このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

オーロラが 見えた よる、スマホの いちが ずれた ── 磁気嵐じきあらしで なにが おきたの?

オーロラが見えた夜、スマホの位置がずれた ── 2024年5月の磁気嵐は、くらしに何をしたのか

2024年5月の磁気嵐と測位誤差 ── 電離圏の乱れが、GNSS・短波・衛星・送電に及ぼした影響

分野:宇宙・天文

2024ねん5がつ、日本でも オーロラが さつえい された よるが ありました。その おなじ ころ、スマホの いちの じょうほうが ずれた かもしれない じかんたいも ありました。

そらの うえの できごとが、どうして 地めんの スマホに かんけい するのでしょう。この きじを よむと、磁気嵐じきあらしが くらしの なにに ひびいて、なにには ひびきにくかったのかが わかります。

2024年5月、日本でも中緯度としては珍しくオーロラが撮影された夜がありました。同じ嵐のさなか、カーナビやスマホの位置情報は、誤差が大きくなった可能性のある時間帯を迎えていました。

空の上の出来事が、なぜ地上の位置情報に響くのでしょうか。しかも、測量に使う方式はほとんど影響を受けませんでした。この記事を読むと、磁気嵐の影響が電波の種類や場所によって大きく変わることが分かります。

2024年5月、日本上空を通過した電離圏の乱れは、一般的な測位方式の誤差を増やした。一方、同じ嵐の間に、2周波方式の測量では特段の精度低下は確認されていない[2]。

同じ磁気嵐なのに、なぜ影響に差が出たのか。このメモを読むと、GNSS・短波通信・人工衛星・送電の4つで、影響の出方が違う理由と、日本と海外の事例の差が分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. そらに オーロラが ひろがった よる、なにが とどいたの?

1. 南の空にオーロラが出た夜、太陽から何が届いたのか

1. 2024年5月の一連のフレアと、11日未明の到来

ことしの はじまりは、太陽の 大きな 爆発ばくはつ(フレア)でした。2024ねん5がつ8日から 15日までに、大きい ほうの クラスの フレアが 13かいも おきました[1]。

そのあと、太陽から とんだ ガスが、5がつ11にちの ごぜん1じはんごろ、地きゅうの まわりに とどきました[1]。地きゅうは、ぜんたいが 大きな 磁石じしゃくの ような ものです。ガスが ぶつかって、その まわりが ゆれました。それが 磁気嵐じきあらしです。

日本の 観測かんそくじょでは、ゆれの 大きさを あらわす 目もりが、10だんかいの 上から 2ばんめの「8」に なりました。この 大きさは やく19ねんぶりです[1]。この ころ、日本を ふくむ あちこちで オーロラが さつえい された と いう ほうこくが ありました[1]。

では、そらの ゆれは、地めんの くらしにも とどいたのでしょうか。

フレアの連続と、翌日の到来

きっかけは、太陽の表面で起きた爆発、太陽フレアです。NICT(情報通信研究機構)のまとめでは、2024年5月8日から15日の間に、大きな規模を表すXクラスのフレアが13回起きました。Xクラス以上が72時間に7回起きたのは、1975年に始まったGOES衛星の観測で初めてでした[1]。

約19年ぶりの大きさ

フレアに伴って噴き出した太陽のガス(コロナガス)は、日本時間の5月11日1時半ごろに地球周辺へ届きました。太陽風の速さは毎秒770km、磁場の強さは72nTまで急に上がりました[1]。地球の磁場が乱れる現象が磁気嵐で、気象庁の地磁気観測所(柿岡)では、乱れの大きさを示すK指数が10段階中で上から2番目の「8」を4回記録しました。K指数8が観測されたのは、2005年8月以来、約19年ぶりです[1]。

NICTの表には、日本など中緯度を含む世界各地でオーロラが観測された、という報告が多数あったとも書かれています[1]。

ただ、空の上の乱れが地上のくらしにまで及んだのかは、この時点では分かりません。次の章から、順に見ていきます。

2024年5月8日から15日の間に、Xクラスのフレアは13回発生した。72時間にXクラス以上が7回起きたのは、GOES衛星による観測(1975年〜)で初めてで、最大は15日のX8.7、これは太陽活動周期25で最大の規模だった[1]。

ここから磁気嵐に至る道すじは、次のとおりだ。フレアとともに放出されたコロナガスは、日本時間11日1時半ごろ地球周辺に到来し、太陽風速度は770km/s、磁場強度は72nTへ急上昇した。柿岡の観測では、11日2時5分に急始型の地磁気嵐が始まり、K指数は上から2番目の「8」が4回記録された。K指数8は2005年8月以来で、約19年ぶりの大規模な嵐だった。地磁気水平成分の最大変化量は約532nTで、嵐は14日13時ごろに終わっている[1]。

ここで注意したいのは、K=8が最大ではなく、10段階の上から2番目という点だ。ちなみにNICTの表は、日本など中緯度を含む世界各地でオーロラが観測されたとの報告が多数あったと記す[1]。では、この空の乱れは、地上の道具にどう現れたのか。

2. おなじ よる、スマホの いちが ずれたのは なぜ?

2. 同じ夜、スマホの位置情報はなぜずれたのか

2. 電離圏じょう乱と一般測位の誤差

カーナビや スマホは、そらの 人工えいせいの 電波で、いま いる ばしょを しらべます。

5がつ11にちから 12にちに かけて、この ふつうの しらべかたでは、ずれが 大きく なった かもしれない じかんたいが ありました[2]。「つかえなくなった」のでは なく、「ずれが 大きい じかんが あったかも しれない」と いう ことです。

この よる、日本の 上空を、電気を おびた 空気の みだれ(電りけんの みだれ)が とおった と いわれます[1]。夏の アスファルトの 上で、かげろうが けしきを ゆらして 見せる のに、すこし にて います。ただし ほんとうは、目に 見える ひかりの はなしでは なく、目に 見えない 電波の はなしです。

おなじ あらしの なかで、これに まけなかった しらべかたも ありました。

「使えない」ではなく「ずれた」

国土地理院によると、カーナビやスマホなどが使う一般的な測位方式では、5月11日から12日にかけて誤差が大きくなった可能性のある時間帯がありました。つくばのデータでは、日本時間の11日9時ごろから12日6時ごろです[2]。位置が全く分からなくなったのではなく、誤差が大きい時間があったかもしれない、という報告です。

電波の通り道が乱れた

NICTのまとめでは、11日夜から12日明け方にかけて、電離圏(大気の上のほうの、電気を帯びた層)の乱れが日本上空を通り、その時間帯に測位誤差の増大が確認されました[1]。人工衛星の電波は、この層を通って地上に届きます。

夏のアスファルトの上で景色がゆらいで見える「かげろう」に、少し似ています。ただし、かげろうは目に見える光の話で、電離圏の乱れは目に見えない電波の話です。仕組みは同じではありません。

電離圏の乱れは、地上に基準局を置いて位置を細かく求めるRTK測位などにも、影響した可能性があります[1]。米国では、GPSを使う農機による植え付けに影響が出たとも報告されました。ただし、これは米国の報道を通じて表に載った二次情報で、詳しい状況までは分かりません[1]。

ところが、同じ嵐の間にも、精度を保った測位方式があります。

国土地理院によれば、カーナビやスマホなどが使う一般的な測位方式では、5月11日から12日にかけて誤差が生じた可能性がある。つくばのデータでは日本時間11日9時ごろ〜12日6時ごろにあたる[2]。「GPSが使えなくなった」のではなく、誤差が拡大した可能性のある時間帯があった、という記述だ。

この時間帯は、電離圏じょう乱の通過と重なる。NICTのまとめでは、11日夜〜12日明け方に電離圏じょう乱が日本上空を通過し、その間に、後処理キネマティック解析で算出した測位誤差の増大が確認された[1]。衛星からの電波は電離圏を通って地上に届くため、その層が乱れれば、電波の伝わり方も乱れる。なお、基準局を使うRTK-GNSSなどの相対測位にも影響した可能性がある。

米国ではGPSを使う農機の植え付けに影響が出たと報告されたが、これは報道経由の二次情報で、NICTの表に記された以上のことは分からない[1]。それでは、なぜ同じ嵐で、影響を受けない方式があったのか。

3. おなじ あらしでも、そくりょうは へいきだったのは なぜ?

3. 同じ嵐でも、測量の位置は保たれた ── 2つの周波数の工夫

3. 2周波方式は、なぜ電離圏の乱れに強いのか

家や 道を はかる 「そくりょう」では、ものすごく こまかい いちが ひつようです。この しごとで つかう 方しきは、ちがいました。

2つの ちがう しゅるいの 電波を、いっしょに つかいます。そうして、電りけんの みだれで できる ずれを 見つもって、なおして います[2]。

国土ちりいんの しらべでは、この 方しきでは、とくべつな せいどの ていかは かくにん されて いません[2]。

あらしの しくみを しって、その ぶんだけ ふせぐ くふうが、ちゃんと あった のです。

では、目に 見えない 電波を つかう ほかの くらしは、どうだったのでしょう。

電波を2つ使って、乱れを差し引く

測量などに使う2周波方式は、2つの周波数の電波を同時に使い、電離圏の乱れを補正しています。国土地理院の第1報では、この方式に特段の精度低下は確認されていません[2]。

一般向けの方式が誤差を増やした時間帯に、測量の方式は補正の仕組みで持ちこたえた。同じ嵐でも、道具の設計によって影響が違ったことになります。

ただし、これは国土地理院の第1報の内容で、すべての測量現場の結果ではありません。補正の詳しい原理は、この記事で使った資料には書かれていないので、ここでは触れません。

電波を使う道具は、位置情報だけではありません。次は、ラジオや無線です。

測量などに使う2周波方式は、2つの周波数の電波を同時に使って電離圏の乱れを補正している。国土地理院の第1報は、この方式について特段の精度低下は確認されていない、と報告する[2]。

ここから分かるのは、嵐の影響の大きさが、電波の種類だけでなく、受信側の設計にも左右されるという点だ。一般的な方式では誤差が増えた時間帯に、2周波方式は補正で精度を保った。ただし、補正の原理そのものは、今回使った資料には示されていない。この差を、位置情報の道具ごとに整理しておくことが、次の章の前提になる。

電波のもう1つの使い道、短波通信は、位置情報とは別のかたちで影響を受けた。

4. たんぱの むせんが とぎれたのは、あらしの せい?

4. 短波の無線が途切れたのは、磁気嵐のせいなのか

4. デリンジャー現象 ── フレアの直後に起きる、磁気嵐とは別の現象

とおくと おしゃべりできる、たんぱの むせんという ものが あります。5がつ8日から 15日に かけて、この たんぱが 電りけんに すいこまれる げんしょうが、日本の あちこちで 12かいほど 見つかりました[1]。

この げんしょうを「デリンジャーげんしょう」と いいます。おきて いた あいだは、たんぱの つうしんが とぎれた かのうせいが 高い と されます[1]。

じつは これは、磁気嵐じきあらしが とどく より まえの、フレアの ひかり(X線)が げんいんです。おなじ 太陽の できごとでも、べつの しくみが あるのです。

ひこうきの ほうは、けいかいの たいせいや ルートの へんこうは ありました。でも、うんこうを やめた ほうこくは ありません[1]。

フレアの光が起こす、別の現象

短波は、遠くまで届く無線通信の電波です。NICTによると、5月8日から15日に、短波が電離圏で吸収されるデリンジャー現象が日本各地で12回ほど観測されました。その時間帯は、短波通信が途絶した可能性が高いとされています[1]。アマチュア無線の短波通信にも影響があったという報告があります。

ここで大事なのは、デリンジャー現象は、フレアが出すX線が原因の現象で、地球の磁場が揺れる磁気嵐とは別のものだということです。同じ太陽の爆発でも、光が届く時間と、ガスが届く時間はちがい、影響の出方もちがいます。

航空への影響は限られていた

航空関連では、警戒態勢や航路の変更はありましたが、運航休止などの影響は報告されていません[1]。

ここまでは地上の電波の話でした。では、宇宙にある人工衛星は、どうだったのでしょう。

デリンジャー現象は、フレアのX線で電離圏の下部が電離し、短波が吸収される現象だ。NICTによれば、5月8日〜15日に日本各地で12回ほど観測され、その時間帯は短波通信が途絶した可能性が高い。アマチュア無線の短波通信に影響が出たとの報告もある[1]。

この現象は、フレアの直後にX線が届いて起きる。CMEの到来で起きる磁気嵐とは、原因も起こる時刻も別だ。つまり、太陽の爆発1回でも、光による影響と、ガスによる影響が、別々の道すじで地上に届くことになる。

航空関連では、警戒態勢や航路変更はあったが、運航休止などの影響は報告されていない[1]。では、大気の外を回る人工衛星は、この嵐でどうなったのか。

5. 人工えいせいは、あらしで なにが かわるの?

5. 宇宙にある人工衛星は、嵐で何が変わるのか

5. 衛星高度の低下と大気抵抗 ── 2022年スターリンクの事例を中心に

人工えいせいが まわって いる ところにも、ごくうすい 空気が あります。あらしの とき、その うすい 空気の ていこうが ふえる ことが あります。

2024ねん5がつには、日本の ソニーの えいせい「EYE」が 400メートル ひくく なり、きかいの リセットも おきた と ほうこく されました[1]。ただし、これが あらしの せいだと はっきり きまった わけでは ありません。

2022ねん2がつには、うちあげ られたばかりの スターリンクという えいせい 49きの うち、さいだい 40きが、つぎの 日の あらしの えいきょうで 大気けんに もどり、もえて しまいました[3]。

SpaceXは、この えいせいは ほかの えいせいと ぶつかる きけんは なく、大気の なかで もえる せっけいだと せつめいしました[3]。

では、いちばん おそろしい あらしなら、まちの でんきは どう なるのでしょう。

薄い大気の抵抗が増える

人工衛星が飛ぶ低い軌道にも、ごく薄い大気があります。磁気嵐が上層大気を暖めると、低い軌道での大気抵抗が増えるとされます[3]。

2024年5月には、ソニーの人工衛星EYEで、高度が400m下がり、姿勢制御の機能がリセットされたと、NICTの表に記されています。ただし、表の記述は簡潔で、原因が嵐だと決まったわけではありません[1]。

2022年のスターリンク

2022年2月3日に打ち上げられたスターリンク49機のうち、最大40機が翌4日の磁気嵐の影響で大気圏に再突入しました。大気抵抗は過去の打ち上げより最大50%高く、衛星は安全モードから抜けて高度を上げられなかった、とSpaceXは説明した、とEarthSkyは伝えています[3]。SpaceXは、再突入した衛星は他の衛星との衝突リスクがなく、大気中で燃え尽きる設計だとも述べています。

電波も、衛星も、影響を受けることが分かりました。では、いちばん身近な電気、送電はどうなのでしょうか。

磁気嵐が上層大気を暖めると、低軌道の大気抵抗が増える。2024年5月には、ソニーの人工衛星EYEの高度が400m低下し、姿勢制御系の機能がリセットされたとNICTの表は記すが、表の記述は簡潔で、原因が嵐であるとは断定されていない[1]。

より明確な事例が、2022年のスターリンクだ。2月3日に打ち上げられた49機のうち最大40機が、翌4日の磁気嵐の影響で大気圏に再突入した。SpaceXの声明によると、大気抵抗は過去の打ち上げより最大50%高く、衛星は安全モードから抜けて軌道を上げる操作ができなかった。また同社は、再突入した衛星は他衛星との衝突リスクがなく、大気中で燃え尽きる設計だと説明した[3]。

ただし、この数字はSpaceXの声明を報じたEarthSkyにもとづく二次資料で、SpaceXの一次発表そのものは参考にしていない。宇宙の電気機器の影響は分かった。では、地上の電力網はどうか。

6. あらしで、ていでんは おきるの?

6. 磁気嵐で停電は起きるのか ── 日本、海外、そして最悪の想定

6. 送電網への影響 ── 1989年ケベックと、2024年の日本

2024ねん5がつの あらしでは、日本の 電力に とくに ひがいは ほうこく されて いません[1]。

でも、どこでも そうとは かぎりません。1989ねん3がつ13日、つよい あらしで、カナダの ケベックの でんきの ネットワークが 90びょうほどで くずれました。やく 600まん人が、9じかんほど ていでんしました[5]。長い 電せんに ながれた 電気が げんいんと される そうです。

アメリカの NOAAは、あらしを G1から G5の 5だんかいに わけて います。いちばん つよい G5では、電力の ネットワークが くずれる ことも あるとされ、11ねんの あいだに 4かいほど おきるそうです[4]。

こうした じょうほうを、国の きかんが つねに 見はって います。

2024年5月、日本では

NICTのまとめでは、2024年5月の嵐で、日本の電力への影響は特に報告されていません。ニュージーランドでは、事前に一部の送電サービスを止めましたが、影響はありませんでした。米国では、NOAAが電力・短波通信・GPSに影響が見られたと報告しています[1]。

1989年、ケベックの停電

1989年3月13日、強い磁気嵐でカナダ・ケベックの送電網が約90秒で崩壊し、約600万人が約9時間停電したと、NOAAは説明します。NOAAは、多くの人が数日間停電した、とも書いています[5]。高緯度で長い送電線に、誘導された電流が流れたことが原因とされます。

最悪の想定 ── G5

NOAAは、磁気嵐をG1から5の5段階で示しています。最も強いG5では、電力網の崩壊や変圧器の損傷、短波通信の長い途絶、衛星測位の精度が数日間下がる可能性が示されます。G5は11年ほどの太陽活動周期に約4回とされます[4]。数字は米国の地名や頻度にもとづき、日本の状況を直接示すものではありません。

こうした太陽の今を、日本ではNICTが伝えています。最後の章で、その見方に触れます。

2024年5月の嵐で、日本の電力への影響は特に報告されていない。ニュージーランドは事前に一部の送電サービスを止めたが影響はなく、米国ではNOAAが電力・HF通信・GPSへの影響を報告した[1]。

これに対し、1989年3月13日にはカナダ・ケベックの送電網が約90秒で崩壊し、約600万人が約9時間停電した。ただし、NOAAは「多くは数日間」とも書いており、復旧時間の表現には差がある。原因は、高緯度で長い送電線に誘導電流が流れたことだとされる[5]。日本と同じ状況とは限らない。

NOAAのG1〜G5では、G5に電力網の崩壊、変圧器の損傷、HF通信の1〜2日の途絶、衛星測位の精度が数日間低下する可能性が想定され、約11年の周期に約4回起きるとされる。これは米国の地名・頻度にもとづく尺度で、日本の停電を直接示すものではない[4]。では、こうした事態を、私たちはどう見張っているのか。

7. たいようの きょうを のぞいて みよう

7. 太陽の「今日」を見てみる

7. 出口 ── 宇宙天気予報を読む、資料の入り口

NICTでは、太陽の ようすを しらせる「うちゅうてんきよほう」を だして います[6]。

おうちの 人と、パソコンや タブレットで「NICT うちゅうてんきよほう」と けんさく してみましょう。「しずか」「かっぱつ」のように、太陽の ようすが しめされて います。ノートに その ひの ようすを かいて、1しゅうかん つづけても おもしろいです。

きょうの ようすが しずかなら、それで いいのです。じきに、大きな フレアの ニュースを 見た ときに、その ページを もう 一ど ひらいて みて ください。

NICTは、太陽の現況や予報を「静穏」「活発」などのレベルで公開しています[6]。パソコンやタブレットで、「NICT 宇宙天気予報」と検索して、今日の様子を見てみましょう。ノートに毎日のレベルを書きとめて1週間続けると、変化が見えてきます。

今日が「静穏」でも、それでいいのです。大きなフレアのニュースが流れた日に、もう一度ページを開くと、その日の空の上の様子を、自分の目で確かめられます。

ニュースや予報の数字を読むときは、それが米国の基準なのか、日本の観測なのか、出どころを見ると、記事の見え方が変わります。

NICTの宇宙天気予報のページは、太陽の現況と予報を「静穏」「活発」などのレベルで公開している[6]。日本語のまま読めるので、ニュースで大きなフレアが報じられた日に開き、記事の内容と見比べるとよい。

原典に当たるなら、NICTの2024年5月の整理(出典[1])が、日本の観測を軸に、電離圏・短波・衛星・電力をまとめた資料になる。海外の資料としては、NOAAの尺度の説明[4]と、1989年の事例の解説[5]がある。数字の地名や頻度が、どの国のものかを確かめながら読むと、日本の状況との差が見えてくる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

2024年5月の日本の状況はNICTと国土地理院の資料で、海外の事例と尺度はNOAAなどの資料で確認した。

  1. NICT「2024年5月の大規模宇宙天気現象について」 https://rri.nict.go.jp/openhouse2024/spe/pdf/202405.pdf (フレア・磁気嵐・電離圏・短波・衛星・電力)
  2. 国土地理院「太陽フレアのGNSS測位への影響(第1報)」 https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi45043.html (位置情報の誤差と2周波方式)
  3. EarthSky "40 Starlink satellites doomed by geomagnetic storm" https://earthsky.org/space/40-starlink-satellites-doomed-by-geomagnetic-storm/ (2022年のスターリンクとSpaceXの説明)
  4. NOAA Space Weather Prediction Center "NOAA Space Weather Scales" https://www.spaceweather.gov/noaa-scales-explanation (G1〜G5の尺度)
  5. NOAA NESDIS "When solar storms attack: space weather and our infrastructure" https://www.nesdis.noaa.gov/news/when-solar-storms-attack-space-weather-and-our-infrastructure (1989年ケベックの停電)
  6. NICT 宇宙天気予報 https://swc.nict.go.jp/ (太陽の現況と予報)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。