1. 300円の くじは、へいきん いくらに なる?
1. 期待値 ── 300円のくじは平均いくらか
1. 期待値の計算 ── 1枚300円あたりの当せん金の平均
くじには、あたりの ほうが すくなく、はずれが たくさん あります。あたりの おかねを ぜんぶ たして、くじの まいすうで わると、1まい あたりの へいきんが でます。
この きじでは、いつも うられて いる くじの ぜんぶの へいきんを、「およそ 46.5%」として つかいます[3]。300円に 0.465を かけると、139.5円。だいたい 140円です。
たとえば 10まい かうと 3000円で、もどる のは へいきん 1395円ほど。ただし これは「たくさん かった ばあいの へいきん」です。1まいずつの けっかは、0円の ことも あります。
宝くじのようなくじで、当せん金の合計を発売枚数で割ると、1枚あたりの平均が出ます。これが期待値です。「買うたびに必ずこの金額が戻る」という意味ではなく、たくさん買ったときの平均という意味です。
令和6年度の資料では、宝くじの売上の46.5%が当せん金にあてられています[3]。300円×0.465=139.5円。1枚あたりの平均は約140円で、買った金額より160円ほど少なくなります。
10枚なら3000円で、平均して戻るのは1395円ほどです。ただし、これは全国の平均です。年末ジャンボなど個別のくじの還元率は、この数字と少し違うことがあります。
期待値は、賞金の総額を発売枚数で割った1枚あたりの平均である。令和6年度の宝くじ1枚あたりの内訳は、当せん金46.5%、収益金36.2%、印刷費・売りさばき手数料など16.0%、社会貢献広報費1.3%と紹介されている[3]。
これを300円のくじに当てはめると、300×0.465=139.5円で、1枚あたりの当せん金の平均は約140円となる。上限とされる5割でも300×0.5=150円であり、300円を超えない[1]。
この約140円は全国の宝くじ全体の平均であり、年末ジャンボなど個別のくじの値ではない。個別のくじは約50%と紹介される例もあるが、公式の原文では確認できていないので、本記事では使わない。
2. 1とうの かくりつは、どのくらい ちいさい?
2. 1等は2000万分の1 ── 小さな確率を実感する
2. 年末ジャンボの1等確率 ── 2000万分の1の算出
ねんまつジャンボの くじは、1まい 300円です。2000万まいを ひとまとまりに して うります。その ひとまとまりに、1とうは 1ほんだけ です[2]。
ですから、1とうが あたる かくりつは 2000万ぶんの 1です。まいにち 1まいずつ ためして、へいきん すると 5万5千年ほど かかる ほどの ちいささです。
たとえば、1まいの かみを 0.1ミリの あつさと して、2000万まいを つみかさねると、およそ 2キロメートルです。その なかの ただ 1まいが 1とうです。
ここで わりざんを して みます。ぜんぶで 4おく 6000万まい ありますが、1とうは 23ほん です。4おく 6000万を 23で わっても、やはり 2000万に なります。
年末ジャンボは、1ユニット(200組・2000万枚)ごとに1等が1本入っています[2]。ですから、1等の確率は2000万分の1です。
発売総額が1380億円で23ユニットの場合、全部で4億6000万枚あります。1等は23本ですから、23本÷4億6000万枚も、やはり2000万分の1になります。「全部の枚数分の1」ではない点に注意してください。
数の大きさを実感するために、たとえ話を一つ。紙1枚の厚さを0.1ミリとして2000万枚を積むと、約2キロメートルの高さです。その中の1枚だけが1等です。また、毎日1回試したとして、平均すると2000万日、つまり約5万5千年かかる計算になります。
なお、2000万分の1という数字は、公式の枚数から計算した値です。公式ページに確率が書かれているのを見つけたわけではありません。
年末ジャンボは1枚300円、200組・2,000万枚を1ユニットとし、発売総額1,380億円・23ユニットの場合、1等は23本である[2]。1ユニットに1等が1本なので、1等の確率は1/20,000,000と算出できる。全体では1,380億÷300=4.6億枚、23本÷4.6億枚も1/2,000万で整合する。
大きな数を実感するための見立てとして、紙1枚を0.1mmとすれば2,000万枚は約2km、毎日1回ずつ試す場合の平均待ち時間は2,000万日≒約5.5万年となる。いずれも机上の換算である。
公式ページに確率の明記は見つけていないため、この値は公式の枚数からの算出値である。
3. どうして へいきんが 300円より すくないの?
3. 法律が決めた上限 ── 当せん金は原則、売上の5割以下
3. 当せん金付証票法5条 ── 還元率の法定上限
それは、法律で きまって いるからです。ふつうの たからくじの あたりの おかねの ぜんぶは、うった おかねの 半分より おおきく しては いけないと されて います[1]。(くじの しゅるいに よっては、きまりに ある ぶんを たす ことも あります。この きじの けいさんは ふつうの くじの ばあいです。)
ですから、へいきんの もどりが 300円より おおく なることは、しくみの うえで ありません。
むかしの しりょうで くらべると、けいばや けいりんなどは、もどりが 4分の3ほど でした[6]。たからくじは 45.7%と ひくい ほうでした。これは へいせい20ねんどの けっかで、いまの すうじでは ありません。
当せん金付証票法という法律の5条は、当せん金の総額を発売総額の5割以下にするよう、原則として定めています[1]。ただし、加算型のくじでは加算金を上乗せできます。この記事の計算は、通常のくじを前提にしています。5割ちょうどまで出したとしても、300円のくじの平均は150円で、買った金額を上回ることはありません。
総務省の資料によると、平成20年度の払戻率は、宝くじが45.7%でした。競艇74.8%、競輪75.0%、競馬74.1%などの公営競技より、かなり低い値です[6]。古い年度の数字なので、いまの比較には使えません。
払戻率が低いことは、隠された話ではなく、法律と公的資料に書かれた設計です。買う前に、誰でも数字で確かめられます。
当せん金付証票法5条は、当せん金品の金額または価格の総額が発売総額の5割に相当する額を超えてはならないと定める[1]。したがって、還元率は原則として5割以下である(加算型の加算金を除く)。本記事の計算は通常のくじを前提とし、その場合、300円のくじの期待値が300円を超えることはない。
総務省の資料(平成20年度実績)では、宝くじの払戻率は45.7%(売上1兆419億円、当せん金4,758億円)で、競艇74.8%、競輪75.0%、競馬74.1%より大幅に低い[6]。これは古い年度の数字であり、現在値としては用いない。ただし、法律が上限を定めていて、それが公的資料に記録されているという構造は確認できる。
4. のこりの おかねは、どこへ いくの?
4. 売上の内訳 ── 収益金は自治体の公共事業へ
4. 収益金と経費 ── 令和6年度の内訳と東京都の使途
300円の うち、もどって くるのは 半分くらいです。のこりは、くじを つくったり うったり する ための おかねと、自治体に はいる おかねに なります。
れいわ6ねんどでは、およそ 36%が 「しゅうえききん」と いって、くじを うった 県や 市に おさめられます[3]。
この おかねは、どうろや こうえん、こそだての しえん、おとしよりの ふくしなどに つかわれると せつめい されて います[5]。
東京都では、れいわ7ねんどに やく604おく円が つかわれる よていと して います。こそだての ための こうふきんが やく213おく円、こうえんを つくる のに やく66おく円です[4]。
令和6年度の内訳は、当せん金46.5%、収益金36.2%、印刷費・売りさばき手数料など16.0%、社会貢献広報費1.3%です[3]。全国の販売実績は約7598億円で、この売上が上の割合で分けられます。
収益金は、発売元の都道府県や指定都市に納められ、道路や河川、教育施設、子育て支援、高齢者福祉、文化・スポーツ振興などに使われます[5]。和歌山県の説明では、売上のおよそ40%が目安とされています。
東京都は、令和7年度に公共事業等に約604億円を使う予定で、子育て推進交付金に約213億円、公園整備に約66億円などがあげられています[4]。東京都の図では経費手数料が17.4%と別に分類されており、三重県の資料の16.0%+1.3%に近い分け方の違いです。年度や分類の違う数字は、混ぜて比べません。
令和6年度の宝くじ1枚あたりの内訳は、当せん金46.5%、収益金36.2%、印刷費・売りさばき手数料など16.0%、社会貢献広報費1.3%、全国販売実績約7,598億円とされる[3]。三重県ページは自治体による二次的な紹介であり、全国統一の公式集計は取得できていない。
収益金は、当せん金や経費などを除いた約40%が発売元の自治体に納められ、道路・河川、教育施設、子育て支援、高齢者福祉、文化・スポーツ振興などの公共事業に使われるとされる[5]。東京都の資料では令和7年度に約604億円を予定し、子育て推進交付金約213億円、公園整備約66億円などが示される[4]。
東京都の図は当せん金46.5%・収益金36.2%・経費手数料17.4%と分類が異なる。経費17.4%は上記の16.0%+1.3%に近く、分類差と読める。年度・分類の違う数字は混ぜない。
5. ちいさな かくりつが、おおきく みえるのは なぜ?
5. 小さな確率が大きく見える心のはたらき
5. プロスペクト理論 ── 低確率の過大評価
2000万ぶんの 1は、ほとんど ゼロです。でも、くじの まえに たつと、「もしかしたら」と おもう ことが あります。
こころの けんきゅうを した ひとたちは、とても ちいさな かくりつを、じっさいより おもく かんじる ことが ある、と かきました。それが くじを かいたくなる りゆうの ひとつに なるかもしれません[7]。
ただし、かう りゆうは ひとに よって ちがいます。たのしみの ため、おうえんの ため、ゆめを みる ため。ひとつの りくつだけで、すべてを せつめいは できません。
心理学者のカーネマンとトヴェルスキーは、1979年の論文(プロスペクト理論)で、ごく小さい確率を、判断の中で実際より重く扱うことがあると述べ、これが保険と賭け事の魅力を高めうると書きました[7]。
「〜に寄与しうる」という言い方が大切で、宝くじを買う理由がこれだけで説明できる、とは書かれていません。楽しみ、夢を見る時間、収益金を役に立てたい気持ちなど、ほかの動機もありそうですが、この記事の資料では確かめられていません。
2000万分の1という確率は、感覚ではとらえにくい数です。数字にして、平均は約140円で、買った金額より少ないと確かめると、自分の買い方を冷静に決めやすくなります。
カーネマンとトヴェルスキー(Kahneman & Tversky)は1979年の論文Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk(Econometrica 47(2))で、極めて小さい確率が過大に重みづけされ、保険と賭けの魅力を高めうると述べている[7]。
これは宝くじの購入理由の説明の一つの候補にすぎない。動機は娯楽、夢、寄付意識など複数ありうるが、それらは本記事の出典では確認していない。単一の理論で断定しない。
売れ続ける理由の説明として、本記事で言えるのは次の範囲である。(1)法律が還元率を5割以下に定め、(2)全国の販売実績は約7,598億円と紹介され、(3)小確率の過大評価が寄与しうる、という3点を、それぞれの出典の範囲で並べたにすぎない。
6. じぶんで けいさんして みよう
6. 自分で計算して確かめる
6. 自分でも調べてみたくなったら
かみと えんぴつで、けいさんして みましょう。300円に 0.465を かけると、いくらに なりますか。10まいぶんなら、どうでしょう。
もうひとつ。4おく 6000万を 23で わって みます。2000万に なりますか。じぶんの けいさんで、かくりつを たしかめる ことが できます。
たからくじを かうか どうかは、おうちの ひとと はなして きめましょう。この きじは、かう ことを すすめる ものでは ありません。
【今日できること】紙と鉛筆で、次の2つの計算をしてみましょう。300円×0.465(1枚あたりの平均)と、4億6000万÷23(1等の確率の分母)。数字の意味を、自分の手で確かめられます。
【もう一歩】総務省や自治体の資料で、最新年度の払戻率と収益金の使い道を探してみましょう。年度がちがうと数字も変わります。
【気をつけること】この記事は、購入をすすめるものではありません。お金の使い方は、家の人と相談して決めましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数字は2026年9月30日に確認した資料から。年度の違う数字は混ぜていません。
- 当せん金付証票法(法令データ)https://hourei.net/law/323AC0000000144 (還元率の上限5割)
- 宝くじ公式サイト 宝ニュース(年末ジャンボ)https://www.takarakuji-official.jp/news/recent/?newsId=251101 (1枚300円・ユニット・本数)
- 三重県「宝くじの収益金(令和6年度)」https://www.pref.mie.lg.jp/ZAISEI/HP/31933028251.htm (令和6年度の内訳)
- 東京都財務局「宝くじの使いみち」https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/takarakuji_250902 (令和7年度の使途予定)
- 和歌山県 宝くじの説明ページhttps://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010400/kuji/takarakuji.html (収益金の納め先と使い道)
- 総務省「宝くじ・公営競技・サッカーくじの実効還元率」https://www.soumu.go.jp/main_content/000084191.pdf (平成20年度の払戻率比較)
- Kahneman, D. & Tversky, A. (1979) Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk. Econometrica 47(2). https://www.econometricsociety.org/publications/econometrica/1979/03/01/prospect-theory-analysis-decision-under-risk (小さい確率の重みづけ)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。