マイクロプラスチックは、どこから 来るの?

マイクロプラスチックはどこから来るのか ── 海・川・服から見つかる小さな粒

マイクロプラスチックはどこから来るのか ── 発生源の内訳と、分かっていないこと

分野:自然

海や 川、そして 人の からだの 中からも、マイクロプラスチック という 小さな つぶが 見つかって います。

どこから 来るのでしょうか。じつは、ペットボトルよりも、 せんたくした ふくの いとの ほうが おおいのです。

この きじでは、どんな ものから 来て いるのかと、からだへの えいきょうに ついて わかって いる ことを 見て いきます。

海や川、そして人の体の中からも、マイクロプラスチックという 小さな粒が見つかっています。

どこから来るのでしょうか。実は、ペットボトルよりも、洗濯した 服の繊維のほうが多いという調査結果があります。

この記事では、その理由と、体への影響について分かっていること・ まだ分かっていないことを見ていきます。

海や川、そして近年は人の血液や肺、胎盤からも検出が報告されて いるマイクロプラスチック。どこから発生しているのでしょうか。

実は、海に流出するマイクロプラスチックのうち、最大の発生源は ペットボトルなどの容器ではなく、合成繊維の衣類を洗濯したときに 出る繊維くずだという調査結果があります。

この記事では、発生源の内訳、化粧品のマイクロビーズが規制されて きた経緯、そして体への影響について現時点で分かっていること・ 分かっていないことをたどります。

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1. マイクロプラスチックって なに?

1. マイクロプラスチックとは何か

1. 定義 ── 一次と二次、2つの種類

マイクロプラスチックとは、5ミリメートル いかの プラスチックの つぶの ことです[1]

さいしょから 小さく つくられた ものと、大きな プラスチック ごみが、日光や 波で こわれて 小さく なった ものの、 2しゅるいが あります[1]

5ミリメートル以下のプラスチック

マイクロプラスチックとは、5ミリメートル以下のプラスチック の粒のことです[1]

「一次」と「二次」の2種類

最初から小さく作られたものを「一次マイクロプラスチック」、 大きなプラスチックごみが、太陽の光や波の力でくだけて小さく なったものを「二次マイクロプラスチック」と呼びます [1]

マイクロプラスチックは、一般に直径5ミリメートル以下の プラスチック粒子と定義されます(研究者によって1ミリメートル 未満とする場合もあります)[1]

発生の経緯によって2種類に分類されます。最初からマイクロ サイズで製造される「一次マイクロプラスチック」(洗顔料の スクラブ剤などに使われるマイクロビーズが代表例)と、レジ袋や ペットボトルなどの大きなプラスチック製品が、紫外線や波の力で 砕けて微細化した「二次マイクロプラスチック」です [1]

2. どこから 来るの? ── いちばん おおいのは いと

2. どこから来るのか ── いちばん多いのは服の繊維

2. 発生源の内訳 ── IUCNの2017年の調査

こくさい しぜんほごれんごう(IUCN)と いう そしきが しらべた ところ、海に ながれ出る マイクロプラスチックの うち、いちばん おおいのは、ポリエステルなどで できた ふくを せんたくした ときに 出る いとの くずでした。ぜんたいの やく35パーセントを しめて いました[2]

つぎに おおいのが、車の タイヤが みちを はしる ときに けずれて 出る つぶで、やく28パーセントでした [2]

洗濯した服の繊維が最大の発生源

国際自然保護連合(IUCN)という組織が2017年に調べたところ、 海に流れ出る一次マイクロプラスチックのうち、いちばん多いのは ポリエステルなどで作られた服を洗濯したときに出る繊維くずで、 全体の約35%を占めていました[2]

2位はタイヤの摩耗

次に多いのが、車のタイヤが道路を走るときにすり減って出る粒で、 約28%でした[2]。この2つを合わせると、 全体の6割以上を占めます。ペットボトルなどのプラスチックごみが 砕けてできる「二次マイクロプラスチック」とは別に、目に見えない くらい小さいまま海に流れこむものが、これほど多いのです。

国際自然保護連合(IUCN)が2017年に発表した報告書によると、 海洋に流出する一次マイクロプラスチックのうち、合成繊維製 衣類の洗濯によるものが約35%を占め、最大の発生源となって います[2]

第2位はタイヤの摩耗粉じんで、約28%です[2]。 この2つの発生源を合わせると、一次マイクロプラスチック全体の 6割以上を占めます。ペットボトルやレジ袋が破砕・微細化して できる二次マイクロプラスチックとは異なり、これらは最初から 目に見えないほど小さいまま環境中に放出される点が特徴です。

3. けしょう水の つぶ ── きんしに なった マイクロビーズ

3. 化粧品の粒 ── マイクロビーズの禁止

3. マイクロビーズ規制の経緯

むかし、はみがきこや せんがんりょうには、つぶつぶを こすって きれいに する ための、小さな プラスチックの つぶ 「マイクロビーズ」が 入って いる ことが ありました。

でも この つぶは、下水を 通って そのまま 海に ながれて しまいます。そこで アメリカでは 2015年に ほうりつが でき、 2018年までに マイクロビーズ入りの せいひんの はんばいが きんしされました[3]

スクラブ入り化粧品に使われていた

むかし、歯みがき粉や洗顔料には、つぶつぶをこすってきれいに するための、小さなプラスチックの粒「マイクロビーズ」が 入っていることがありました。

2015年、アメリカで法律ができた

しかしこの粒は、下水処理でも取りきれず、そのまま海に流れて しまいます。そこでアメリカでは2015年12月に「マイクロビーズ 除去海域法」という法律ができ、2017年に製造、2018年に販売が 禁止されました[3]。同じころ、 韓国・イギリス・フランス・カナダ・台湾など、多くの国でも 同様の禁止が進みました[3]

歯磨き粉や洗顔料に配合される角質除去用のスクラブ剤として、 小さなプラスチック粒「マイクロビーズ」が広く使われていた 時期がありました。これは典型的な一次マイクロプラスチックで、 下水処理施設のフィルターでも捕捉しきれず、そのまま河川や 海洋へ流出することが問題視されました。

アメリカでは2015年12月28日、オバマ大統領(当時)が「マイクロ ビーズ除去海域法」に署名し、2017年7月に製造、2018年6月に 販売が全面的に禁止されました[3]。 同様の規制は、韓国(2017〜2018年)、フランス・イギリス (2018年)、台湾(2018〜2020年)、カナダ(2018年)などでも 相次いで導入されています[3]

4. 人の からだの 中からも 見つかって いる

4. 人の体の中からも見つかっている

4. 体内からの検出 ── ハワイの胎盤調査

さいきんの けんきゅうで、マイクロプラスチックは 人の からだの 中からも 見つかる ように なりました。

ハワイで うまれた 赤ちゃんの お母さんの、たいばん (赤ちゃんに えいようを おくる ぶぶん)を しらべた けんきゅうが あります。2006年に うまれた 10人の うち 6人から、2021年に うまれた 10人 ぜんいんから、 マイクロプラスチックが 見つかりました[4]

血や肺からも見つかる

最近の研究で、マイクロプラスチックは人の体の中からも見つかる ようになりました。

ハワイの胎盤を調べた研究

ハワイの大学が、出産のときに出る胎盤(赤ちゃんに栄養を送る 部分)を長年保存してきた記録を調べた研究があります。2006年に 生まれた10人のうち6人から、2013年に生まれた10人のうち9人から、 2021年に生まれた10人全員から、マイクロプラスチックが見つかり ました[4]。件数だけでなく、見つかる 粒の数自体も年々増えていました[4]

近年の研究により、マイクロプラスチックは人の血液や肺組織から も検出されるようになりました。ハワイ大学の研究チームが、 2006年から2021年にかけて出産時に採取・保存されていた胎盤 サンプル(各年代10検体、計30検体)を調べたところ、検出率は 2006年で60%、2013年で90%、2021年で100%と、時代を追うごとに 上昇していました[4]。検出された粒子の 総数も、2006年の22個から2021年には82個へと増加していました (胎盤組織50gあたりの平均粒子数でも、2006年の4.1個から2021年 の15.5個へ増加しています)[4]。 ただし、この研究は 各年10検体、合計30検体という限られたサンプル数にもとづくもの である点には注意が必要です。

5. からだへの えいきょうは、まだ わかって いない

5. 体への影響は、まだよく分かっていない

5. 健康影響 ── 相関関係と因果関係の違い

からだの 中に マイクロプラスチックが あると、びょうきに なりやすいのでしょうか。じつは、まだ はっきりとは わかって いません。

2024年、けんきゅうしゃたちが、257人の 首の 血の みちを しらべたら、58パーセントの 人から マイクロプラスチックが 見つかりました。見つかった人は、 見つからなかった人より、3年ほどの あいだに びょうきに なったり なくなったり する わりあいが 高かった、と いう けっかが 出ました[5]

でも、これだけでは「マイクロプラスチックが げんいんだ」とは 言いきれません。ほかにも りゆうが ある かもしれないからです。 たとえば、「かさを さして いる 人は、ながぐつを はいて いる ことが おおい」と しても、かさが げんいんで ながぐつを はく わけでは ありません。どちらも「雨」が げんいんなのです。 これと にた ように、ほんとうの げんいんは べつに ある かもしれません。もっと しらべる ひつようが あります。

関係はありそうだが、原因かはまだ不明

体の中にマイクロプラスチックがあると、病気になりやすいので しょうか。実は、まだはっきりとは分かっていません。

2024年、研究チームが、257人の首の血管の手術で 取り出したプラーク(脂肪などのかたまり)を調べたところ、 58%の人からマイクロプラスチックが見つかりました。見つかった 人は、見つからなかった人にくらべて、その後およそ3年間で 心臓や血管の病気になったり亡くなったりする割合が、約4.5倍 高かったという結果が出ました[5]

「関係がある」と「原因である」はちがう

ただし、この研究は「見つかった人ほど結果が悪かった」ことを 示しただけで、マイクロプラスチックそのものが原因だと証明した わけではありません。運動不足や食生活など、ほかの理由が影響 している可能性もあり、研究者たちも「さらなる研究が必要」と しています[5]

体内のマイクロプラスチックが健康に影響するかどうかは、現時点 では明確に結論づけられていません。

2024年3月、イタリア・カンパニア大学の研究チームが医学誌 New England Journal of Medicineに発表した研究では、頸動脈 の手術で摘出したプラーク(動脈硬化巣)を257人分調べたところ、 58%からポリエチレンを主とするマイクロプラスチック・ナノ プラスチックが検出されました。検出された患者は、検出されな かった患者に比べて、その後約3年間の追跡調査で心筋梗塞・脳卒中 ・死亡のいずれかが起きる割合が約4.5倍高いという結果でした [5]

ただし、これは観察研究であり、マイクロプラスチックの存在と 心血管疾患のリスクに相関関係が見られたことを示すにとどまり ます。喫煙・食生活・運動習慣など、測定されていない他の要因が 影響している可能性を排除できないため、マイクロプラスチックが 「原因である」と結論づけることはできません。研究チーム自身も、 因果関係を確認するにはさらなる研究が必要だとしています [5]

6. へらす くふう

6. 減らすための工夫

6. 発生を減らす取り組み

いちばん おおきな げんいんが せんたくの いとくずなので、 せんたくきに とりつける、いとくずを キャッチする ネットや フィルターが うられて います。

けしょうひんの マイクロビーズは、おおくの 国で きんしされ ました。タイヤの メーカーも、へりにくい タイヤの かいはつを すすめて います。

洗濯用のフィルター

いちばん大きな原因が洗濯の繊維くずなので、洗濯機に取り付ける、 繊維くずをキャッチするネットやフィルターが商品として売られて います。

法律とタイヤの技術

化粧品のマイクロビーズは、すでに多くの国で禁止されました。 タイヤのメーカーも、すり減りにくいタイヤの開発を進めています。 ただし、服の繊維やタイヤの摩耗そのものをゼロにすることは 難しく、発生量を減らす工夫が続けられています。

最大の発生源である合成繊維の洗濯くずに対しては、洗濯機に 取り付けるマイクロファイバーキャッチャーや、洗濯槽内に入れる フィルターバッグなどの対策製品が普及しつつあります。

制度面では、化粧品への一次マイクロプラスチックの使用が多くの 国で禁止・規制されました。タイヤ由来の摩耗粉じんについては、 摩耗しにくい素材の開発や、道路側での回収技術の研究が進められ ています。ただし、衣類の洗濯やタイヤの走行そのものをなくす ことは現実的ではなく、発生量を段階的に減らしていく取り組みが 続けられています。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちの ふくの タグを 見ると、ポリエステルなどの そざいが つかわれて いるか わかります。

きょう できる こと

  • ふくの タグを しらべて みる。 おうちの ふくの タグを 見て、ポリエステルなどの ポリエステルのような せんいと、めんなどの しぜんの せんいの ちがいを くらべて みましょう。
  • 近くの 川や 海を そうじして みる。 大きな プラスチックごみを ひろって おくと、それが くだけて マイクロプラスチックに なるのを ふせげます。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「マイクロビーズって なに?」だけで じゅうぶんです。

おうちの服のタグを見ると、ポリエステルなどの素材が使われて いるか分かります。

今日できること

  • 服のタグを調べてみる。 おうちの服のタグを見て、ポリエステルなどの合成繊維と、 綿などの天然繊維の違いを比べてみましょう。
  • 近くの川や海をそうじしてみる。 大きなプラスチックごみを拾っておくと、それが砕けて マイクロプラスチックになるのを防げます。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口に なります。「一次と二次って、どっちが多いの?」だけでも 十分です。

衣類の組成表示タグを見ると、ポリエステルなどの合成繊維が どれくらい使われているかが分かります。

手を動かして確かめる

  • 身の回りの合成繊維製品を調べてみる。 フリース素材の衣類は特に繊維くずが出やすいとされています。 自宅の衣類の組成タグを見て、合成繊維の割合を確認してみま しょう。
  • IUCNの元の報告書にあたってみる。 発生源の内訳には、タイヤ・繊維以外にも道路標示や船舶塗料 などが含まれています。元の報告書を読むと、全体像がより 正確につかめます。

一次情報にあたる

マイクロプラスチックの健康影響は、いままさに研究が進んでいる 分野です。「関連がある」という報道と、「原因だと証明された」 という報道は意味が違います。ニュースを見るときは、どちらの 表現が使われているかに注意してみてください。

メモのすすめ

気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。 「相関関係と因果関係の違い」という考え方そのものでもかまい ません。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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出典について:Wikipediaは百科事典、IUCNは国際自然保護連合という国際組織、STAT Newsとハーバード大学は医療・科学専門の報道機関、ハワイ大学は研究成果を公表した公式サイトです。

  1. Wikipedia「マイクロプラスチック」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/マイクロプラスチック (定義、一次・二次マイクロプラスチックの違いについての解説)
  2. IUCN, “Invisible plastic particles from textiles and tyres a major source of ocean pollution”(英語)。 https://iucn.org/news/secretariat/201702/invisible-plastic-particles-textiles-and-tyres-major-source-ocean-pollution-–-iucn-study (2017年発表、海洋への一次マイクロプラスチック流出の発生源内訳についての公式発表)
  3. eleminist「マイクロビーズとは 問題点と進む世界各国や企業の対策」。 https://eleminist.com/article/3430 (アメリカ・韓国・フランス・イギリス・台湾・カナダのマイクロビーズ規制の経緯についての解説)
  4. University of Hawaiʻi System News, “Rise of microplastics discovered in placentas of Hawaiʻi mothers”(英語)。 https://www.hawaii.edu/news/2023/11/29/rise-of-microplastics-in-placentas/ (2023年11月発表、ハワイ大学による胎盤中マイクロプラスチックの検出率調査の公式発表)
  5. STAT News, “Microplastics found in blood vessels linked to greater risk of heart problems, study finds”(英語)。 https://www.statnews.com/2024/03/06/nejm-microplastics-blood-vessels-plaque-heart-attack-stroke-death/ (2024年3月発表のNew England Journal of Medicine掲載論文についての報道。観察研究であるという限界も報じている)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

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