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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あたらしい 革靴かわぐつは、どうして だんだん 足に ぴったりに なるの?

革靴はなぜ足になじむ? 革の繊維と水分、歩く力の話

革靴の履き慣らし:コラーゲン繊維・水分・荷重が生む「なじみ」とその限界

分野:技術

おろしたての 革靴かわぐつは、小指が いたいことが あります。それが 数週間たつと、いたくなくなる ことが あります。靴くつは 同じ なのに、ふしぎです。革かわの 中で なにが おきて いるのか、のぞいて みましょう。

買ったばかりの革靴は、小指やかかとが痛いことがあります。それが数週間はき続けるうちに、いつのまにか痛くなくなります。靴そのものは変わっていないのに、足のほうが慣れただけなのでしょうか。それとも革が変わったのでしょうか。革の中のつくり、靴の中の湿気、歩くときの力から考えます。

革靴は履き慣らすと足に沿う、とよく言われる。この「なじみ」は、革の内部で何が動いて生まれるのか。なめしの仕組み、コラーゲン繊維の性質、靴の中の湿度、そして「どこまでしか伸びないのか」という限界まで、業界資料と論文の抜粋を突き合わせて整理する。

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1. きつかった 靴くつが、ゆるく なる?

1. 「慣れた」のは足か、靴か

1. 「なじむ」を疑う:足が慣れたのか、革が変わったのか

あたらしい 革靴かわぐつを はいた 日は、かかとや 小指が あたって、いたく なりやすいです。

でも 毎日 はいて いると、その いたみが へって いくことが あります。

足の ほうが なれたのかも しれません。それとも、靴くつの 革かわが すこし かわったのでしょうか。

革靴かわぐつに くわしい 人は、革かわの 中の 繊維せんいが、はく人の 足に あわせて 形を かえて いく、と 話して います[1]。

この 「繊維せんい」って、なんでしょう。まず 革かわが なにで できて いるかを 見て みましょう。

新しい革靴をはいた日は、かかとや小指のつけ根が当たって痛くなりがちです。数週間はき続けると、その痛みが減ることがあります。

足の皮ふが硬くなったり、歩き方が変わったりして、人のほうが慣れる部分もあるでしょう。ただ、靴づくりや修理に詳しい人は、革の内部の繊維が、はく人の足に沿って形を変えていくとも説明しています[1]。

革の中にはどんな繊維があり、なぜ動くのでしょうか。まず、革という素材の成り立ちから見ていきます。

新品の革靴は、かかと・小指まわり・親指の付け根に当たって痛みやすい。数週間の着用でそれが和らぐことは多くの人が経験するが、その原因を「足が慣れた」と「革が変化した」に切り分けるのは簡単ではない。

革靴の専門家は、革の柔軟性は内部のコラーゲン繊維のネットワークによるもので、着用によってその繊維が足に沿うように形を変え、曲がりやすくなっていくと説明している[1]。ただしこれは専門家による解説記事であり、実測値を伴う研究ではない。

本稿では、この説明を支える材料(革の成り立ち、繊維の力学的性質、靴内の環境)を順に確かめる。なお、湿気・体温・繰り返しの屈曲のどれがどれだけ寄与するかは、まだ分けて説明できない。

2. 「かわ」が 「革かわ」に なるまで

2. 腐る皮を、腐らない革にする

2. なめし:コラーゲンに「橋架け」をして皮を革にする

どうぶつの 皮を そのまま ほうって おくと、くさったり、かたく なったり します[2]。

そこで、皮に くすりを しみこませる 「なめし」を します。すると、くさりにくく、やわらかい 革かわに なります。

皮の 中には、細い 糸のような ものが たくさん あります。なめしは、その 糸と 糸の あいだを、ところどころ つなぐ しごとです[3]。

たとえば、あみ目の ある 毛糸の セーター。ひじの ところが のびて、ひじの 形に なって しまった ことは ありませんか。革かわの 糸の あつまりも、これに すこし にて います。ただし 本当は 毛糸では なく、生きものの からだに ある 繊維せんいです。

動物の皮をそのままにしておくと、腐ったり硬くなったりします[2]。これを防いで、長く使える素材にする作業が「なめし」です。

皮の主な成分はコラーゲンという細い繊維です。なめしでは、その繊維どうしのあいだに「橋かけ」のようなつながりを新しくつくります。すると乾いたときの縮みや、外から力が加わったときの変化が小さくなり、腐りにくさ、水への強さ、柔らかさなどが加わると説明されています[3]。

つまり革は、繊維がからみ合った状態を、なめしで「止めた」ものといえます。ただし、止めたといっても完全にがちがちに固定されたわけではありません。次の章から、その「ゆるみ」の話に入ります。

現在の主流は、植物の渋を使うタンニンなめしと、クロムを使うクロムなめしです。クロムなめしは業界サイトで流通する革の約8割とされますが[4]、これは革全体の話で、靴の革だけの割合ではありません。

皮(skin)は放置すると腐敗し、乾燥すれば硬くなる[2]。なめしは、主成分であるコラーゲンの微細構造のあいだに「橋架け(はしかけ)」を行い、新しい分子間結合をつくる工程である。これにより、乾燥時の収縮や機械的な作用による変化が減り、耐熱・耐腐敗・耐水・柔軟といった性質が与えられる[3]。

現在主流のなめしは、植物のタンニンによるものとクロムによるものの2種で、日本皮革産業連合会の資料を参照した業界サイトは流通する革の約8割がクロムなめしだとしている[4]。これは皮革全体の値であり、靴用の革に限った割合とは言えない。

要点は、革が「繊維がからみ合った状態を橋架けで安定させた材料」だという点にある。橋架けは腐敗や収縮を抑えるが、繊維の網の目そのものが消えるわけではない。次章以降で扱う「なじみ」は、この網の目のゆるやかな動きとして説明される。

3. 革かわの 中の 繊維せんいが うごく ときは

3. 水分と力で、繊維の網は動きやすくなる

3. 水分と荷重で、革の繊維はどう動くか

革かわの やわらかさは、中の 繊維せんいが 作る 「あみ」の おかげです。この あみは、水を ふくむと やわらかく なり、力が かかると、うごいたり 形が かわったり しやすく なる、と いわれます[1]。

毛糸の セーターを ぬらして おいて、ひじを ぐっと 曲げつづけると、ひじに 曲がった 形が つく ことが あります。それと 少し にた ことが、靴くつの 中でも おきて いるようです。

けんきゅうでは、革かわに 力を かけつづけると、はじめに すこし のびた あとも、じわじわ のびが ふえる、と つたえられて います[5]。

革の柔らかさは、内部のコラーゲン繊維がつくる網の目のような構造によるものです。この構造は、水分を含むと柔軟性が増し、圧力がかかると動いたり形が変わったりしやすくなると、革靴の専門家が説明しています[1]。

研究でも、革は力をかけ続けると、最初の変形のあとにも変形がじわじわ増えていく性質(クリープ)があると報告されています。革は水分や温度によっても性質が変わると考えられますが、その影響の大きさまでは、この資料からは言えません[5]。この試験はクロムなめしの革で行われたもので、靴の革すべてにあてはめられるとは限りません。

コラーゲンの繊維1本だけを部分的に湿らせて調べた別の実験では、ゆっくりした緩みやクリープが、分子や細い繊維どうしの「すべり」に関係しているかもしれないと、著者は示唆しています[6]。ただしこの実験は革ではなくほ乳類のコラーゲン繊維で行われ、「すべり」もまだ確定ではありません。

革靴の専門家は、革の柔軟性は内部のコラーゲン繊維のネットワークに由来し、この構造は水分を含むと柔軟性が増して、圧力下で移動・変形しやすくなると述べている[1]。

これに対応する材料工学の知見として、革は非線形の粘弾性体とされ、荷重を保持すると瞬間的な変形のあとも変形が漸増する(クリープ)と報告されている[5]。ただし出典は検索で得た抜粋で、試験対象はクロム革である。温度・含水率と緩和時間の関係は、この資料からは確認していない。靴革一般へは一般化しない。

より微視的には、部分的に水和させた個々のコラーゲン線維の引張試験で非線形粘弾性が観察され、長い緩和時間(378±358 s)とクリープ時間定数(206±85 s)は、コラーゲン分子やミクロ線維間の滑りと関連しうると考察されている[6]。実験材料はほ乳類のコラーゲン線維であって革ではなく、「滑り」も示唆にとどまる。

以上から言えるのは、「荷重が続くと繊維の網がゆっくり変形し、水分を含むと動きやすくなるらしい」という方向性までである。

4. 靴くつの 中は、しめった 場所

4. 靴の中は、ほぼ湿度100%になることがある

4. 靴内環境:汗と湿度

足は、思ったより たくさん 汗あせを かくと いわれます。1日で りょうあし あわせて、コップ1ぱい(200ミリリットルくらい)と いう 話も あります[7]。ただ、これは 「いわれて いる」数で、人に よって ずいぶん ちがいます。

靴くつの 中の しめりぐあいを はかった れいでは、1日の いちばん 高い ときに、しつどが 99%を こえた、と のって います[7]。これは 1回の はかった 数です。

あたたかくて、しめった 中で、歩くたびに 力が かかる。これは、革かわの 繊維せんいが うごきやすい じょうけんに ちかいと 考えられます。

足は1日に、両足でコップ1杯分(約200mL)の汗をかくといわれます[7]。これは根拠が示されていない目安で、人によって大きく違うはずです。

靴の中の湿度を測った例では、1日の最高が99.49%だったそうです[7]。これは1回の計測例ですから、いつもこの値になるとは限りません。「高いときは99%台になる」くらいの受け取り方がよいでしょう。

体温で温められ、汗で湿り、一歩ごとに体重がかかる。前の章で見た、水分で柔らかくなることや、力をかけ続けると変形が増えることと、条件が重なっています。

足の発汗量は「1日に両足でコップ1杯(約200mL)」と言われるが、引用元の記事は根拠を示しておらず、個人差も大きい[7]。同記事は、靴内の湿度計測で1日の最高湿度が99.49%に達した例を挙げている。これは1回の計測例であり、一般値ではない。

体温(温度)、汗(含水率)、歩行(荷重)という3つの条件が同時に靴の中に存在することは、前章の粘弾性の知見(荷重でクリープが進む)や専門家の説明(水分で柔軟性が増す)に関わる条件と対応する。ただし、この3つがどの程度寄与するかは、まだ分けて説明できない。

5. どこまで のびるの?

5. 伸びるのは、ほんの少し

5. なじみの限界:1〜2mmという目安と履きじわ

それでも、靴くつが 大きく なるわけでは ありません。

くつやの ブログでは、ふつうに はいて のびるのは、横はばで 1〜2ミリ ぐらい、長さは ほとんど のびない、と 書いて います[8]。のびやすいのは 小指の まわりなどで、かかとの かたい ところは ほとんど のびません。

きつい 靴くつが サイズアップする わけではなく、「あたりが すこし へる」くらいだそうです[8]。

また、あるくたびに 靴くつが 曲がる ところに、しわが できます。くりかえし 曲がる うちに、繊維せんいの 一部が もとに もどらなく なって、みぞが できる、と いわれて います[9]。

ただし、なじむといっても、靴が一回り大きくなるわけではありません。ある靴店のブログは、ふつうに履いて伸びるのは横幅でせいぜい1〜2mm程度、長さはほとんど伸びないとしています[8]。伸びやすいのは小指まわりや親指の付け根で、芯の入ったかかとなどはほぼ伸びないそうです。

同じブログは、きつい靴がサイズアップすることはなく、「足になじんで違和感が減る」程度だと結論しています[8]。1つの靴店の目安ですので、数字は「そのくらい」と考えてください。

歩くたびに曲がる甲のあたりには、履きじわができます。歩行による屈曲が繰り返されるうちに、繊維の一部が元に戻らず変形して、谷になるという説明があります[9]。ただし、これも靴店の解説で、確かめた研究は今回は見つけていません。

自然な履き慣らしで伸びるのは、ウィズ方向で約1〜2mm程度、長さ方向はほぼ伸びない、とする靴店の解説がある[8]。伸びやすいのは小指まわり・親指の付け根で、芯材の入る部分やかかとはほとんど伸びない。同解説は、きつい靴がサイズアップすることはなく「足になじんで違和感が減る」程度と結論づけている。ただし1店舗の目安であり、測定値ではない。

履きじわについては、歩行の屈曲が繰り返されることで、革表面が内側へ折り畳まれ、繊維の一部が恒久的に変形して谷をつくる、と靴店ブログは説明する[9]。これは検索抜粋で得た未検証の解説であり、一次資料は確認できていない。

したがって「なじみ」は、繊維がずれて生じる微小な形の変化と、屈曲による履きじわの固定、それに足の側の慣れが重なったものと考えるのが無理がない。どれが主因かは、現時点では言い切れない。

6. やすませると、どうなる?

6. 靴を休ませると、革はどうなる?

6. 休ませることの意味:24時間という目安

くつ職人しょくにんの 話では、革靴かわぐつの 中の しめりは、かんぜんに かわくまでに 24時間 いじょう かかる そうです[10]。

だから、1日 はいたら 1日 やすませると いい、と いわれて います。やすませると、革かわが もとの 形に もどろうと する からだ、という 話も あります。

もし そうなら、なじんだ 形が ぜんぶ のこる わけでは ないのかも しれません。はく たびに、すこしずつ 足に よった 形が つもって いくのでしょう。

靴職人の解説では、革靴の中の湿気が完全に乾くには24時間以上かかるとされ、最低でも1日履いたら1日休ませるのが基本だそうです[10]。休ませると革が元の形に戻ろうとする性質があるためだ、とも説明されています。

これを前の章と合わせると、なじみは「履いた日に少し動き、休むと少し戻り、また履いて少し動く」ことの積み重ねなのかもしれません。戻る量や、残る量を測った資料は今回見当たりません。

靴職人の解説では、革靴内部の湿気が完全に乾くには24時間以上かかり、休ませると革が元の形に戻ろうとする性質があるため、最低でも1日履いたら1日休ませるのが基本とされる[10]。

この説明を前章の粘弾性の議論とつなぐと、なじみは「履用中の湿潤・加温・荷重で繊維がわずかにずれる」→「休止中の乾燥と弾性回復で一部が戻る」→「戻りきらない分が蓄積する」という過程の繰り返しとして解釈できる。ただしこれは複数の資料を組み合わせた本稿の整理であり、蓄積量を測った研究は今回の資料には無い。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

家に ある 革かわの くつを 見て みましょう。どこに しわが よって いるでしょう。あるいた ときに 曲がる ところと、同じでしょうか。(かんさつ だけで、ひっぱったり ぬらしたり しないでね。)

ふだん はく くつと、しばらく はいて いない くつを ならべて、しわの ぐあいを くらべても おもしろいです。

本で しらべる

図書館で「革かわ」や「靴くつ」の 本を さがして みましょう。

今日できること

家にある革靴やかばんの革の、しわの位置を観察してみましょう。歩くと曲がる場所と重なっているか、確かめられます。引っぱったり、水でぬらしたりする必要はありません。

出かけてできること

図書館や靴の修理店で、革の性質や靴の手入れについての本や説明を探してみてください。

公式情報

革のなめしについては、日本革市や日本皮革産業連合会などの業界の解説があります。

今日できること

手持ちの革靴の履きじわの位置を観察し、歩行で屈曲する位置と対応するか確かめてみよう。ふだん履く靴と、しばらく履いていない靴を並べて、しわの入り方を比べてもおもしろい。

資料を読むなら

  • 革のクリープ・緩和の測定:[5](英語)
  • コラーゲン線維の粘弾性:[6](英語)
  • なめしの概要:[3]、[2]

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

記事で使った資料の一覧です。数字は、それぞれの資料で述べられている内容にもとづきます。

  1. GQ JAPAN「革靴を伸ばす方法」(carview 転載) https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/408cf94000479acce3acd57911c4b180a406b262 (革の繊維と水分・圧力の説明)
  2. 山陽「なめし(鞣し)って何?」 https://sanyotan.co.jp/note/what-is-tanning (皮と革のちがい)
  3. 日本革市「なめしとは」 https://www.kawa-ichi.jp/basic/03/index.html (橋架けの説明)
  4. JOGGO「なめし(鞣し)とは」 https://joggo.jp/column/future/future__newaction05/ (なめしの種類と割合)
  5. Measurement of creep, relaxation and bagginess indexes of leather(Materials 2021) https://doi.org/10.3390/ma14081894 (革のクリープと緩和。検索抜粋で確認)
  6. Microscale Creep and Stress Relaxation Experiments with Individual Collagen Fibrils https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8752082/ (コラーゲン線維の粘弾性)
  7. @DIME「革靴の蒸れ対策」 https://dime.jp/genre/474495/ (足の汗と靴内の湿度)
  8. まごころ「革靴は履いているとどれくらい伸びるのか」 https://magokoro-k.com/blog/archives/1828 (伸びる量の目安)
  9. 革靴の履きジワについて(靴店ブログ) https://flawless-japan.com/blog/archives/1890 (履きじわの説明。検索抜粋で確認)
  10. スピカ「革靴の連続履きはNG」 https://www.spica-inc.jp/blog/order-shoes/maintenance/p25352/ (休ませる理由)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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