1. さとうの つぶが、くもに なる?
1. 砂糖の粒が、雲になる
1. 原料と製品の落差
わたあめの おもな ざいりょうは、さとうです。しろい わたあめは、ほとんど さとうだけで できて います。
さとうの つぶは、ひとつぶ ひとつぶが かたくて、さらさらして います。それが、ふくろ いっぱいの くもに なります。
ふくらませる くふうは、きかいの なかに あります。まず、その きかいの ようすから 見て みましょう。
わたあめの主な材料は、砂糖です。白いわたあめは、ほぼ砂糖だけでできています。日本語の辞典的な説明でも、溶かした砂糖を極細の糸にして集め、綿のようにした菓子とされています[1]。
硬くて重い粒が、軽くてふわふわのかたまりに変わります。変わる場所は、あの機械の中です。次の章で、中をのぞいてみます。
2. きかいの なかで、なにが おきる?
2. 機械の中 ── 熱で溶かして、回して飛ばす
2. 装置の構造 ── ヒーターと遠心力
わたあめの きかいの まんなかには、まるい あたまの ような ぶぶんが あります。この あたまが、ものすごい はやさで まわります。
あたまの ふちの ちかくには、あたためる そうちが あります。さとうは ここで あつく なって、とけて どろどろに なります[2]。
とけた さとうは、まわる ちからで そとへ とび出そうと します。あたまの ちいさな あなを とおって、そとへ おし出されます。
ぐるぐる まわす ブランコで、からだが そとに ひっぱられる かんじが しますね。あれと おなじ ちからです。これを えんしんりょくと いいます。
3. できた いとは、どれくらい ほそい?
3. 0.05ミリの細い糸が、ふわっと空に飛ぶ
3. 糸の太さと、飛びながらの固化
あなから とび出した さとうは、ほそい ほそい いとに なります。ふとさは 0.05ミリ ほどです[3]。
いとは、きかいの まわりの くうきの なかを、ふわっと とびます。とんで いる あいだに、すぐ ひえて かたまります。
この いとを、わりばしで くるくる まき とると、わたあめの できあがりです[1]。
ほそい いとほど、まわりの くうきに ふれる ところが おおくて、はやく ひえると かんがえられます。
4. かたまった さとうは、「ガラス」に なる?
4. 結晶にならない砂糖 ── 砂糖のガラス
4. 非晶質(ガラス状態)のショ糖
ふつうの さとうの つぶは、こまかい つぶが きちんと ならんで できて います。この ならび方を、結晶と いいます。
ところが、わたあめの いとは ちがいます。あまりに はやく ひえるので、さとうは きれいに ならぶ ひまが ありません[3]。
ばらばらの すがたの まま、かたまって しまいます。これを、ガラスの ような すがた、と よぶ ことが あります[4]。
ただし、本当の ガラスと おなじ ものでは ありません。「ガラスに にた かたまり方」と いう ことです。
5. どうして わたあめは しぼむの?
5. しぼむ理由 ── 湿気と、ガラスの弱点
5. 湿気に弱い理由 ── ガラス状態の不安定さ
おまつりで かった わたあめを、ふくろから 出して おいて おくと、しぼんで しまう ことが あります。
ガラスの すがたは、じつは あまり おちついて いません。むりやり かたまった ぶん、もとの きれいな ならびに もどりたがって います。
あつくて しっけの おおい 日には、わたあめは つぶれて、かたい かたまりに なる ことが あると いわれます[4]。かたまりの なかには、もとの さとうの けっしょうが まざって います。
だから、つくりたてを たべるか、ふくろに つめて うられて います[1]。
ガラス状態の砂糖は、じつは安定した状態ではありません。無理に急いで固まった状態なので、条件がそろうと、結晶に戻ろうとします。
論文の要旨には、暑くて湿った日には、わたあめがつぶれて結晶化し、ガラス構造の中に砂糖の結晶が混じった硬いかたまりになりうる、とあります。温度がガラス転移温度より上に置かれると、結晶化するとされています[4]。湿度の条件によってガラス転移温度が変わり、論文では高い湿度の条件で崩壊や結晶化が起きたと報告されています。
日本語の辞典的な説明も、綿菓子は熱や湿気に弱く、むき出しで時間がたつと溶けたり固まったりして、姿や食感が変わると述べます[1]。そのため、作りたてを食べるか、袋詰めで売られます。
6. どうして ザラメを つかうの?
6. ザラメが使われる理由
6. 原料糖の選択 ── ザラメ
わたあめには、よく ザラメと いう、つぶの あらい さとうが つかわれます。
ザラメは、きかいの ちいさな あなに つまりにくい、とかしても こげにくい、とけるのが はやい、と いう りゆうが あげられます[1]。
グラニュー とうや、あめだまを つかう きかいも あるそうです。
わたあめには、粒の粗いザラメ糖がよく使われます。日本語の辞典的な説明では、その理由として、穴の目詰まりを起こしにくいこと、融点が低いこと、加熱しても炭化しにくいことが挙げられています[1]。
これは1つの資料の説明で、融点などの数値は確かめられませんでした。ただ、グラニュー糖や飴玉を材料にできる機械もあるといわれ、ザラメでなければ作れないわけではないようです。
ザラメが使われる理由として、日本語の辞典系資料は、孔の目詰まりを起こしにくいこと、融点が低いこと、加熱しても炭化しにくいことを挙げる[1]。この説明は1資料に依拠し、融点等の数値は確認できなかったので、断定を避けて扱う。
グラニュー糖や飴玉を材料にできる機種もある。ザラメは唯一の選択肢ではなく、機械の小孔を詰まらせにくいことが評価された選択、と読める。
7. だれが、この きかいを はつめい したの?
7. 歯科医と菓子職人 ── 電気キャンディ機の発明
7. 発明の経緯 ── 1897年の特許から1904年の万博へ
いま のような きかいで いとを つくる わたあめは、1897ねんに つくられたと いわれます[3]。はいしゃさんの モリソンさんと、おかしづくりの ウォートンさんが、いっしょに つくったそうです。
1897ねんに、ふたりは これを 「でんきの キャンディ きかい」と よんで、とっきょを とったと いわれます。
1904ねんの アメリカの はくらんかいで、「フェアリー・フロス」の なまえで うり出すと、68,655はこも うれたと つたえられます[2]。
にほんには、めいじの おわりごろから たいしょうにかけて、アメリカから はいって きて、ひろまったと いわれて います[1]。
機械で紡ぐ綿菓子は、1897年に歯科医のウィリアム・モリソンと、菓子職人のジョン・C・ウォートンが発明したとされています。二人は「電気キャンディ機」として特許を取りました[3]。
1904年のセントルイス万国博覧会では、「フェアリー・フロス」の名で売り出され、68,655箱(1箱25セント)が売れて大成功したと伝えられます[2]。来場者は約2千万人といいます。1921年には、ニューオーリンズの歯科医ジョセフ・ラスコーが似た機械を発明し、特許で「cotton candy」と名づけたともいわれます[2]。
日本には、明治後半から大正にかけてアメリカから持ち込まれ、全国に広まったとされますが、正確な年は今回の資料では確認できませんでした[1]。
機械紡ぎの綿菓子は、1897年に歯科医ウィリアム・モリソンと菓子職人ジョン・C・ウォートンが考案し、「電気キャンディ機」として特許を取ったとされる[3]。1904年のセントルイス万博で「フェアリー・フロス」として68,655箱(1箱25セント)を売り上げた[2]。NGは「helpings」、英語版Wikipediaは「boxes」と書くが、数は一致する。
1921年には、ニューオーリンズの歯科医ジョセフ・ラスコーが同種の機械を発明し、特許の中でこの菓子を「cotton candy」と呼んだ[2]。
日本への伝来は、明治後半から大正にかけてアメリカから持ち込まれ、全国に広まったとされる[1]。ただし年や最初の国産機は、一次資料で確認できていない。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること
おうちの ひとと いっしょに、ふくろ入りの わたあめを ひとつまみ、おさらに とります。となりに、もう ひとつまみ おいて、こっちには スプーンで みずを 1てきだけ たらします。しばらく 見て、みた めの ちがいを くらべて みましょう。たべないで、おわったら 手を あらいます。
出かけてできること
おまつりで わたあめを 作る ところを 見たら、まわる ぶぶんには ぜったいに さわらず、はなれて、いとが とぶ ようすを 見て みましょう。
こうしきの 情報
としょかんで、「さとうの けっしょう」に ついての ほんを さがして みましょう。
今日できること
袋入りのわたあめを、大人と一緒にひとつまみ、皿に2か所取ります。一方にだけ、スプーンで水を1滴たらして、しばらく置いてから、二つを見比べます。しぼみ方や色がどう違うか、見た目を記録してみてください。食べずに、終わったら手を洗いましょう。
出かけてできること
お祭りなどで綿菓子機を見かけたら、回転する部分には近づきすぎず、少し離れた場所から、糸が飛ぶ様子と、集めるときの割り箸の動かし方を観察してみてください。
公式情報
食品科学の入門書や、図書館の科学読み物にも、砂糖の結晶とガラス状態の話があります。出典に挙げた論文の要旨も、読んでみる価値があります。
今日できること
袋入りの綿菓子を少量ずつ皿に2か所とり、片方にだけ水を1滴たらして、時間経過による形と見た目の変化を比べる。結晶化の議論との関係は、観察だけでは確かめられないので、変化の様子を記録するにとどめる。
出かけてできること
祭りなどで機械を見る機会があれば、回転部から離れて、糸が飛ぶ様子と巻き取り方を観察する。
公式情報
出典に挙げたPMCの論文(ラフィノースによるショ糖結晶化の抑制)の要旨と、NGの解説を読み、加熱温度やガラス転移温度の数値の根拠を探してみるのもよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
機械の構造と歴史は日英の解説を、砂糖の状態と湿気の話は食品科学の論文の要旨を、突き合わせた。加熱温度・ガラス転移温度の数値、日本への伝来の年は、原文で確認できていない。
- 綿菓子(Wikipedia日本語版) https://ja.wikipedia.org/wiki/綿菓子 (しくみの概略・ザラメの理由・湿気に弱いこと・日本への伝来)
- Cotton candy(Wikipedia英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Cotton_candy (機械の構造・1904年万博・1921年の特許)
- The sticky sweet history of cotton candy(National Geographic) https://www.nationalgeographic.com/culture/article/the-sticky-sweet-history-of-cotton-candy (回転数・糸の太さ・急冷で結晶にならないこと・1897年の発明)
- ラフィノースによるショ糖結晶化の抑制(PMC1363750) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1363750 (ガラス状態・暑く湿った日の結晶化)
なおした ところ
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