1. どのくらい 大きくて、どのくらい おもいの?
1. 世界一の卵は、鶏卵の約20個ぶん
1. 資料で異なる卵の重さ ── 約1.2〜1.4kg
ダチョウの 卵は、長さが やく 15cm、はばが やく 13cm です。おもさは、1.4kg ほど[2]。
よこはまの 野毛山動物園では、やく 1.2kg の 卵を うむと しょうかい して います[1]。しらべる 人や 卵に よって、おもさは すこし ちがいます。
この おもさは、鶏の 卵の 20倍くらいです[3]。鶏の 卵が 20こ ならんだ おもさ、と 思って ください。
お母さんは、5日から 10日ごとに 1こ、1年で やく 40こも うみます[1]。
2. お母さんの 体に くらべると、どうなの?
2. 世界一なのに、体に対しては小さい
2. 母体比 ── 約1〜2%と、キーウィの約20%
ダチョウの お母さんは、体重が 100kg ぐらい。卵が 1.4kg なら、体重の 100ぶんの 1.4 ほどです[9]。
ニュージーランドの キーウィという 鳥は、ちがいます。体は ダチョウよりも ずっと 小さいのに、お母さんの 体重の 5ぶんの 1ほどの 卵を うむと いわれます[8]。
ですから、ダチョウの 卵は 世界一 大きいけれど、お母さんの 大きさに くらべれば 小さい ほうです。
体重との比で見ると
ダチョウのメスの体重は約100kg、オスは約130kgです[9]。卵が1.4kgなら、メスの体重の約1.4%。計算するとこうなります。ニュージーランドの保護団体は、ダチョウの卵は体重の2%ほどで、母親との比では鳥のなかで最小級だと説明しています[8]。資料によって1.4%と2%の差があるので、「1〜2%ぐらい」と書くのが安全です。
比べるとキーウィがすごい
同じ団体は、キーウィのメスの卵は体重の約20%に達するとしています。同じ大きさの鳥の卵の約6倍だそうです。人の赤ちゃんは、満期で母親の体重の約5%と比べています[8]。キーウィの割合は資料によって15〜25%と幅があります。
3. から は どのくらい あつい?
3. 殻は鶏卵の約5倍。大きい卵ほど殻は厚くなる
3. 殻の厚さ ── 約2mmと、463種の解析
大きい 卵は、から も じょうぶで なければ、じぶんの おもさで つぶれて しまいそうです。
ダチョウの 卵の から は、あつさが 2mm ほど。鶏の 卵の 5倍ぐらい あつい、と はかった 人が います[3]。から だけの おもさは、鶏の 30倍ほどでした。
ほかの 鳥も しらべた 研究では、大きい 卵ほど、から が あつい ことが わかって います[7]。
4. あつい から で、ヒナは いきが できるの?
4. 約4万個の穴 ── 厚い殻の中でも息ができる
4. 気孔 ── 約40,596個と、卵の大きさとの関係
ぶあつい から の 中で、ヒナは いきを して います。卵の から には、目に 見えない ほど 小さな あなが たくさん あいて いるからです。これを 気孔と いいます。
ダチョウの 卵では、この あなが 4万こぐらい あるという 研究が あります[4]。鶏の 卵は、数千から 1万数千こと いわれます[5]。
あなを 通って、空気が 出入りします。酸素が 入り、いきの もとに なる 空気が 出て いきます[5]。
大きい 卵ほど、あなの 数も 多くなる、という まとめも あります[6]。
殻の穴のはたらき
殻には、気孔というトンネルのような小さな穴が並んでいます。中の胚(ヒナになる部分)が呼吸するときに、酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す通り道です。水分が蒸発する通り道にもなります[5]。
約4万個
X線で調べた研究では、ダチョウの卵の殻全体の気孔は平均で約40,600個でした[4]。鶏卵の気孔は7000〜1万7000個と書かれた資料があります[5]。出典が別なので、何倍と言い切るのは避けますが、ダチョウの卵のほうが多いといえます。
鳥の卵全体では、紹介されている例で、大きい卵ほど気孔の数も大きさも増える、と整理されています。約1gの卵で約300個、約500gの卵で約3万個という数字が紹介されています。ただし要旨で確かめた数字なので、およその目安として読んでください[6]。
気孔は柱と柱の間のトンネルで、胚の呼吸(酸素の取り入れと二酸化炭素の排出)と水分の蒸散に働く[5]。X線断層撮影による測定では、ダチョウ卵の殻全体の気孔数は平均40,596個(±1832SE)だった[4]。
鶏卵の気孔は「卵1個に7000〜1万7000個」と記す資料があり[5]、ダチョウはそれより多い。ただし出典が別で測り方も違うため、倍率の断定は避ける。
鳥の卵全般では、紹介されている例で、卵が大きいほど気孔の数と大きさが増えるという整理があり、約1gの卵で約300個(半径3μm)、約500gの卵で約3万個(半径13μm)が挙げられている[6]。この数字は検索の要旨で確かめたもので、断定せず「およそ」で読む。
5. だれが、いつ あたためるの?
5. 約40日の抱卵 ── 昼はメス、夜はオス
5. 抱卵 ── 約40日(35〜45日)と昼夜の交代
ヒナが 生まれるまでに、およそ 40日 かかります[10]。あたためる のは、お父さんと お母さんです。
動物園の 話では、昼は お母さん、夜は お父さんが かわりばんこに 卵の 上に います[10]。
お母さんは、何羽かで 1つの すに 卵を あつめる ことが あります。あたためる お母さんは、その 中の いちばん 強い 1羽です[10]。
6. ヒナは、生まれて すぐ どう する?
6. 「なぜ大きい?」── 分かっていることと、まだ一言で言えないこと
6. 早成性のヒナと、「なぜ大きいか」の現在地
ヒナは、生まれて まもなく 目が あいて、あるき 出し、自分で えさを つつき はじめる、と 紹介されて います[11]。
生まれて すぐ あるける 鳥を、そうせいせいと いいます。大きい 卵の 中で、しっかり そだって から 生まれる のかも しれません。ただし これは 考え方の 1つで、ひとことで 答える 説は、まだ ありません。
「どうして あんなに 大きいの?」に、ひとことで こたえる せつは、見つかりませんでした。ダチョウが 大きい 鳥で、卵も 大きくなり、から や あなも それに あわせて ふえる、という ところまでが わかって います。
歩いて生まれるヒナ
動物園の飼育記録の要約では、ヒナはふ化してまもなく目が開いて歩き、自分でえさをつつき始めると紹介されています[11]。ふ化してすぐ歩ける性質を「早成性」といいます。大きな卵の中で育ちきってから生まれる、という見方は成り立ちますが、これは考えの1つです。
「なぜ大きい?」に一言では答えられない
調べたかぎり、この問いに一言で答える定説は見つかりませんでした。分かっているのは、ダチョウ自体が大きな鳥で卵の絶対サイズも大きいこと、母体比では小さいこと、そして殻と気孔が卵の大きさに合わせて増えることです。因果まで言い切れる段階ではありません。
ヒナはふ化してまもなく目が開いて歩き、自分でえさをつつき始めると、動物園の飼育の紹介を要約した記事にある(日数までは原文で確かめられなかったので書かない)[11]。ふ化直後に歩ける種を早成性という。大きな卵の中で発育が進むことと関係している可能性はあるが、因果は確認できなかった。ヒナの体重の値も、本稿では原文で確かめられなかったので使わない。
「なぜ大きいか」には、一言で答える定説は確認できなかった。分かるのは、(1)ダチョウ自体が大きな鳥で卵の絶対サイズも大きい、(2)母体比では最小級[8]、(3)鳥類全体の比較では、殻の厚さと気孔数が卵の大きさに沿って増える(ダチョウ1種だけでは、殻厚と卵重に有意な相関は見られない)[7][6]、という3点である。
7. じぶんの 体で くらべて みよう
7. 自分の体重で、同じ割合を計算してみる
7. 出口 ── 母体比の実感と、資料の読みどころ
じぶんの 体重を 30kg と して、その 2%を 計算して みましょう。30kg の 2%は 0.6kg です。1.4%なら 0.42kg。500mLの ペットボトル 1本 ぶんぐらいです。
この 1〜2%が、ダチョウの 母さんが うむ 卵と 同じ わりあいです。キーウィの 5ぶんの 1だと、6kg にも なります。
ペットボトルを 手に もって、おもさを 感じて みて ください。ただし、ぶつけたり おとしたり しないように ちゅうい します。
もっと しりたく なったら、野毛山動物園や あさひやま動物園の ホームページを 見て ください。
自分の体重が30kgなら、その1.4%は約0.42kg、2%は0.6kgです。500mLのペットボトル1本ぶんに近い重さ。同じ割合でキーウィと比べると、体重の約20%は6kg、2Lのペットボトル3本ぶんになります。
実際に手で持てるものと見比べると、割合の意味が実感できます。ペットボトルを落としたり、人にぶつけたりしないようにしてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:動物園の記事、国内の食品科学の報告、海外の論文と保護団体の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 野毛山動物園「ダチョウの卵①~産卵編」。https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/nogeyama/details/post-1046.php (卵の大きさ・重さと産卵の間隔について)
- Wikipedia「Ostrich egg」。https://en.wikipedia.org/wiki/Ostrich_egg (平均の大きさ・重さと抱卵期間の幅について。二次資料)
- 日本食品科学工学会誌 50(6) 266-271(2003)「ダチョウ卵の性状」。https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1995/50/6/50_6_266/_pdf (鶏卵との重さの比較と殻の厚さについて)
- Willoughby ほか(2016)Anatomical Record 299:1015。https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ar.23354 (殻の厚さと気孔の数について。要旨で確認)
- 畜産ZOO鑑「卵の構造と形成」。https://zookan.lin.gr.jp/kototen/tori/t122_3.htm (鶏卵の気孔の数とはたらきについて)
- PubMed 3298530(Ar と Rahn らの整理を扱った総説)。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3298530/ (卵の大きさと気孔の数の関係。要旨のみで確認)
- Juang ほか(2017)Scientific Reports 7:14285。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5660176/ (463種の卵の殻の厚さと卵の重さの関係について)
- Save the Kiwi「Enormous egg」。https://savethekiwi.nz/about-kiwi/kiwi-facts/enormous-egg/ (卵と母親の体重の比について。保護団体の解説)
- 国際動物福祉基金ほか「動物雑感(33) ダチョウの子育て」。https://www.isad.or.jp/pdf/information_provision/information_provision/no74/82p.pdf (ダチョウの体重について)
- 旭山動物園だより(2019年10月14日)。https://asahikawa.hokkaido-np.co.jp/asahiyama_doubutsuen_dayori/20191014.html (抱卵の期間と昼夜の交代について)
- ecochil の記事。https://www.ecochil.net/article/13568/ (ヒナがふ化した日に歩くことについて。検索結果の要約のみで確認。二次資料)
なおした ところ
更新履歴
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