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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

れんじの かべは きんぞくなのに、どうして ひばなが でないの?

金属の壁は平気なのに、フォークだけ火花が出る理由

電子レンジの金属と火花 ── 2.45GHzのマイクロ波、先端への電界集中、空気の絶縁破壊

分野:技術

でんしレンジに フォークを いれると、ぱちぱち ひばなが でると いわれます。でも レンジの 中の かべは、ぜんぶ きんぞくです。かべには、ひばなが でません。

おなじ きんぞくなのに、なにが ちがうのでしょう。いっしょに かんがえて みましょう。

電子レンジの庫内は、金属でできた箱です。ところが、庫内の壁には火花が出ないのに、フォークやしわくちゃのアルミホイルを入れると、激しく火花が出るといわれます。

同じ金属なのに、この差はどこから来るのでしょうか。電波の性質と、金属の「形」に注目して、メーカーや公的機関の説明、物理学者の解説を見ていきます。

電子レンジの庫内は金属の箱であり、その壁は火花を出さない[3]。一方、フォークやしわくちゃのアルミホイルは、同じ金属でも火花を出すことがある[5]。

このメモでは、家電業界団体・公的機関・メーカーの説明と、物理学者の解説を突き合わせ、火花の鍵が材質ではなく形にあること、電界の集中と空気の絶縁破壊がどうつながるかをたどる。数値は目安であり、条件で変わる。

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1. かべは きんぞくなのに、へいき?

1. 庫内の壁は、電波をはね返している

1. 壁の金属は電波を反射する ── 火花が出ない理由

レンジの 中と とびらは、きんぞくで できて います。これは、でんぱが 外に もれないように する ためです[2]。

でんぱは きんぞくに あたると、ほとんど はね かえされます[1][2]。ボールが かべに あたって もどる ようすに にています。ただし 本当の でんぱは ボールでは なく、目に 見えない なみです。

かべは ひとつづきの きんぞくで できて います。だから ひばなは でにくいです[3]。

金属は電波をはね返す

電子レンジの庫内と扉には、金属が使われています。金属などの導体は、マイクロ波の大部分を反射し、一部を吸収して熱にします[2]。この性質のおかげで、電波が外に漏れにくくなっています。

金属の容器に入れた食品が温まらないのも、電波が金属で反射されて、中まで届かないからです[1]。

壁が火花を出さない理由

壁は、つながった一体の金属です。扉もぴったり閉まるように作られています。電波をおおむね反射するので、火花は出にくいと説明されています[3]。つながっていない別々の金属片の間では、火花が出ることがあります[3]。火花が出る場所は、ほかにも金属の先端や食品の角、汚れなど、電気が集まりやすいところがあります。

庫内と扉に金属を使うのは、電波の漏れを防ぐためである。導体はマイクロ波の大部分を反射し、一部を吸収して熱にする[2]。金属容器の食品が温まらないのも、この反射による[1]。

壁が火花を出さないのは、つながった一体の金属で、扉も連続するよう作られ、電波をおおむね反射するためと説明される。つながっていない別々の金属片の間では火花が出ることがある[3]。火花全般は、先端や食品の角、汚れなどに電界が集中する場合にも起きる。同じ「金属」でも、つながり方に差がある。

2. でんぱは 水を ゆらす

2. 食べ物を温める電波の正体

2. マグネトロンと2.45GHz ── 水への吸収

レンジの でんぱは、マグネトロンと いう ぶひんで 作ります。1びょうの あいだに、24おく5000まんかいも ふるえる なみです[1]。

この なみは、食べ物の 中の 水の つぶを ゆらして、あたためます[2]。きんぞくは、この なみを ほとんど はねかえします。

では、なぜ ひばなが でるのでしょう。それは、つぎの ところで わかります。

1秒に24億5千万回の振動

電子レンジの電波は、周波数が2450メガヘルツ。1秒間に24億5千万回も振動します。この電波をマグネトロンという部品で作っています[1]。

水がエネルギーを受け取る

食品の中の水の分子は、電波の向きの変化に追いつけず、エネルギーを吸収して熱をもちます。これを誘電損失といいます[2]。食品が温まるのは、この仕組みのおかげです。

金属は、水のようには電波を受け取らず、大部分を反射します。ただ、電波が金属の中の電気を動かす点は、次の章で大事になります。

電子レンジは、周波数2450MHz(1秒間に約24.5億回の振動)のマイクロ波を、マグネトロンで発生させる[1]。食品中の水は極性分子であり、高周波の電界の向きの変化に分子が追随できず、エネルギーが水に吸収されて発熱する。これを誘電損失という[2]。

金属は水のようには吸収せず、大部分を反射する[2]。ただし、金属内の自由電子は電波に応じて動く。これが次の節の火花の入口になる[4]。

3. とがった ところに 電気が あつまる

3. 火花のカギは、金属の「形」

3. 先端・角への電界集中 ── 火花の起きやすさに関わる形

きんぞくの 中には、じゆうに うごける 電気の つぶが たくさん あります。でんぱが くると、その つぶが はげしく うごきます[4]。

とがった ところや かどには、電気の ちからが あつまりやすい、と いわれます[4]。せまい 出口に、おおぜいが おしよせる ようすに にています。ただし、本当は 人では なく 電気の ちからの はなしです。

しわくちゃの アルミホイルには、小さな とがりが たくさん あります。だから ひばなが でやすい、と ぶつりがくしゃは せつめいします[5]。

あつい きんぞくは、かべと おなじ ように はねかえします。なめらかで たいらな ものは、ひばなが でにくい ことが あります[5]。

電気が先端に集まる

金属の中には、自由に動ける電子がたくさんあります。マイクロ波を受けると、この電子が激しく動きます。金属のとがった先端や角には、電界(電気の力)が集中して、高い電圧ができると説明されています[4]。

しわのあるホイルと、平らな金属

物理学者による解説では、しわくちゃのアルミホイルには小さな「点」がたくさんあり、電子が集まる場所になるので、火花が出やすいとされます。厚い金属は電波をおおむね反射し、壁と似たふるまいをします。なめらかで平らな場合は、火花が出ないこともあるそうです[5]。

つまり「金属だから火花が出る」のではなく、先端や角などの形が、火花の起きやすさに関係すると考えられます。厚さなど、ほかの条件も関わります。

金属内の自由電子はマイクロ波で激しく動き、とがった先端や角には電気力線が集中して、高い電圧が生じる。周囲の空気が電気を通すようになれば、放電、すなわち火花になる[4]。

物理学者Bloomfieldの解説は、しわくちゃのアルミホイルには電子が集まる微小な尖りが多数あるため火花が出る一方、厚い金属は壁と同様に電波をおおむね反射し、平滑なら出ないこともあると述べる[5]。火花の起きやすさには、材質だけでなく先端や角の形が関係する。厚さなど他の条件も影響する。

資料により「電子が飛び出す」「電界集中で空気が絶縁破壊する」など言い方が異なる。ここでは、後者を軸にした説明を採る。

4. 空気が 電気を とおす とき

4. 空気が電気を通す条件

4. 空気の絶縁破壊 ── 約3×10⁶ V/mという目安

ふつう、空気は 電気を とおしません。けれども 電気の ちからが とても 強く なると、空気が 電気を とおす ように なります[6]。

その とき、ぱちっと ひかる ものが ひばなです。かわいた 空気では、1ミリの あいだに 3000ボルトほどが めやすです[6]。ただし、かたちや 気あつで かわります。

ドアノブの ぱちっ、も 空気が 電気を とおす はなしです。レンジでは、でんぱが きんぞくの さきに 電気を あつめると 考えられます。

絶縁破壊とは

空気はふつう電気を通しません。しかし電界がある強さを超えると、空気が電気を通す状態になり、火花が飛びます。これを絶縁破壊といいます。

乾いた空気では、おおよそ1メートルあたり300万ボルト(1ミリあたり3000ボルト)が目安です。ただし、電極の形や大きさ、気圧で変わります[6]。

ドアノブの火花との違い

冬のドアノブでの静電気も、同じ空気の絶縁破壊です。レンジの場合は、電波が金属の先端に電気を集め続けて、その条件に達すると考えられます。ただ、先端の電圧は、形や位置によって変わるため、一つの値では示せません。

乾いた空気は、電界がおよそ3×10⁶ V/m(1mmあたり3kV)を超えると絶縁破壊し、火花放電を起こす。これは目安であり、電極の形状・大きさ・気圧で変わる。歴史的な測定値には3.7〜4.5×10⁶ V/mというものもある[6]。

電子レンジでは、マイクロ波で動く電子が尖った部分に電界を集中させ、この閾値付近に達するときに火花になると考えられる。先端の電圧は、庫内の電波の分布や金属の形によって変わるため、ここでは数値を示さない。

5. ふだんの くらしで、ひばなが でる もの

5. 金属に見えないものでも、火花が出る

5. 身近な発生源 ── 装飾・角のある食品・汚れ

メーカーは、きんぱくや ぎんぱくの もようが ある おさらや、アルミホイル、アルミの ケースで ひばなが でると せつめい します[7]。

とがった ところや かどの ある 食べ物を すこしだけ あたためた ときや、レンジの 中の よごれ、さびでも ひばなが でる ことが あります[7]。

レンジの 中は、いつも きれいに しておく ことが たいせつです。

メーカーが挙げる例

メーカーの説明では、金箔・銀箔・金属粉の装飾がある食器や、アルミホイル、アルミケースで火花が出ることがあるとされています[7]。

金属でなくても、とがった部分や角のある食品(冷凍野菜など)を少量だけ加熱すると、火花が出ることがあるそうです。庫内の食品カスや汚れ、さびが原因になることもあります[7]。

形がカギ、という考え方が、ここでも当てはまりそうです。

メーカーのFAQでは、金箔・銀箔・金属粉の装飾のある食器や、アルミホイル・アルミケースで火花が出ることがあると説明される。また、とがった部分や角のある少量の食品(冷凍野菜など)、庫内の食品カスや汚れ、さびでも火花が出る場合がある[7]。

金属でないものでも起きるとされる点は、電界が局所に集中するという説明と整合する。ただし個々の事例の原因を、資料だけから断定することはできない。

6. どうして 金ぞくを いれては いけないの?

6. 使ってよい容器、いけない容器

6. 公的機関の注意 ── 使用条件と、発火したとき

こくみんせいかつセンターは、レンジで あたためる ときは、きんぞくの ものは、ふつう つかえないと 書いて います[8]。

もし レンジの 中から けむりや ほのおが 出たら、とめて、コンセントを ぬきます。とびらは あけず、おさまるのを まちます[8]。

オーブンきのうの ある レンジは、つかえる ようきが かわるので、とりあつかいせつめいしょを 見ましょう。

国民生活センターの呼びかけ

国民生活センターは、電子レンジ加熱では原則として金属類は使えないと説明しています。オーブンレンジは、電子レンジ加熱かオーブン加熱かで使える容器が変わるので、取扱説明書の確認をすすめています[8]。

庫内で発煙・発火したら、動作を停止して電源プラグを抜き、扉を開けずに煙や火が収まるのを待つようにとされています[8]。

例外はあるが機種しだい

三菱電機は、アルミホイルは基本的に使えないとしています。例外は、出力約100W相当の低出力の加熱で、電波を反射する性質を使って解凍などに使う場合だけです。機種の説明書に従う必要があります[9]。家で試す話ではありません。

国民生活センターは、電子レンジ加熱では原則として金属類は使用できないとし、オーブンレンジは加熱方式で使える容器が変わるため取扱説明書を確認するよう示す。庫内で発煙・発火した場合は、動作停止・電源プラグを抜く・扉を開けずに収まるのを待つ、と案内している。同センターのPIO-NETには、2020年4月〜2025年12月に電子レンジ使用中の事故(発煙・発火・誤使用など)の相談が521件あった[8]。この件数は金属由来に限らない。

三菱電機は、アルミホイルは基本的に使えず、例外は出力約100W相当の低出力加熱のときのみで、電波を反射する性質を利用した解凍などにとどまるとする[9]。機種依存であり、家庭で試す性質のものではない。

もっと 知りたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

きょう できること

でんげんを 入れて いない レンジの 中を のぞいて みましょう。かべは きんぞくですが、ひばなは でません。

とりあつかいせつめいしょを ひらいて、「つかえない ようき」の ところを さがして みましょう。きんぞくの ものが、のって いるはずです。

レンジに ものを 入れて 火花を 出す ことは、けっして しないで ください。

今日できること

電源を入れていない状態で、庫内をのぞいてみましょう。壁は金属の一枚板のように見えるはずです。火花が出ないのは、形がつながっているからなのか、考えてみてください。

取扱説明書の「使えない容器」の欄を探してみましょう。金属の縁取りがある食器や、金属ケースがのっているかもしれません。実際に入れてみるのは危険です。

もっと調べるなら

電磁界情報センターの解説や、国民生活センターの注意喚起が入り口になります。物理学者の解説(英語)は、junior版の出典欄にあります。

今日できること

電源を入れていない庫内を観察し、壁が継ぎ目の少ない金属でできていることを確認する。取扱説明書で「使用できない容器」の項目を探し、金属の縁取りや金属ケースがなぜ載っているのか考える。実際に金属を入れる実験は、発火や故障のおそれがあるため勧めない。

資料を読むなら

電磁界情報センター[2]、日本電機工業会[1]、国民生活センター[8]は日本語で読める。空気の絶縁破壊の値は、The Physics Factbook[6]が引用元とともに示す。Bloomfield[5]の解説は英語。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の[1]〜[9]に対応します。

  1. 日本電機工業会(JEMA)「電子レンジの仕組み」 https://www.jema-net.or.jp/living/renji/mechanism.html (周波数、金属容器で温まらない理由)
  2. 電磁界情報センター「電子レンジから発生する電磁界」 https://www.jeic-emf.jp/public/web_mag/explanation/1012.html (水への吸収、金属の反射)
  3. The Naked Scientists "Why don't microwaves spark themselves?" https://www.thenakedscientists.com/articles/questions/why-dont-microwaves-spark-themselves (壁が火花を出さない理由)
  4. Science Notes "Why Does Metal Spark in the Microwave?" https://sciencenotes.org/why-does-metal-spark-in-the-microwave/ (先端への電界集中)
  5. How Everything Works "Why Does Aluminum Foil Spark in the Microwave?" https://howeverythingworks.com/why-does-metal-spark-in-microwave/ (しわのホイルと形)
  6. The Physics Factbook "Dielectric Strength of Air" https://hypertextbook.com/facts/2000/AliceHong.shtml (空気の絶縁破壊の目安)
  7. 東芝ライフスタイル FAQ https://faq-toshiba-lifestyle.dga.jp/answer.html?category=115&page=1&id=1145 (身近な火花の原因)
  8. 国民生活センター「電子レンジによる事故を防止!」 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260325_1.html (使用上の注意、事故相談の件数)
  9. 三菱電機「電子レンジでアルミホイルを使用」 https://www.mitsubishielectric.co.jp/club-me/howto/memo/2002/index.html (アルミホイルの例外)

なおした ところ

更新履歴

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