダンボールは、かべでは なく、かみの なみが ささえて います。

ライナ1枚だけなら、薄くてぐにゃりと曲がります。ところが中しんをはさんで3枚を貼り合わせると、とたんに曲がりにくい板になります。

資料では、中しんはライナ同士の間隔をあける「スペーサー」の役をすると説明されています[2]。中しんが高いほど、上下のライナの間が広がり、板は曲げにくくなります。薄い紙でも、間をあけるだけで曲がりにくくなるのです。

中しんは、上下のライナの間隔をあけるスペーサーとして働き、薄い紙でも曲げに強い板になる。この構造は、平らな板2枚の間に芯を挟んだ「サンドイッチ構造」と説明される[2]。中しんが高いほどライナの間が広がり、曲がりにくくなる。

3. なみは、さんかくなの? まるなの?

3. 三角形とアーチ ── 波の形が力を逃がす

3. 三角形に見える波と、実際のアーチ形

ダンボールを よこから 見ると、さんかくが つらなって いるように 見えます[3]。さんかくは、てっぺんを おされても、ちからが ひだりと みぎに わかれて、くずれにくい かたちです。

おなじ かんがえかたは、てっきょうや、東京スカイツリーにも つかわれて いると いわれます[3]。

ただし、ほんとうの なみは、さんかくでは なく、まるみの ある かたちです。まるい なみは、アーチにも なって います。アメリカの 会社の あつまりは、なみが ライナに くっつくと、あらゆる むきからの まげる ちからや おす ちからに たえると せつめい して います[4]。

段ボールを横から見ると、三角形が連なっているように見えます。これは「トラス構造」と呼ばれる形で、鉄橋や、東京スカイツリーにも使われている考え方だと説明されています[3]。

三角形は、頂点に力がかかっても、力が左右に分かれて伝わるので、形がくずれにくい形です。

ただし、実際の波は、角のない丸みのあるアーチの形をしています。三角形はやさしくした説明です。アメリカの業界団体も、波は「アーチ」でもあり、ライナに接着されると、あらゆる方向からの曲げと圧力に耐える、と説明しています[4]。波と波の間の空間は、中身を守るクッションにもなるそうです。

全団連は、段ボールの強さの源を、中しんの波形部分にある空間と、横から見たときの三角形の連なり(トラス構造)に求める。三角形は頂点に荷重が加わっても力が左右に分散し、安定する。同じ原理は鉄橋や東京スカイツリーにも使われると説明される[3]。

ただし実際の波は、丸みのあるアーチ形であり、三角形は単純化した説明だ。米国のFibre Box Associationは、波を「アーチ」とし、接着剤でライナに固定されると、あらゆる方向からの曲げと圧力に耐えると述べる。波の間の空間は、中身を守るクッションにもなる[4]。三角形は力の伝わり方を説明するための単純化で、実際の波はアーチ形と考えるほうが近い。

4. どうして かるいの?

4. 軽さの正体は、波の間の空気

4. 中空構造 ── 数百グラムの箱と空気の層

ダンボールは、なかが からっぽの ところが たくさん あります。だから、とても かるく、1つの はこは、たった 数百グラムです[5]。

なみの あいだの 空気は、ものを まもる やくめも します。ぶつかった ときは クッションに なり、あたたかさや つめたさを にがしにくく します[5]。

段ボールは、波の間が空いた中空構造なので軽く、箱1個の重さはわずか数百グラムだといいます[5]。

空気の層は、軽さだけでなく、ぶつかったときの衝撃をやわらげ、外の温度の変化を伝えにくくする働きもします[5]。

段ボールは中空構造のため軽く、箱1個が数百グラム程度とされる。空気の層は緩衝の働きだけでなく、断熱の働きも持ち、保冷に向くという。空気の層には、外の温度変化を伝えにくくする働きもある[5]。

強さを担う波形の空間が、同時に軽さと断熱も生んでいる。1つの構造が複数の役割を兼ねる点が、この材料のわかりやすい特徴だ。

5. なみには、つよい むきが あるの?

5. 波の向きで、強さが変わる

5. 波の方向 ── 圧縮に強い向きと、折れ線のずれ

ダンボールの なみには、むきが あります。なみの すじが、たてに たって いる むきだと、うえから おされる ちからに つよいと いわれます[7]。すじが よこに ねて いると、うえからの ちからに よわく なります。

おりまげる ときも、むきで ちがいます。なみに 直角に おると きれいに まがり、なみと おなじ むきに おると、なかしんの やまが はんぱつして、おりめが ずれやすく なります[7]。

段ボールの波には向きがあります。波の筋が縦に立つ向きで使うと、上から押される力(圧縮)に強く、積み重ねに向いているといわれます[7]。波が横に寝ると、縦の圧縮には弱くなります。

折り曲げるときも同じです。波に直角に折るときれいに曲がりますが、波と平行に折ると、中しんの山が反発して、折り目がずれやすくなります[7]。

ここでは「波の筋が縦に走る向き」で説明しています。

段ボールシートは、波の向きで強さが変わる。波が縦に立つ向き(シートの幅方向を縦に使う場合)は、圧縮強度が優れるという。波が横に寝た向きでは、縦の圧縮に弱くなる[7]。

折り曲げでも、波に直角なら折り線はきれいに曲がる。平行だと、中しんの山が反発し、折り線がずれる[7]。

ここでは、山の筋が走る向きで説明する。

6. なみの おおきさは、みんな おなじ?

6. 波の大きさは何種類もある ── A・B・C・Eフルート

6. フルートの規格 ── 高さと山数のちがい

ダンボールの なみの おおきさには、いくつか しゅるいが あります。おおきな なみの ダンボールは あつく、こまかい なみの ダンボールは うすく なります[6]。

いちばん おおきい「A」の なみは、たかさが 4.5〜4.8ミリメートルほど。いちばん こまかい「E」は、1ミリメートルと ちょっと です。おおきな はこには おおきな なみ、くだものや おかしの はこには こまかい なみ、と つかい わけられます。

段ボールの波(フルート)の大きさには、A・B・C・Eなどの規格があります。波が高いほど厚く、細かいほど薄い段ボールになります[6]。

Aフルートは高さが4.5〜4.8mmで、30cmの幅に34山ほど。Eフルートは高さが1.10〜1.15mmで、30cmに80山以上あります。Aの波は、Eの波のおよそ4倍の高さです。

実際の段ボールの厚さは、これにライナの厚さが加わります。

波(フルート)の標準規格は、30cmあたりの山数と高さで決まる。Aは高さ4.5〜4.8mmで34±2山、Cは3.5〜3.8mmで40±2山、Bは2.5〜2.8mmで50±2山、Eは1.10〜1.15mmで80山以上とされる[6]。高いほど厚く、細かいほど薄い。

Aの高さはEの約4倍(4.5÷1.10≒4.1)である。実際の板厚には、ライナの厚さが加算される点にも注意したい。

7. ダンボールは、だれが つくったの?

7. 帽子の内側から、荷物の箱へ ── 名前が決まるまで

7. 1856年から1909年へ ── 特許・改良・命名

なみの かたちの かみは、1856ねんに イギリスで とっきょに なりました。さいしょの つかいみちは、シルクハットの うちがわです。かぜが とおって、やわらかい ざいりょうでした[8]。

のちに、にもつを はこぶ ために つかう かんがえが、アメリカで うまれます。1871ねんに、ジョーンズという 人が とっきょを とりました[9]。そのあと、ライナを つけて 強くする かいりょうが なされたと いわれます[2]。

日本では、1909ねんに いのうえ ていじろうという 人が、わたくりきと いう きかいを ヒントに、じぶんで きかいを つくったと つたえられます[9]。名前の こうほは、なまこがみ、なみがたがみ など、いくつも ありました。さいごは「だんの ついた ボールがみ」で わかりやすくて いいやすいと、「ダンボール」に なりました[8]。

波の形の紙は、1856年に英国で特許になりました。最初の用途は、シルクハットの内側です。通気性とクッション性を兼ねる素材として使われたといいます[8]。

荷物を運ぶ材料としては、1871年12月20日に、アルバート・ジョーンズが米国で特許を取りました。このときは、波の紙の片側にだけライナがある形でした。数年後にオリバー・ロングが、ライナを付ける改良をしたとされます。ただし、資料によってロングの改良の内容の説明が食い違っています[2][9]。

日本では、1909(明治42)年に井上貞治郎が、綿繰り機をヒントに自分で機械を考えつくり、ボール紙に段をつけたものを作ることに成功し、「段ボール」と名づけて事業を始めた、と伝えられています[9]。名前の候補には、弾力紙、波型紙、なまこ紙などがあったそうです。「段の付いたボール紙」が単純で分かりやすく、語呂もよいとして決まりました[8]。

波形の紙は1856年に英国で特許になり、シルクハットの内側の、通気性と緩衝性を兼ねる素材として使われた[8]。

輸送用としては、1871年12月20日にアルバート・ジョーンズが米国で特許を取得した(片側だけにライナ)。1874年にはオリバー・ロングが改良したと伝わるが、両面にライナを貼ったとするWikipediaと、片面段ボールとする全団連系の記述とで説明が分かれており、ここではライナ付きの改良にとどめる[2][9]。

日本では、1909(明治42)年に井上貞治郎(いのうえ ていじろう)が、綿繰り機(わたくりき)をヒントに機械を自作し、ボール紙に段をつけたものの製造に成功、「段ボール」と命名して事業を始めた[9]。候補には弾力紙・波型紙・波状紙・しぼりボール・なまこ紙・浪形紙・防衝紙・波型ボールがあり、「段の付いたボール紙」が単純で語呂もよいとして選ばれた[8]。

8. ダンボールの はしを 見て、おって みよう

8. 自分でも調べてみたくなったら

8. 自分でも調べてみたくなったら

つかいおわった ダンボールばこの ふちを、よく 見て みましょう。なみの すじが、ならんで います。なみの すじは、たての むきでしょうか、よこの むきでしょうか。はこを 立てて おいた ときの むきと、くらべて みます。

つぎに、はこの ふたの おりめを 見て みます。おりめは、なみの すじと 直角でしょうか、おなじ むきでしょうか。はさみや カッターは つかわず、ちからを いれすぎないように します。

使い終わった段ボール箱を1つ用意して、まずふちをのぞいてみましょう。波の筋は、箱を立てたときに縦に走っていますか、横に走っていますか。

次に、箱のふたの折り目を見てみます。折り目は、波の筋と直角に走っていますか、同じ向きですか。カッターやはさみは使わず、無理な力をかけないようにします。

もっと調べるなら、業界団体(全国段ボール工業組合連合会)のサイトに、構造や種類、歴史がまとまっています。

できることが2つある。1つは、使い終わった段ボール箱のふちで波の向きを確かめ、ふたの折り目が波に直角か平行かを見ること。刃物は使わず、力を入れすぎない。

もう1つは、原典にあたること。

  1. 全国段ボール工業組合連合会の解説ページ[3][6]。トラス構造の説明と、フルートの規格表を、この記事の言い換えと見比べる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:業界団体(日本・米国)の解説ページ、波の向きを扱った事業者の解説、百科事典的な記述を突き合わせて使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 全国段ボール工業組合連合会「段ボールのしくみ」。 https://zendanren.or.jp/pages/45/ (段ボールの定義、3枚構成、原紙の材料について)
  2. Wikipedia "Corrugated fiberboard". https://en.wikipedia.org/wiki/Corrugated_fiberboard (中しんがライナの間隔をあけるサンドイッチ構造の説明と、米国での特許・改良について)
  3. 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの構造(トラス構造)」。 https://zendanren.or.jp/pages/46/ (三角形の連なりとしての説明について)
  4. Fibre Box Association "What is Corrugated". https://www.fibrebox.org/what-is-corrugated (波をアーチとみる説明と、波の間の空間がクッションになることについて)
  5. 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの優れた特徴」。 https://zendanren.or.jp/pages/50/ (軽さ、断熱・緩衝の働きについて)
  6. 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの種類」。 https://zendanren.or.jp/pages/47/ (フルートの高さと山数の規格について)
  7. アイロップ「段ボールシートの方向について」。 https://ailop.co.jp/information/ailopinfo111/ (波の向きによる圧縮強さと折り曲げやすさについて)
  8. 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの歴史」。 https://zendanren.or.jp/pages/65/ (1856年の特許とシルクハット、名前の候補と決まった理由について)
  9. 全国段ボール工業組合連合会「段ボールの発祥」。 https://zendanren.or.jp/pages/66/ (ジョーンズの特許と、日本での井上貞治郎の製造について)

なおした ところ

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