このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

わたあめは、どうして さとうだけで ふわふわに なるの?

わたあめはなぜ砂糖だけでふわふわになるのか ── 回る機械と、糸になった砂糖

綿菓子の生成機構 ── 遠心力による極細繊維化と非晶質(ガラス状)砂糖、湿気に弱い理由、1897年の発明

分野:技術

わたあめの ざいりょうは、ざらざらした さとうの つぶです。それなのに、きかいに いれると、ふわふわの くもに なって でて きます。

なかで、なにが おきて いるのでしょう。まわる きかいの ひみつと、さとうの ふしぎな すがたを、いっしょに 見て いきましょう。

わたあめの主な材料は、ざらざらした砂糖の粒です。機械に入れると、ふわふわの雲のようなかたまりになって出てきます。糸の太さは約0.05ミリだといいます。

砂糖の粒は、どうやってそんなに細い糸になるのでしょうか。しかもその糸は、なぜ空気中で一瞬のうちに固まるのでしょう。機械のしくみと、砂糖が「ガラス」のようになる話、そしてしぼんでしまう理由まで、複数の資料を見比べて整理します。

綿菓子は、ほぼ100%が砂糖(ショ糖)でできている菓子である[4]。にもかかわらず、機械から出てくる糸の太さは約50マイクロメートル(0.05mm)とされ[3]、砂糖の粒とは似ても似つかない綿状になる。

粒がなぜ糸になり、なぜその場で固まるのか。この記事では、機械の構造、非晶質(ガラス状態)という砂糖の姿、湿気に弱い理由、ザラメが使われる事情、発明の経緯を、日英の解説と食品科学の論文の要旨を突き合わせて整理する。加熱温度など、原文で数値を確認できなかった項目は書かない。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. さとうの つぶが、くもに なる?

1. 砂糖の粒が、雲になる

1. 原料と製品の落差

わたあめの おもな ざいりょうは、さとうです。しろい わたあめは、ほとんど さとうだけで できて います。

さとうの つぶは、ひとつぶ ひとつぶが かたくて、さらさらして います。それが、ふくろ いっぱいの くもに なります。

ふくらませる くふうは、きかいの なかに あります。まず、その きかいの ようすから 見て みましょう。

わたあめの主な材料は、砂糖です。白いわたあめは、ほぼ砂糖だけでできています。日本語の辞典的な説明でも、溶かした砂糖を極細の糸にして集め、綿のようにした菓子とされています[1]。

硬くて重い粒が、軽くてふわふわのかたまりに変わります。変わる場所は、あの機械の中です。次の章で、中をのぞいてみます。

綿菓子は、溶融した砂糖を回転する装置から極細の糸状に噴出させ、集めて綿状にした菓子と説明される[1]。組成はほぼ100%が砂糖(ショ糖)で、非晶質のガラス状態で存在するという[4]。

膨張剤や水分を加えず、固体の粒から低密度の綿状になる。変換の場は機械内部の回転ヘッドで、その構造を次章で見る。

2. きかいの なかで、なにが おきる?

2. 機械の中 ── 熱で溶かして、回して飛ばす

2. 装置の構造 ── ヒーターと遠心力

わたあめの きかいの まんなかには、まるい あたまの ような ぶぶんが あります。この あたまが、ものすごい はやさで まわります。

あたまの ふちの ちかくには、あたためる そうちが あります。さとうは ここで あつく なって、とけて どろどろに なります[2]。

とけた さとうは、まわる ちからで そとへ とび出そうと します。あたまの ちいさな あなを とおって、そとへ おし出されます。

ぐるぐる まわす ブランコで、からだが そとに ひっぱられる かんじが しますね。あれと おなじ ちからです。これを えんしんりょくと いいます。

綿菓子機の中心には、回転する丸いヘッドがあります。ヘッドの縁の近くにはヒーターがあり、砂糖はそこで熱せられて溶けます。溶けた砂糖は、遠心力によって、ヘッドにあいた小さな穴から外へ押し出されます[2]。

遠心力とは、回転している物が外へ飛び出そうとする力です。ぐるぐる回るブランコに乗ると、体が外側へ引っぱられる感じがしますが、あれと同じ種類の力です。洗濯機の脱水で、水が外へ飛んでいくのも同じです。

回転の速さは、毎分約3,400〜3,450回転と紹介されています[3]。機種によって差があり、資料により数字が少し違うので、幅で書きます。1秒あたりにすると約57回転です。

構造は、回転ヘッド、その縁付近のヒーター、ヘッド壁面の小孔からなる。ヒーターが砂糖を溶かし、遠心力が溶融砂糖を小孔から押し出す[2]。

ヘッドの回転数は毎分約3,400回転と紹介される[3]。英語版Wikipediaは3,450回転としており、機種差があると考えられるため、約3,400〜3,450回転と幅を持たせる。毎秒に換算すると約57回転(3,400÷60≒56.7)である。

加熱温度とショ糖の融点については、原文で数値を確認できなかったため、ここでは書かない。

3. できた いとは、どれくらい ほそい?

3. 0.05ミリの細い糸が、ふわっと空に飛ぶ

3. 糸の太さと、飛びながらの固化

あなから とび出した さとうは、ほそい ほそい いとに なります。ふとさは 0.05ミリ ほどです[3]。

いとは、きかいの まわりの くうきの なかを、ふわっと とびます。とんで いる あいだに、すぐ ひえて かたまります。

この いとを、わりばしで くるくる まき とると、わたあめの できあがりです[1]。

ほそい いとほど、まわりの くうきに ふれる ところが おおくて、はやく ひえると かんがえられます。

できる糸の太さは、約50マイクロメートル、つまり0.05ミリだといいます[3]。1ミリの20分の1という細さです。

穴から飛び出した糸は、周りの空気に触れて、飛んでいる間に冷えて固まります。それを割り箸で受けて巻き取ると、綿のようなかたまりになります[1]。

ここで大切なのは、糸が細いことです。細いほど、外の空気にふれる面が大きく、あっという間に冷えるはずです。

もうひとつ不思議なことがあります。冷えて固まった砂糖は、ふつうの砂糖の粒とは、性質がちがうのです。次の章でそれを見ます。

糸径は約50マイクロメートル(0.05mm)とされる[3]。溶融砂糖は小孔から飛び出すと空気中で冷え、飛行中に固化する。固化した糸を割り箸などで受けて巻き取り、綿状にする[1]。

糸が細いほど、体積に対する表面積が大きく、放熱は速い。この因果は物理的な一般則からの推定であり、資料が直接述べたものではない。

4. かたまった さとうは、「ガラス」に なる?

4. 結晶にならない砂糖 ── 砂糖のガラス

4. 非晶質(ガラス状態)のショ糖

ふつうの さとうの つぶは、こまかい つぶが きちんと ならんで できて います。この ならび方を、結晶けっしょうと いいます。

ところが、わたあめの いとは ちがいます。あまりに はやく ひえるので、さとうは きれいに ならぶ ひまが ありません[3]。

ばらばらの すがたの まま、かたまって しまいます。これを、ガラスの ような すがた、と よぶ ことが あります[4]。

ただし、本当の ガラスと おなじ ものでは ありません。「ガラスに にた かたまり方」と いう ことです。

ふつうの砂糖の粒は、砂糖の分子が規則正しく並んだ「結晶」です。ところが、わたあめの糸は、そうなっていません。

シロップがとても速く冷えるので、砂糖の分子が並び直す時間がなく、並び方がばらばらのまま固まると説明されます[3]。並び方が不規則な固体を、非晶質(アモルファス)といいます。窓ガラスと同じく、分子の並びに長い範囲の規則性がない状態で、わたあめの糸はいわば「砂糖のガラス」です。

食品科学の論文の要旨でも、わたあめはほぼ100%が砂糖で、非晶質のガラス状態で存在するとされています[4]。

NGの解説は、シロップが急速に冷えるため、砂糖は再結晶する機会を持てず、無秩序な非晶質固体になると説明する[3]。食品科学の論文(PMC掲載)も、綿菓子は非晶質のガラス状態にあり、ショ糖がほぼ100%を占めると述べる[4]。

結晶は分子が規則的に並ぶ固体で、非晶質は並びに長距離の秩序がない固体である。ガラス状態とは、液体の並び方のまま動きが止まった固体の状態を指す。厳密にはガラスと同一ではなく、ガラス状態に分類されるという意味である。

5. どうして わたあめは しぼむの?

5. しぼむ理由 ── 湿気と、ガラスの弱点

5. 湿気に弱い理由 ── ガラス状態の不安定さ

おまつりで かった わたあめを、ふくろから 出して おいて おくと、しぼんで しまう ことが あります。

ガラスの すがたは、じつは あまり おちついて いません。むりやり かたまった ぶん、もとの きれいな ならびに もどりたがって います。

あつくて しっけの おおい 日には、わたあめは つぶれて、かたい かたまりに なる ことが あると いわれます[4]。かたまりの なかには、もとの さとうの けっしょうが まざって います。

だから、つくりたてを たべるか、ふくろに つめて うられて います[1]。

ガラス状態の砂糖は、じつは安定した状態ではありません。無理に急いで固まった状態なので、条件がそろうと、結晶に戻ろうとします。

論文の要旨には、暑くて湿った日には、わたあめがつぶれて結晶化し、ガラス構造の中に砂糖の結晶が混じった硬いかたまりになりうる、とあります。温度がガラス転移温度より上に置かれると、結晶化するとされています[4]。湿度の条件によってガラス転移温度が変わり、論文では高い湿度の条件で崩壊や結晶化が起きたと報告されています。

日本語の辞典的な説明も、綿菓子は熱や湿気に弱く、むき出しで時間がたつと溶けたり固まったりして、姿や食感が変わると述べます[1]。そのため、作りたてを食べるか、袋詰めで売られます。

非晶質の砂糖は熱力学的に不安定で、ガラス転移温度を超えると結晶化する。PMC掲載の論文は、暑く湿った日に綿菓子がつぶれて結晶化し、ガラス構造中にショ糖結晶が入り込んだ硬い塊になりうると述べる[4]。湿度条件によってガラス転移温度が変わり、論文では高湿度条件で崩壊・結晶化が起きたと観察されている。

日本語の辞典系の記述も、熱と湿気に弱く、むき出しで放置すると溶融や固化で外観・食感が変わるため、作りたてか袋詰めでの販売になる、と述べる[1]。ガラス転移温度の具体的な数値は、原文で確認できなかった。

6. どうして ザラメを つかうの?

6. ザラメが使われる理由

6. 原料糖の選択 ── ザラメ

わたあめには、よく ザラメと いう、つぶの あらい さとうが つかわれます。

ザラメは、きかいの ちいさな あなに つまりにくい、とかしても こげにくい、とけるのが はやい、と いう りゆうが あげられます[1]。

グラニュー とうや、あめだまを つかう きかいも あるそうです。

わたあめには、粒の粗いザラメ糖がよく使われます。日本語の辞典的な説明では、その理由として、穴の目詰まりを起こしにくいこと、融点が低いこと、加熱しても炭化しにくいことが挙げられています[1]。

これは1つの資料の説明で、融点などの数値は確かめられませんでした。ただ、グラニュー糖や飴玉を材料にできる機械もあるといわれ、ザラメでなければ作れないわけではないようです。

ザラメが使われる理由として、日本語の辞典系資料は、孔の目詰まりを起こしにくいこと、融点が低いこと、加熱しても炭化しにくいことを挙げる[1]。この説明は1資料に依拠し、融点等の数値は確認できなかったので、断定を避けて扱う。

グラニュー糖や飴玉を材料にできる機種もある。ザラメは唯一の選択肢ではなく、機械の小孔を詰まらせにくいことが評価された選択、と読める。

7. だれが、この きかいを はつめい したの?

7. 歯科医と菓子職人 ── 電気キャンディ機の発明

7. 発明の経緯 ── 1897年の特許から1904年の万博へ

いま のような きかいで いとを つくる わたあめは、1897ねんに つくられたと いわれます[3]。はいしゃさんの モリソンさんと、おかしづくりの ウォートンさんが、いっしょに つくったそうです。

1897ねんに、ふたりは これを 「でんきの キャンディ きかい」と よんで、とっきょを とったと いわれます。

1904ねんの アメリカの はくらんかいで、「フェアリー・フロス」の なまえで うり出すと、68,655はこも うれたと つたえられます[2]。

にほんには、めいじの おわりごろから たいしょうにかけて、アメリカから はいって きて、ひろまったと いわれて います[1]。

機械で紡ぐ綿菓子は、1897年に歯科医のウィリアム・モリソンと、菓子職人のジョン・C・ウォートンが発明したとされています。二人は「電気キャンディ機」として特許を取りました[3]。

1904年のセントルイス万国博覧会では、「フェアリー・フロス」の名で売り出され、68,655箱(1箱25セント)が売れて大成功したと伝えられます[2]。来場者は約2千万人といいます。1921年には、ニューオーリンズの歯科医ジョセフ・ラスコーが似た機械を発明し、特許で「cotton candy」と名づけたともいわれます[2]。

日本には、明治後半から大正にかけてアメリカから持ち込まれ、全国に広まったとされますが、正確な年は今回の資料では確認できませんでした[1]。

機械紡ぎの綿菓子は、1897年に歯科医ウィリアム・モリソンと菓子職人ジョン・C・ウォートンが考案し、「電気キャンディ機」として特許を取ったとされる[3]。1904年のセントルイス万博で「フェアリー・フロス」として68,655箱(1箱25セント)を売り上げた[2]。NGは「helpings」、英語版Wikipediaは「boxes」と書くが、数は一致する。

1921年には、ニューオーリンズの歯科医ジョセフ・ラスコーが同種の機械を発明し、特許の中でこの菓子を「cotton candy」と呼んだ[2]。

日本への伝来は、明治後半から大正にかけてアメリカから持ち込まれ、全国に広まったとされる[1]。ただし年や最初の国産機は、一次資料で確認できていない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おうちの ひとと いっしょに、ふくろ入りの わたあめを ひとつまみ、おさらに とります。となりに、もう ひとつまみ おいて、こっちには スプーンで みずを 1てきだけ たらします。しばらく 見て、みた めの ちがいを くらべて みましょう。たべないで、おわったら 手を あらいます。

出かけてできること

おまつりで わたあめを 作る ところを 見たら、まわる ぶぶんには ぜったいに さわらず、はなれて、いとが とぶ ようすを 見て みましょう。

こうしきの 情報じょうほう

としょかんで、「さとうの けっしょう」に ついての ほんを さがして みましょう。

今日できること

袋入りのわたあめを、大人と一緒にひとつまみ、皿に2か所取ります。一方にだけ、スプーンで水を1滴たらして、しばらく置いてから、二つを見比べます。しぼみ方や色がどう違うか、見た目を記録してみてください。食べずに、終わったら手を洗いましょう。

出かけてできること

お祭りなどで綿菓子機を見かけたら、回転する部分には近づきすぎず、少し離れた場所から、糸が飛ぶ様子と、集めるときの割り箸の動かし方を観察してみてください。

公式情報

食品科学の入門書や、図書館の科学読み物にも、砂糖の結晶とガラス状態の話があります。出典に挙げた論文の要旨も、読んでみる価値があります。

今日できること

袋入りの綿菓子を少量ずつ皿に2か所とり、片方にだけ水を1滴たらして、時間経過による形と見た目の変化を比べる。結晶化の議論との関係は、観察だけでは確かめられないので、変化の様子を記録するにとどめる。

出かけてできること

祭りなどで機械を見る機会があれば、回転部から離れて、糸が飛ぶ様子と巻き取り方を観察する。

公式情報

出典に挙げたPMCの論文(ラフィノースによるショ糖結晶化の抑制)の要旨と、NGの解説を読み、加熱温度やガラス転移温度の数値の根拠を探してみるのもよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

機械の構造と歴史は日英の解説を、砂糖の状態と湿気の話は食品科学の論文の要旨を、突き合わせた。加熱温度・ガラス転移温度の数値、日本への伝来の年は、原文で確認できていない。

  1. 綿菓子(Wikipedia日本語版) https://ja.wikipedia.org/wiki/綿菓子 (しくみの概略・ザラメの理由・湿気に弱いこと・日本への伝来)
  2. Cotton candy(Wikipedia英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Cotton_candy (機械の構造・1904年万博・1921年の特許)
  3. The sticky sweet history of cotton candy(National Geographic) https://www.nationalgeographic.com/culture/article/the-sticky-sweet-history-of-cotton-candy (回転数・糸の太さ・急冷で結晶にならないこと・1897年の発明)
  4. ラフィノースによるショ糖結晶化の抑制(PMC1363750) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1363750 (ガラス状態・暑く湿った日の結晶化)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。