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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ホタルの おしりは、どうして あつく ならないの?

電気なしで、熱をほとんど出さずに光る ホタルのお尻の中では何が起きているのか

ホタルの発光の仕組み ── ルシフェリン・ATP・酸素の反応、光の色、明滅間隔の東西差

分野:生きもの

ホタルは、よるの くらやみで ぴかっと 光ります。でも、あの 光は ふしぎに あつく ありません。でんきも つかって いないのに、どうして 光るのでしょう。

ホタルの おしりの 中を、のぞいた つもりで たどって みましょう。

豆電球は、光ると熱くなります。ところがホタルの光は、熱をほとんど出さないといわれます。電気もないのに、体の中で光が作られているのです。

お尻の中で起きている反応と、光の色や点滅のリズムを決めるもの、そして研究者にもまだ分からない点を、順に見ていきます。

ホタルの発光は、ルシフェリンとルシフェラーゼ、ATP、酸素が関わる化学反応で、熱をほとんど伴わない冷光として知られる[3]。

このメモでは、反応が2段階で進む仕組み[1]、酵素のかたちが発光色を決めるという研究[2]、ゲンジボタルの明滅間隔の東西差と遺伝子の報道[5]を突き合わせ、確かなことと、なお分かっていないことを分けて整理する。

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1. どうして あつく ならないの?

1. ホタルの光は、なぜ熱くならないのか

1. 冷光 ── 酸化反応なのに熱を出さない

でんきゅうは、光ると あつく なります。ストーブも、火も そうです。ものが 光る ときは、たいてい あつく なるからです。

ところが ホタルの 光は、ほとんど あつく なりません[3]。ふつうの あかりとは ちがう、ふしぎな 光です。

ホタルの おしりには、光を つくる ための、ちいさな へやが あります。この 中で、体の 中の ざいりょうが まざり、光が うまれると いわれて います。

ふつうは、反応と熱がセット

ものが酸素と結びつく酸化という反応は、ふつう熱を出します。焚き火も、体の中で栄養が使われるときも、熱が出ます。

ホタルの発光も酸素が関わる反応ですが、熱をほとんど伴わずに光る、と説明されています[3]。このような光を冷光と呼びます。

光るための部屋

光る部分は発光器と呼ばれ、表皮、発光細胞、気管、神経細胞、光を反射する層などからできています[3]。次の章では、この中で何が混ざっているのかを見ます。

一般に酸化反応は発熱を伴うが、ホタルの発光は熱をほとんど伴わずに進むとされる[3]。この性質から冷光と呼ばれる。なお、発光の効率を示す数値は古い値と新しい推定が混在しているため、ここでは数字を挙げない。

発光部は表皮、発光細胞、気管(酸素を運ぶ管)、神経細胞、反射層で構成され[3]、発光細胞にルシフェリン、ルシフェラーゼ、ATP、微量のマグネシウムイオン、酸素が関わる[3]。反応の詳細は次章で述べる。

2. おしりの 中では、なにが おきて いるの?

2. 二段階で進む、光の反応

2. ルシフェリン・ATP・酸素による二段階の反応

光の もとに なる ものは、ルシフェリンと いう 名前の ぶっしつです。これに、ルシフェラーゼと いう、はたらきを たすける ものが くわわります。

そこへ、体が 力を だす ときに つかう ATP と、さんそが あつまります。すると、二だんかいで はんのうが すすみます[1]。

さいごに、ふつうの 光より 力の つよい じょうたいの ぶっしつが、もとに もどる とき、その 力を 黄みどり色の 光として だします[2]。

たとえば、たかい ところから おりた ボールが、ゆかで はねて 力を はなつ ように、ぶっしつも もとに もどる とき 力を だします。ただし 本当の しくみは、ボールより ずっと ちいさな せかいの はなしです。

一段階目:ルシフェリンとATPが結びつく

ルシフェリンにATP(体のエネルギー源になる物質)が結びつくと、ルシフェリルAMPという中間の物質ができます[1]。ルシフェラーゼは、この反応を進める酵素です。

二段階目:酸素が加わって光る

次に酸素が反応し、エネルギーを余分に持った状態のオキシルシフェリンができます。それが通常の状態に戻るときに、余ったエネルギーを黄緑色の光として放ちます[1][2]。

たとえるなら、高い所から落ちたボールが床で跳ね返るとき、エネルギーを音と動きとして放つのに似ています。ただし本当の反応は、分子という目に見えない世界の話です。

反応は2段階で進む。第1段階でルシフェリンとATPからルシフェリルAMPが生成し、第2段階で酸化により発光体であるオキシルシフェリンの励起状態が生じる[1]。励起状態のオキシルシフェリンが基底状態に戻る際、そのエネルギーが黄緑色の光として放出される[2]。

ルシフェラーゼはこの一連の反応を触媒する酵素である。反応にはATPのほか、微量のマグネシウムイオンも関わる[3]。

3. 光の 色は、なにが きめるの?

3. 光の色を決めているのは、酵素のかたち

3. 発光色の制御 ── 酵素と発光体の空間的な配置

ゲンジボタルの 光は、黄みどり色です。この 色を、きめて いる ものが あります。ルシフェラーゼの かたちです。

けんきゅうでは、ルシフェラーゼの ほんの すこしを かえると、光が 赤い 色に かわりました[2]。ルシフェラーゼと、光る ぶっしつが、どう ならぶかで 色が かわる ようです。

ただし、これは じっけんしつでの はなしです。のはらの ホタルが 赤く 光るわけでは ありません。

酵素の一か所を変えると、赤く光る

ルシフェラーゼの特定の場所を一つ変えた実験では、ゲンジボタルの光が黄緑色から赤色に変わりました[2]。研究グループは、酵素と光る物質の並び方がぴったり合うことが、色を決める原理だと結論づけています[2]。

これは実験室での話で、野生のホタルが赤く光るという意味ではありません。

環境でも色は変わる

光の色は、周りの酸性・アルカリ性の度合い(pH)や温度でも変わることが知られています[1]。

ルシフェラーゼのS286N変異により、ゲンジボタルの発光色は黄緑色から赤色に変化する。研究グループは、酵素とオキシルシフェリンの空間的な配置が発光色制御の原理であると結論づけている[2]。この変異は実験室での改変であり、野生個体が赤く発光することを意味しない。

また、発光色はpHや温度など環境条件によっても異なることが知られている[1]。色を決める要因は酵素の構造だけではなく、環境も関わると読める。

4. なんの ために 光って いるの?

4. ホタルは何のために光るのか

4. 発光の目的 ── 配偶行動の信号と、警告説

おとなの ホタルは、なかまを さがす ために 光ると かんがえられて います[6]。おすと めすが 出あう ための あいずです。

光の リズムや とびかたは、しゅるいごとに ちがいます[7]。日本では 50しゅるいほどが 見つかって います。

ところで、たまごや ようちゅうも 光る ものが おおいのです。そのわけは、まだ はっきり わかって いません。てきに むけた ちゅういの あいずだ、という せつも あります[3]。

成虫の光は、出会いの合図

成虫の発光は、基本的にオスとメスの出会いのためと考えられています[6]。ホタルの仲間は光るリズムや飛び方に種ごとの特徴があり、日本では50種ほどが確認されています[7]。

卵や幼虫の光は、まだ謎が残る

卵や幼虫の時代にも、ほとんどの種類が光ります[7]。この光を、外敵への警告と考える説があります[3]。一方で、成虫以外の光の役割はよく分かっていない、と説明する資料もあります[6]。どちらが正しいのか、この資料からは決められません。

なお、ゲンジボタルの成虫でいられる期間は約1〜2週間とする資料もあります[7]。

成虫の発光は主に配偶行動の交信に用いられ、光のリズムや飛び方には種ごとの特徴がある[7]。日本では50種ほどが確認されている。成虫の発光は基本的に雌雄の出会いのためと考えられている[6]。

卵・幼虫の発光は、ほとんどの種で見られる[7]。目的については、外敵への警告とする説[3]がある一方、交尾前の成虫以外の役割はよく分かっていないとする資料もあり[6]、資料間で言い方が異なる。警告説は仮説の段階にとどまると扱うのが安全である。ゲンジボタルの成虫期間は約1〜2週間とする資料がある[7]。

5. 東と 西で、光る はやさが ちがう?

5. 東は約4秒、西は約2秒 ── 光る間隔の東西差

5. ゲンジボタルの明滅間隔の東西差と遺伝子

ゲンジボタルは、東日本では 4びょうに 1回ほど、西日本では 2びょうに 1回ほど 光ると いわれます[4]。ながさきけんの ごとうれっとうには、1びょうごとに 光る ホタルも いると いいます。

2020年、さがだいがくなどの けんきゅうグループが、この ちがいには いでんしの ちがいが かんけい していると ほうじられました[5]。ただし、りゆうには まだ わかって いない ことも あります。

「4びょう」と「2びょう」は、だいたいの ながさです。ホタルごとにも、すこしずつ ちがいます。

東日本と西日本で、間隔が違う

ゲンジボタルが光る間隔は、東日本で約4秒、西日本と九州で約2秒とされます[4]。長崎県の五島列島の一部には、1秒間隔で光るものもいるそうです[4]。約という言葉のとおり、個体差もあります。

遺伝子の違いを示す報道

2020年1月、佐賀大学などの研究グループが、この違いが遺伝子の違いによることを世界で初めて確認した、と報道されました[5]。

点滅のしくみは、まだ解明されていない

光を点けたり消したりするしくみの詳しいところは、まだ分かっていない、と説明されています[3]。東西で間隔が違う理由についても、遺伝子の解析が進んだ現在も分からない点が残るとされます[4]。

ゲンジボタルの明滅間隔は、東日本で約4秒、西日本・九州で約2秒とされ、長崎県五島列島の一部には約1秒のものもいる[4]。数値は目安であり、個体差がある。

2020年1月の報道によれば、佐賀大学などの研究グループが、4秒周期と2秒周期の違いが遺伝子の違いによることを世界で初めて確認した[5]。ただし本メモでは原論文・大学発表を直接確認していない。2025年の記事は、東西差の理由にはなお不明な点が残るとも記しており[4]、報道の要約をそのまま確定した事実とすることは避ける。

点滅制御の詳細も、極めて複雑で解明されていないとされる[3]。

6. もっと しりたく なったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

いま、おうちで

くらい へやで、てもとの かいちゅうでんとうを ゆっくり つけたり けしたり して みましょう。ぱっと つけて すぐ けし、「いち、に、さん」と かぞえて、「し」で また つけると 4びょうに 1回。つぎは 「いち」と かぞえて 「に」で つけると 2びょうに 1回。かんかくの ちがいが わかります。

あかるい 光を、人や どうぶつの 目に むけては いけません。

ホタルを 見られる ばしょを しらべる

まちの やくしょや かんこうきょうかいの ホームページに、ホタルが 見られる ばしょや じかんの おしらせが のって いる ことが あります。おうちの 人と いっしょに 見て みましょう。

今日できること

暗い部屋で懐中電灯を使い、ぱっと点けてすぐ消し、「いち、に、さん」と数えて、「し」でまた点けると4秒に1回になります。「いち」と数えて「に」で点けると2秒に1回です。ストップウォッチや秒針のある時計があれば、合わせてみましょう。東日本と西日本のゲンジボタルの光り方を、自分の手で真似ることになります。明るい光を人や動物の目に向けないように気をつけてください。

調べてみるとよいこと

お住まいの地域のゲンジボタルが、何秒に1回光るのかは、地域の観察会や自治体の資料に書かれていることがあります。東西の境目がどのあたりなのか、資料を探してみるのもよいでしょう。

資料を読む

発光の化学反応は、分子科学研究所のプレスリリース[1]と、SPring-8の利用者情報[2]が読みやすい。後者は酵素のかたちと発光色の関係を扱う。

光り方を数えてみる

暗い部屋で、懐中電灯を一瞬だけ点けて4秒間隔と2秒間隔で点滅させ(秒針のある時計かストップウォッチで測る)、リズムのちがいを体感できる。光を人や動物の目に向けないこと。地域のホタルの間隔を、自治体や観察会の資料で調べる手もある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の[ ]の番号は、下の資料の番号に対応します。

  1. 分子科学研究所 プレスリリース(2024)https://www.ims.ac.jp/news/2024/04/0412.html (発光の二段階反応・環境による色の変化)
  2. SPring-8/SACLA 利用者情報「ルシフェラーゼの発光色制御」https://user.spring8.or.jp/sp8info/?p=2631 (黄緑色の発光・変異による赤色化)
  3. 延岡市 ホタル物語「ホタルQ&A」https://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/site/miryoku/1290.html (発光器・冷光・発光の目的)
  4. ウェザーニュース(2025)https://weathernews.jp/news/202505/280156/ (明滅間隔の東西差)
  5. サガテレビ 佐賀のニュース(2020年1月31日)https://www.sagatv.co.jp/news/archives/2020013101913 (間隔の違いと遺伝子の報道)
  6. ウェザーニュース(2021)https://weathernews.jp/s/topics/202105/140115/ (成虫の発光の目的)
  7. Wikipedia「ホタル」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%82%BF%E3%83%AB (種ごとの特徴・卵や幼虫の発光・成虫期間)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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