えもじは、どうやって せかいの もじに なったの?

絵文字はどうやって世界の文字になったのか ── Unicodeという仕組み

絵文字はどうやって世界の文字になったのか ── Unicodeという仕組み

分野:技術

スマホで つかう「えもじ」は、日本の けいたい電話会社が つくった もようが もとに なって います。

でも、さいしょは、ちがう 電話会社どうしで メールを おくると、 えもじが くずれて うまく つたわらない ことが ありました。 この きじでは、どうやって その もんだいが なおって、 いまの ように せかいじゅうで つかえるように なったのかを 見て いきます。

スマホで使う「絵文字」は、もともと日本の携帯電話会社が作ったマークがもとになっています。

でも最初は、ちがう会社どうしでメールを送ると、絵文字がくずれて正しく伝わらないという問題がありました。この記事では、どうやってその問題が解決され、いまのように世界中で使えるようになったのかを見ていきます。

いまや世界共通の文字になった「絵文字」。その起源は、1999年、日本の携帯電話会社が作った176個のマークだった。

だが最初、絵文字は会社ごとにバラバラの仕組みで作られており、ちがう会社の携帯にメールを送ると、絵文字がくずれて正しく表示されないという問題を抱えていた。この記事では、世界中の文字に番号をふる「Unicode」という仕組みが、どのようにこの問題を解決し、絵文字を世界共通の文字にしたのかをたどる。

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1. 1999年、176この えもじが うまれた

1. 1999年、176個の絵文字が生まれた

1. 起源 ── 1999年、176個の絵文字が生まれた

1999年、NTTドコモと いう 会社で はたらいて いた 栗田くりた穣崇しげたか さんが、けいたい電話の 小さな がめんでも つかえる、176この マークを つくりました。1つずつが、たて・よこ 12この てんで えがかれた、 とても 小さな え でした[1]

天気マークや かおの ひょうじょうなど、まんがや 天気 よほうの きごうを さんこうに して つくられたと いわれて います[1]。この えもじが、 いまの スマホの えもじの ルーツに なりました。

1999年、NTTドコモという会社で働いていた栗田穣崇さんが、携帯電話の小さな画面でも使える、176個のマークを作りました。1つずつが、たて・よこ12個の点でえがかれた、とても小さな絵でした[1]

まんがの表現方法や、天気予報の記号などを参考にして作られたといわれています[1]。この176個の絵文字が、いまのスマホの絵文字のルーツになりました。

1999年、NTTドコモの携帯電話サービス「iモード」の開発に携わっていた栗田穣崇は、携帯電話の限られた画面表示の中で情報を伝える手段として、176個のピクトグラムを制作した。1文字が縦横12×12ピクセルの格子で描かれた、ごく小さな絵だった[1]

栗田は、まんがで使われる「漫符」と呼ばれる記号表現や、天気予報の記号、漢字や道路標識などから着想を得たとされる[1]。この絵文字セットはi モードとともに人気を集め、ほかの携帯電話会社にも広まっていった。2016年には、栗田がデザインした最初の176個の絵文字が、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の常設コレクションに収蔵されている[1]

2. 3つの 会社で、バラバラだった えもじ

2. 3つの会社で、バラバラだった絵文字

2. 会社ごとに非互換だった絵文字の仕組み

ドコモの えもじが 人きに なると、ほかの 日本の けいたい 電話会社も、じぶんたちの えもじを つくりました。でも、 それぞれの 会社が、べつべつの やりかたで えもじを コンピュータに おぼえさせて いたため、もんだいが おきました。

ちがう 会社の けいたいどうしで メールを やりとりすると、 あいての がめんでは、えもじが ちがう マークに なったり、 へんな もじに なったり して しまったのです [2]

ドコモの絵文字が人気になると、ほかの日本の携帯電話会社(KDDI・au、ソフトバンク)も、自分たちの絵文字を作りました。でも、それぞれの会社が、べつべつのやり方で絵文字をコンピュータに覚えさせていたため、問題が起きました。

ちがう会社の携帯どうしでメールをやりとりすると、相手の画面では、絵文字がちがうマークになったり、変な文字になったりしてしまったのです[2]

NTTドコモの絵文字が普及すると、KDDI(au)やソフトバンク(当時のJ-フォン)も、それぞれ独自の絵文字を追加した。しかし各社は、絵文字を「Shift-JIS」(当時使われていた文字コード、文字と番号の対応表)の中で空いている領域に、会社ごとに独自の番号を割り当てて表現しており、KDDIはさらに別の文字コード(ISO-2022-JP)の独自の改造版を使うなど、会社ごとに互換性のない仕組みになっていた[2]

その結果、ちがう会社の携帯電話どうしでメールをやりとりすると、送信側では意図した絵文字が、受信側ではまったく別の絵文字や、意味のない文字化けとして表示されてしまうという問題が生じた[2]

3. せかいじゅうの もじに ばんごうを つける

3. 世界中の文字に番号をつけるしくみ

3. Unicode ── 世界中の文字に番号をつけるしくみ

じつは、もじが くずれて つたわらない もんだいは、えもじ だけの はなしでは ありません。むかしから、いろいろな コンピュータが、それぞれ ちがう やりかたで もじを おぼえて いたため、べつの コンピュータに もじを おくると、くずれて しまう ことが よく ありました。

この もんだいを なおすために、1991年、「Unicode(ユニコード)」と いう しくみが つくられました。せかいじゅうの もじ 1つ 1つに、おなじ ばんごうを つける という かんがえかたです[3]。がっこうの げたばこに、1つずつ ばんごうが ついて いて、その ばんごうを 見れば どの くつか わかるのと にて います(ただし 本当は、くつの かわりに「あ」の 文字や えもじなどが、 ばんごうごとに 1つずつ きまって います)。おなじ ばんごう さえ つかえば、どんな コンピュータでも おなじ もじだと わかる ように なります。

じつは、文字がくずれて伝わらない問題は、絵文字だけの話ではありません。昔から、いろいろなコンピュータが、それぞれちがうやり方で文字を覚えていたため、べつのコンピュータに文字を送ると、くずれてしまうことがよくありました。

この問題を直すために、1991年、「Unicode(ユニコード)」というしくみが作られました。世界中の文字1つ1つに、同じ番号をつけるという考え方です[3]。同じ番号さえ使えば、どんなコンピュータでも同じ文字だと分かるようになります。

文字が正しく伝わらない問題は、絵文字に限った話ではない。コンピュータの黎明期から、機種やメーカーごとに異なる文字コード(文字とデータの対応表)が使われており、異なる文字コードで符号化された文章をやりとりすると、意味の通らない「文字化け」が生じることが頻繁にあった。

この問題を解決するために、1991年10月、「Unicode(ユニコード)」という文字コード標準の最初の版が公開された。Unicodeの基本的な考え方は、世界のあらゆる文字体系の文字1つ1つに、U+0000からU+10FFFFまでの範囲で一意の番号(コードポイント)を割り当てるというものだ[3]。同じコードポイントを使う限り、どのメーカーのどの機種でも、同じ文字として正しく認識できる。

4. 2009年、グーグルと アップルが 出した ていあん

4. 2009年、GoogleとAppleが出した提案

4. 2009年 ── GoogleとAppleによるUnicode化の提案

2006年ごろから、グーグルと いう 会社が、日本の 3つの けいたい電話会社の えもじを、Unicodeの しくみに あわせる しごとを はじめました[6]

2009年、グーグルと アップルの エンジニアたちが いっしょに なって、絵文字を Unicodeに くわえる ことを ていあん しました。これが みとめられ、2010年、「Unicode 6.0」と いう あたらしい バージョンで、けいたい電話むけの えもじを ふくむ、たくさんの あたらしい きごうが せいしきに くわわりました[4]

2006年ごろから、グーグルという会社が、日本の3つの携帯電話会社の絵文字を、Unicodeのしくみに合わせる仕事を始めました[6]

2009年、グーグルとアップルのエンジニアたちがいっしょになって、絵文字をUnicodeに加えることを提案しました。これが認められ、2010年、「Unicode 6.0」という新しいバージョンで、携帯電話むけの絵文字をふくむ、1,000以上の新しい記号が正式に加わりました[4]

2006年ごろから、Googleは日本の3つの携帯電話会社の絵文字を、Unicodeの「私的利用領域」(プライベート・ユース・エリア。標準では意味が決められておらず、開発者が独自の用途に自由に使ってよいとされる番号の範囲)に対応づける社内的な取り組みを始めていた[6]。しかし、私的利用領域だけでは、異なる会社・機種の間での互換性が不十分だったため、Unicodeそのものに絵文字を追加する提案が検討されるようになった。

2009年、Googleのマーカス・シェラーらと、Appleの技術者らが共同で、Unicodeコンソーシアムに絵文字符号化の提案書を提出した[2]。この提案を経て、2010年10月に公開された「Unicode 6.0」で、携帯電話向けの絵文字を含む1,000以上の新しい記号が正式に標準へ加わった[4]

5. 日本だけの ひみつの キーボードから、せかいへ

5. 日本だけの秘密のキーボードから、世界へ

5. 2008年から2011年 ── 日本限定機能から世界標準へ

2008年、日本で うられて いた iPhoneに、はじめて えもじの キーボードが つきました。でも、これは 日本むけだけの きのうでした。

日本いがいの 人たちの あいだで、この えもじキーボードを つかう ひみつの ほうほうが ひろまりました。そして 2011年、 「iOS 5」と いう あたらしい バージョンから、せかいじゅうの だれもが、せっていを かえるだけで えもじキーボードを つかえるように なりました[5]

日本限定だった、絵文字キーボード

2008年11月、日本で売られていたiPhoneに、初めて絵文字のキーボードがつきました。でも、これは日本むけだけの機能でした。

日本以外の人たちのあいだで、このかくれた絵文字キーボードを使う裏技が広まりました。アップルが正式に対応していたわけではありませんでしたが、多くのアプリがこの裏技を使う方法を紹介していました。

2011年、だれでも使えるようになった

そして2011年、「iOS 5」という新しいバージョンから、世界中のだれもが、設定を変えるだけで絵文字キーボードを使えるようになりました[5]

2008年11月21日、Appleは日本国内向けのiPhoneに、無料のソフトウェアアップデート(iPhone OS 2.2)を配信し、初めてApple独自の絵文字フォントとキーボードを搭載した[5]。しかし、この機能は日本市場向けに限定されていた。

まもなく、日本国外のユーザーの間で、アプリのイースターエッグ(隠し機能)を使ってこの絵文字キーボードを有効にする裏技が広まった。Appleが公式に対応・推奨していたわけではなかったが、多くのアプリがこの方法を紹介するようになった[5]

そして2011年、iOS 5.0がリリースされると、世界中のだれもが、設定アプリで数回タップするだけで、正式に絵文字キーボードを有効にできるようになった。裏技は不要になった[5]

6. いまの えもじ

6. いまの絵文字

6. 現在の絵文字 ── 毎年ふえる、審査つきの文字

いまでは、あたらしい えもじが つかわれるように なるには、 Unicodeを つくって いる だんたいの しんさを うける ひつようが あります。まいとし、あたらしい えもじが すこしずつ くわわって います。

スマホの きしゅに よって、おなじ ばんごうの えもじでも、 見た目が すこし ちがう ことが あります。ばんごうは せかい きょうつうですが、その ばんごうを どんな えの かたちに するかは、それぞれの かいしゃが きめて いるからです。

いまでは、新しい絵文字が使われるようになるには、Unicodeを作っている団体の審査を受ける必要があります。毎年、新しい絵文字が少しずつ加わっています。

スマホの機種によって、同じ番号の絵文字でも、見た目が少しちがうことがあります。番号は世界共通ですが、その番号をどんな絵の形にするかは、それぞれの会社が決めているからです。

現在、新しい絵文字がUnicodeに追加されるには、Unicodeコンソーシアム内の絵文字小委員会による審査を経る必要がある。毎年、新しい絵文字が少しずつ標準に加わっている。

Unicodeが規定しているのは、あくまで文字ごとの番号(コードポイント)と、おおまかな意味・名前までだ。その番号をどんな絵の形(グリフ)で表示するかは、Apple・Google・Samsungといった各社が個別にデザインしている。そのため、同じ番号の絵文字でも、スマホの機種によって見た目が異なることがある。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

スマホや タブレットの えもじを、じっさいに くらべて みましょう。

あんぜんな ばしょで できる こと

  • おなじ えもじを、ちがう きしゅの がめんで くらべて みる。 おうちの人の スマホと じぶんの スマホで、見た目が ちがうか かんさつして みましょう。
  • すきな えもじが いつ できたのか しらべて みる。 えもじの 名まえで けんさくすると、わかる ことが あります。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「Unicodeって なに?」だけで じゅうぶんです。

スマホやタブレットの絵文字を、実際にくらべてみましょう。

今日できること

  • 同じ絵文字を、ちがう機種の画面でくらべてみる。おうちの人のスマホと自分のスマホで、見た目がちがうか観察してみましょう。
  • 好きな絵文字がいつできたのか調べてみる。絵文字の名前で検索すると、分かることがあります。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「最初の絵文字って、いまも見られるの?」だけでも十分です。

自分のスマホの絵文字一覧を開いて、コードポイントと見た目の関係を確認すると、この記事で扱ったしくみが実感しやすくなります。

手を動かして確かめる

  • 同じ絵文字を、複数の機種・アプリで見比べてみる。番号は同じでも、色や形のデザインがどう違うか比べてみましょう。
  • Unicodeコンソーシアムの公式サイトで、最新の絵文字候補を見てみる。まだ審査中の絵文字案が公開されていることがあります。

一次情報にあたる

Unicodeコンソーシアムの公式サイトや、MoMAの収蔵品ページには、絵文字の歴史についての一次資料が公開されています。

メモのすすめ

気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。「最初の絵文字は176個、12×12ピクセル」という一文でもかまいません。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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出典について:Unicodeコンソーシアムの公式資料と、基礎的な経緯の解説にWikipediaを使っています。

  1. Shigetaka Kurita - Wikipedia(英語版)。 https://en.wikipedia.org/wiki/Shigetaka_Kurita (1999年の176個の絵文字デザイン、着想元、2016年のMoMA収蔵についての解説)
  2. Unicodeコンソーシアム公式文書「Proposal for Encoding Emoji Symbols」(L2/09-025)。 https://www.unicode.org/L2/L2009/09025r2-emoji.pdf (日本の携帯電話3社の絵文字が非互換の独自符号化だった経緯と、Google・Appleによる統合提案についての公式文書)
  3. Unicode - Wikipedia(英語版)。 https://en.wikipedia.org/wiki/Unicode (Unicodeの目的、1991年のUnicode 1.0、コードポイントのしくみについての解説)
  4. Unicode公式ブログ「Unicode Version 6.0: Support for Popular Symbols in Asia」。 https://blog.unicode.org/2010/10/unicode-version-60-support-for-popular.html (2010年10月のUnicode 6.0公開と、追加された記号数についての公式発表)
  5. Emojipedia公式ブログ「Apple Emoji Turns 10」。 https://blog.emojipedia.org/apple-emoji-turns-10/ (2008年の日本限定絵文字キーボード搭載と、2011年のiOS 5での世界対応についての解説)
  6. Unicode Technical Report #51「Unicode Emoji」(Japanese_Carrier節)。 https://www.unicode.org/reports/tr51/tr51-3-archive.html#Japanese_Carrier (2006年のGoogleによる私的利用領域への対応づけ作業の開始についての公式解説)

なおした ところ

更新履歴

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