アイピーアドレスが たりなく なったのに、どうして つながるの?

IPアドレスは足りなくなったのに、なぜインターネットは止まらなかったのか

IPv4アドレスの枯渇から、IPv6への長い道:NATが時間を稼ぎ、新しい番号が育つまで

分野:技術

IPv4で つながる おうちでは、スマートフォンも、ゲームきも、テレビも、そとの せかいからは、たいてい、ひとつの ばんごうに 見えて います。

どうして、そんな ことを するのでしょう。きっかけは、1995ねんの よそうでした。ばんごうが たりなく なる、と 見つもられて いたのです。

IPv4でつながる家では、スマートフォンもゲーム機もテレビも、外の世界からは、たいてい、たった一つの番号に見えます。

なぜ、そんなことをするのでしょうか。きっかけは、1995年の見積もりでした。IPv4のアドレスは、2005年から2011年のあいだに使い切られる、と見積もられていたのです。そして2011年2月3日、新しく配れるアドレスが、実際になくなりました。

IPv4でつながる家では、スマートフォンもゲーム機もテレビも、外の世界からは、たいてい、たった一つの番号に見える。番号をまとめるNATという仕組みが、使われているからだ。

きっかけは、1995年の見積もりだった。IETFの文書は、IPv4のアドレスを使い切るのは2005年から2011年のあいだと見積もり、2011年2月3日、新しく配れるIPv4アドレスは実際になくなった。それでもインターネットは止まらなかった。NATという延命策と、互換性のない新しい仕組みIPv6が、どう時間を分けあってきたのかを、たどる。

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1. ばんごうは、およそ 43おくこ。たりなく なる ことは、わかって いた

1. 約43億個の番号は、足りなくなると予言されていた

1. IPv4の32ビットと、1995年の見積もり

インターネットに つながる きかいには、ばんごうが ひつようです。この ばんごうを「IPアドレス」と いいます。1981ねんに つくられた きまり(IPv4)では、ばんごうは 32ビットで、およそ 43おくこ ありました[1][2]

そのころは、じゅうぶん に 見えました。でも、いまは スマートフォンも、ゲームきも、テレビも、つながります。せかいじゅうの 人が ひとつずつ もつのにも、たりません[2]

たりなく なる ことは、はやくから わかって いました。1995ねんの ぶんしょは、「2005ねんから 2011ねんの あいだに つかいきる」と 見つもって いました[3]

では、ほんとうに つかいきった ひには、なにが おきたのでしょう。

IPアドレスは、インターネットにつながる機器の番号です。1981年に決められた仕組み(IPv4)では、番号は32ビットで、約43億個です[1][2]

当時は十分に見えました。ところが、パソコンに加えて、携帯電話やテレビ、冷蔵庫までがつながるようになると、全員に一つずつ配る数にも満たなくなる、と、2002年のJPNICの解説は書いています[2]

足りなくなることは、早くから分かっていました。1995年のIETFの文書(RFC 1752)は、IPv4のアドレスを使い切るのは、2005年から2011年のあいだ、と見積もっています[3]

では、実際に使い切った日には、何が起きたのでしょうか。

IPv4のアドレスは32ビットで、約43億個だ。1981年のRFC 791が、固定長の32ビットと定めた[1][2]。当時は十分に見えたが、携帯電話やテレビ、冷蔵庫などが接続を求めるようになり、全員に一つずつ配る数にも満たなくなる、と、2002年のJPNICの解説は述べる[2]

枯渇は、早くから予測されていた。1995年のRFC 1752は、IPv4のアドレスを使い切るのは、2005年から2011年のあいだ、と見積もった[3]

この予測は、どのくらい当たったのか。

2. 2011ねん2がつ3にち、あたらしい ばんごうが なくなった

2. 2011年2月3日、新しく配れる番号がなくなった

2. 枯渇の日:2011年2月3日と、地域ごとの在庫

2011ねん2がつ3にち、あたらしく くばれる IPv4の ばんごうが、なくなりました[4]。アジアと たいへいようの ちいきでは、4がつ15にちに、ふつうに くばる ぶんが なくなりました[4]

その あと、ヨーロッパは 2012ねん、ちゅうなんべいは 2014ねん、きたアメリカは 2015ねんに、なくなりました[4]

でも、JPNICは、あたらしい ばんごうが なくなっても、いま うごいて いる インターネットが きゅうに とまる わけでは ない、と せつめい して います[4]

ばんごうが たりないのに、どうして つづいたのでしょう。

2011年2月3日、新しく割り振れるIPv4アドレスが、なくなりました[4]。アジア太平洋地域では、2011年4月に、通常の割り振り用の在庫が尽きました。その後、ヨーロッパは2012年、中南米は2014年、北米は2015年に、尽きました[4]。1995年の見積もりのおわりの年、2011年に、実際に尽きたことになります。

ただし、なくなったのは、「新しく配る分」です。新しく配る番号が尽きても、いま動いているインターネットが急に止まるわけではない、と説明されています[4]

では、番号が足りないのに、インターネットは、どうやって動き続けたのでしょうか。

2011年2月3日、新しく割り振れるIPv4アドレスが、なくなった。アジア太平洋地域(APNIC)は、2011年4月15日に、通常の割り振り用の在庫が尽きた。その後、ヨーロッパ(RIPE NCC)は2012年9月14日、中南米(LACNIC)は2014年6月10日、北米(ARIN)は2015年9月24日に尽きた[4]。1995年の見積もりの範囲の、終わりの年に、実際に尽きた。

ただし、なくなったのは、新しく配る分だ。新しく配る番号が尽きても、いま動いているインターネットが急に止まるわけではない、と説明されている[4]

では、足りない番号で、どうやって通信を続けたのか。

3. ばんごうを つかいまわす ちえ:NAT

3. 番号を使い回す工夫:NATと、私用アドレス

3. NATという延命策:家の中だけの番号と、外への番号

がっこうを おもいだして みましょう。1くみにも 2くみにも、「1ばん」の 人が います。くみの なかでは、しゅっせきばんごうで よべます。でも、がっこうじゅうで ひとりを さすときは、「2くみの 1ばん」と、くみも いります。

IPアドレスも、おなじ ちえを つかいました。家の なかの きかいには、家の なかだけで つかう ばんごうを つけます。そとへ 出る ときは、たいてい、家に ひとつの ばんごうに まとめて、つなぎます。これを NATと いいます。この ちえは、1994ねんに ていあんされました[5]。家の なかだけの ばんごうは、1996ねんに きまりました[6]。ただし ほんとうは、しゅっせきばんごうの ように、ひとが よぶ わけでは ありません。きかいが、じどうで ばんごうを つけかえて います。

JPNICは、NATは じかんを かせぐ やくには 立つが、もんだいが ぜんぶ かいけつ する わけでは ない、と せつめい して います[4]

では、ずっと つづく たいさくは、なんでしょう。

学校を思い出してください。1組にも2組にも、出席番号1番の人がいます。クラスの中では、番号で呼べますが、全校で一人を指すときは、「2組の1番」と、組も言う必要があります。

IPアドレスも、同じ工夫を使いました。家の中の機器には、家の中だけで使う番号(私用アドレス)を付けます。外へ出るときは、たいてい、家にひとつの世界共通の番号にまとめます。これがNAT(ネットワーク・アドレス変換)です。NATの提案は1994年のRFC 1631[5]、私用アドレスの取り決めは1996年のRFC 1918です[6]。ただし本当は、出席番号のように人が使い分けるのではなく、ルーターなどの機器が、自動で番号を付けかえています。

NATは、枯渇までの時間を稼ぐ役には立つが、これで問題が完全に解決するわけではない、と説明されています[4]

では、恒久的な対応策は、何なのでしょうか。

学校の出席番号にたとえよう。1組にも2組にも、1番の人がいる。クラスの中では、番号で呼べるが、全校で一人を指すには、「2組の1番」と、組も必要になる。

NAT(ネットワーク・アドレス変換)は、この工夫を、IPアドレスに使ったものだ。家庭や組織の内側では、その内側だけで使う私用アドレスを機器に割り当て、外に出るときに、代表的には、ひとつのグローバルアドレスにまとめる。NATの提案は1994年のRFC 1631[5]で、私用アドレスは1996年のRFC 1918で定められた[6]。ただし、出席番号のように人が使い分けるのではなく、ルーターなどの機器が、自動で変換している。

NATは、枯渇までの時間を稼ぐ役には立つが、これで問題が完全に解決するわけではない、と説明されている[4]。NATの提案は、RFC 2460でIPv6の仕様が定められる(1998年)より前だった。

恒久的な対応策は、番号の数そのものを増やすことだ。

4. ばんごうを ながく した IPv6

4. 番号を128ビットに増やしたIPv6は、なぜ普及に時間がかかったのか

4. IPv6:128ビットのアドレスと、互換性のない壁

あたらしい きまり、IPv6は、ばんごうを 128ビットに しました。ばんごうの かずは、「1ちょうの 1ちょうばいの 1ちょうばいより おおい」と JPNICは せつめい して います[2]。そうむしょうの ページにも、この かずの おおきさが 書いて あります[7]

この きまりは、1998ねんに つくられ、2017ねんに あたらしく なりました[8]。でも、IPv4と IPv6は、べつの きまりなので、そのままでは、おたがいに つうしん できません[9]

だから、ふたつを いっしょに つかう ほうほうも あります[9]。おきかえるのに、じかんが かかりました。

いまは、どれくらい ふえたのでしょう。

IPv6は、アドレスを128ビットに増やしました。アドレス空間の大きさは、約340澗(かん)と、総務省は説明しています[7]。JPNICは、「1兆の1兆倍の1兆倍より多い」と書いています[2]。規格は、1998年のRFC 2460、2017年のRFC 8200で定められました[8]

ところが、新しい仕組みは、すぐには切り替わりませんでした。IPv4とIPv6は、異なるプロトコルの仕様なので、直接通信ができないからです[9]。そのため、一台の機器に両方の仕組みを共存させる「デュアルスタック」などの方法が、工夫されました[9]

普及に時間がかかった理由は、資料によっていくつか挙げられます。互換性がないこと[9]。NATという延命策が、移行を急がせにくくしたと考えられること[4]。そして、IPv4にすでに投資した事業者が、その元を取りたいと考えること[10]です。

それでも、普及は進んでいます。いまは、どれくらいでしょうか。

IPv6は、アドレスを128ビットに増やした。アドレス空間の大きさは約340澗[7]、JPNICの言い方では、「1兆の1兆倍の1兆倍より多い」[2]。規格は、1998年のRFC 2460と、2017年に置きかえたRFC 8200だ[8]

新しい仕組みは、すぐには広がらなかった。最大の壁は、互換性だ。IPv4とIPv6は、互いに異なるプロトコル仕様を持つため、直接的な通信ができない[9]。そこで、単一の機器に両方を共存させるデュアルスタックなどの技術が使われる[9]

IPv6に対応させるための作業とお金がかかること、すでにIPv4へ投資した事業者がその分を取り戻したいと考えることも、普及を遅らせた理由として挙げられている[10]。NATという延命策も、IPv6への移行を急がせにくくした背景の一つと考えられる[4]

それでも、普及は進んでいる。現状はどうか。

5. あたらしい ばんごう(IPv6)が、ついに はんぶんを こえた

5. 2026年、Googleの計測で、IPv6が初めて半分を超えた

5. 2026年:計測開始から約18年で、IPv6が過半数に

2026ねんの はる、Googleの けいそくで、IPv6を とおる つうしんが、はじめて はんぶんを こえたと ほうこく されました。3がつ28にちで 50.10パーセントでした[11]

1995ねんの ぶんしょが かいた よそうから、31ねんが たって います。ばんごうを つかい まわす ちえで じかんを かせぎ ながら、あたらしい ばんごうが、すこしずつ ひろがって きたのです。

2026年の春、Googleの計測で、IPv6経由のアクセスが、初めて50%を超えたと報告されました。2026年3月28日の値は、50.10%です[11]。計測を始めてから、約18年後のことです[11]

1995年の見積もりから、31年。番号を使い回すNATが時間を稼ぎ、その間に、新しい番号の仕組みが育ちました。二つは、バトンタッチのように、時間を分けあってきました。

あなたの家のインターネットは、IPv6でつながっているでしょうか。

2026年の春、Googleの計測で、IPv6経由のアクセスが、初めて50%を超えた。3月28日の値は50.10%だ。ISOCの記事は、計測開始から18年後の到達だ、と伝える[11]

1995年の見積もりから、31年。NATが時間を稼ぎ、その間に、互換性のない新しい仕組みが育った。二つは、バトンタッチのように、時間を分けあってきた。

自分の家の接続は、どちらなのか。確かめる方法がある。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちの きかいを かぞえて みましょう。おうちの 人と いっしょに してください。

かぞえて みる

  • おうちで、インターネットに つながる きかいを、ぜんぶ かぞえる。スマートフォン、ゲームき、テレビ、スピーカー。1つの きかいに ひとつ、せかいで ただ ひとつの ばんごうを つけると したら、いくつ ひつようでしょう。
おねがい

じぶんの IPアドレスが 出る ページが あります。ひょうじされた ばんごうは、おうちの 人と いっしょに 見て、ほかの 人には おしえないで ください。

自分の家は、IPv6でつながっているのでしょうか。確かめる方法があります。

家の機器を数える

  • 家でインターネットにつながる機器を、全部数える。スマートフォン、ゲーム機、テレビ、スピーカーなど。一つひとつに世界で唯一の番号を割り当てるとしたら、いくつ必要でしょうか。NATは、この数を、家に一つの番号で済ませています。

IPv6で接続しているか確かめる

IPv6での接続を調べるサイトがあります。ブラウザーが、いくつものURLに到達を試み、成功と失敗の組み合わせで、準備状況が分かります[12]。家の人のパソコンで、いっしょに試してみましょう。INTERNET Watchの記事には、確認方法と、IPv6アドレスの見た目の例があります[13]

安全のために

サイトに表示されるIPアドレスは、家の通信につながる情報です。SNSなどには、載せないでください。確認は、家の人といっしょに行いましょう。

原典で確かめる

  • 1995年のRFC 1752で、枯渇の見積もりの箇所を読む。「2005年から2011年のあいだ」という予測が、どんな根拠で書かれているかを確かめられます[3]
  • JPNICの「IPv4アドレスの在庫枯渇に関して」を読む。地域ごとの在庫の枯渇の日付と、NATの位置づけが書かれています[4]

自分の家で確かめる

  • 家の機器の数を数え、IPv6で接続しているかを確かめる。IPv6接続を調べるサイトや、INTERNET Watchの記事を参考にできます[12][13]
安全のために

サイトに表示されるIPアドレスは、家の通信につながる情報です。SNSなどには、載せないでください。確認は、家の人といっしょに行いましょう。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事は、下にあげた公開情報をもとに書いています。文章や図を無断で転載してはいません。もっと正確に知りたいときは、必ず下の出典にあたってください。リンク先の内容や、リンク先で起きたことについて、当サイトは責任を負いません。

出典について:標準を決める文書(RFC)、JPNIC・総務省・APNIC・ISOCなどの解説、INTERNET Watchの記事を使いました。英語の資料は、内容を日本語で説明しています。このメモは、これらの団体のものではなく、個人のまとめです。

  1. RFC 791「Internet Protocol」(1981年9月、Jon Postel)。 https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc791 (IPv4のアドレスが32ビットの固定長であること。英語の資料)
  2. JPNIC ニュースレター No.20「インターネット10分講座:IPv6」(2002年3月)。 https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No20/sec0700.html (IPv4の約43億個、IPv6のアドレスの数)
  3. RFC 1752「The Recommendation for the IP Next Generation Protocol」(1995年1月)。 https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc1752 (IPv4のアドレスを使い切る時期の見積もり。英語の資料)
  4. JPNIC「IPv4アドレスの在庫枯渇に関して」(2017年1月5日時点)。 https://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/ (IANAとAPNICなどの在庫が尽きた日、NATの位置づけ)
  5. RFC 1631「The IP Network Address Translator (NAT)」(1994年5月)。 https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc1631 (NATの提案。英語の資料)
  6. RFC 1918「Address Allocation for Private Internets」(1996年2月)。 https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc1918 (家や組織の内側だけで使う私用アドレス。英語の資料)
  7. 総務省「IPv6」のページ(電気通信政策)。 https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ipv6/index.html (IPv6のアドレスの数、約340澗)
  8. RFC 2460「Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification」(1998年12月)と、RFC 8200(2017年7月)。 https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc2460 https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc8200 (IPv6の規格と、その置きかえ。英語の資料)
  9. JPNIC ニュースレター No.37「インターネット10分講座:IPv4/IPv6共存技術」(2007年11月)。 https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No37/0800.html (IPv4とIPv6が直接通信できないこと、共存させる技術)
  10. George Michaelson「Google hits 50% IPv6」APNIC Blog(2026年4月28日)。 https://blog.apnic.net/2026/04/28/google-hits-50-ipv6/ (普及が遅れた理由。英語の資料)
  11. Mat Ford「18 Years Later, IPv6 Reaches Majority」ISOC Pulse(2026年4月21日)。 https://pulse.internetsociety.org/en/blog/2026/04/18-years-later-ipv6-reaches-majority/ (IPv6経由のアクセスが初めて50%を超えたこと。英語の資料)
  12. test-ipv6.com(個人が運営するIPv6接続の確認サイト)。 https://test-ipv6.com/ (ブラウザーでIPv6の準備状況を調べるサイト。公的機関のものではありません。英語の資料)
  13. 清水理史「IPv6で通信できてる? 自分のアドレスは? 実は固定じゃない? 自宅のIPv6環境をチェックしてみよう!」INTERNET Watch(2018年12月25日)。 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/shimizu/1159272.html (自宅のIPv6環境の確認方法)

なおした ところ

更新履歴

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