このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

同じ かみひこうきなのに、なぜ とぶのと おちるのが あるの?

同じ折り方の紙飛行機が、飛んだり突っ込んだりする理由

紙飛行機の飛びを分けるもの:揚力・迎え角・重心・尾翼と調整

分野:技術

おなじ かみで、おなじ おりかたなのに、ともだちの ひこうきは すうっと とんで、じぶんのは あたまから つっこみます。ちがいは、かたちよりも「ちょうせつ」に ありそうです。

同じ紙を同じように折ったのに、友だちの紙飛行機はすうっと飛び、自分のは机の上に頭から突っ込む。折り方が同じなら、何が違うのでしょうか。空気の受け方、重心、尾翼の3つを順に見ていきます。

同じ紙・同じ折り方の紙飛行機が、飛び方だけ大きく違うことがある。差を生むのは形そのものより、翼の角度と重心の位置、尾翼のはたらきであるらしい。日本の資料と、宇宙船内で飛ばした場合の説明を突き合わせて整理する。

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1. つばさは、空気を どうするの?

1. 翼は空気を下に曲げて、持ち上がる

1. 揚力:翼に角度がつくと、空気は下へ曲げられる

うちわを まえに うごかして、すこし かたむけると、うちわが ふわっと 上に もち上がる ように かんじる ことが あります。

かみひこうきの つばさも、にています。まえに すすみながら、空気を 下へ おしさげると、その はんたいの ちからで、つばさが 上に おされます。この ちからが 揚力ようりょくです。[1]

ただし ほんとうは、うちわは 手で うごかして いますが、かみひこうきは 投げた いきおいで すすみます。

薄い板を前に動かすとき、板に角度がついていると、空気は板に沿って下向きに曲げられます。板は、その反対向きの力を受けて持ち上がります。この力が揚力ようりょくです[1]。

空気を下に曲げるには、板に角度がいります。折り目をきれいにそろえても、角度がまったくなければ、空気を曲げられず、翼としての仕事はほとんどできないと考えられます。

翼(平らな板)が空気の流れに対して角度をもつと、空気は下向きに曲げられ、板はその反作用として上向きの力を受ける。これが揚力ようりょくである[1]。

紙飛行機は薄い一枚の紙に近く、この単純な説明がそのまま当てはめやすい。以下では、この角度をどう保つかが、飛ぶか落ちるかを分けると見ていく。

2. うえを むきすぎると、どうなるの?

2. 上を向けば揚力は増える。ただし限度がある

2. 迎え角と失速

つばさが、まえに すすむ ほうこうに たいして どれだけ 上を むいて いるか。その かくどを、迎え角むかえかくと いいます。[2]

ある はんいでは、上を むく ほど、つばさを 上に おす ちからは 大きく なります。でも、むきすぎると、その ちからを うしなって、ひらひらと おちる ことが あります。これを「しっそく」と よびます。[3]

翼が空気の流れに対してどれだけ上を向いているか。その角度を迎え角むかえかく(迎角)といいます。一定の範囲では、上を向くほど揚力は大きくなる、と説明されています[2]。

ただし、角度を大きくしすぎると、失速に向かうとされています[3]。紙飛行機が投げた直後にぐっと機首を上げて、そのあと失速して落ちるのは、この状態にあたると考えられます。

翼が気流に対して上を向く角度を迎え角(迎角)という。一定の範囲では迎え角が大きいほど揚力は増す[2]。大きくしすぎると失速に至るとされる[3]が、失速については、ここでは大づかみな説明にとどめる。

紙飛行機を強く上向きに投げると一度は上がるが、すぐ失速して落ちやすいのは、この関係の一例とみられる。

3. つばさだけだと、なぜ ふらふらするの?

3. 翼だけでは安定しない。尾翼が元に戻す

3. 単独翼の不安定と水平尾翼

つばさ だけの ひこうきは、すこし かたむくと、もとに もどる ちからが ありません。ですから、ふらふらと ぶれやすいと いわれます。[3]

うしろに ちいさな つばさが あると、ようすが かわります。うしろが 上に もち上がると、さきが 下がって、つばさの むきが もとに もどるように はたらく ことが あります。

翼だけの飛行機は、重心と風圧中心(揚力が集中してかかる点)を一致させればつり合いますが、角度がずれたときに元に戻る力がなく、一般に安定ではないとされています[3]。

後ろに水平尾翼があると、尾翼に揚力が生じたとき尾部が持ち上がり、機首が下がって主翼の迎え角が減ります。ずれた姿勢を元に戻す方向にはたらくのです[3]。ただし、尾翼があれば必ず安定するわけではなく、条件があります。

尾翼をもたない単独翼は、重心と風圧中心を一致させれば釣り合うが、復元力がなく不安定で、迎え角が増えると失速に至るとされる[3]。

水平尾翼に揚力が生じると、尾部が持ち上がって胴体が下を向き、主翼の迎え角が減る[3]。この復元のはたらきが姿勢の安定に寄与する。ただし尾翼の効き方は配置や大きさなど条件に依存し、「尾翼があれば必ず安定」とまでは書けない。

4. とびかたが わるいとき、どうなおすの?

4. 突っ込むときは後ろを上げ、失速するときは下げる

4. 重心・取り付け角と舵の調整

ふつうの かたちの かみひこうきが、さきを 下げて つっこむように とぶ ときは、うしろの ふちを ほんの すこし 上に まげます。さきが 上を むいて ひらひら おちる ときは、うしろの ふちを 下に まげます。[4]

とびかたを きめるのは、おもさの かたよる ばしょ(重心)と、つばさの むきです。[1] いちどに たくさん まげず、すこしずつ ためすのが コツと されています。

通常型の紙飛行機が機首を下げて突っ込むように飛ぶときは、機体の後ろのふちを少し上に曲げる「上げ舵」にします。逆に、機首が上がりすぎて失速するときは「下げ舵」にする、と折り紙飛行機の解説では紹介されています[4]。

飛び方の姿勢を決めるのは、重心の位置と、主翼と尾翼の角度(取り付け角)だとされています[1]。翼の前のふちを折り直して、相対的に重心の位置を変える方法もあるようです[4]。

紙飛行機の飛行姿勢を決めるのは、重心位置と取り付け角(主翼と尾翼の角度)とされる[1]。折り紙飛行機の解説では、通常型で機首を下げて突っ込むように飛ぶ場合は上げ舵(後縁を上に曲げる)、機首が上がりすぎて失速する場合は下げ舵にして調整する[4]。翼の前縁を折り直し、相対的な重心位置を変える調整も紹介されている[4]。

2つの症状に対して、曲げる向きが逆になる点に注意したい。前後どちらのずれにも、まず後縁を小さく動かして結果を見る、という道すじが示されている。

5. せかいで いちばん ながく とんだ ひこうきは?

5. 競技用の紙飛行機は、重心が後ろ寄り

5. 競技用機の設計とギネス記録

ギネスの きろくでは、かみひこうきが 29.2 びょう とんだ ことが あります。ゆっくり かぞえると、30 ちかく です。[7]

それは おりかただけでなく、ちょうせつと なげかたを つみかさねた けっかと 考えられます。

紙飛行機の滞空時間のギネス記録は、2015年ごろの紹介ページで29.2秒(戸田拓夫さん、日本、2010年12月19日)とされていました[7]。数を数えながら、ゆっくり30近くまで数える長さです。

滞空競技用の紙飛行機をつくってきた二宮康明さんは、競技用の機体では水平尾翼をふつうの飛行機の約2倍の大きさにとり、重心を翼の後ろ寄りに置くと述べています[5]。空気のねばり気の影響があるので、翼は厚いより薄いほうがよいとも述べています[5]。これは競技用の話で、一般の折り紙飛行機にそのまま当てはまるとは限りません。

ギネス世界記録の紹介ページ(2015年時点)によると、紙飛行機の滞空時間は29.2秒(戸田拓夫、日本、2010年12月19日)、飛距離は69.14m(Joe Ayoob、設計John M. Collins、米国、2012年2月26日)である[7]。

滞空競技用の紙飛行機を長年設計してきた二宮康明(にのみや・やすあき)は、水平尾翼容積比を実機の約2倍の1.2にとり、重心位置を空力平均翼弦長の80〜90%(翼の後ろ寄り)に置くと述べる[5]。また、空気の粘性の影響が大きいため、厚翼ではなく薄翼が適するとする[5]。これは高性能な競技機の値で、折り紙飛行機一般ではない。同氏は1926年仙台生まれで、1967年のサンフランシスコの国際大会で優勝し、のち『子供の科学』で紙飛行機の連載が始まったと紹介されている[5]。

6. うちゅうで とばすと、どうなるの?

6. 宇宙船の中では、宙返りする

6. 微小重力下の紙飛行機

うちゅうせんの 中では、ふわふわ ういて、じゅうりょくが ほとんど はたらかない じょうたいに なります。JAXAの せつめいでは、かみひこうきに はたらく ちからは、つばさの 揚力ようりょくだけに なるそうです。[6]

すると、まっすぐには とばず、まるい みちを えがいて くるりと 回ると いわれます。

JAXAの説明によると、宇宙船の中は重力の影響がほとんどない微小重力の状態で、紙飛行機にはたらく力は翼にかかる揚力だけになります。すると紙飛行機はまっすぐには飛ばず、円弧を描いて宙返りをするそうです[6]。

地上では、揚力と重さの釣り合いで飛んでいます。重さの影響がほとんどなくなると、JAXAの説明では、揚力だけが紙飛行機にはたらきます。

JAXA有人宇宙技術部門のFAQは、宇宙船内は微小重力で重力の影響がほとんどないため紙飛行機にはたらく力は翼にかかる揚力だけになり、まっすぐ飛ばず円弧を描いて宙返り飛行をする、と説明している[6]。

地上の飛行は、揚力と重力の釣り合いで成り立つ。JAXAの説明では、見かけの重さがほとんどなくなると揚力だけが機体を曲げ続けるため、この宙返りは、地上の紙飛行機が「重力と揚力のバランスで飛んでいる」ことを裏から示す例といえる。

自分でも ためして みよう

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おなじ かみひこうきを 2 つ おって、1 つだけ うしろの ふちを 少し 上に まげて みましょう。人や ガラスには むけず、ひろい ところで とばして、どちらが とおくまで とぶか くらべます。

もっと しりたい とき

図書館で「かみひこうき」の ほんを さがして みましょう。JAXAの ページも、おうちの人と いっしょに 見て みてください。

今日できること

同じ紙で同じ形の紙飛行機を2つ折り、1つだけ後ろのふちを少し上に曲げます。人や窓ガラスには向けず、風のない広い場所で同じ強さで投げ、飛び方を比べます。突っ込むなら上げ舵、失速するなら下げ舵という手がかりを試すこともできます。

出かけてできること

図書館で紙飛行機の本や、二宮康明さんの本を探してみるのもよいでしょう。

公式情報

解説は、JAXAの航空技術部門[2]と有人宇宙技術部門[6]、日本航空協会のページ[5]にあります。

今日できること

同じ紙で同じ形の機体を2機折り、片方だけ後縁を約1〜2mm上に曲げる。人や窓ガラスに向けず、風のない広い場所で同じ強さで水平に投げ、飛び方を記録して比べる。1回では結論にせず、複数回の平均や傾向で見る。

資料を読むなら

  • 日本航空協会「日本で生まれ育った高性能紙飛行機」(二宮康明)[5]
  • JAXA航空技術部門コラム/有人宇宙技術部門FAQ[2][6]

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料の一覧です。

  1. 丹波博士の紙ヒコーキ教室「つばさの秘密」 https://www.tamba-jun.com/what-pp/theory/25 (揚力・姿勢の決まり方)
  2. JAXA航空技術部門コラム「飛行機の姿勢と地上試験の話」 https://www.aero.jaxa.jp/topics/column/0254.html (迎え角の説明)
  3. Wikipedia「飛行機の安定」 https://ja.wikipedia.org/wiki/飛行機の安定 (単独翼の不安定・尾翼)
  4. 折り紙航空隊「紙飛行機の飛ばし方」 https://origamiairforce.com/how_to_fly/ (上げ舵・下げ舵の調整)
  5. 日本航空協会「日本で生まれ育った高性能紙飛行機」(二宮康明) https://www.aero.or.jp/culture/aviationand-culture/20150220-6002/ (競技用機の設計・経歴)
  6. JAXA有人宇宙技術部門FAQ「宇宙船内で紙飛行機はどう飛ぶのでしょうか」 https://humans-in-space.jaxa.jp/faq/detail/000696.html (宇宙船内の飛び方)
  7. ギネス世界記録「紙飛行機の世界記録」 https://www.guinnessworldrecords.jp/news/2015/12/%20paperaircraft (滞空時間・飛距離の記録。2015年ページ)

なおした ところ

更新履歴

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