GPSは、どうやって いま いる ばしょが わかるの?

GPSはどうやって現在地を知るのか ── 衛星と時計の話

GPSはどうやって現在地を知るのか ── 衛星と時計の話

分野:海・釣り

スマホや り船に ついて いる GPSは、なんで「いま ここに います」と わかるのでしょうか。

じつは、うちゅうに ある 人工えいせいと、すごく せいかくな とけいが かんけいして います。

この きじでは、GPSの しくみと、れきしを 見て いきます。

スマホや釣り船についているGPSは、なんで「いまここにいます」とわかるのでしょうか。

じつは、宇宙にある人工衛星と、すごく正確な時計が関係しています。

この記事では、GPSのしくみと、歴史を見ていきます。

スマートフォンの地図アプリも、釣り船の魚群探知機の横にある画面も、GPS(全地球測位システム)という同じしくみで現在地を求めています。原理は、4つの人工衛星からの電波が届くまでの時間を、光の速さをもとに距離に変えるという、意外にシンプルな計算です。

ただしその計算には、想像を超える正確さの時計が必要でした。そしてGPSは、もともと軍事技術として作られ、ある戦争をきっかけに民間に開放されたという歴史も持っています。

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1. でんぱの とどく 時間で、きょりが わかる

1. 電波が届く時間で、きょりがわかる

1. GPSの原理 ── 電波の到達時間を距離に変える

うちゅうには、GPSの ための 人工えいせいが たくさん とんで います。それぞれの えいせいから、「いま、ここに いますよ」という でんぱが とどきます。

花火が 見えてから、おとが きこえる までの 時間が 長いほど、花火は とおくで 上がって いますよね (ただし 本当は、音と 電波の はやさは ちがいます)。 GPSも にた かんがえかたで、電波が とどく までの 時間から、えいせいまでの きょりを けいさんします。 1つの えいせいだけでは、いる ばしょが しぼりこめませんが、4つの えいせいの きょりを あわせる ことで、いま いる ばしょが わかります[1]

宇宙には、GPSのための人工衛星がたくさん飛んでいます。それぞれの衛星から、「いま、ここにいますよ」という電波が届きます。

花火が見えてから、音が聞こえるまでの時間が長いほど、花火は遠くで上がっていますよね(ただし本当は、音と電波の速さはちがいます)。GPSも似た考え方で、電波が届くまでの時間に光の速さをかけて、衛星までのきょりを計算します。1つの衛星だけでは、いる場所をしぼりこめませんが、4つの衛星のきょりを組み合わせることで、いまいる場所がわかります[1]

GPS衛星は、自身の位置と時刻の情報を電波にのせて常に発信しています。受信機は、電波が衛星から届くまでの時間を測定し、その時間に光速(秒速約29万9792km)をかけることで、衛星までの距離を求めます[1]

1つの衛星との距離だけでは、その距離を半径とする球面上のどこかとしか分かりません。3つの衛星との距離が分かれば、3つの球面が交わる点として位置がほぼ絞り込めますが、受信機に搭載された時計には原子時計ほどの精度がなく、わずかな誤差が生じます。そこで4つ目の衛星からの情報を使い、この時計の誤差そのものを方程式の未知数として解くことで、正確な現在地が求められます[1]

2. せいかくな とけいが、いのち

2. 正確な時計が、いのち

2. 原子時計 ── ナノ秒を争う正確さ

電波は 1びょうかんに 地球を 7しゅうはん半も する はやさで すすみます。だから、とけいが ほんの すこし ずれただけで、けいさんした きょりは 大きく ずれて しまいます。

そのため GPSの えいせいには、「げんしどけい」と いう、 とても せいかくな とけいが のって います。30まん年に 1びょうしか くるわない ほどの せいかくさです [1]

電波は1秒間に地球を7周半もする速さで進みます。だから、時計がほんの少しずれただけで、計算したきょりは大きくずれてしまいます。

そのためGPSの衛星には、「原子時計」という、とても正確な時計が乗っています。30万年に1秒しか狂わないほどの正確さです[1]。受信機がわの時計にはそこまでの精度がないため、4つ目の衛星の情報を使って誤差を計算で打ち消しています。

電波(電磁波)はおよそ秒速30万kmで進むため、1マイクロ秒(100万分の1秒)の時間差は、距離にして約300mの誤差に直結します。GPSが実用的な精度(数m〜数十m程度)を出すには、時計の誤差をナノ秒単位まで抑える必要があります。

そのためGPS衛星にはセシウム原子時計やルビジウム原子時計が搭載され、30万年に1秒程度という誤差の小ささです[1]。なお、高速で移動する衛星の時計と地上の時計とでは、相対性理論の効果によって進み方にもわずかなずれが生じることが知られており、GPSはこのずれも補正した上で運用されています。

3. もとは、ぐんじようの ぎじゅつだった

3. もとは、軍事用の技術だった

3. GPSの歴史 ── 軍事技術から、みんなの道具へ

GPSは、1970年代に アメリカの ぐんたいが、じぶんたちの ために 作った しくみでした。だから はじめは、ふつうの 人が つかう ときは、わざと せいどを 下げて いました [3]

でも、2000年、アメリカの だいとうりょうが、この 「わざと 下げる」のを やめると きめました。それ いらい、みんなの スマホや 船で、せいかくな GPSが つかえるように なりました[3]

アメリカ軍が作った技術だった

GPSは、1970年代にアメリカの軍隊が、自分たちのために作ったしくみでした。だから初めは、ふつうの人が使うときは、わざと精度を下げていました。だいたい100mくらいの誤差がわざと混ぜられていたのです[3]

2000年、だれでも正確に使えるように

1991年の湾岸戦争で、アメリカ軍の正確なGPS受信機が足りず、民間むけの受信機を大量に使うことになりました。その結果、わざと下げていた精度が一時的に元にもどったと考えられており、思いのほか役に立つことが分かりました。そして2000年、アメリカの大統領が、この「わざと下げる」のをやめると発表しました。それ以来、みんなのスマホや船で、正確なGPSが使えるようになりました[3]

GPSは1973年にアメリカ国防総省の計画として始まり、1978年に最初の試験衛星が打ち上げられました[2]。もともとは軍事目的のシステムで、民間の受信機には「SA(Selective Availability)」と呼ばれる意図的な精度低下が加えられ、位置情報の誤差はおよそ100mに抑えられていました[3]

転機は1991年の湾岸戦争でした。多国籍軍は軍用受信機が不足し、市販の民間用GPS受信機を大量に調達して使用したところ、このときSAによる誤差混入が一時的に止まったと考えられており、精度が10m程度まで向上しました。米国防総省はこの間の判断の詳細を公表していませんが、GPSの民生利用としての価値が広く認識されるきっかけになりました。こうした流れを受けて、2000年5月2日、当時のクリントン米大統領がSAを解除すると発表し、以降、民間のGPS機器でも高い精度が得られるようになりました[3]

4. 日本にも、たすけてくれる えいせいが ある

4. 日本にも、助けてくれる衛星がある

4. みちびき ── GPSを補う日本の衛星

日本の まちには、たかい ビルや 山が たくさん あります。 そのせいで、GPSの でんぱが とどきにくく なる ことが あります[4]

そこで 日本は、「みちびき」と いう じぶんたちの えいせいを 打ち上げました。みちびきは、日本の ほぼ 真上を とおる みちを とんで いるので、GPSが 見えにくい ばしょでも、いち を もとめる たすけに なります [4]。2010年に さいしょの えいせいが 打ち上げられ、2018年からは 4きたいせいで うんようされて います[5]

日本の街には、高いビルや山がたくさんあります。そのせいで、GPSの電波が届きにくくなることがあります[4]

そこで日本は、「みちびき」という自分たちの衛星を打ち上げました。みちびきは、日本のほぼ真上を通る道を飛んでいるので、GPSが見えにくい場所でも、位置を求める助けになります。2010年9月に最初の衛星が打ち上げられ、2018年11月からは4機体制で運用されています[5]

都市部や山間部では、ビルや地形に電波がさえぎられ、GPS衛星が十分な数見えず、位置情報が不安定になることがありました[4]

この課題に対応するため、日本は準天頂衛星システム「みちびき」(QZSS)を開発しました。みちびきは、地球から見て8の字を描くような「準天頂軌道」を飛び、日本のほぼ天頂付近に長時間とどまるよう設計されています。2010年9月に初号機が打ち上げられ、2018年11月から衛星4機による24時間運用が始まりました[5]。GPSと組み合わせて使うことで、より安定した高精度の測位が可能になっています[4]

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

スマホの ちずアプリを つかって、GPSの うごきを たしかめて みましょう。

あんぜんな ばしょで できる こと

  • スマホの ちずアプリを ひらいて みる。 じぶんの いる ばしょが、地図の 上で どうやって うごくか 見て みましょう。
  • 車や バスに のった とき、カーナビや スマホの 地図を 見て みる。 トンネルの 中で、いち が どうなるか、かんさつして みましょう。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「げんしどけいって なに?」だけで じゅうぶんです。

スマホの地図アプリを使って、GPSの動きをたしかめてみましょう。

今日できること

  • スマホの地図アプリを開いてみる。自分のいる場所が、地図の上でどうやって動くか見てみましょう。
  • 車やバスに乗ったとき、カーナビやスマホの地図を見てみる。トンネルの中で、位置がどうなるか、観察してみましょう。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「みちびきって、あと何機増える予定なの?」だけでも十分です。

身近な機器のGPSがどう働いているかを観察すると、この記事で扱った内容が身近に感じられます。

手を動かして確かめる

  • スマホの位置情報の精度表示を見てみる。地図アプリによっては、現在地の周りに精度を示す円が表示されます。屋外と屋内、ビルの谷間でどう変わるか比べてみましょう。
  • みちびきの公式サイトを見てみる。内閣府の「みちびき」サイトには、衛星の数や軌道の解説が公開されています。

一次情報にあたる

JAXAのサイトには、測位のしくみについての解説ページが公開されています。

メモのすすめ

気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。「SAが廃止されたのは2000年5月2日」という一文でもかまいません。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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出典について:宇宙機関・政府機関の公開情報を使っています。

  1. JAXA「今いる場所・時間がわかる測位とは?」。 https://www.jaxa.jp/countdown/f18/overview/gps_j.html (GPSの測位原理、4つの衛星が必要な理由、原子時計の精度についての公式解説)
  2. グローバル・ポジショニング・システム - Wikipedia。 https://ja.wikipedia.org/wiki/グローバル・ポジショニング・システム (GPSの開発の始まり(1973年)と最初の試験衛星(1978年)についての解説)
  3. 準天頂衛星システム(QZSS)公式サイト「[衛星測位入門]航法の歴史(4)SAの廃止」。 https://qzss.go.jp/overview/column/column04_151208.html (SAの導入・湾岸戦争での一時停止・2000年の恒久廃止についての解説)
  4. みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト「みちびきとは何か」。 https://qzss.go.jp/overview/services/sv01_what.html (みちびきが必要な理由についての公式解説)
  5. みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト「みちびきの必要性」。 https://qzss.go.jp/overview/services/sv02_why.html (初号機の打ち上げ(2010年9月11日)と、2018年11月からの4機体制運用開始についての公式解説)

なおした ところ

更新履歴

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