1. ほねの どこが のびるの?
1. 骨のどこで、何が起きているのか
1. 成長板 ── 長い骨の両端で、軟骨が骨に置きかわる
手や 足の ながい ほねの りょうはしには、やわらかい ところ(せいちょうばん)が あります[1]。
そこで、ほねの もとに なる さいぼうが ふえて、あとから かたい ほねに かわります。すると、ほねが ながく なります[1]。
ねんどを たして ながく して、あとで かためる ように なって います。ただし ほんとうは、たして いるのは ねんどでは なく、ほねの もとに なる さいぼうです。
では、この のびは、いつごろ いちばん よく おきて、いつ とまるのでしょう。
骨の両端にある、軟骨の層
手足の長い骨には、両端の近くに、軟骨でできた層があります。「成長板」や「骨端線」と呼ばれる場所です。ここで、骨が長くなります[1]。
成長板の中では、軟骨の細胞が、端から順に、四つの状態に並んでいます。休んでいる細胞、盛んに増える細胞、大きくふくらむ細胞、死んで石灰化が始まる細胞です。最後に、骨をつくる細胞が、石灰化した軟骨を、硬い骨に置きかえます[1]。軟骨が増えて、骨になる。これが、骨が長くなる仕組みです。細胞が増える段階には、成長ホルモンや、その働きを伝えるIGF-1などが関わります[1]。
この説明は、手足の長い骨についてのものです。
この伸びは、いつごろ最もよく起きて、いつ止まるのでしょうか。
長骨の両端の近くには、硝子軟骨でできた成長板(骨端板、骨端線)がある。長骨は、ここで、軟骨内骨化によって長くなる[1]。
成長板をたてに切ると、骨の端に近いほうから順に、休んでいる細胞の層、分裂して増える層、大きくなる層、石灰化する層が重なっている。増える層では、成長ホルモンやIGF-1などの影響で、軟骨細胞がさかんに分裂する。次の層で細胞は分裂をやめてふくらみ、その次の層で死んで、まわりの成分が石灰化する。最後に、破骨細胞と骨芽細胞が、石灰化した軟骨を少しずつ骨に置きかえていく[1]。端で軟骨が増え、骨に変わることをくり返して、骨全体が長くなる。
骨の端で軟骨が増えているあいだは、背は伸びる。では、その伸びはいつ起き、いつ止まるのか。
2. いつ いちばん のびて、いつ とまるの?
2. 身長は思春期に急に伸び、成長板が閉じると止まる
2. 時期 ── 最大成長速度の年齢と、成長板の閉鎖
せは、しゅんきに、ぐんと のびる ことが あります。おんなの 子の ほうが、おとこの 子より すこし はやく はじまる ことが おおいです[2]。
いつ のびるかは、ひとに よって ちがいます。8さいごろから 16さいごろまで、はばが あります[2]。
ぐんと のびた あと、せいちょうばんが、かたい ほねに かわって しまうと、せは とまります[1]。
では、せの たかさは、なにで きまるのでしょう。
思春期に、急に伸びる
身長は、思春期に、一時的に大きく伸びます。この時期が何歳ごろに来るかは、人によって大きくちがい、8歳ごろから16歳ごろまで、個人差があります[2]。思春期の変化が始まるのは、通常、女の子は10歳ごろ、男の子は12歳ごろです[3]。
年間に伸びる量が最大になる年齢を調べた研究があります。1961〜1969年に生まれた東京都の子どもたち(男子358人、女子400人)を、12年間追った研究です。身長の伸びが最大になる年齢は、平均で、男子が12.80歳(中学1年生ごろ)、女子が11.12歳(小学5〜6年生ごろ)でした。女子のほうが、約1年8か月早く迎えていました[2]。ただし、これは、いまから約60年前に生まれた子どもたちの平均です。いまの子どもたちにそのまま当てはまるとは限りません。
成長板が閉じると、止まる
思春期に性ホルモンが増えると、成長板の軟骨の細胞が死ぬ働きが増え、軟骨がすべて骨に置きかわると、伸びが止まります[1]。閉じる時期は、女子は早いと12歳ごろで、多くは14〜15歳、男子は早いと14歳ごろで、多くは15〜17歳です[1]。この数字は、英語版Wikipediaの説明による目安で、個人差があります。
では、身長は何で決まるのでしょうか。
思春期の急な伸び
1年間に伸びる身長は、思春期に一度だけ大きくなる。身長を年齢ごとにグラフにすると、伸びの大きい時期をはさんでS字の形になる。その時期が来る年齢は、8歳ごろから16歳ごろまで、人によってかなりちがう。1年間の伸びがいちばん大きい年齢を、ピーク速度の年齢(PV年齢)という[2]。思春期の変化は、通常、女子は10歳ごろ、男子は12歳ごろに現れる[3]。
1993年の論文は、1961〜1969年に生まれた東京都の男子358人、女子400人の子どもたちが、12年間、測定に協力した記録から、身長のPV年齢を求めた。平均は、男子が12.80歳、女子が11.12歳で、差の1.68年は有意だった。身長、胸囲、体重の3項目を合わせた平均では、女子のほうが男子より1年4か月ほど早くスパートを迎えた[2]。ただし、この資料は、約60年前の生まれで、測定は年1回だった。いまの子どもと同じとは限らない。
成長板の閉鎖
思春期に、男女とも、エストロゲンなどの働きで、成長板の成熟と閉鎖が進む。軟骨がすべて骨に置きかわると、長骨は、それ以上、長くならない[1]。閉鎖の時期は、女子は早ければ12歳ごろで、14〜15歳が最も多く、男子は早ければ14歳ごろで、15〜17歳が最も多い[1]。この数字は、英語版Wikipediaの説明による目安で、骨や部位、人によってちがう。
伸びの時期と止まり方は、確かめた。では、何が身長の高さや、伸びを決めるのか。次に、遺伝と環境を確かめる。
3. せの たかさは、なにで きまるの?
3. 身長は、何で決まるのか
3. 遺伝と環境 ── 身長に関わる要因
せの のびには、いろいろな ことが かかわって います。うまれつき(いでん)、からだの 中の ホルモン、たべもの、ねむり、うんどう、こころの ようすなどです[4]。
いでんには、とても たくさんの ちがいが かかわって います。ひとつの ちがいだけで、せの たかさが きまる わけでは ありません[5]。
せの のびが 気に なる ときは、しょうにかの 先生に そうだん するように、と がっかいは あんない して います[4]。
いろいろな要因
身長の伸びには、遺伝や体質、ホルモン、病気や薬の影響のほか、栄養、睡眠、運動、心の状態といった環境も関わります[4]。
遺伝の部分
2022年の研究は、約540万人のデータで、身長と関わる遺伝子の小さな差(一塩基多型)を探しました。12,111個の差が、よくある差から見積もられる遺伝の影響の、ほぼすべてを説明しました。身長に関わる遺伝子の差は、一つではなく、とても多いのです[5]。この12,111個の差を使うと、ヨーロッパ系の集団では、身長のばらつきの約40%を説明できました。一方、ヨーロッパ系以外の集団では、それより低く、アフリカ系では最大でも約10%ほどでした[5]。これは、研究に使ったデータがヨーロッパ系の人に偏っていることなどが関わっており、集団のあいだの生まれつきのちがいを示すものではありません。日本人にそのまま当てはまるとは限りません。
気になるとき
学会は、身長の伸びが気になるときは、成長曲線で記録をつけ、小児科の医師に相談するよう案内しています[4]。この調べは、医療の助言ではありません。
身長の伸びには、体質や遺伝、ホルモン、病気や薬の影響のほか、栄養、睡眠、運動、心の状態といった、まわりの環境も関わる[4]。
遺伝については、2022年の研究がある。約540万人のゲノムを調べ、身長と関係する遺伝子の小さな差(SNP)を、12,111個まで絞りこんだ。よくある差から見積もれる遺伝の影響は、ほぼこの12,111個で説明がついた。これらは、平均で約9万塩基の長さの、7,209の領域にまとまり、ゲノム全体の約21%にあたる。この12,111個の差を使った身長の説明率は、ヨーロッパ系の集団で約40%だった。ほかの集団では、それより低く、アフリカ系では最大でも約10%だった[5]。ここで説明率が低いのは、研究に使ったデータがヨーロッパ系の人に偏っていることなどが関わっており、集団のあいだの生まれつきのちがいを示すものではない。この数字を、個人の身長の何%が遺伝、という意味に読むことはできない。
学会は、身長の伸びが気になるときは、成長曲線を描いて記録をつけ、パターンによっては、早めに小児科の医師に相談することを勧めている[4]。このメモは、医療の助言ではない。
じぶんでも やって みる
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
じぶんの せの たかさを、おうちの 人と いっしょに、はかって みましょう。
あんぜんな ばしょで できる こと
- としごとに はかって、ノートに 書く。いつ ぐんと のびたかが、あとで わかります。ほかの 人と くらべる ひつようは ありません。
きょう 知った ことを ひとつ だけ ノートに 書いて おきましょう。「ほねの りょうはしが のびる」だけでも いいです。
このメモの内容は、身近なことや、公開されている資料で確かめられます。
今日できること
- 自分の身長を、定期的に測って記録する。いつ大きく伸びたかが分かります。ほかの人との比べ合いではなく、自分の記録として見ます。
- 学会のページで、成長曲線を見る。日本の子どもの標準的な伸びを表したグラフが公開されています[4]。
気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「成長板」や「軟骨内骨化」だけでも十分です。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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出典について:学会の一般向け解説、日本人の子どもを追跡した論文、身長の遺伝の研究の要旨、英語版Wikipediaを使いました。医療の助言ではありません。英語の資料は、内容を日本語で説明しています。このメモは、これらの団体のものではなく、個人のまとめです。
- Wikipedia(英語版)「Epiphyseal plate」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Epiphyseal_plate (成長板の場所と仕組み、閉じる時期、ホルモンとの関係。英語の資料)
- 加藤純代・山口(武井)典子・芦澤玖美・保志宏(1993。J-STAGEの書誌情報では1992)「身長・胸囲・体重にみられる最大成長速度年齢の相互関係について」人類学雑誌 100(4), 433–447。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ase1911/100/4/100_4_433/_pdf (東京都の子どもの、身長の最大成長速度年齢。論文の本文を確認)
- 日本小児内分泌学会「思春期早発症」。 https://jspe.umin.jp/public/sishunnki.html (思春期の変化が現れる年齢の目安)
- 日本小児内分泌学会「低身長」。 https://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html (身長の伸びに関わる要因、成長曲線、相談の目安)
- Yengo, L. et al. (2022). A saturated map of common genetic variants associated with human height. Nature, 610, 704–712. https://www.nature.com/articles/s41586-022-05275-y (身長に関わる遺伝子の差。要旨を確認。英語の資料)
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