くるまの うんてんを やめたら、買い物は どうするの?

車の運転をやめたら、どうやって買い物に行くのか ── AIが電話に出る乗合バス

車の運転をやめたら、どうやって買い物に行くのか ── 買い物難民とデマンド交通

分野:技術

おじいさんや おばあさんが、くるまの うんてんを やめる ときが あります。 うんてんを やめると、じこは へりますが、べつの こまった ことが おきる ことも あります。

とおくの おみせに 買い物に 行けなく なって しまう ことです。

この きじでは、この もんだいを たすける「のりあいバス」の しくみと、 さいしんの AI(じんこうちのう)の くふうを 見て いきます。

お年寄りが、車の運転をやめる時があります。運転をやめると、事故は減りますが、別の困ったことが起きることもあります。

遠くの店に買い物に行けなくなってしまうことです。

この記事では、この問題を助ける「乗合バス」のしくみと、最新のAI(人工知能)の工夫を見ていきます。

高齢者が運転免許を返納すると、交通事故は減る。しかしそれと同時に、別の問題が表面化することがある。

車という移動手段を失うことで、日常の買い物にすら苦労する「買い物難民」になってしまう問題だ。

この記事では、免許を返したあとの暮らしを支える「デマンド交通」と呼ばれる乗合バスのしくみと、AIが電話に出て予約を受け付ける最新の実証実験までをたどっていく。

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1. くるまの めんきょを かえすと、どうなるの

1. 運転免許を返納すると、どうなるのか

1. 運転免許を返納すると、どうなるのか

くるまを うんてんする 人が、大きな じこを おこす ニュースを 見た ことが ある人も いるかもしれません。高齢こうれいの 人が うんてんを やめる ために、めんきょを かえす「へんのう」 と いう しくみが あります。

めんきょを かえせば、じこは へります。でも、くるまが なくなると、とおくの おみせに 買い物に 行けなく なって しまう 人も 出て きます。

運転する人が大きな事故を起こすニュースを見たことがある人もいるかもしれません。高齢の人が運転をやめるために、免許を返す「返納」というしくみがあります。

2023年には38万2957件の免許が返納され、そのうち約68パーセントを75歳以上の人が占めました[1]。免許を返すことは、事故を減らすための1つの手段として広がってきました。

しかし、免許を返せば、それで問題が解決するわけではありません。車がなければ、遠くのスーパーへ買い物に行けなくなってしまう人が出てくるからです。

高齢の運転者による重大な交通事故が起きるたびに、「運転免許を返すべきではないか」という話題がニュースになる。実際、2019年に東京・池袋で高齢の運転者が死傷事故を起こしたあと、その年の運転免許の自主返納件数は60万件を超え、過去最多を記録した[1]

運転免許の自主返納へんのう制度は、1998年(平成10年)に始まった[1]2023年には38万2957件が返納され、そのうち約68パーセントを75歳以上の人が占めた[1]。免許を返すことは、事故を減らすための1つの手段として広がってきた。

しかし、免許を返せば、それで問題が解決するわけではない。車がなければ、遠くのスーパーへ買い物に行けなくなってしまう人が出てくるからだ。

2. 買い物に こまって しまう 人たち

2. 「買い物難民」という問題

2. 「買い物難民」という問題

くるまが なくて、食べものの 買い物に こまって しまう 人の ことを、「買い物なんみん」と よびます。

国の しらべに よると、こうした 人は、65さい いじょうの 人の、およそ 4人に 1人だと いわれて います。

つまり「めんきょを かえす」ことと、「あんぜんに くらしつづける」 ことは、べつべつに かんがえなければ ならない もんだいなのです。

車を運転できなくなった高齢者の中には、日常の食料品の買い物にも苦労するようになる人がいます。この状態は「買い物難民」(買い物弱者)と呼ばれます。

国の研究機関は、「店から500メートル以上はなれていて、車を使うことも難しい65歳以上の人」を買い物が困難な人と定義し、2020年時点でおよそ900万人にのぼると推計しています[2]。これは、65歳以上の人のおよそ4人に1人にあたります[2]

つまり「免許を返す」ことと「安全に暮らし続けられる」ことは、別々に用意しなければならない課題なのです。

車を運転できなくなった高齢者の中には、日常の食料品の買い物にも苦労するようになる人がいる。この状態は「買い物難民かいものなんみん」(買い物弱者・買い物困難者)と呼ばれる。

農林水産省の研究機関は、「店舗まで500メートル以上、かつ車を利用することが難しい65歳以上の高齢者」を食料品アクセス困難人口と定義し、2020年時点でおよそ900万人にのぼると推計している[2]。これは、65歳以上の人のおよそ4人に1人にあたる[2]

つまり「免許を返す」ことと「安全に暮らし続けられる」ことは、別々に用意しなければならない課題なのだ。

3. でんわで よぶ「のりあいバス」

3. 電話で呼ぶ「乗合バス」のしくみ

3. デマンド交通 ── 電話で呼ぶ乗合バスのしくみ

この もんだいの たいさくとして ひろがって いるのが、 「のりあいバス」の しくみです。

この バスは、りようする 人が 電話などで よやくした ときに あわせて、はしる みちすじや じかんを きめて くれます。

まるで、いつも 電車の 時こくを 気に する かわりに、行きたい ときに 電話を すれば むかえに 来て くれるような ものです。 だれも のらない バスを からのまま はしらせるより、むだが すくなく なります。

この問題の対策として広がっているのが、「乗合バス」(デマンド交通)と呼ばれるしくみです。

このバスは、利用者が電話などで予約したときに合わせて、運行の経路や時間を組み立てます[3]。決まった経路を予約に応じて回る型や、利用者の家の前まで送迎する型など、いくつかのやり方があります[3]。たとえば広島県のある町では、区域内一律200円でこのバスを走らせています[3]

予約が入った便だけを走らせるので、誰も乗らない路線バスを空のまま走らせ続けるよりも、効率よく運行できるという利点があります。

この問題への対策として広がっているのが、「デマンド交通」と呼ばれる乗合バスのしくみだ。

デマンド交通は、路線バスとタクシーの中間にあたる交通機関で、利用者からの事前予約よやくに応じて運行の経路や時間を組み立てる[3]。運行のしかたにはいくつかの型があり、決まった経路を予約に応じて回る「迂回ルート型」や、利用者の家の前まで送迎する「ドアツードア型」などがある[3]。たとえば広島県安芸太田町では、区域内一律200円でデマンドバスを走らせている[3]

予約が入った便だけを走らせるので、誰も乗らない路線バスを空のまま走らせ続けるよりも、効率よく運行できるという利点がある。

4. でんわに 出る AI

4. 電話に出るAI ── 音声予約の実証実験

4. 電話に出るAI ── 自動音声応答による予約の実証実験

でんわの よやくを うける 人の 手間が かかると いう もんだいも ありました。

2025年、山梨やまなしけんの あるまちでは、AI(じんこうちのう)が でんわで 音声あんないを して、よやくを うけつける じっけんが おこなわれました。

まるで、でんわの むこうに、あんないロボットの 駅いんさんが いるような ものです。この じっけんでは、よやくの 95パーセント いじょうが、AIだけで うまく できました。

電話の予約を受ける人の手間や費用がかかるという問題もありました。

2025年2月、山梨県都留市では、AIによる自動音声応答で乗車予約ができるしくみの実証実験が行われました[4]。利用者が電話をかけると、流れてくる音声案内に答えるだけで、予約が完了するしくみです[4]

この実証実験では、95パーセント以上の予約がAIの自動応答だけで正常に完了し、利用した人の7割以上が「満足」と答えました[4]。専用のスマートフォンアプリの使いかたがわからないという高齢者の声に応える形で導入されたもので、電話という使い慣れた手段のまま、予約の受付を自動化できたことが評価されました[4]

デマンド交通には、電話予約を受け付けるオペレーターの人件費がかかるという課題もあった。

2025年2月、山梨県都留市では、AIによる自動音声応答で乗車予約ができるしくみ「AIつる~と」の実証実験が行われた[4]。利用者が電話をかけると、流れてくる音声案内に応じて答えるだけで、予約が完了するしくみだ[4]

この実証実験では、95パーセント以上の予約がAIの自動応答だけで正常に完了し、利用した人の7割以上が「満足」と答えた[4]。専用のスマートフォンアプリの使いかたがわからないという高齢者の声に応える形で導入されたもので、電話という使い慣れた手段のまま、予約の受付を自動化できたことが評価された[4]

5. これからの まち

5. これからの街

5. これからの街 ── まだ実験の途中にあるしくみ

のりあいバスは、買い物いがいにも つかわれはじめて います。

やまぐちけんの あるまちでは、2025年から 2026年に かけて、 おなじ 車で、人を はこぶだけでなく、スーパーの しなものを おうちまで とどける じっけんが おこなわれました。

ただし、こうした しくみの おおくは、まだ ためして いる とちゅうです。だれにでも つかいやすいか、これから どうやって つづけて いくか、まだ かんがえなければ いけない ことが たくさん あります。

乗合バスは、買い物以外にも使われはじめています。

山口県のあるまちでは、2025年10月から2026年3月にかけて、同じ車で人を運ぶだけでなく、スーパーの商品を住民の自宅まで届ける実証運行が行われました[5]。1台の車が、人と荷物の両方を運ぶことで、限られた予算や人手を効率よく使おうという工夫です。

ただし、これらの多くはまだ実証実験の段階にあります。予約の音声案内がどの年代にも使いやすいか、運行の費用をだれが負担し続けるのかなど、確かめなければならないことはまだ多くあります。

デマンド交通は、買い物以外の場面にも広がりつつある。

山口県下関市豊田町では、2025年10月から2026年3月にかけて、同じ車両で人を運ぶだけでなく、スーパーの商品を住民の自宅まで届ける「貨客混載」の実証運行が行われた[5]。1台の車が、人と荷物の両方を運ぶことで、限られた予算や人手を効率よく使おうという工夫だ。

ただし、これらの多くはまだ実証実験の段階にある。予約の音声案内がどの年代にも使いやすいか、運行の費用をだれが負担し続けるのかなど、確かめなければならないことはまだ多い。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

じぶんの すんで いる まちに、どんな バスや でんしゃが あるか しらべて みましょう。

きょう できる こと

  • おうちの 人に、まちの バスに ついて 聞いて みる。 のりあいバスが あるか、どうやって よやくするか 聞いて みましょう。
  • じぶんの まちの バスていを さがして みる。 バスていに、どんな じかんに バスが 来るか 書いて あるか、見て みましょう。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「デマンドこうつうって なに?」だけで じゅうぶんです。

自分の住んでいる町に、どんなバスや電車があるか調べてみましょう。

今日できること

  • 家の人に、町のバスについて聞いてみる。乗合バスがあるか、どうやって予約するか聞いてみましょう。
  • 自分の町のバス停を調べてみる。バス停に、どんな時間にバスが来るか書いてあるか、見てみましょう。

出かけてできること

  • 市役所や町役場で、地域の交通に関するパンフレットをもらう。
  • 実際に乗合バスに乗って、予約から乗車までの流れを体験する。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「AIつる~とって結局どんなしくみなの?」だけでも十分です。

自分の住んでいる自治体の公共交通について調べてみよう。

手を動かして確かめる

  • 自分の自治体のデマンド交通の有無を調べる。自治体の公式サイトには、地域公共交通に関するページがあることが多い。運行のしかた(型)や予約方法を、この記事の分類と照らし合わせてみる。
  • 家族に、免許返納後の生活について聞いてみる。高齢の家族や知人がいれば、買い物や通院の移動手段をどうしているか聞いてみると、この記事の内容を身近な視点で確かめられる。

一次情報にあたる

地域公共交通の統計は国土交通省、免許返納の統計は警察庁、食料品アクセス問題の統計は農林水産省が、それぞれ公式サイトで公開している。ニュース記事と一次統計を読みくらべると、報道でどこが強調され、どこが省略されているかに気づける。

メモのすすめ

AIつる~とのような実証実験は、うまくいった数字だけが報道されがちだ。実証実験のあと本格運行に進んだか、その後の続報も追ってみると、技術が定着する過程が見えてくる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事は、下にあげた公開情報をもとに書いています。文章や図を無断で転載してはいません。もっと正確に知りたいときは、必ず下の出典にあたってください。リンク先の内容や、リンク先で起きたことについて、当サイトは責任を負いません。

出典について:農林水産省は政府機関、日本経済新聞は報道機関、その他は地方自治体政策・技術系のメディアです。

  1. 日本経済新聞「運転免許証の返納、2023年は38万件 4年連続で減少」。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE01DLC0R00C24A3000000/ (2023年の自主返納件数、75歳以上の割合、2019年の事故後にピークを迎えたことについての出典)
  2. 農林水産政策研究所「食料品アクセス問題に関する推計結果」。 https://www.maff.go.jp/primaff/seika/pickup/pu24/24_03.html (食料品アクセス困難人口=買い物難民の定義、2020年時点の推計人数・割合についての出典)
  3. ジチタイムズ「デマンド交通とは?言葉の定義や取り組み事例を解説」。 https://www.publicweek.jp/ja-jp/blog/article_50.html (デマンド交通の定義、運行方式の種類、安芸太田町の運賃・開始年についての出典)
  4. ロボスタ「都留市でオンデマンド交通の実証運行を実施、AI自動音声応答の電話予約で送迎車が停留所に 95%以上の予約が正常に完了」。 https://robotstart.info/2025/04/07/turu-on-demand-transportation-demo.html (2025年、山梨県都留市のAI自動音声応答による乗車予約の実証実験についての出典)
  5. 住友商事「国内初の産官学連携AIオンデマンドシステム×貨客混載の実証実験を開始」。 https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/topics/2025/group/20250812 (山口県下関市豊田町の「生活バス」へのAIオンデマンド機能・貨客混載機能導入の実証実験についての出典)

なおした ところ

更新履歴

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