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チョコは、どうして 口の中で とろけるの?

チョコレートはなぜ口の中でとろけるのか ── 体温より数度低い油の話

チョコレートの口どけとカカオバターの融点 ── 体温との差、結晶多形、アイス用チョコ

分野:技術

チョコを 手に にぎっても、すぐには どろどろに なりません。でも、口に 入れると、あっと いう間に とろけます。

手の あたたかさと 口の あたたかさは、そんなに ちがわないはずです。どうして、口だけで とろけるのでしょう。ヒントは、たった 3ど ほどの ちがいです。

板チョコをしばらく手に持っていても、形はなんとか保たれます。ところが口に入れると、数秒でなめらかに溶けていきます。手と口の温度に、それほど大きな差があるとは思えません。

鍵になるのは、チョコレートに含まれるカカオバターの融点が、体温よりわずか3℃ほど低いことです。溶ける温度の幅の狭さ、結晶の型、アイス用の工夫、溶けるときの熱の出入りを順に見ていきます。

チョコレートは室温では固体を保ち、口に入れると短時間で溶ける。この性質は、主成分の油脂であるカカオバター(ココアバター)の融点が、人の平均体温(約36.8℃)より約3℃低い約33.8℃であることと結びつけて説明される[2]。

ただし、溶ける温度は1つの数字に決まらない。純粋な油脂か製品全体か、結晶の型は何かで、30〜34℃ほどの幅で語られる。この記事では、国内の食品メーカー・油脂メーカーの解説と英語の総説を突き合わせ、口どけの仕組みと、アイス用チョコに見られる融点の調整、溶けるときの吸熱を整理する。

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1. 手と 口は、なにが ちがうの?

1. 手の中では保たれ、口の中で溶ける

1. 手と口の差 ── 数度の温度差が分ける固体と液体

チョコを 手に のせて みます。しばらく すると、ゆびに ちょっと つきますが、まだ かたちは のこって います。

ところが 口に 入れると、まるで きえるように なくなります。どうして この ちがいが おきるのでしょう。

この 記事では、チョコの 中に ある 「あぶら」に 目を つけます。

チョコレートをつまんで持っていると、指先の当たった部分から少しずつ柔らかくなります。それでも、しばらくは形を保ちます。

一方で口に入れると、舌の上で急に、なめらかな液体になります。同じ「体温に触れる」でも、この差はどこから来るのでしょうか。

手がかりは、チョコレートの成分の多くを占める油脂です。次の章から、その溶け方を見ていきます。

チョコレートは手で持つと表面が柔らかくなる程度で保たれ、口では短時間に溶ける。手の表面の温度は体温より低いことが多く、口の中は体温に近く、しかも舌や口蓋で全体に触れる、という状況の違いが背景にあると考えられる。ただし、この点の温度測定は今回の資料には無く、一般的な推測にとどまる。

以降は、口どけの主役とされる油脂、カカオバターの溶け方を見る。

2. 3どだけ、ひくい あぶら

2. カカオバターは体温より約3℃低い温度で溶ける

2. カカオバターの融点 ── 33.8℃と36.8℃

チョコの 中の あぶらは、カカオバターと いいます。カカオの 豆から とれる あぶらです。

この あぶらは、33どくらいで とけます[2]。人の 体の あたたかさは、およそ 36.8どです。たった 3どだけ、体の ほうが たかいのです。

だから 口に 入れると、なにも しなくても、かたい ものから とろとろへ かわって いきます。

チョコレートの口どけを担う油脂が、カカオ豆から得られるカカオバター(ココアバターとも呼ばれます)です。

ある解説では、カカオバターの融点は約33.8℃で、人の平均体温の約36.8℃より約3℃低いとされています[2]。そのため口に入れると、噛んだり温めたりしなくても、固体から液体へと変わっていきます。

ただし、この数字はカカオバターの一つの結晶の型での値です。チョコレート全体では、油脂メーカーが「30〜32℃付近」と説明している例もあり[3]、値には幅があります。

カカオバターの融点は約33.8℃、人の平均体温は約36.8℃で、差は約3℃である。この差により、口に入れると外から何もしなくても固体から液体へ変わる、と解説されている[2]。

33.8℃は特定の結晶型(後述のⅤ型)での値である。油脂メーカーの資料はチョコレートの融点を「人の体温に近い30〜32℃付近」としており[3]、英語の総説はⅤ型の溶解挙動を約30.0〜34.5℃の範囲で記している[4]。純粋な油脂か製品全体かなどで表現が異なるため、本文では1つの値に断定せず、30〜34℃ほどの幅として扱う。

3. すっと とける ひみつは?

3. 狭い温度の範囲で、いっきに溶ける

3. 融解の温度幅 ── 25℃から32〜33℃

カカオバターは、へやの 中では かたい ままです。25どくらいから とけはじめ、32〜33どで ほとんど とけて しまいます[1]。

ふつうの あぶらは、じわじわ やわらかく なるものも あります。カカオバターは、せまい 温度の あいだで、いっきに とけるのです。

だから、口に 入れた とき、ざらざらせずに なめらかに なると いわれます。

カカオバターは、室温では固まっていて、25℃くらいから溶け始め、32〜33℃近辺でほぼ完全に溶けるとされています[1]。

手のひらほどの温度でも柔らかくなり、口の中の温度に届くと、短い温度の範囲で一気に液体になります。この「せまい範囲で一気に溶ける」ことが、なめらかな口どけにつながると説明されています。

明治の解説によると、ココアバターは常温では固体で、25℃前後から急速に溶け始め、32〜33℃近辺でほぼ完全に溶ける[1]。融解の温度幅が狭いことが、口に入れたときに速やかに液体化し、良い口どけになる要因として挙げられている。

この解説は食品メーカーのコラムで、DSC(示差走査熱量測定)などの測定データそのものは示されていない。幅の狭さと口どけの関係は、解説に基づく説明として受け取るのがよい。

4. とけかたを きめる つぶの ならびかた

4. 結晶の型で口どけもツヤも変わる

4. 結晶多形とテンパリング ── Ⅴ型を作る操作

カカオバターは、かたまるとき、6しゅるいの ならびかたの どれかに なります[1]。ならびかたが ちがうと、とける 温度も ちがいます。

チョコを つくる 人は、ツヤが あって 口で とろける ならびかたに そろえる ために、温度を 上げたり 下げたりします。これを テンパリングと いいます[4]。

この ならびかたを つくれないと、チョコは しろっぽく なったり、かたく なったり することが あります。

カカオバターの結晶にはⅠ型からⅥ型まで6種類あり、明治の解説ではⅤ型で固まるとツヤがあり口どけの良いチョコレートになるとされています[1]。

英語の総説によると、Ⅴ型は整った構造で、体温付近(約30.0〜34.5℃)で溶ける型です。チョコレートを溶かして冷やし、また少し温めるテンパリングは、このⅤ型を作るための操作と説明されています[4]。

長く置くと、Ⅴ型からさらに安定なⅥ型に変わることがあり、Ⅵ型は融点が高く、口で溶けにくいとされます[5]。表面が白っぽくなる「ブルーム」との関わりも語られますが、総説はそれだけで決まるわけではないと注意しています[4]。

カカオバターの結晶はⅠ〜Ⅵ型の6種類(多形)があり、Ⅴ型で固まるとツヤがあり口どけの良いチョコレートになる、と国内メーカーは説明する[1]。ただし「最も安定」という記述はメーカーの表現で、熱力学的に最も安定なのはⅥ型とされる[4]。

英語の総説は、Ⅴ型(β2)を三斜晶系の整った構造で、体温付近(約30.0〜34.5℃)に最適な溶解挙動を持つ型と述べ、チョコレートの調温(テンパリング)は主にこのⅤ型を得る操作だとする[4]。Ⅵ型は硬く、融点がさらに高いため口の中で溶けるのが遅い、とする解説もある[5]。ファットブルーム(白い曇り)との関係も指摘されるが、総説は微細構造など他の要因にも左右されるとし、Ⅴ型の有無だけでは決まらないと述べる[4]。

各型の融点の数値は文献で少しずつ異なるため、本文では個別の値を挙げない。

5. アイスに のせる チョコは、ちがう?

5. アイス用のチョコは、溶ける温度を下げてある

5. アイスクリーム用チョコレート ── 融点の調整

つめたい アイスに、ふつうの チョコを かけると、どうなるでしょう。口の 中が つめたく なって、チョコが とけにくく なって しまいます[3]。

そこで アイスに つかう チョコは、あぶらの 温度を 下げて、つめたい 口でも とけるように くふう されています[3]。

アイスクリームを食べると、口の中の温度が下がります。そこに普通のチョコレートがあると、体温よりもかなり低い環境では、溶けにくくなります。

油脂メーカーの説明では、アイス用のチョコレートは、カカオバターの融点を下げて、冷たくなった口の中の温度でも溶けるように作る必要があるとされています[3]。口が冷えると、チョコが溶ける温度も低くする必要があります。

油脂メーカーの解説によると、通常のチョコレートをアイスクリームと一緒に食べると口内が冷えて溶けにくくなるため、アイス用チョコレートではココアバターの融点を下げ、冷たくなった口中の温度でも溶けるようにする[3]。

これは、口どけが「融点と口内温度の関係」で決まるという説明の裏返しの例になっている。具体的な配合や融点の数値は、この資料の範囲では示されていない。

6. とける とき、ねつは どうなるの?

6. 溶けるとき、熱を吸収する

6. 融解の吸熱 ── 溶けるときに熱を奪う

こおりが とけるとき、まわりから ねつを うばいます。チョコも、とける ときに ねつを すいとる と せつめい されて います[6]。

だから 口の 中では、ほんの すこし、まわりの ねつが つかわれて いる はずです。

固体が液体になるには、粒が自由に動けるようになるための熱が必要です。チョコレートが溶けるときも熱を吸収する(吸熱)と解説されています[6]。DSCという装置で測ると、吸熱を示すピークが現れるとも紹介されています。

口の中でチョコが溶けるとき、その分の熱が口の中から使われている理屈になります。

固体から液体への相変化では、粒子が自由に動き回るための熱が必要で、吸熱する。チョコレートも溶けるときに吸熱すると解説されている。DSC(示差走査熱量測定)で融解に対応する吸熱ピークを確認できる[6]。

この原理からは、口の中で溶けるチョコレートが口内の熱を使うと予想される。ただし、口で感じる冷たさの強さは、ここでは断定しない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おうちの 人と いっしょに、小さい チョコを 2つ 用意します。1つは 手の ひらに のせ、もう 1つは おさらに おきます。1ぷん たったら、どちらが やわらかく なったか、見くらべて みましょう。チョコは 食べずに、手の ひらと おさらに おいた まま 見くらべます。

出かけてできること

スーパーで、板チョコと アイスの チョコの ふくろを 見くらべて みましょう。

こうしきの 情報じょうほう

おかしを つくる 会社の ホームページに、チョコの ひみつを かいた ページが あります。

今日できること

大人と一緒に、小さなチョコを2つ用意します。1つは手のひらに包み、もう1つは皿に置いて、1分後に柔らかさを見比べてみてください。どちらがより柔らかくなったかを、目で見比べます。

出かけてできること

売り場で、板チョコとアイスにかかったチョコの原材料表示を見比べてみてください。どんな油脂が書かれているかに気づくかもしれません。

公式情報

チョコレートを作る食品メーカーや油脂メーカーのウェブサイトに、チョコレートの物性や作り方を解説した読み物があります。

今日できること

小さなチョコを2つ用意し、1つを手のひらに包み、もう1つを皿に置いて、1分後の柔らかさを見比べる。口に入れずにできる、手の温度による変化の観察である。

出かけてできること

板チョコとアイス用のコーティングチョコの原材料表示を比べ、使われている油脂の種類を確認する。

公式情報

出典に挙げた食品メーカー・油脂メーカーの解説に加え、英語の総説[4]の原文で結晶多形の測定データを確認できる。日本結晶学会誌などの結晶学の解説も探してみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、融点・口どけは食品・油脂メーカーの解説、結晶型は英語の総説、吸熱は解説記事を突き合わせた。各型の融点の値、テンパリングの温度の目安、食べるチョコレートの起源の年は原文で確かめられていないため使っていない。

  1. 明治 Hello, Chocolate コラム http://www.meiji.co.jp/hello-chocolate/column/94/ (融解の温度幅、結晶型)
  2. JBpress チョコレートの「くちどけ」 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/89261 (融点と体温の差)
  3. 不二製油 アイスクリーム用チョコレート https://www.fujioil.co.jp/research/secret/icecream/index.html (チョコの融点、アイス用の工夫)
  4. Chocolate Tempering: A Perspective (PMC) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12063059/ (Ⅴ型、テンパリング、ブルーム)
  5. Compound Interest, The polymorphs of chocolate https://www.compoundchem.com/2014/04/19/the-polymorphs-of-chocolate/ (Ⅵ型の性質)
  6. エンジニアのメソッド https://engryouri.net/science/16034 (溶けるときの吸熱)

なおした ところ

更新履歴

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