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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

今の 刀匠とうしょうは、どうやって 一人前に なるの?

今の刀匠は、どうやって一人前になるのか ── 5年の修業と「承認」の道すじ

現代の刀匠は、どう養成されるのか ── 修業から作品発表まで

分野:歴史・文化

はくぶつかんの 刀は、ずっと むかしの ものです。でも、今も 新しい 刀を 作る 人が います。

刀は、持つことが 決まりで 原則げんそくとして 止められて います。それなのに、どうして 新しく 作れるのでしょうか。なるまでの 道を 見て いきます。

博物館で見る刀は、昔に作られたものです。ところが今も、新しい刀を作る人がいます。

刀の所持は法律で原則として禁じられています。それでも新しく作れるのは、なぜなのでしょうか。刀匠になるまでの修業と、「承認」という仕組みをたどります。

刀剣類の所持は銃刀法で原則として禁じられているが、美術品として価値のあるものは例外として認められている[2]。現代でも新しい刀が作られているのは、この例外と、製作の承認という制度があるからだ。

刀匠になるまでの修業の年数、文化庁の研修、材料の玉鋼、作品の評価の場を、公的機関と業界団体の資料からたどる。

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1. 刀は もてないのに、どうして 作れるの?

1. 持てない刀を、なぜ新しく作れるのか

1. 銃刀法の例外 ── 美術品としての「登録」と製作の承認

日本では、刀を 持つことは、ほうりつで 原則げんそくとして 止められて います。

ただ、美術品びじゅつひんとしての 力が ある 刀は、べつです。「登録とうろく」という 手つづきを すると、持つことが ゆるされます[2]。文化財ぶんかざいに にた ものとして、大切に して いくためです。

作るほうにも きまりが あります。作る 前に「承認しょうにん」という ゆるしが いります。はじめての 人は 文化庁ぶんかちょうへ、すでに ゆるしを もらった 人は、それぞれの 県の きょういく いいんかいへ 申しこみます[2]。

ここで 作られるのは、武器ぶきでは なく、美術品びじゅつひんと しての 刀です。

日本では、刀剣類を持つことが銃刀法で原則として禁じられています。ただし、美術品として価値のある刀剣類は、文化財に準ずるものとして保護するために、都道府県の教育委員会の「登録」を受ければ、例外的に持てます[2]。

作る側にも決まりがあります。美術刀剣類を作るには、製作の「承認」が要ります。はじめて申請する人は文化庁、すでに承認を受けた人は都道府県の教育委員会が窓口です[2]。

ここでいう刀は、美術品・伝統工芸としての刀です。この制度の入口に立つために、まず何年も修業をします。

銃刀法は刀剣類の所持を原則として禁じるが、美術品として価値のあるものは文化財に準ずるものとして、都道府県教育委員会への「登録」により例外的に所持が認められる[2]。

製作にも承認が必要で、初めて承認を受ける者は文化庁、承認済みの者は都道府県教育委員会に申請する[2]。根拠として、美術刀剣類製作承認規則(平成4年文部省令第3号)がある。全日本刀匠会のページに掲載された規則第2条によると、5年以上の修業を刀匠が証明し、登録審査委員2名以上が保証し、文化庁長官の行う研修を受けた者が承認の対象になる[1][3]。

以下は、この承認に至る道のりを、修業・研修・承認後の順に追う。

2. 5年の しゅぎょうは、どれくらい 長いの?

2. 承認の条件は「5年以上」の修業

2. 承認の要件 ── 5年以上の修業とその基準

刀を 作る 人に なりたい 人は、まず、承認しょうにんを もらって いる 刀匠とうしょうの もとで、5年 以上いじょう しゅぎょうを します[1]。

この 5年には、めやすが あります。1日 8時間、1しゅうかんに 5日。土日だけ 通う 5年は、みとめられません[1]。

これを 計算して みます。1日 8時間 かける 週 5日で、1週間に 40時間です。5年は 260週 くらいですから、40かける 260で、およそ 10400時間(やく 1万時間)に なります。

学校の 授業じゅぎょうに たとえると、毎日 学校に 通いつづけて、ようやく たどりつく 長さ です。ただし 本当は 授業じゅぎょうでは なく、刀匠とうしょうの そばで 仕事を 見て 手を 動かす 日々です。

刀匠を目指す人は、文化庁の承認を受けた刀匠のもとで、5年以上修業します[1]。全日本刀匠会は、この「5年」を、おおむね1日8時間・週5日を基準にするとしています。週末だけ通う5年は認められません[1]。

この基準で計算すると、1週間で40時間です。5年を260週とみなせば、40×260でおよそ10,400時間、ざっと1万時間になります(祝日や休みは引いていません)。

この修業を終えた刀匠が、弟子について「5年以上技術の練磨に専念した」と証明します。規則にそう定められているとされます[3]。

刀匠になる道は、資格試験のように、一度の試験で決まる形ではありません。積み重ねた時間が、条件の中心にあります。

刀匠になるには、文化庁の作刀承認を得た刀匠のもとで5年以上修業する必要がある。全日本刀匠会は、この5年を「概ね1日8時間・週5日を基準とする」と説明し、週末だけの5年は認めないとする[1]。

この基準で単純に計算すると、週40時間×260週で約10,400時間、約1万時間になる(祝日などは引いていない)。

美術刀剣類製作承認規則第2条は、承認を受けた刀匠のもとで5年以上技術の練磨に専念したことをその刀匠が証明し、登録審査委員2名以上が保証し、文化庁長官の行う研修を受けた者に、製作を承認するという趣旨とされる[3]。

3. 文化庁ぶんかちょうの けんしゅうって、なに?

3. 文化庁の研修 ── 修業の途中から参加する

3. 文化庁主催の美術刀剣刀匠技術保存研修会

しゅぎょうの ほかに、文化庁ぶんかちょうが ひらく けんしゅうかいが あります。「美術刀剣刀匠技術保存研修会びじゅつとうけんとうしょうぎじゅつほぞんけんしゅうかい」と いいます。

この けんしゅうかいには、4年 しゅぎょうを おえた 人から 参加さんかできます[1]。5年めを まつ 前に、はじまるのです。

この けんしゅうでは、日本刀の 基本きほんの 知識ちしきと、鉄を きたえる わざを おしえます。刀匠とうしょうと しての 心がまえを そだてる ことも ねらいです[9]。

この けんしゅうを 終える ことも、承認しょうにんを もらう ための 条件じょうけんの 1つです。

修業とは別に、文化庁が開く研修があります。「美術刀剣刀匠技術保存研修会」です。全日本刀匠会によると、この研修会には、4年の修業を終えた人から参加できます[1]。

文化庁の研修会一覧によると、この研修会は、申請予定者に基礎知識と鍛錬技術を教え、刀匠としての意識を育てることを目的としています[9]。

規則では、この研修を受けることも承認の条件の1つとされます[3]。修業が5年目に入るころ、すでに研修が始まっていることになります。

承認には、文化庁主催の美術刀剣刀匠技術保存研修会の修了も必要だ。全日本刀匠会は、参加できるのは4年の修業を終えた者からだと説明する[1]。

研修会は、新たに製作承認を申請しようとする者に、基礎知識と鍛錬技術の研修を行い、技量の向上と刀匠としての意識の涵養を図るものとされる[9]。

時系列では、4年の修業を終えると研修に参加でき、5年以上の修業を終えて承認に至る[1]。

4. 承認しょうにんの あとも、まなびつづけるの?

4. 承認のあとも続く学びと、作れる数のこと

4. 承認後 ── 作刀実地研修会と製作数の扱い

承認しょうにんを もらえば 一人前かと いうと、そうでも ありません。

日本美術刀剣保存協会にほんびじゅつとうけんほぞんきょうかいは、わかい 刀匠とうしょうや 刀匠とうしょうみならいを むけに、「作刀実地研修会けんしゅうかい」を ひらいて います。3年間 つづく けんしゅうで、「無鑑査むかんさ」の 刀匠とうしょうが 先生に なります[8]。

また、文化庁ぶんかちょうは、作って よい 刀の 本数を 決めて いないと 説明せつめいして います[2]。ただし、刀の しゅるいごとの さいていの 作る 日数は、各県かくけんが 決めて います[2]。

承認を受けたあとも、学びは続きます。日本美術刀剣保存協会の「作刀実地研修会」は、若手の刀匠と刀匠見習いを対象に、無鑑査の刀匠を講師として3年間の研修を行います[8]。

作れる数についても、文化庁は、製作できる本数を定めているわけではないと説明しています[2]。一方で、刀の種類ごとの最低限の製作日数は、都道府県が通達で定めているとされます[2]。

「年に何本まで」といった話を聞くことがありますが、文化庁の説明では、本数の上限は定められていません。ここでは、「本数の定めはない」という点までにとどめておきます。

承認後も研修の機会がある。日本美術刀剣保存協会の作刀実地研修会は、若手刀匠と刀匠見習いを対象に、無鑑査の刀匠を講師として、研修期間を3か年とし、修了者に修了証書を交付する[8]。

製作数については、文化庁は製作できる刀剣類の本数を定めていないとし[2]、刀の種類ごとの最低限の製作日数は、都道府県が通達で定めているとされる[2]。俗に言われる「年に何振まで」といった数は、公式の資料では確認できていない。

5. 材料ざいりょうの 玉鋼たまはがねは、どこで 作られるの?

5. 材料の玉鋼 ── 3昼夜の操業で作る鉄

5. 日刀保たたらと玉鋼の頒布

刀の 材料ざいりょうに なる 鋼はがねが、玉鋼たまはがねです。日刀保にっとうほたたらという 場所で、日本美術刀剣保存協会にほんびじゅつとうけんほぞんきょうかいが つくって います。

砂鉄さてつと 木炭もくたんを かわるがわる 入れ、3日3晩ばん、火を 見まもりつづけます[5]。3日3晩ばんは 3昼夜、つまり 72時間です。おわると、鉧けらと いう 大きな 鉄の かたまりが、およそ 2.5トン できます[5]。

たとえば、たき火を 3日間 つづけるのを 想像そうぞうして ください。ねむる ひまも なさそうです。ただし ほんとうは、大ぜいの 人が 交代で 作業する 大がかりな しごとです。

玉鋼たまはがねは、原則げんそくとして 刀匠とうしょうでなければ 手に 入れられません。わけて もらえるのは、原則げんそくとして 1年に 1回です[7]。

刀の材料になる鉄が、玉鋼です。日刀保たたら(日本美術刀剣保存協会)が、昭和51年に復元し、昭和52年11月8日に火入式を行ったとされます[6]。

砂鉄と木炭を交互に入れる3昼夜の操業のあと、鉧という約2.5トンの鉄の塊を釜から出します[5]。玉鋼は日本刀の原材料として欠かせず、全国の刀匠に頒布されます[6]。

玉鋼は、原則として刀匠でなければ入手できません。頒布も原則として毎年1回行われます[7]。

日刀保たたらは、日本美術刀剣保存協会が運営し、昭和51年に復元、昭和52年11月8日に火入式を行った[6]。砂鉄と木炭を交互に装入する3昼夜の操業の後、約2.5トンの鉧(けら)を取り出す[5]。ここから得られる玉鋼は日本刀の原材料として欠かせないものとされ、全国の刀匠に頒布される[6]。

玉鋼は原則として刀匠でなければ入手できず、頒布は原則毎年1回行われる[7]。

6. できた 刀は、どこで 見て もらうの?

6. 作品を見てもらう場 ── 現代刀職展

6. 現代刀職展(作刀の部)の審査対象と出品規程

作った 刀を みんなに 見て もらう 場が あります。日本美術刀剣保存協会にほんびじゅつとうけんほぞんきょうかいが ひらく「現代刀職展げんだいとうしょくてん」です。

この 展覧会てんらんかいには、協会きょうかいの 会員でなくても 出せます。太刀や 刀などの 部と、短刀や 剣けんの 部の 2つが あり、1人 1点ずつ 出せます[4]。

ただし、むかしからの 技わざと 材料ざいりょうで 作って いない 刀は、しんさの 対象たいしょうに なりません[4]。

いい 作品には、特賞とくしょう・優秀賞ゆうしゅうしょう・努力賞どりょくしょうと いった 賞しょうが あります[4]。

作った刀を評価してもらう場が、日本美術刀剣保存協会の「現代刀職展」です。作刀の部は、協会の会員でなくても出品でき、太刀・刀などと、短刀・剣の2部門に、1人1点ずつ出せます[4]。

伝統的な技術と材料で作られていないものは、審査の対象外です[4]。受賞は、特賞・優秀賞・努力賞などです。賞金の額は年度の要項によって変わることがあるため、ここでは書きません。

現代刀職展(作刀の部)は、日本美術刀剣保存協会が主催する。会員でなくても出品でき、太刀・刀など/短刀・剣の2部門に、1人1点ずつ出品できる。伝統的技術・材料によって制作されていないものは審査の対象外で、特賞・優秀賞・努力賞がある[4]。賞金は年度の要項による。

7. 見に いったり、計算したり して みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 出口 ── 現代刀職展の案内を見る/原典を読む

おうちで できる ことは、計算です。「1日 8時間、週 5日を 5年」を、じぶんで 計算して みましょう。電卓でんたくを 使っても かまいません。答えが 10000時間 くらいに なれば、あっています。

もし よければ、日本美術刀剣保存協会にほんびじゅつとうけんほぞんきょうかいの ページで、現代刀職展げんだいとうしょくてんの 案内あんないも 見られます[4]。おうちの 人と、ようすを 見て みましょう。

家でできるのは、時間の計算です。「1日8時間・週5日を5年」がどれくらいか、電卓で計算してみてください。1年を50週として5年分を計算すると、約何時間でしょうか。

もっと知りたくなったら、日本美術刀剣保存協会のページで、現代刀職展の案内を見られます[4]。玉鋼の頒布や、たたらの操業についても、同じ協会のページに説明があります[5][7]。

約10,400時間は、本文の条件から筆者が算出した。祝日や休みを引くと、数字は変わる。自分で計算して確かめられる。

原典を読むなら、全日本刀匠会「刀鍛冶になりたい方へ」[1]、文化庁「銃砲刀剣類所持等取締法」[2]、日本美術刀剣保存協会の現代刀職展[4]・たたら事業[5]・玉鋼頒布[7]・作刀実地研修会[8]のページを確認できる。条文の原文は、e-Gov法令検索などで確かめるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:全日本刀匠会、文化庁、日本美術刀剣保存協会の公式ページと、日本法令索引の資料を使った。日数や時間の計算は、筆者が行った。条文と研修会の目的は、検索結果の要約による。

  1. 全日本刀匠会「刀鍛冶になりたい方へ」。 https://www.tousyoukai.jp/want/ (修業の年数と基準、研修会への参加について)
  2. 文化庁「銃砲刀剣類所持等取締法」。 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/juhotouken/index.html (登録の仕組み、製作の承認、製作本数について)
  3. 日本法令索引「美術刀剣類製作承認規則」。 https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000077928&current=16 (承認の条件について。検索結果の要約による)
  4. 日本美術刀剣保存協会「現代刀職展(作刀の部)」。 https://www.touken.or.jp/employment/contest.html (出品の資格と部門、審査の対象について)
  5. 日本美術刀剣保存協会「たたら事業」。 https://www.touken.or.jp/about/jigyou/tatara.html (操業の日数と鉧の量について)
  6. 日本美術刀剣保存協会「たたら操業と日刀保たたら」。 https://www.touken.or.jp/museum/sword/tatara.html (復元の年と、玉鋼の頒布について)
  7. 日本美術刀剣保存協会「玉鋼頒布」。 https://www.touken.or.jp/employment/tamahagane.html (玉鋼を入手できる人と頒布の回数について)
  8. 日本美術刀剣保存協会「作刀実地研修会」。 https://www.touken.or.jp/employment/kensyu.html (承認後の研修の対象と期間について)
  9. 文化庁「研修会一覧」。 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/kenshu/pdf/94230401_01.pdf (研修会の目的について。検索結果の要約による)

なおした ところ

更新履歴

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