1. つめたいと、なんで くさりにくいの?
1. 冷たいと、なぜ傷みにくいのか
1. 低温と微生物 ── 代謝が止まる
たべものが くさるのは、目に 見えない 小さな 生きもの (びせいぶつ)が、たべものの 中で どんどん ふえるからです。
この 小さな 生きものたちは、あたたかい ところが すきです。ふゆの さむい 日に、こたつから 出たく なく なって、からだが うごきにくく かんじる ことが ありますね。 あれと にた ように、小さな 生きものも、おんどが ひくく なると うごきが にぶく なり、ふえる スピードも おそく なります。じゅうぶんに つめたく すると、ほとんど うごけなく なるのです。
食べ物が腐る原因
食べ物が腐るのは、目に見えない小さな生き物(微生物)が、 食べ物の中でどんどん増えるからです。
温度が下がると動きが鈍る
この小さな生き物たちは、あたたかい場所が好きです。温度が 下がると、体の中の化学反応がゆっくりになり、増えるスピード も遅くなります。マイナス18℃以下まで冷やすと、ほとんどの微生物は 活動を止めて眠ったような状態になります。
食品の腐敗は、微生物が食品中の栄養を利用して増殖することで 進行します。微生物の増殖速度は、体内の酵素反応の速度に 依存しており、酵素反応の多くは温度が低いほど遅くなります。
マイナス18℃以下という冷凍食品の標準的な保存温度では、ほとんどの 微生物は代謝活動をほぼ停止し、休眠状態に入るか、時間の 経過とともに徐々に死滅していきます。ただし、これは微生物を 完全に死滅させているわけではなく、活動を止めているだけだと いう点には注意が必要です。
2. 水が こおると、生きものが つかえなくなる
2. 水が凍ると、微生物が使えなくなる
2. 水分活性 ── 凍った水は使えない
小さな 生きものが ふえる ためには、水が ひつようです。 でも、たべものの 中の 水が こおって 氷に なって しまうと、生きものは その 水を つかう ことが できなく なります。
つめたく する ことと、水を こおらせる こと。この 2つが いっしょに おきる ことで、たべものは くさり にくく なるのです。
微生物にも水が必要
小さな生き物が増えるためには、水が必要です。でも、食べ物の 中の水が凍って氷になってしまうと、微生物はその水を使う ことができなくなります。
温度低下と凍結、2つの効果
冷やすことと、水を凍らせること。この2つの効果が同時に 起きることで、食べ物はいっそう腐りにくくなるのです。
食品中の水分のうち、微生物が実際に利用できるのは、他の 分子と結びついていない「自由水」だけです。食品中の自由水の 割合を示す指標を「水分活性(Aw)」と呼び、一般にAwが0.70 以下になると、ほとんどの微生物は増殖できなくなります [1]。
食品を凍結させると、内部の自由水が氷という固体に変わり、 微生物が代謝に利用できる状態ではなくなります。低温による 代謝抑制と、水分活性の低下という2つの効果が同時に働く ことで、冷凍は常温保存よりはるかに強力な保存手段になって います。
3. こおりの つぶの 大きさが だいじ
3. 氷の粒の大きさが、味を左右する
3. 氷結晶のサイズ ── 急速凍結と緩慢凍結
水は こおると、大きさが やく1わり ふえます。 ゆっくり こおらせると、大きな こおりの つぶが でき、 たべものの さいぼう(体を つくる 小さな へや)を きずつけて しまいます。
はやく こおらせると、こおりの つぶが 小さいまま すむので、さいぼうが きずつきにくく、とけた ときの あじや しょっかんも たもたれます。
れいとうこで こおらせた やさいと、生の やさいを くらべて みましょう。こおらせた ほうは、とけた あとに 水が 出て、すこし しょっかんが かわって いる ことが あります。
凍るとふくらむ水
水は凍ると、体積(大きさ)が約1割ふくらみます。ゆっくり 凍らせると、大きな氷の粒ができて、食べ物の細胞(体を作る 小さな部屋)を物理的に傷つけてしまいます。
急速冷凍なら、粒が小さい
いっぽう、短い時間で急いで凍らせると、氷の粒は小さいまま で済むので、細胞が傷つきにくく、とけたときの味や食感も よく保たれます[2]。冷凍食品を とかしたときに出てくる水(ドリップ)は、この細胞の傷から もれ出たものです。
4. 急速れいとうを 見つけた 人の はなし
4. 急速冷凍を発見した人の物語
4. クラレンス・バーズアイ ── イヌイットの知恵から
1912年、アメリカ人の クラレンス・バーズアイさんは、 カナダの きたの ほうで、けがわの しごとを して いました。
その 土地に すむ 人たちが、さかなを こおらせて、なん か月も あとに たべても、とりたての ような あじが する ことに 気づきました。とても さむい ところで、 さかなが あっと いう まに こおって いたのです [3]。バーズアイさんは、この 「はやく こおらせる」やりかたを きかいで さいげんし、 れいとうしょくひんを 生み出しました。
カナダ北部での発見
1912年、アメリカ人のクラレンス・バーズアイは、カナダ 北部のラブラドル地方で毛皮交易の仕事をしていました。
「とれたての味」のひみつ
彼は1914年、その土地に住む人たちが、氷点下約40℃の外気の 中で釣った魚を凍らせ、何か月もあとに解凍して食べても、 とれたてのような味と食感を保っていることに気づきました [3]。非常に寒い環境で、魚が あっという間に凍っていたことが理由でした。
機械で急速冷凍を再現する
バーズアイは、この「急速に凍らせる」仕組みを機械で再現 しようと考え、1925年に会社を設立して急速冷凍機を開発 しました。1930年には、彼の技術を使った冷凍食品が初めて 一般向けに販売されました[3]。
クラレンス・バーズアイ(1886〜1956年)は、1912年から カナダ・ラブラドル地方で毛皮交易に従事していました。 1914年、彼は現地のイヌイットが、氷点下40℃前後の外気の 中で氷穴釣りをした魚を凍らせ、数か月後に解凍して食べても、 ニューヨークで売られている冷凍魚よりもはるかに新鮮な味と 食感を保っていることに気づきました[3]。
彼はこの経験から、緩慢凍結が細胞にダメージを与える一方、 低温下での急速凍結は細胞損傷を抑えられることを見抜き ました。1925年にマサチューセッツ州グロスターでゼネラル・ シーフード社を設立し、ステンレス製ベルトで食品を急速凍結 する「ダブルベルト冷凍機」を開発、米国特許第1,773,079号を 取得しました[3]。1929年に会社を 売却したのち、1930年3月6日、マサチューセッツ州 スプリングフィールドの店舗で、この技術による冷凍食品が 初めて一般向けに販売され、現代の冷凍食品産業の出発点と なりました[4]。
5. マイナス18ど、って なんで?
5. マイナス18℃、という基準の理由
5. マイナス18℃という保存基準 ── 再結晶化を防ぐ
れいとうしょくひんの おんどは、マイナス18ど いかに たもつ ことが きまりに なって います[5]。
いちど 小さく こおらせても、おんどが 上がったり 下がったり すると、小さな こおりの つぶが くっついて 大きく なって しまいます。マイナス18ど いかを ずっと たもつ ことで、この へんかを ふせいで いるのです。
6. れいとうしても、かんぜんには とまらない
6. 冷凍しても、完全には止まらない
6. 冷凍保存の限界 ── 停止であって、死滅ではない
れいとうは、生きものの うごきを 止める ことは できますが、 すべての 生きものを 死なせる わけでは ありません。
だから、とかした あとは、はやめに たべる ひつようが あります。とかして、また れいとうする ことは、 あじや あんぜんの めんで おすすめされて いません。
微生物は死んでいない
冷凍は、微生物の活動を止めることはできますが、すべての 微生物を死なせるわけではありません。
再冷凍がおすすめされない理由
そのため、解凍したあとは早めに食べるようにします。 解凍したものをもう一度冷凍し直すことは、味や安全性の 面でおすすめされていません[6]。
冷凍による微生物の抑制は、あくまで代謝活動の停止であり、 殺菌ではありません。冷凍中に休眠状態になった微生物の 一部は、解凍後に温度が上がると再び活動を始めます [6]。
そのため、解凍後はできるだけ早く調理・喫食することが 推奨されます。一度解凍した食品を再冷凍することは、 微生物の再増殖の機会を増やすだけでなく、氷結晶の再形成 による品質劣化も引き起こすため、避けるべきとされています。
じぶんでも やって みる
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの れいとうこの おんどを、おうちの人と いっしょに たしかめて みましょう。
きょう できる こと
- れいとうこの おんどを しらべる。 れいとうこの せっていが マイナス18ど いかに なって いるか、おうちの人と かくにんして みましょう。
- こおらせた やさいの しょっかんを くらべる。 れいとうした やさいと 生の やさいを くらべて、 しょっかんの ちがいを かんさつして みましょう。
きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「きゅうそくれいとうって なに?」だけで じゅうぶんです。
おうちの冷凍庫の温度を、おうちの人といっしょに確かめて みましょう。
今日できること
- 冷凍庫の温度を調べる。 冷凍庫の設定がマイナス18℃以下になっているか、おうちの 人と確認してみましょう。
- 凍らせた野菜の食感を比べる。 冷凍した野菜と生の野菜を比べて、食感の違いを観察して みましょう。
気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口に なります。「水分活性って、他の食べ物にも関係あるの?」 だけでも十分です。
家庭用冷凍庫の設定温度や、購入した冷凍食品のパッケージに 書かれた保存方法を確認してみると、この記事の内容が実感 として理解しやすくなります。
手を動かして確かめる
- 家庭での急速冷凍を試してみる。 食品を薄く小分けにして金属トレーにのせて冷凍すると、 厚みのある塊のまま冷凍するより早く冷えやすく、氷結晶を 小さく抑えやすくなります。
- 水分活性の考え方を、他の保存方法と比べてみる。 乾物や塩漬け、砂糖漬けなども、水分活性を下げることで 食品を保存する方法です。冷凍との共通点を考えてみま しょう。
一次情報にあたる
食品衛生に関する情報は、消費者庁や農林水産省の公式サイトで も公開されています。家庭での冷凍・解凍の注意点を、あわせて 確認してみてください。
気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。 「冷凍は殺菌ではなく停止」という違いでもかまいません。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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出典について:Wikipediaは百科事典、ニチレイは食品メーカーの研究情報サイト、foodmicrob.comは食品微生物学の専門家(木村凡氏)による解説サイト、FAOは国際連合食糧農業機関、Deutschlandfunkはドイツの公共ラジオ局です。
- foodmicrob.com「水分活性と微生物の増殖」(木村凡)。 https://foodmicrob.com/water-activity/ (水分活性(Aw)の定義と、微生物の増殖限界(Aw0.70以下)についての解説)
- ニチレイ「冷凍の基礎知識」。 https://www.nichirei.co.jp/research/antifreeze-protein/base.html (氷結晶の成長と食品品質への影響、保存中の再結晶化の仕組みについての解説)
- Wikipedia「クラレンス・バーズアイ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/クラレンス・バーズアイ (ラブラドル地方での発見、急速冷凍機の開発、特許取得についての解説)
- Deutschlandfunk, “90 Jahre Tiefkühlkost: Siegeszug des Schockgefrierens”(ドイツ語)。 https://www.deutschlandfunk.de/90-jahre-tiefkuehlkost-siegeszug-des-schockgefrierens-100.html (1930年3月6日、スプリングフィールドでの現代的な冷凍食品の一般販売開始についての解説)
- FAO, “Recommended International Code of Practice for Frozen Foods”(英語)。 https://www.fao.org/4/Y0681E/y0681e07.htm (急速冷凍食品をマイナス18℃以下に保つという国際規格についての解説)
- foodmicrob.com「冷凍と微生物の死滅」(木村凡)。 https://foodmicrob.com/freezing-microbial-survival/ (冷凍による微生物の休眠・死滅のメカニズム、急速凍結と緩慢凍結の違いについての解説)
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