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牛にゅうは、どうして 紙パックで うって いるの?

牛乳は、なぜ紙パックで売られているのか ── ペットボトルが禁止されていた理由

牛乳は、なぜ紙パックで売られているのか ── 「ペットボトル解禁」の意外な歴史

分野:技術

コンビニには、ペットボトルの のみものが たくさん ならんで いる。 お茶も、ジュースも、水も。でも 牛にゅうだけは、紙パックか ガラスの びんが おおい。

じつは 日本では、2007年まで、ペットボトルに 入った 牛にゅうを うることが、ほうりつで みとめられて いなかった。どうして 牛にゅうだけ、とくべつあつかいされて きたのだろう。

コンビニやスーパーには、ペットボトルの飲み物がずらりと並んでいる。お茶もジュースも水も。ところが牛乳だけは、いまも紙パックやガラスびんが多い。

実は日本では、2007年まで、ペットボトルに入った牛乳を売ることが法律で認められていなかった。なぜ牛乳だけが、これほど特別あつかいされてきたのだろうか。この記事では、ガラスびんから紙パックへの移りかわりの歴史と、ペットボトルが長く禁止されていた本当の理由、そして世界に目を向けると牛乳がまったく違う入れ物で売られている国もあることをたどる。

コンビニやスーパーの棚には、ペットボトル入りの飲料がところ狭しと並ぶ。お茶、ジュース、水、コーヒー。ところが牛乳だけは、いまも紙パックとガラスびんが主流で、ペットボトル入りをほとんど見かけない。

実は日本では、2007年10月まで、ペットボトルに牛乳を詰めて売ること自体が法律で認められていなかった。なぜ牛乳という飲み物だけが、これほど特別な規制の対象になってきたのか。明治時代のガラスびんから紙パックへの移行、ペットボトルが禁止されていた本当の理由、解禁後もなお普及しない事情、そして海外に目を向けたときに見えてくる、まったく異なる牛乳の売り方をたどる。

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1. むかしは、ガラスの びんで うっていた

1. 明治時代、ガラスびんではじまった

1. 1889年、ガラスびん販売のはじまり

日本で 牛にゅうを びんに 入れて うるように なったのは、 1889年(明治めいじ22年)からだ。「牛にゅうを しぼるときの きまり」 という ほうりつが できて、それから ガラスの びんで くばられるように なった[1]。

ガラスの びんは、あらって なんども つかえる。でも おもくて、 おとすと われて しまう。

日本で牛乳をびんに入れて売るようになったのは、1889年(明治22年)のこと。「牛乳搾取規則」という法律ができたことがきっかけで、ガラスびんでの牛乳配達が始まった[1]。

ガラスびんは、洗って何度もくり返し使える点が長所だった。しかし重く、床に落とせば割れてしまう。この弱点が、のちに別の入れ物が求められる理由の1つになる。

日本で牛乳がガラスびんに入れて販売されるようになったのは、1889年(明治22年)、「牛乳搾取規則」という法令の制定がきっかけだった[1]。その後1900年(明治33年)には「牛乳営業取締規則」も制定され、この制定を機に、一部では瓶ごと加熱して殺菌する方法(高温殺菌法)も使われるようになった[1]。

ガラスびんは洗浄して繰り返し使える(リユース可能な)容器として長らく主流だったが、重量があり破損しやすいという弱点を抱えていた。この弱点が、次に登場する紙容器への置き換わりを後押しすることになる。

2. 紙パックの とうじょう ── かるくて われない

2. 紙パックの登場 ── オリンピックと万博がきっかけ

2. 紙容器の普及 ── 1964年東京オリンピックという転機

日本で 紙の パックが つかわれはじめたのは、1960年ごろ[2]。 紙パックは、ガラスの びんより かるくて、おとしても われない。

そして 1964年の 東京オリンピックと、1970年の 大阪おおさかばんぱくで つかわれた ことを きっかけに、紙パックは 日本じゅうに いっきに ひろまった[3][2]。

日本で紙パックが使われはじめたのは、1960年ごろのことだった[2]。紙パックはガラスびんより軽く、床に落としても割れない。

そして1964年の東京オリンピックや1970年の大阪万博で採用されたことをきっかけに、紙パックは日本全国に一気に普及した[3][2]。多くの人が集まる大きなイベントで使われたことが、新しい容器を社会に定着させる後押しになったのである。

日本で紙容器が本格的に使われはじめたのは1960年代はじめのことで、日本乳業協会は1962年ごろとしている[3]。紙容器はガラスびんに比べて軽量で、破損のリスクも低いという利点があった。

普及が加速した転機は、1964年の東京オリンピックと1970年の大阪万博である。大量の来場者に効率よく飲料を提供する必要があったこれらの国家的イベントで紙容器が採用されたことをきっかけに、紙パックは全国的に広まっていった[3][2]。

3. ペットボトルは、長いあいだ、きんしされていた

3. ペットボトルは、長い間ずっと禁止だった

3. ペットボトル入り牛乳、2007年までの法規制

いま、お茶や ジュースは ペットボトルで うられて いるのに、 牛にゅうだけは、あまり 見ない。じつは 日本では、2007年 (平成へいせい19年)10月まで、牛にゅうを ペットボトルに 入れて うる ことが、ほうりつで みとめられて いなかった[4][5]。

お茶や ジュースには、そんな きまりは ない。牛にゅうだけが とくべつだった のには、りゆうが ある。

いまお茶やジュースはペットボトルで普通に売られているのに、牛乳だけはあまり見かけない。実は日本では、2007年(平成19年)10月まで、牛乳をペットボトルに入れて売ることが法律で認められていなかった[4][5]。

お茶やジュースには、こうした決まりはなかった。牛乳だけが特別あつかいされてきたのには、はっきりとした理由がある。

お茶やジュース、ミネラルウォーターがペットボトルで自由に流通する一方、牛乳に限っては事情が異なっていた。2007年(平成19年)10月に「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)が改正されるまで、牛乳をペットボトル容器で販売すること自体が法律で認められていなかったのである[4][5]。

同じ飲料でありながら、なぜ牛乳だけがこのような長期にわたる規制の対象になっていたのか。その背景には、牛乳という飲み物の性質そのものにかかわる理由がある。

4. どうして きんしされて いたのか

4. なぜ禁止されていたのか ── 牛乳の弱点

4. 規制の理由 ── 栄養価の高さと、再栓・常温放置のリスク

牛にゅうは、えいようが たっぷり なので、ざっきんも ふえやすい のみものだ[6]。 お茶や ジュースより、きんが そだちやすい えさが いっぱい ある、と おもえば いい。

そして ペットボトルは、フタを しめなおせる。だから のみかけを もちあるいて、あたたかい ところに 長く おいて しまいがちだ。そうすると、ざっきんが どんどん ふえて しまう[6]。紙パックや ガラスの びんは、フタを しめなおして もちあるく つかいかたを あまり しないので、この しんぱいが 小さかった。

「明治めいじ」と いう 牛にゅうの かいしゃも、「ペットボトルは 光を とおしやすいので、牛にゅうの あじが おちやすい」と せつめいして いる[7]。

牛乳は栄養価が高いぶん、他の飲み物より雑菌が繁殖しやすいという性質を持っている[6]。お茶やジュースに比べて、雑菌にとって「育ちやすいエサ」がたくさん入っているようなものだ。

そこにペットボトルという容器の特徴が重なる。ペットボトルはキャップを閉め直せるため、飲みかけを持ち歩くことができてしまう。そのぶん常温やそれ以上の温度に長時間さらされやすく、雑菌が増える危険が高まるのだ[6]。紙パックやガラスびんは、キャップを閉め直して持ち歩くという使い方があまりされないため、この心配が小さかった。

牛乳メーカーの明治も、「ペットボトルは光を通しやすいため、光による品質の劣化というデメリットが大きい」とも説明している[7]。透明な容器で日光や照明の光にさらされ続けると、牛乳の風味が落ちやすくなるのである。

規制の背景には、牛乳という飲み物の栄養学的な特性がある。牛乳は他の飲料に比べて栄養価が高く、そのぶん雑菌にとって増殖しやすい環境を提供してしまう[6]。

この性質に、ペットボトル特有の使われ方が重なる。ペットボトルはキャップの再密閉が可能なため、消費者が飲みかけの状態で持ち歩くことができる。その結果、常温またはそれ以上の温度に長時間さらされる時間が生じ、雑菌が増殖するリスクが高まる[6]。一方、紙パックやガラスびんは、開封後に再密閉して持ち歩くという使用形態が一般的でなかったため、こうしたリスクが相対的に小さかった。

さらに、牛乳メーカーの明治は「ペットボトルは光を透過しやすく、光による品質劣化のデメリットが大きい」と説明している[7]。透明な容器での長時間の光への曝露は、牛乳の風味や栄養成分の劣化につながりうる。

5. きんしが なくなっても、まだ すくない りゆう

5. 解禁されても、なぜまだ少ないのか

5. 解禁後も、なぜペットボトル牛乳は広まらないのか

2007年に きんしが なくなった あとも、ペットボトルの 牛にゅうは あまり ひろまって いない。牛にゅうを つくる 「明治めいじ」と いう かいしゃは、「ペットボトルの 牛にゅうを うる りてんが ない」と はなして いる[7]。

じょうおんで のんだり、あけてから 長い じかん たってから のんだり する きけんが あり、しょうひしゃが ほんとうに ほしがって いる ものとも、ちがう と かんがえられて いる[7]。

2007年の解禁後も、ペットボトル入り牛乳はあまり広まっていない。牛乳メーカーの明治は「ペットボトル入り牛乳を発売する利点がない」と説明している[7]。

常温で飲んだり、開封してから長い時間がたってから飲んだりするリスクがあり、消費者が本当に求めているものとも合致しない、という考え方だ[7]。法律が変わっても、牛乳という飲み物の性質そのものは変わらないのである。

2007年の規制緩和以降も、ペットボトル入り牛乳の流通は広がっていない。乳業メーカーの明治は、ペットボトル入り牛乳を発売する利点自体が乏しいと説明している[7]。

常温での飲用や、開封後長時間が経過してからの飲用によるリスクが依然として存在し、消費者ニーズとも合致しないという判断である[7]。法律上の規制が緩和されても、牛乳という飲み物の性質そのものは変わらないのである。

6. せかいを 見ると、もっと ちがう

6. 世界に目を向けると

6. 国によって、こんなに違う牛乳の売り方

牛にゅうの 入れものは、国に よって、ぜんぜん ちがう。 アメリカでは、HDPEと いう かたい プラスチックで できた、大きな いれもので 牛にゅうを うる ことが おおい[8]。

イギリスでは、むかしは ほとんどの 牛にゅうが ガラスの びんで、いえまで くばられて いた。1975年には 94%が びんだったのに、2012年には たった 4%まで へって しまった[8]。

そして カナダや エストニアでは、牛にゅうが なんと 「ふくろ」に 入って うられて いる ことが おおい[8]。 日本の 牛にゅうしか 見た ことが ないと、びっくりする かもしれない。

牛乳の入れ物は、国によってまったく違う。アメリカでは、HDPE(高密度ポリエチレン)という丈夫なプラスチックでできた、大きな容器で牛乳を売ることが多い[8]。日本のペットボトル(PET)とは違う種類のプラスチックで、軽くて壊れにくく、リサイクルしやすいことが特徴だ。

イギリスでは、かつてほとんどの牛乳がガラスびんで家まで配達されていた。1975年には牛乳の94%がガラスびんだったのに、2012年にはわずか4%まで減ってしまった[8]。

そしてカナダやエストニアでは、牛乳が「袋」に入って売られていることが一般的だという[8]。日本の牛乳しか見たことがないと、驚くかもしれない。

牛乳の容器事情は国によって大きく異なる。アメリカでは、HDPE(高密度ポリエチレン)という、日本のペットボトル(PET樹脂)とは異なる種類のプラスチックで作られた、大型の容器で牛乳を販売することが多い[8]。軽量で耐久性が高く、単回使用でリサイクルしやすい設計になっている。

イギリスでは、かつて配達用のガラスびんが主流だった。1975年時点では牛乳の94%がガラスびんで供給されていたが、2012年にはわずか4%まで激減している[8]。

さらに興味深いのは、カナダやエストニアでは牛乳を「バッグ(袋)」に入れて販売することが一般的だという点である[8]。また香港では、ガラスびん・プラスチックボトル・紙パックの3種類が並行して流通しているという[8]。日本国内の「紙パックかガラスびん」という選択肢の少なさは、世界的に見れば決して当たり前の姿ではない。

7. スーパーで、じっさいに たしかめて みよう

7. 自分の目で、牛乳の容器を確かめてみよう

7. 容器の表示を、自分でも読んでみよう

こんど スーパーに 行ったら、牛にゅうの コーナーを 見て みよう。

売り場で、牛にゅうを さがして みよう

  • 牛にゅうの 入れものを くらべて みる。 紙パックと ガラスの びん、それぞれ どんな かたちを して いるか、さわって かくにんして みよう。
  • のみものの コーナーも 見て みる。 お茶や ジュースの ペットボトルと、牛にゅうの パックを ならべて、ちがいを かんさつして みよう。
メモの すすめ

びっくり した ねんごうを 1つ、書いて おこう。 「2007ねん」でも いい。

今日スーパーに行く機会があれば、牛乳コーナーをのぞいてみよう。

売り場やパッケージで確かめる

  • 紙パックの側面を読んでみる。製造者や賞味期限のほかに、「開封後は早めに飲みきる」といった注意書きが書かれていることが多い。なぜそう書かれているのか、この記事の内容と結びつけて考えてみよう。
  • ペットボトルの牛乳を探してみる。もし売り場にあれば、容量や注意書きを確認してみよう。見つからなかったとしても、それ自体がこの記事の内容を確かめる手がかりになる。

世界の牛乳売り場をのぞく

  • 海外旅行や海外のニュース映像で、牛乳がどんな入れ物で売られているか気にしてみる。「袋入り牛乳」で画像検索してみるのもおもしろい。
メモのすすめ

驚いた年号を1つ書き残しておこう。ペットボトル牛乳が解禁された「2007年」でもいい。

この記事で紹介した規制やメーカーの説明は、実際にパッケージの表示や公式サイトで確認することができる。

パッケージの文言と、公式の説明を読み比べる

  • 紙パックの容器表示を読んでみる。紙パックには、内容量・原材料名・保存方法・「開封後は賞味期限にかかわらずお早めにお召し上がりください」といった注意書きが必ず記載されている。これらの文言が、本文で扱った「開封後の劣化リスク」とどうつながっているか考えてみよう。
  • 一次情報にあたる。日本乳業協会の公式サイトには、牛乳の容器の歴史や規格についての解説が公開されている。この記事で紹介した年号や理由を、実際のページで照らし合わせてみてほしい。
メモのすすめ

驚いた年号を1つノートに書き残しておこう。ペットボトル牛乳が解禁された「2007年」でもかまわない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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出典について:日本乳業協会は乳業メーカーが加盟する業界団体、羽車は紙・印刷を扱う企業のサイトです。英語のページには何を伝えるサイトかを併記しています。

  1. 日本語版ウィキペディア「牛乳瓶」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/牛乳瓶 (1889年の「牛乳搾取規則」制定によりガラスびんでの牛乳販売が始まったこと、1900年の「牛乳営業取締規則」についての解説)
  2. 羽車「おいしさ届ける牛乳パック、100年の歴史(前編)」。 https://www.haguruma.co.jp/top/news/view/60 (日本で1960年ごろから紙パックの使用が本格化したこと、東京オリンピック・大阪万博での採用が普及のきっかけになったことについての解説)
  3. 日本乳業協会「牛乳の容器にはどのような歴史がありますか?」(乳と乳製品のQ&A)。 https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_066_485/ (1889年のガラスびん導入、1962年ごろの紙容器使用開始、1964年東京オリンピック以降の紙容器の全国普及についての業界団体による公式解説)
  4. ラジトピ ラジオ関西トピックス「牛乳はビンと紙パックだけ? 『ペットボトル入り』を見かけない理由を日本乳業協会が解説」。 https://jocr.jp/raditopi/2023/07/08/513872/ (2007年まで法律でペットボトル入り牛乳の販売が認められていなかったこと、解禁後もペットボトルの使われ方が牛乳の性質に合わないことについての、日本乳業協会への取材にもとづく解説)
  5. 雑学ネタ帳「牛乳はペットボトルで販売してもよい」。 https://zatsuneta.com/archives/003243.html (2007年(平成19年)10月の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」改正の正確な時期についての解説)
  6. エキサイトニュース「なぜ牛乳はペットボトルで売られない? 雑菌繁殖しやすく危険、専用ボトル開発で事業圧迫」(Business Journal配信)。 https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201504_post-2997/ (牛乳の栄養価の高さゆえの雑菌繁殖リスク、ペットボトルの再密閉・持ち運びによる常温放置のリスクについての解説)
  7. grapee「ペットボトル入りの牛乳を製造しない明治 その理由に『ハッとした』」。 https://grapee.jp/1603914 (乳業メーカー明治の担当者による、ペットボトル入り牛乳を発売しない理由(光による品質劣化、常温放置等のリスク、消費者ニーズとの不一致)についての説明)
  8. 英語版ウィキペディア「Glass milk bottle」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Glass_milk_bottle (アメリカでのHDPEプラスチック容器の使用、イギリスにおけるガラスびん配達の1975年94%から2012年4%への激減、カナダ・エストニアでの牛乳の袋入り販売、香港での複数容器の並存についての解説)

なおした ところ

更新履歴

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