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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

しゃっくりの 「ヒック」は、なにが おきて いるの?

しゃっくりは、どうして起きて、なぜ止まらないの?

しゃっくりの仕組み ── 吸う筋肉の急な収縮と、声門が閉じる音

分野:からだ

ごはんを 食べて いたら、とつぜん「ヒック」。のどが かってに 鳴りました。

この 音は、どこから 出て いるのでしょうか。どうして じぶんでは 止められないのでしょうか。しゃっくりの 中で おきて いる ことを、見て いきます。

食事の途中や、笑ったあとに、突然「ヒック」。自分では出すつもりがないのに、のどが勝手に鳴ります。

あの音は、体のどこで、どうやって出ているのでしょうか。なぜ意味のなさそうな反応が残っているのか、止め方に根拠はあるのか、医学の資料をもとに見ていきます。

しゃっくり(吃逆)は、誰にでも起きるありふれた反射だが、その役割はいまも分かっていない。音の正体、脳の指令、止め方の根拠の強さ、長引いたときの目安を、公開されている解説や総説をもとに整理する。

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1. 「ヒック」は、のどが とじる 音

1. 「ヒック」は、空気がせき止められる音

1. 音の正体 ── 約35ミリ秒のずれ

むねの 下に、横隔膜おうかくまくという 筋肉きんにくが あります。ふだんは、これが 下がって、空気を すいこんで います。

しゃっくりの ときは、この 筋肉きんにくなどが きゅうに ぎゅっと ちぢみます。空気が いきおいよく 入って こようと します。

すると、のどの おくの 声帯せいたいが、すぐに とじます。入り口の とびらが ばたんと しまる ような ものです。この ときに 出る 音が「ヒック」です[1]。

ただし ほんとうは、とびらでは ありません。のどの おくに ある ヒダが、よりあって ふさぐのです。

吸う筋肉が急に縮む

胸とおなかの境目には、横隔膜という筋肉があります。ふだんは、これが下がって息を吸います。しゃっくりでは、横隔膜などの吸う筋肉が、自分の意思とは関係なく急に縮みます[2]。

そのあと、声帯が閉じる

空気が勢いよく入ろうとした直後に、のどの奥の声帯が閉じて、空気の流れが止まります。そのときに出るのが「ヒック」という音だと説明されています[2]。

ある総説では、筋肉が強く縮んでから声帯が閉じるまでは、約35ミリ秒とされています[1]。0.035秒、つまり約30分の1秒です。吸い込もうとする動きに、ほとんど間をおかずにふたをするので、あの短い音になります。

しゃっくりは、横隔膜などの吸気筋が不随意に急激に収縮して吸気が始まり、その直後に声門が閉鎖して空気の流入が止まる現象と説明される[2]。特徴的な「ヒック」という音は、この閉鎖の際に生じる。

総説では、呼吸筋の強い収縮から声帯の急な閉鎖までは約35ミリ秒とされる[1]。単位はミリ秒で、0.035秒、約1/30秒である。吸気の動きと声門閉鎖がこれだけ近い時間で組になっていることが、しゃっくりを通常の吸気や咳と区別する特徴になっている。

2. だれが 「ヒック」を めいれい して いるの?

2. 脳の奥から出る指令

2. 延髄の中枢と、求心路の不確かさ

ヒックの めいれいは、脳のうの 下の ほうから 出て いると 考えられて います。「えんずい」と いう ところです。

そこから 神経しんけいを 通って、横隔膜おうかくまくと 声帯せいたいに、ほとんど 同じ ときに 合図が とどきます[2]。だから、じぶんの つもりでは 止められません。

ふつうの 息の リズムを 作る ところとは、べつの 場所だと 見られて います。

延髄が、筋肉とのどに同時に合図を送る

指令を出しているのは、脳の下のほうにある延髄の中枢だと考えられています。横隔神経を通って横隔膜へ、迷走神経を通って声門へ、ほぼ同時に信号が伝わります[2]。ふだんのリズミカルな呼吸をつくる経路とは別の中枢とみられています。

「刺激が届く道」は、まだ決まっていない

では、最初の刺激はどこから延髄に伝わるのでしょうか。迷走神経のほか、舌咽神経の可能性も研究されています[3]。人でこの道すじが完全に確かめられているわけではなく、ここは研究の途中の話です。

指令の出どころは延髄の中枢とされ、横隔神経を経て横隔膜を、迷走神経(反回神経)を経て声門を、ほぼ同時に動かす[2]。通常のリズミカルな呼吸を生む経路とは別の中枢が関わるとみられている。

刺激を延髄へ伝える求心路については、迷走神経に加えて舌咽神経が関与する可能性が研究されており、日経メディカルの解説では、舌咽神経から延髄へ伝わり、その後に吸気運動と声門閉鎖が同期して起こる経路が紹介されている[3]。ただしヒトで完全に確定した経路ではない。

3. なにが きっかけに なるの?

3. しゃっくりのきっかけ

3. 誘因 ── 多彩だが決め手はない

ある 研究者は、つめたい 空気や、炭酸たんさんの のみものが きっかけに なると 話して います。おなかから のぼって きた すっぱい ものや、のどの はれも、きっかけに なるそうです[3]。

でも、これだけ 食べたら かならず ヒックが 出る、と いう ものでは ありません。

冷たい空気、炭酸飲料、逆流した胃酸、のどの炎症など、いろいろなことが刺激になると、ある研究者は説明しています[3]。ただし、これを食べれば必ず出る、というものではありません。

誘因として、咽頭の炎症、胃酸の逆流、冷たい空気、炭酸飲料など、多彩な要因が挙げられている[3]。単一の決まった原因があるわけではなく、同じものを飲んでも、出る人と出ない人、出る日と出ない日がある。

4. おなかの 中の あかちゃんも

4. おなかの中の赤ちゃんも、しゃっくりをする

4. 胎児のしゃっくりと、役割をめぐる仮説

おなかの 中に いる あかちゃんも、しゃっくりを します。まだ 生まれる ずっと 前から、「ヒクッ」と 動く ようすが 見つかって います[1]。

なんの ために あるのかは、まだ よく わかって いません。いくつかの かんがえが あります。

  • 生まれた あとの あかちゃんが、ミルクと いっしょに のんだ 空気を 出すため
  • 生まれたら 息を するので、おなかの 中で する 練習の ため
  • 大むかしの 生きものが、水の 中と りくの 上で 息を 切りかえた なごり

どれも 「そうかも しれない」と いう ところです[4]。

生まれる前から

胎児もしゃっくりのような動きをします。ものを飲み込む反射や、呼吸の反射ができるよりも前から、リズミカルな動きが見られると報告されています[1]。

何のためかは、まだ決着していない

この反射が何の役に立っているのかは分かっていません。仮説はいくつかあります。魚の仲間から両生類へ進化するとき、えら呼吸と肺呼吸を切りかえる助けになった名残だという説、生まれたあとの哺乳類の赤ちゃんが乳といっしょに飲んだ空気を出すためだという説、胎児が呼吸筋を練習しているのだという説です[4]。どれも仮説で、定説ではありません。

ヒトの胎児にも、嚥下や呼吸の反射が発達する前から、しゃっくり様の律動的な運動がみられると報告されている[1]。

しゃっくりの機能は未解明で、仮説がいくつかある。(a) 魚類から両生類への進化の過程で、鰓呼吸と肺呼吸を切り替える際に役立った名残とする説、(b) 生後の哺乳類の乳児が授乳時に飲み込んだ空気を排出するための仕組みとする説、(c) 胎児期の呼吸筋の訓練とする説[4]。いずれも仮説で、決着していない。

乳幼児に多いことは複数の解説が述べる。理由として、成人では脳のGABAが反射を抑えるが、幼児はその抑制系が未発達だからとする説が紹介されているが[3]、1人の研究者の説にとどまる。

5. ヒックを 止める ほうほうは?

5. 止め方に、根拠はあるのか

5. 止め方の根拠 ── 息こらえと民間療法

「おどろかせる」「さとうを なめる」など、いろいろな 話が あります。でも お医者さんの 話では、ほとんどは 理科の 目で 見ると、はっきりした わけが ないそうです[5]。

りくつが ある やりかたが、ひとつ あります。「息こらえ」です。息の 出し入れを 止めて、むねと おなかに 力を 入れる やりかたです。ヒックが 出た 一ばん はじめの ときに はじめるのが 大事だと、ある お医者さんは 書いて います[5]。

2回め、3回めが 出て からは、息こらえだけでは 止まりにくいそうです。かならず 止まる ほうほうでは ありません。

コップの 反対がわから 水を のむ やりかたは、あぶないので おすすめ できません。水が はいの ほうへ 入る ことが あるからです[5]。

ほとんどの民間療法には根拠がない

驚かす、箸をコップに渡して飲む、砂糖をなめるといった方法は、基本的に科学的な根拠がないと、呼吸器内科医の倉原優さんは書いています[5]。

理屈があるのは「息こらえ」

息の出し入れを止めて胸とおなかに力を入れる方法には、迷走神経への刺激や、肺の動きを制限することなどの理屈があります。最初のヒックの時点で始めるのがよく、2〜3発目が出てしまうと息こらえだけでは治まりにくいそうです[5]。これは医師個人の見解で、必ず止まるとは言えません。

コップの反対側から飲む方法は、前かがみ・息止め・冷たい水という条件がそろい、理屈は通ります。しかし水を誤って気管に吸い込む危険があり、医学的には勧められないとされています[5]。

民間療法(驚かす、箸をコップに渡して飲む、砂糖をなめる等)は、基本的に科学的根拠に乏しいとされる[5]。

息こらえは、迷走神経の刺激や肺の動きの制限といった理屈があり、最初の1発目の時点で始めるのが肝要で、2〜3発目以降は息こらえだけでは治まりにくい、と呼吸器内科医が述べている[5]。ただし一人の医師の見解であり、有効性を保証するものではない。コップの反対側から飲む方法は、前傾姿勢・息止め・冷水を含むため理屈は通るが、誤嚥のリスクがあり勧められない[5]。

長引く場合の薬などによる治療は医療機関が行うもので、家庭で試すものではない。

6. ずっと 止まらない ときは

6. 長引くときの受診の目安

6. 持続時間による分類と受診の目安

ふつうの しゃっくりは、しばらくすると 止まります。でも 2日いじょう つづく ときは、おうちの 人に 話して、お医者さんに 見て もらいましょう。

ながく つづく しゃっくりの 後ろに、びょうきが かくれて いる ことが あると いわれて います[6]。

しゃっくりは、続いた時間で分けて呼ばれることがあります。2日以内なら一過性の良性のもの、2日から1か月なら持続性、1か月以上なら難治性です[2]。資料によって、境目の書き方は少しちがいます。

48時間をこえて続くときは、背景に病気が隠れていることがあるため、受診が勧められています[6]。胃酸が逆流する病気や、脳や消化器の病気などが例に挙げられています。

持続時間による分類では、2日以内に終息するものが良性吃逆、2日から1か月が持続性吃逆、1か月以上が難治性吃逆とされる[2]。資料により境界の記載は少し異なる。

48時間以上続く場合は、逆流性食道炎(GERD)、中枢神経系や消化器の疾患、腫瘍など、重大な疾患が背景にある可能性が指摘されており、数日続く場合は受診が勧められる[6]。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

ヒックの 音が、どんな じゅんばんで 起きるのか、じぶんの 体で 考えて みましょう。

あんぜんな ばしょで できる こと

  • ふつうの 息を して、むねの 動きを 見る。 むねと おなかに そっと 手を あてて、息を すう ときに どこが ふくらむか かんじて みます。ヒックでは、この 「すう 動き」が きゅうに 起きて、そのあとに のどが とじる、じゅんばんです。のどは わざと とじません。
  • ヒックが 出たら、思い出して みる。 出る 前に 何を して いたか、ひとこと ノートに 書いて おきましょう。

今日できること

  • 吸う動きと止まる動きの順番を考える。胸とおなかに手を当てて、ふつうに息を吸うときにどこが動くか確かめます。しゃっくりでは、この吸う動きが急に起き、そのあとに声帯が閉じます。のどをわざと閉じる必要はありません。順番を頭の中で追ってみましょう。
  • しゃっくりが出たら、直前を書き留める。冷たいものを飲んだ、笑った、急いで食べたなど、直前にしていたことを1行だけ記録すると、きっかけの手がかりになるかもしれません。

手を動かして確かめる

  • 吸気と声門閉鎖の順序を考える。安静呼吸で胸腹部に手を当て、吸気筋の動きを確かめる。そのうえで、吸気の急な開始→約35ミリ秒後の声門閉鎖という順序を、図に書いて整理する。声門は意図的に閉じない。
  • しゃっくりの記録をつける。出たときの直前の行動と、続いた時間を記録する。数日続くときは記録より受診を優先する。

資料を読むなら

「Hiccups: A new explanation for the mysterious reflex」(PubMed Central)は、英語の総説で、35ミリ秒の値などが載っている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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出典について:医学系の総説・病院・クリニック・医師の解説・報道の公開情報を使っています。

  1. Hiccups: A new explanation for the mysterious reflex(PubMed Central)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3504071/ (約35ミリ秒のずれ、胎児のしゃっくりについて)
  2. みどり病院 薬局ブログ。 https://midori-hp.or.jp/wp/pharmacy-blog/web20210721-2/ (しゃっくりの起き方、延髄の中枢、持続時間による分類について)
  3. 日経メディカル「しゃっくりは横隔膜の痙攣だけで片付かない」。 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201712/554179.html (刺激が伝わる神経の研究、きっかけ、乳幼児に多い理由の説について)
  4. ナショナル ジオグラフィック日本版。 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/041000174/ (しゃっくりの役割についての仮説の紹介)
  5. 倉原優「しゃっくり」の解説(Yahoo!ニュース エキスパート)。 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/99f0979652c95dc9f795e8e4eddcea51bc6411d7 (息こらえの理屈、民間療法の根拠について。医師個人の見解)
  6. きだクリニックのブログ解説。 https://kida-clinic.jp/blog/105454 (長引くしゃっくりと受診の目安について)

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