り船は どこで 作られて、どう 動くの?

釣り船は、どこで作られてどう動いているのか

釣り船は、どこで作られてどう動いているのか ── 製造・費用・制度・技術

分野:海・釣り

朝、まだ 空が くらい うちに みなとへ 行くと、船が ならんで います。 小さな ボートも あれば、20人 いじょう 乗れる 大きな 船も あります。

エンジンが かかり、船を つないで いた ロープが はずされ、 船は おきへ 出て いきます。

のせて もらって いる とき、ふと 気に なりました。 この 船は どこで 作られたのだろう。いくら するのだろう。 どうやって 買うのだろう。

しらべて みると、車とは ずいぶん ちがう せかいが ありました。

朝、まだ暗いうちに港へ行くと、船が並んでいます。 小さなボートもあれば、20人以上乗れる船宿の船もある。 エンジンがかかり、船をつないでいたロープが外され、船は沖へ出ていきます。

乗せてもらっているとき、ふと気になりました。 この船はどこで作られたのか。いくらするのか。どうやって買うのか。 免許は。ガソリンは。そして、船長はどうやって魚のいる場所を当てているのか。 調べてみると、車とはずいぶんちがう世界が広がっていました。

夜明け前の港には、船が並んでいます。 一人で乗る小さなボートもあれば、20人以上を乗せる遊漁船もある。 エンジンがかかり、係留していたロープが外され、船は沖へ出ていきます。

乗せてもらいながら、疑問がいくつも浮かびました。 この船はどこで作られ、いくらするのか。どうやって買い、どこに置くのか。 免許はどう取るのか。燃料は何か。速さはどれくらいか。 そして船長は、どうやって魚のいる場所を当てているのか。

調べてみると、自動車とはずいぶん違う仕組みの上に成り立っている世界でした。

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1. 船には ナンバープレートが ない

1. 海の乗りものには、ナンバープレートがない

1. 車と小型船の、制度と設計の違い

車には、うしろに ばんごうの ついた 板が ついて います。 ナンバープレートですね。

では、は どうでしょう。 港に ならんで いる 船を 見ても、あんな 板は ついて いません。 かわりに、船の よこに 名前や ばんごうが 書いて あります。

船は 車と にて いる ようで、いろいろ ちがいます。

  • 作って いる 会社が ちがう。
  • 買った あとの おき場しょが ちがう。
  • うんてんする ための 免許めんきょも べつ。
  • 止まる ときに ブレーキが ない。

この ページでは、りに つかう 船に ついて、 「どこで 作るの?」「いくら?」「どうやって うんてんするの?」 「どうやって 魚を 見つけるの?」を 見て いきます。

車のうしろには、ナンバープレートがついています。 では船はどうでしょう。港に並ぶ船を見ても、あの板はありません。 かわりに、船体の横に名前や登録の番号が書いてあります。

船は、車と似ているようでいて、かなりちがう乗りものです。

  • 作っている会社の顔ぶれがちがう
  • 買ったあと、置く場所を借りなければならない
  • 運転するための免許が、車とはまったく別
  • ブレーキがない(止まりたければ、逆に進む力を出す)
  • 道路がないので、道は自分で決める

釣りで乗る船には、大きく2種類あります。 ひとつは個人が持つ 小さなボート(20フィート、約6mくらい)。 もうひとつは、お客さんを乗せて漁場へ連れていく 船宿の船(遊漁船)です。

この記事では、その両方について、 どこで作られ、いくらで、どうやって買い、どこに置き、どうやって動かし、 どうやって魚を見つけているのかを順に見ていきます。

車と船は、どちらも人を乗せて移動する機械ですが、 まわりの仕組みがかなり違います。ざっと並べるとこうです。

車と小型船の違い
項目小型船
登録ナンバープレート船体に船名・船舶番号などを表示
免許運転免許(普通・大型など)小型船舶操縦士(一級・二級など)
置き場所駐車場マリーナ、係留地。基本的に有料で借りる
道路がある道はない。航路や浅瀬に注意して自分で決める
止まり方ブレーキブレーキはない。逆推進や惰性で止める
燃料ガソリンスタンドマリーナの給油設備、携行缶など

釣りで使う船も2つに分かれます。個人所有の プレジャーボート(20フィート=約6mクラスが多い)と、 客を乗せて漁場へ案内する 遊漁船(いわゆる船宿の船)です。 後者は事業なので、法律上の位置づけがまったく違います。

この記事では、製造・価格・購入・保管・免許・航法・魚群探知・燃料・整備、 そして遊漁船の制度まで、順に見ていきます。

2. 船は どこで 作るの?

2. 船は、どこで作られているのか

2. 量産艇と受注生産、そしてFRP

船は どこで 作られて いるのでしょう。

小さな ボートは、大きな 会社が たくさん 作って います。 日本には、バイクや エンジンを 作って いる 会社が ボートも 作って いる、という ことが あります。

いっぽう、船やどの 大きな 船は、 ぜんぶ 同じ かたちでは ありません。 その 港に あう ように、その 船長さんの つかい方に あう ように、 一せき ずつ 作られる ことが 多いのです。

作って いるのは、海の 近くに ある 造船所ぞうせんじょ。 町の こうじょうと おなじで、日本の あちこちに あります。

いまの 船の 多くは、FRP(エフアールピー)と いう ざいりょうで できて います。 ガラスの 細い 糸と、かたまる えきを まぜて かためた もので、 かるくて さびません。

船がどこで作られているかは、船の種類によってまるでちがいます。

小さなボートは「メーカー品」

個人が乗る20フィートくらいのボートは、大きなメーカーが型(かた)を使って 同じ形のものをたくさん作ります。 日本では、バイクやエンジンを作っている会社がボートも手がけていることが多く、 船体とエンジンをセットで買えるようになっています。

海外メーカーの船を輸入して売っている販売店もあります。 車と同じで、国産と輸入があるわけです。

船宿の船は「一隻ずつ」

いっぽう、船宿の大きな船は、たいてい同じものが2つとありません。 その港の水深、狙う魚、乗せる人数、船長の使い方に合わせて、 注文して作ってもらうからです。

作っているのは、海のそばにある 造船所。 全国にあり、漁船や遊漁船を専門に作っている会社もあります。 出漁のじゃまにならないよう、修理や点検も引き受けています。

材料はプラスチック

いまの小型の船の多くは FRP でできています。 「繊維強化プラスチック」の略で、ガラスの細い繊維に樹脂をしみこませて固めたものです。

  • 木の船より腐りにくく、鉄の船よりさびない
  • 軽いので速く走れて、燃料も少なくてすむ
  • 型があれば、同じ形を何隻も作れる

昔の漁船は木で作られていました。FRPに変わったことで、 長持ちするようになり、手入れの手間も減りました。

製造の風景は、船の種類で大きく分かれます。

量産されるプレジャーボート

個人所有のボートは、メーカーが金型(メス型)を使ってFRPの船体を成形し、 エンジン・艤装(ぎそう)を組んで出荷する量産品です。 日本では二輪車や汎用エンジンを手がける企業がマリン事業を持っており、 船体と船外機・船内機をあわせて供給する体制になっています。 輸入艇を扱う販売店もあり、この構図は自動車とよく似ています。

一隻ずつ造る遊漁船・漁船

いっぽう、船宿の遊漁船や漁船は、多くが受注生産です。 就航する港の水深や岸壁の形、対象魚、定員、装備の好みが1隻ずつ違うためです。 建造しているのは沿岸各地の造船所で、 FRPの高速船・遊漁船・プレジャーボートの製造販売を専門にする事業者もあります[1]

木からFRPへ

小型船の材料は、20世紀後半に木造からFRP(繊維強化プラスチック)へ大きく移りました。 ガラス繊維に不飽和ポリエステル樹脂などをしみ込ませて硬化させた複合材で、

  • 腐朽しない、さびない
  • 軽量で高速性能と燃費に有利
  • 型があれば同形状を再生産できる
  • 複雑な曲面を作りやすい

といった利点があります。日本では1960年代からFRP漁船が導入されました。 当時の記録では、1968年に建造されたFRP漁船の建造費は約500万円で、 木船の2倍以上だったとされています[2]。 高価でも普及したのは、耐久性と維持の手間で元が取れたためです。

いまの課題

FRPは腐らないという長所が、そのまま短所にもなります。 寿命を迎えた船の廃棄が難しいのです。 使われなくなった船が放置される問題があり、 リサイクルの仕組みづくりが進められています。

3. いくら するの?

3. いくらするのか

3. 取得費と維持費の内訳

いちばん 気に なる ところです。ボートは いくら するのでしょう。

小さな ボート(長さ 6メートルくらい)で、 新しい ものだと 200万円から 500万円くらい。 くるまと 同じか、それより 高いくらいです。

そして、買った あとも お金が かかります。 船を おいて おく ばしょの お金、ねんりょうの お金、 こわれた ところを なおす お金。 ぜんぶ 合わせると、1年に 50万円くらい かかる ことも あります。

だから、じぶんの 船を もつ 人は そんなに 多く ありません。 そのかわり、みんなで つかえる のが 船やどの 船です。お金を はらって 乗せて もらえば、 じぶんで 船を もたなくても 海に 出られます。

いちばん気になるところです。値段を見てみましょう。

プレジャーボートのおよその値段
大きさ新艇のおよその価格年間の維持費のめやす
〜20フィート(約6m)200万〜500万円[3]ものによる。トレーラーで自宅に置けば安くできる
20〜30フィート(約6〜9m)もっと高くなる50万〜150万円[3]

注意したいのは、買ったあとにもお金がかかり続けることです。 維持費の中身は、だいたい次のようになります。

  • 保管料(マリーナに置かせてもらうお金)。ここがいちばん大きい
  • 燃料代
  • 点検・修理の費用
  • 保険料
  • 検査の費用

中古で買うという道もあります。車と同じで、新しいものより安く買えますが、 エンジンの状態を見きわめる目が必要になります。

だから「乗せてもらう」という方法がある

自分の船を持つのは、けっこうな覚悟がいります。 そこで多くの人が使うのが 船宿の船(遊漁船)です。 料金を払って乗せてもらえば、船も、保管場所も、免許もいりません。

船を「持つ」か「借りる」か。この選択は、家や車とよく似ています。

費用は「取得費」と「維持費」に分けて考える必要があります。

取得費

販売店の解説によると、20フィート以下の新艇はおよそ200万〜500万円とされています[3]。 これは船体とエンジンを含む価格の目安で、装備を足せば上がります。 中古艇はこれより安くなりますが、エンジンの使用時間(アワーメーター)や 船体の状態で価格差が大きくなります。

維持費

20〜30フィートのクラスで、年間およそ50万〜150万円という試算が示されています[3]。 内訳の中心は保管料です。

維持費の内訳
費目内容
保管料マリーナの海上係留・陸上保管の料金。維持費の大部分を占める
燃料費使用頻度で大きく変わる
整備費エンジン点検、船底塗装、消耗品交換
保険料船舶保険、賠償責任保険
検査費用定期的な船舶検査

トレーラーで運べる小型艇なら、自宅に置いて保管料を抑えられます。 そのかわり、出港のたびに運搬と進水の手間がかかります。 お金を払うか、手間を払うかという選択です。

数字の読み方

ここに挙げた金額は、販売店やメディアが示す目安です。 地域、マリーナ、艇種、使用頻度で大きく変わります。 実際に検討するときは、必ず地元のマリーナと販売店に見積もりを取ってください。 相場を1つの数字で覚えないことが、この種の調べものでは大事です。

4. 買った あと、どこに おくの?

4. どうやって買って、どこに置くのか

4. 購入と保管 ── 置き場所を先に決める

ボートは、お店で 買います。 ボートを 売って いる お店(はんばい店)が 海の 近くに あって、 そこで えらんで、注文します。

さて、こまるのが おき場しょです。 くるまなら 家の よこに とめて おけますが、 船は そう いきません。

そこで、マリーナと いう 船の ちゅうしゃじょうの ような ところを かります。 海の 上に うかべて おく 方ほうと、 りくに 上げて おく 方ほうが あります。

小さな ボートなら、車で ひっぱる 「トレーラー」に のせて、 家に 持って 帰る 人も います。

買い方は、車とだいたい同じです。海の近くにあるボート販売店で相談し、 新艇なら注文、中古なら現物を見て決めます。 販売店は、免許の教習所を兼ねていたり、マリーナを運営していたりすることもあります。

置き場所を先に決める

船を買うとき、じつは船より先に決めなければいけないのが置き場所です。 駐車場と同じで、置く場所がなければ持てません。

船の置き方
置き方どんなもの特徴
海上係留マリーナや港に浮かべたままつないでおくすぐ出港できる。船底に貝や海藻がつく
陸上保管クレーンで陸に上げて置いておく船が傷みにくい。出すのに手間と費用がかかる
トレーラー保管車で引ける台に載せて自宅などに置く保管料を節約できる。小型艇向き

海に浮かべっぱなしにすると、船底に貝や海藻がびっしりつきます。 そうなると水の抵抗が増えて、速度が落ち、燃料も余計に食います。 だから定期的に陸へ上げて、船底を掃除し、 生きものが付きにくい塗料を塗り直します。これを 船底塗装 といいます。

購入の流れは自動車と似ています。販売店で艇種を選び、 新艇なら発注、中古艇なら現状を確認して契約。 販売店がマリーナ運営や免許教習を兼ねている場合も多く、 船・置き場所・免許をまとめて相談できるのが業界の特徴です。

また、小型船舶には登録の制度があり、 船体には船舶番号などを表示することになっています。 任意保険(船舶保険・賠償責任保険)への加入も、実務上ほぼ前提です。

保管方式の選択

保管方式の比較
方式利点欠点
海上係留出港が速い。大型艇でも可船底に生物が付着する。台風時の対応が必要
陸上保管(上下架)船体の劣化が遅い。荒天に強い出艇のたびにクレーン作業。費用と待ち時間
トレーラー保管保管料を抑えられる。出港地を選べる牽引車と免許・装備が必要。小型艇に限られる

船底の生物付着

海上に係留し続けると、船底にフジツボや海藻が付着します(バイオファウリング)。 表面が粗くなると摩擦抵抗が増し、速度低下と燃費悪化を招きます。 そのため定期的に上架して船底を清掃し、 生物が付きにくい船底塗料を塗り直します。

船底塗料には、生物の付着を防ぐための成分が含まれます。 かつて使われた有機スズ系(TBTなど)の塗料は、 巻き貝の生殖に異常を起こすなど環境への影響が問題となり、 国際条約によって使用が規制されました。 船を速く走らせる工夫が、海の生きものに跳ね返る。 ここでも技術と環境はつながっています。

5. うんてんには めんきょが いる

5. 運転するには、どうすればいいのか

5. 小型船舶操縦士免許 ── 級と年齢の条件

船を うんてんする ためには、 免許めんきょが いります。 車の めんきょでは 船に 乗れません。べつの めんきょが いるのです。

船の めんきょには、いくつか しゅるいが あります。 よく つかわれるのは 二級一級

  • 二級…… 岸から あまり 遠く 行かない 海で 乗れる。
  • 一級…… もっと 遠くまで 行ける。

どちらも、20トンより 小さい 船に 乗る ための めんきょです。

二級は、学校で 2日 ならえば とれる ことも あります。 しけんを うけられるのは 15さいと 9か月から。 中学3年生でも、たんじょう日が 早い 人なら うけられます。

ただし、じっさいに めんきょを もらえるのは 16さいから。 18さいに なるまでは、小さい 船だけに かぎられます。

いつか 海に 出たい 人は、それまでに 海や 天気の ことを たくさん おぼえて おくと いいですね。

船を動かすには 小型船舶操縦士 という免許がいります。 車の免許では乗れません。まったく別の資格です。

一級と二級のちがい

よく使われるのは一級と二級です。意外なことに、 乗れる船の大きさは同じで、ちがうのは行ける範囲だけです[4]

小型船舶操縦士免許の種類
種類行ける範囲
二級海岸から5海里(およそ9km)まで、および平水区域
一級航行区域の制限なし

どちらも、総トン数20トン未満の船(=小型船舶)を操縦するための免許です。 釣りで沖に出るくらいなら二級で足りることが多く、 もっと遠くへ行きたい人が一級を取ります。

どうやって取るのか

国の試験を受ける方法と、 国に登録された教習所で講習を受けて修了試験に合格する方法(国家試験免除)があります[4]。 二級は2日間の日程で取れるコースもあり、 費用は9万円弱という例が示されています[6]

意外に思うかもしれませんが、二級の受験ができるのは 満15歳9か月から。誕生日が早ければ、中学3年生で受けられます[5]。 ただし免許を持てるのは16歳から。さらに、 16歳以上18歳未満のあいだは総トン数5トン未満の船に限られ、 18歳になると自動的にこの制限が外れます[5]。 いっぽう一級は、受験が満17歳9か月から、取得は18歳からです。

免許より難しいこと

免許は数日で取れます。でも、 安全に帰ってくる力は、それだけでは身につきません。 天気の読み方、波の高さの見きわめ、潮の流れ、他の船との関係。 海には道路も信号もなく、助けもすぐには来ません。 経験者と一緒に乗って覚えていくのが普通です。

小型船舶(総トン数20トン未満)を操縦するには、 小型船舶操縦士の免許が必要です[7]。 自動車運転免許とはまったく別の資格体系です。

級による違い

一級と二級で操縦できる船の大きさは同じで、違うのは航行できる区域です[4]

免許の種類と航行区域
資格航行区域主な用途
二級小型船舶操縦士海岸から5海里(約9km)以内、および平水区域沿岸での釣り、クルージング
一級小型船舶操縦士制限なし遠方への航行
特殊小型船舶操縦士水上オートバイ専用ジェットスキーなど

1海里は1852mなので、5海里はおよそ9.3kmです。 岸から見て水平線の少し手前あたり、と考えるとイメージしやすいでしょう。

取得方法

  • 国家試験を受験:独学または講習を受け、学科・実技の試験を受ける
  • 登録教習所を修了:講習と修了試験に合格すれば国家試験が免除される[4]

二級は2日間で取得できるコースがあり、 費用は税込89,000円という例が公表されています[6]

年齢の条件

受験・取得に必要な年齢
資格受験できる年齢免許を取得できる年齢
二級満15歳9か月から16歳から(16歳以上18歳未満は総トン数5トン未満に限定)
一級満17歳9か月から18歳から

つまり二級は、誕生日が早ければ中学3年生のうちに受験できます[5]。 5トン未満の限定は、18歳になれば手続きなしで外れます。

免許は入口にすぎない

短期間で取得できることは、海が易しいという意味ではありません。 海上には道路も信号も車線もなく、視界の悪化、うねり、 急な風の変化、エンジントラブルが即座に危険につながります。 気象・海象の判断、他船との見合い関係(航法)、 機関のトラブル対処は、実際の航海の中で身につけるしかありません。 出港前に天気図を見る習慣と、 引き返す判断ができるかどうかが、免許より大事だと言われます。

6. どうやって 魚を 見つけるの?

6. どうやって魚を探しているのか

6. 魚群探知機の原理とGPSプロッタ

さて、いちばん ふしぎな ところです。 海の 中は 見えないのに、船長さんは どうやって 魚の いる ばしょが 分かるのでしょう。

じつは、を つかって います。

船の そこから、下に むかって 音を 出します。 その 音は 海の 中を 進んで、何かに ぶつかると はねかえって、船に もどって きます。

もどって くるまでの 時間を はかると、 「どのくらい 下に 何かが ある」と 分かるのです。 魚の むれが いれば、画めんに かたまりが うつります。 これを 魚たん(ぎょぐんたんちき)と いいます。

コウモリが 音を 出して、まわりの ようすを 知るのと 同じ しくみです。

やって みよう

体いくかんや トンネルの ような ところで、大きな 声を 出すと、 少し おくれて 声が かえって きます(やまびこ)。 音が おそく かえって きたら、かべは 遠い。 早く かえって きたら、かべは 近い。 魚たんは、これを 水の 中で して いるのです。

海の中は見えません。それなのに、船長は「この下に魚がいる」と分かる。 種明かしをすると、道具を使っています。

魚群探知機(魚探)のしくみ

船底についた装置から、下に向けて 超音波 を出します。 音は水の中を進み、何かに当たると跳ね返って戻ってきます。 その戻ってくるまでの時間を測れば、 対象までの距離が計算できます。音が水中を進む速さが分かっているからです。

跳ね返り方の強さもヒントになります。

  • 強く返る → かたいもの(岩、海底)
  • ばらばらに返る → 魚の群れ
  • 魚の浮き袋(空気の袋)は音をよく返すので、魚は見つけやすい

これを連続して行い、時間の流れとして画面に描いていくと、 海底の地形と、その上を泳ぐ魚の群れが線や塊として見えてきます。 コウモリやイルカが音で周囲を知るのと同じ原理です。

魚探だけでは釣れない

ただし、魚探は「いま真下に何かがいる」と教えてくれるだけです。 船長はそこに、次のような知識を重ねています。

  • GPSで記録した、過去によく釣れた場所
  • 海底の地形(かけあがり、根、沈船のまわりに魚は集まる)
  • 潮の流れと時間帯
  • 水温
  • 鳥が集まっている場所(小魚が追われている印)

道具が教えるのは点の情報で、それを組み立てるのは人です。 何十年も同じ海に出ている船長が強いのは、そのためです。

水中は光がすぐ減衰するため、目視では深いところが見えません。 そこで使うのがです。水中では音がよく伝わります。

魚群探知機の原理

船底の振動子(トランスデューサ)から超音波のパルスを発射し、 反射波が戻るまでの時間 t を測ります。 水中の音速 c(およそ1500 m/s)が分かっていれば、対象までの距離は次で求まります。

距離 = c × t / 2

往復した時間なので2で割ります。これを短い間隔でくり返し、 横軸を時間、縦軸を深さとして描画すると、海底地形と中層の反射体が像として現れます。

魚が映りやすいのは、多くの魚が鰾(うきぶくろ)という気体の袋を持つためです。 気体と水では音響インピーダンス(音の通しにくさ)が大きく違うので、 境界で強い反射が起こります。

  • 強い連続した反射 → 海底
  • 点や小塊の集合 → 魚群
  • 反射の強さと分布から、魚の大きさや群れの密度を推定する

近年は、真下だけでなく左右や前方を走査するソナー、 船の周囲を立体的に表示する機器も普及しています。

位置を記録する

もう1つの柱がGPSです。GPSプロッタは自船の位置を電子海図上に表示し、 航跡や「よく釣れた地点(マーク)」を保存できます。 船長にとっての漁場情報は、座標として蓄積された経験そのものです。

ちなみに、GPSが正確に位置を出せるのは、 衛星の時計に相対性理論の補正を入れているからです。 この話は宇宙物理学の記事に書きました。 釣り船の画面の中で、アインシュタインの理論が働いているわけです。

それでも人の判断が要る

機器が示すのは反射の情報であって、「釣れる」ではありません。 潮の向きと速さ、水温、季節、海底地形、ベイト(餌になる小魚)の存在、 鳥山の位置、過去の実績。これらを重ねて船を止める場所を決めます。 センサーの出力を解釈するのは、いまのところ人の仕事です。

7. ねんりょうと 速さと 手入れ

7. 燃料、速さ、そして手入れ

7. 燃料計算、速度の単位、整備と安全

ねんりょうは どうして いるの?

船にも ガソリンスタンドの ような ものが あります。 マリーナに 「きゅうゆの ばしょ」が あって、そこで 入れます。 小さな ボートなら、タンクを 持って いって 入れて くる 人も います。

どのくらい 速いの?

小さな ボートは、思って いる より 速いです。 時速じそくに すると 50キロくらい 出る ものも あります。 自どう車と 同じくらいですね。 でも 海の 上なので、風や 波が あると とても 速く 感じます。

そうじや しゅうりは?

海の 水は しおからいので、きかいが すぐ さびます。 だから 帰って きたら、まっ水で あらいます。 エンジンも、ときどき 見て もらいます。

海は 楽しい ところですが、 きちんと 手入れを して いないと、こわれた ときに 大へんです。 歩いて 帰る ことが できないからです。

燃料

船の燃料は、エンジンの種類で変わります。 小型の船外機はガソリン、大きな船のディーゼルエンジンは軽油を使います。

給油は、マリーナや漁港にある給油設備で行います。 小型艇なら、携行缶で運んで入れることもあります。 道路を走らないので、車のようにどこにでもスタンドがあるわけではありません。 燃料の残りを自分で管理するのは、船に乗る人の基本です。

3分の1ルール

海でよく言われる目安があります。 行きに3分の1、帰りに3分の1、残り3分の1は非常用に取っておく。 海には歩いて帰る道がありません。 向かい風や潮に逆らうと、帰りは行きより燃料を食います。

速さ

船の速さは ノット で表します。1ノットは1時間に1海里(1852m)進む速さ。 時速でいうと約1.85kmです。

  • 小型のプレジャーボート:30ノット前後(時速55kmくらい)出るものが多い
  • 船宿の遊漁船:20ノット前後で走ることが多い

車と同じくらいの速度ですが、体感はまったくちがいます。 波を越えるたびに船体がたたかれ、しぶきが飛び、まっすぐ立っていられません。

手入れ

海水は金属をさびさせます。だから帰港したら、真水で洗います。 エンジンの中に海水を通す仕組みのものは、真水を吸わせて洗い流します。

  • 使うたび:真水で洗う、燃料の残りを確認する
  • ときどき:エンジンオイルや消耗品の交換、点検
  • 年に何回か:船を陸に上げて船底の掃除と塗装

こまめな手入れが必要なのは、海の上では 止まってしまったら歩いて帰れないからです。 手入れは、そのまま安全のためのものです。

ここまでは、自分の船を持つ場合の話でした。 では、船宿の船に乗せてもらうときは、何がちがうのでしょう。

燃料

船外機や小型の船内機はガソリン、 遊漁船を含む大型艇の多くはディーゼル(軽油)です。 補給はマリーナや漁港の給油施設で行い、小型艇では携行缶を使うこともあります。 陸上のようにスタンドが点在していないため、 航行計画の段階で燃料計算を済ませておく必要があります。

燃料消費は速度に対して直線的には増えません。 排水量型の船では、ある速度を超えると造波抵抗が急増し、 燃費が急激に悪化します。 「少し速度を落とすと燃料が大きく節約できる」のはこのためです。

3分の1ルール

往路3分の1、復路3分の1、予備3分の1。海で広く使われる燃料配分の目安です。 帰路は向かい風・向かい潮になることが多く、消費が増えます。 さらに、他船の救助や引き返しの可能性も見込む必要があります。

速度

速度の単位はノット(kt)。1ノット=1海里/時=1852 m/h です。

およその速度
巡航のめやす時速に直すと
小型プレジャーボート20〜30ノット程度およそ37〜55 km/h
遊漁船15〜25ノット程度およそ28〜46 km/h

具体的な速度は船型・エンジン・積載・海況で変わるので、 あくまで大まかな目安です。 同じ速度でも、波のある海面では体感と船体への負担がまったく違います。

整備

  • 塩害対策:帰港後の真水洗浄。海水冷却式エンジンは真水を通して塩分を流す
  • 定期整備:エンジンオイル、ギアオイル、インペラ(冷却水を送る羽根)、 プラグ、燃料フィルターなどの交換
  • 船底:上架しての清掃と船底塗装
  • 法定検査:小型船舶にも定期的な検査がある

自動車なら故障しても路肩に寄せられますが、 海上での機関停止は、そのまま漂流を意味します。 整備は快適さのためではなく、安全のための投資です。

ここまでは、自分で船を持つ場合の話でした。 では、船宿の船に乗せてもらうだけなら、何が違うのでしょうか。

8. 船やどの 船は 何が ちがう?

8. 船宿の船は、何がちがうのか

8. 遊漁船業法 ── 事業としての決まり

さいごに、船やどの 船の 話です。

お客さんを 乗せて、お金を もらって 海に 出る。 これは おしごとです。 だから、じぶんだけで 楽しむ ボートとは、 まもる きまりが ちがいます。

  • まず、県に とどけを 出して、みとめて もらう。
  • お客さんの あんぜんを 見る 人が、かならず 船に 乗る。
  • もしもの ときの ための ほけんに 入る。

ライフジャケットを かならず 着るように 言われるのも、 その きまりの ひとつです。 めんどうに 思うかも しれませんが、 あれは じぶんの いのちを まもる ための ものです。

最後に、船宿の船(遊漁船)の話です。 お客さんを乗せて、料金をもらって漁場へ案内する。これは事業です。 だから、個人が楽しむボートとは、守るべき決まりがちがいます。

遊漁船業を始めるには、都道府県知事の登録が必要です[8]。 そして次のようなことが義務づけられています[9]

  • 遊漁船ごとに 遊漁船業務主任者 を置き、お客さんの安全管理や漁場のルールの説明を担当させること
  • 事故に備えて、定員1人あたり5000万円以上の損害賠償保険などに入ること

乗る前にライフジャケットを渡され、注意事項の説明があるのは、 こうした仕組みがあるからです。面倒に見えても、命に直結する部分です。

船宿は、じつは小さなお店が多い

水産庁の資料によると、令和4年度時点で遊漁船業者の登録数は約1万3000件。 そのうち87%が船を1隻だけで営んでいます[10]。 つまり、1隻で営む小さな事業者がほとんど、ということです。

船長が操船から予約の受付、整備、経営までを兼ねている例も少なくありません。 朝、港で迎えてくれた人が、そのまま船長で整備士で経営者、ということが起こります。

遊漁船業は、遊漁船業の適正化に関する法律(昭和63年法律第99号) にもとづく事業です。船舶により乗客を漁場に案内し、 釣りなどで水産動植物を採捕させる営業がこれにあたり、 営業所ごとに都道府県知事の登録を受けなければなりません[8]

課される義務

  • 遊漁船業務主任者の確保:遊漁船ごとに置き、利用者の安全管理や採捕ルールの説明を行わせる[9]
  • 損害賠償保険への加入:定員1人あたり5000万円以上[9]
  • 業務規程の作成、標識の掲示、利用者名簿の備え付けなど

安全確保の強化を目的に、この法律は近年も改正されています[9]。 海難事故のたびに制度が見直されてきた分野だということです。

業界の姿

水産庁の資料によれば、令和4年度時点で遊漁船業者の登録数は約1.3万件。 そのうち72%が漁業協同組合の組合員で、 87%が使用船舶1隻という小規模事業者中心の構造です[10] (数字は年度によって変わるので、最新の値は水産庁の資料で確認してください)。

漁協組合員の割合が高いことからは、 漁業と兼業する形からこの業態が育ってきたことがうかがえます。 1隻で営む事業者では、船長が操船・予約管理・整備・接客・経営を 兼ねていることも珍しくありません。

乗る側にできること

登録を受けた遊漁船には標識が掲げられています。 予約するときに、登録の有無、保険、当日の中止基準を確認するのは失礼ではありません。 むしろ、きちんとやっている船宿ほど、はっきり答えてくれます。 そして、ライフジャケットは必ず着用する。これは法的にも定められています。

じぶんでも やって みる

9. 自分でも調べてみたくなったら

9. 自分でも調べてみたくなったら

船は 近くで 見ると、とても おもしろい きかいです。

  • 港へ 行って、船を 見て みる。 よこに 書いて ある 名前や ばんごうを 読んで みましょう。
  • 船の うしろを 見る。エンジンが 外に ついて いる 船と、 中に 入って いる 船が あります。
  • り船に 乗る きかいが あったら、 そうだんして、ハンドルの まわりに ある 画めんを 見せて もらう。 海の そこの かたちが うつって います。

港では、走らない。ロープを またがない。 海に 落ちないように、大人の 近くに いましょう。

船は、近くで見るとよくできた機械です。しかも、見学はただでできます。

  • 港に行って船を眺める。船体に書かれた名前や番号、船尾の形、 エンジンが外についているか(船外機)中にあるか(船内機)を見比べる。
  • 釣り船に乗る機会があれば、操縦席の画面を見せてもらう。 魚探とGPSプロッタに何が映っているか、船長に聞いてみる。 出船前の忙しい時間や、操船中の声かけは避けて、帰港して片づけが済んだころに。
  • マリーナのウェブサイトで保管料を調べてみる。 「船を持つ」ということの現実的な数字が見えてきます。
  • 水面に浮かぶものを見たら、なぜ浮くのかを考えてみる。 鉄でできた大きな船が浮くのはなぜでしょう。

港は作業をしている場所です。走らない、ロープをまたがない、 岸壁のふちに立たない。見学は大人と一緒に。

この記事は、製造・価格・制度・技術・安全にまたがりました。 どの入口からでも、もっと深く掘れます。

調べる入口

考えてみると面白いこと

  • 鋼鉄の船が浮く理由(浮力と平均密度)
  • 速度を上げると燃費が急に悪くなるのはなぜか(造波抵抗)
  • 魚探の分解能は何で決まるか(周波数と波長の関係)
  • なぜ船には「右側通行」に似た決まりがあるのか(海上衝突予防法)

検索するときは「小型船舶 検査」「遊漁船業法 改正」「船底塗料 規制」 「魚群探知機 原理 周波数」のように、 制度の側と技術の側の両方から当たると資料が見つかります。

メモのすすめ

次に船に乗ったら、出港から帰港までの時間、だいたいの速度、 釣れた場所の水深を書いておくと、あとで地図と重ねられます。 船長がなぜそこで船を止めたのかが、少し見えてきます。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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  1. 有限会社 浦田造船所(FRP高速船・遊漁船・プレジャーボートの製造販売) https://www.urata-zousen.com/ (遊漁船を建造している造船所の例)
  2. 鹿児島県水産技術開発センター資料「第2節 FRP漁船の導入と普及」 PDF (木造からFRPへの移行、1968年のFRP漁船の建造費)
  3. Boat Dreams「プレジャーボート新艇価格完全ガイド」「クルーザーの値段はいくら?」 新艇価格価格と維持費 (新艇価格と年間維持費の目安。販売関係のメディアによる数字)
  4. 日本海洋資格センター「小型船舶免許は何歳から?費用は?種類は?」 https://jml-gr.jp/about-small (一級と二級の違い、20トン未満、5海里、受験年齢、国家試験免除)
  5. 日本海洋レジャー安全・振興協会「小型船舶免許の取得、更新」 https://www.jmra.or.jp/license (受験・取得に必要な年齢、16歳以上18歳未満の5トン未満限定)
  6. スズキマリン「2級小型船舶操縦士免許取得コース・料金」 https://suzukimarine.co.jp/license/fresh/class2/ (2日間・税込89,000円という取得費用の例)
  7. 国土交通省「海事:免許制度」 https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000006.html (小型船舶操縦士免許の制度そのもの)
  8. 岡山県「遊漁船業について」 https://www.pref.okayama.jp/page/detail-48835.html (遊漁船業の定義と、都道府県知事の登録)
  9. 水産庁「改正遊漁船業法について ~より安全・安心な遊漁船業を目指して~」 PDF (遊漁船業務主任者、損害賠償保険5000万円以上などの義務)
  10. 水産庁「遊漁船業の現状」 PDF (登録件数約1.3万件、1事業者あたりの船舶数、漁協組合員の割合)

なおした ところ

更新履歴

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