1. えんぴつの しんは、いしの なかま
1. 鉛筆の芯は、鉱物の仲間だった
1. 鉛筆の芯の正体:黒い鉱物、黒鉛
えんぴつの しんの、あの 黒い ぶぶん。じつは「こくえん」と いう「いし」の なかまです。
紙に 字を 書くと、この いしの こなが、紙に すりつけられて のこります。
いしの こなが、なぜ 紙に くっついて いられるのでしょう。
この「こくえん」と いう いしの しょうたいから しらべて みましょう。
鉛筆の芯の、あの黒い部分。実は「黒鉛」という鉱物の仲間です。
紙に字を書くと、この鉱物の粉が、紙にすりつけられて残ります。
石の粉が、なぜ紙にくっついていられるのでしょうか。
この「黒鉛」という鉱物の正体から調べてみましょう。
鉛筆の芯の黒い部分は、「黒鉛」という鉱物である。
紙に字を書くと、この鉱物の微粒子が紙に擦り付けられて残る。
鉱物の粒子は、なぜ紙に付着していられるのか。
「黒鉛」という鉱物の正体から調べていく。
2. こくえんは、うすい まくが かさなった もの
2. 黒鉛の正体 ── うすい層が積み重なった鉱物
2. 黒鉛の結晶構造:層状構造とファンデルワールス力
この「こくえん」、どうして そんなに かんたんに 紙に すりつけられるのでしょう。
こくえんは、たんその つぶが、うすい まくのように ならんで、その まくが なんまいも かさなって できて います。トランプの カードを、たくさん かさねた ときの すがたを そうぞうして みて ください(ただし 本当は、カードほど ぶあつくは ありません)。
1まい 1まいの まくの 中は、たんそどうしが しっかり くっついて います。でも、まくと まくの あいだは、とても ゆるく くっついて いるだけです[1]。
だから、こくえんに 力を かけると、かさなった カードの 山が くずれる ように、まくが かんたんに はがれて、すべって いきます。
この黒鉛、どうしてこんなに簡単に紙にすりつけられるのでしょうか。
黒鉛は、炭素の原子が六角形につながった、薄いシートのような層が、何枚も積み重なってできています。トランプのカードを何十枚も積み重ねた姿を想像してみてください(ただし、実際の層はカードよりずっと薄いものです)。
1枚のシートの中では、炭素原子同士が強くくっついています。ところが、シートとシートのあいだは、とても弱い力でしかくっついていません(これをファンデルワールス力といいます)[1]。
そのため、黒鉛に力を加えると、シートとシートのあいだが簡単にはがれて、するするとすべっていきます。
3. しんが けずれて、紙に のこる
3. 芯が砕けて、紙の繊維にひっかかる
3. 書字のしくみ:芯の粉砕と繊維への機械的付着
えんぴつを 紙に おしあてると、しんの さきが、すこしずつ けずれて、こなに なります。
この こなは、まくが はがれた こくえんの つぶです。
紙の おもては、けんびきょうで 見ると、でこぼこして います。こくえんの つぶは、この でこぼこに ひっかかったり、せんいと せんいの あいだに 入りこんだり して、のこります[2]。
こうして、黒い 字が 書けるのです。
鉛筆を紙に押しあてると、芯の先が少しずつ砕けて、粉になります。
この粉は、シートがはがれた黒鉛の粒です。
紙の表面は、拡大して見るとでこぼこしています。黒鉛の粒は、このでこぼこにひっかかったり、繊維と繊維のすき間に入りこんだりして、紙の上に残ります[2]。
こうして、黒い線が書けるのです。
鉛筆を紙に押しあてると、筆圧によって芯の先端が少しずつ砕け、微細な粉となる。
この粉は、基底面がはがれた黒鉛の微粒子である。
植物繊維でできた紙の表面を拡大すると、無数の凹凸が見える。この凹凸への引っかかりと、繊維同士のすき間への入りこみという2つの経路によって、黒鉛の粒子は紙の上に留まる[2]。
これが、鉛筆で文字が書けるしくみである。
4. こさの ひみつ:こくえんと ねんど の わりあい
4. 濃さの秘密 ── 黒鉛と粘土の配合比
4. HB・2Bのしくみ:黒鉛と粘土の配合比が決める濃度
えんぴつには「HB」「2B」のような きごうが あります。これは、しんの こさを あらわして います。
しんは、こくえんと ねんどを まぜて、やいて つくります。HBの ばあい、こくえんが 7、ねんどが 3の わりあいです[2]。
ねんどが おおいほど、しんは かたく なり、色は うすく なります[2]。
この つくりかたを かんがえたのは、フランスの コンテと いう 人です。イギリスとの せんそうで、こくえんが 買えなくなって しまい、ナポレオンから「フランスだけで こくえんの しんを 作れ」と めいれいされて、たった 8日間で かんがえだしました[3][8]。
こうして 紙に のこった こくえんの こな、じつは けしゴムで こすると、あっさり 消えて しまいます。しっかり くっついて いた はずなのに、なぜでしょう。
鉛筆には「HB」「2B」のような記号があります。これは、芯の濃さを表しています。
芯は、黒鉛と粘土を混ぜて、焼き固めて作ります。HBの場合、黒鉛が7、粘土が3という割合です[2]。
粘土の割合が多いほど、芯は硬くなり、色はうすくなります[2]。
この作りかたを考えたのは、フランス人のニコラ・ジャック・コンテという人です。当時、フランスはイギリスと戦争中で、黒鉛の輸入が止まっていました。ナポレオンから「フランス産の黒鉛芯を作れ」と命じられたコンテは、なんとわずか8日間で、黒鉛と粘土を混ぜて焼き固める方法を考え出したのです。混ぜる割合を変えると、芯の硬さが変わることも発見しました[3][8]。
こうして紙に残った黒鉛の粉は、消しゴムでこすると、あっさり消えてしまいます。しっかりくっついていたはずなのに、なぜでしょうか。
鉛筆には「HB」「2B」といった記号(硬度)が付いている。これは芯の濃さ・硬さを表す指標である。
芯は、黒鉛と粘土を混合して焼き固めて作られる。HBの場合、黒鉛7に対し粘土3という配合比になっている[2]。
粘土の配合比率が高いほど、芯は硬くなり、発色はうすくなる[2]。
この製法を考案したのは、フランス人のニコラ・ジャック・コンテである。当時、英仏間の戦争によって黒鉛の輸入が途絶えており、ナポレオンから国産の黒鉛芯を作るよう命じられたコンテは、わずか8日間で黒鉛と粘土を焼き固める製法を編み出した。さらに、混合比率を変えることで芯の硬度が変化することも発見した。これが今日の鉛筆製法の基礎となっている[3][8]。
こうして紙に定着した黒鉛粒子は、しかし消しゴムでこすると容易に除去される。強固に付着していたはずの粒子が、なぜ簡単に剥がれるのか。
5. けしゴムは、どうして 消せるのか
5. 消しゴムが消せる理由 ── くっつきやすさの逆転
5. 消字のしくみ:紙と消しゴム、付着の競合
紙の うえの こくえんの つぶは、はじめ、けしゴムの ひょうめんに くっつきます。
そして、けしゴムの けしくずに つつみこまれて、紙から とれて いきます[2]。
こくえんの つぶは、紙よりも けしゴムの ほうに、くっつきやすいのです[2]。
いまの けしゴムの おおくは、プラスチックの なかまで できて います。けしゴムを 紙の うえで こすると、この ざいりょうが こくえんの つぶを すいよせます[4]。けしゴムの しゅるいに よっては、こすった ときの ちいさな けずれも てつだって います[7]。
6. えんぴつと けしゴムの ものがたり
6. 鉛筆と消しゴムの物語
6. 鉛筆と消しゴムの歴史
こくえんが はじめて 見つかったのは、1560年代、イギリスの ボローデールと いう ところです[3]。
その あと、コンテが 1795年に、いまの つくりかたを 発明しました(4しょうで しらべた とおりです)。
けしゴムは、1770年、イギリスの プリーストリーと いう 人が、ゴムに 字を 消す ちからが ある ことを 見つけたのが はじまりです[5]。
じつは、プリーストリーさんが みつける まえは、字を けす ために パンが つかわれて いました。いまでも、木炭(もくたん)で えを かく デッサンでは、けしゴムの かわりに パンを つかいます。パンの やわらかい あなが 木炭の つぶを すいこんで くれるので、紙を いためにくいのです[9]。
いまの プラスチック けしゴムは、1956年に 日本の かいしゃが、せかいで はじめて 作りました[6]。
「書く どうぐ」も「消す どうぐ」も、いろんな 人の はっけんと くふうが かさなって、いまの すがたに なりました。
黒鉛が初めて見つかったのは、1560年代、イギリスのボローデールという場所です[3]。
その後、フランス人のコンテが1795年に、いまの鉛筆の芯の作りかたを発明しました(4章で見たとおりです)。
消しゴムは、1770年、イギリスの科学者プリーストリーが、ゴムに字を消す力があることを発見したのが始まりです[5]。
実は、プリーストリーさんが発見する前は、字を消すためにパンが使われていました。いまでも、木炭で絵を描くデッサンでは、消しゴムの代わりにパンを使うことがあります。パンの柔らかい穴が木炭の粒を吸いこんでくれるので、紙を傷めにくいのです[9]。
いまのプラスチック消しゴムは、1956年9月に日本のメーカー(当時のシードゴム工業)が、世界に先がけて生産を始めました[6]。
「書く道具」も「消す道具」も、さまざまな人の発見と工夫が積み重なって、いまの姿になりました。
黒鉛が発見されたのは1560年代、イギリス・カンバーランド地方のボローデール鉱山である[3]。
その後、フランス人のニコラ・ジャック・コンテが1795年に、黒鉛と粘土を焼き固める現在の鉛筆芯の製法を発明した(4章参照)。
消しゴムの起源は1770年、イギリスの化学者ジョゼフ・プリーストリーが、ブラジル産のゴムに鉛筆の字を消す性質があることを発見したことに遡る[5]。
実は、プリーストリーの発見以前は、消字にはパンが使われていた。現在でも、木炭を用いるデッサンでは、消しゴムの代わりにパンが使われることがある。パンの柔らかさが木炭粒子を取りこみ、木炭紙の肌理を傷めずに修正できるためである[9]。
現在主流のプラスチック消しゴムは、1953〜54年ごろから研究が始まり、1956年9月に日本のシードゴム工業(現・株式会社シード)が、世界に先駆けて生産を開始した[6]。
筆記具も消字具も、さまざまな人による発見と工夫の積み重ねによって、現在の姿へと発展してきたのである。
じぶんでも やって みる
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
家に ある えんぴつで、じっさいに ためして みましょう。
やって みる
- 紙に 字を 書いて、ゆびで そっと こすって みる。黒い こなが 指に つくか、たしかめる。
- こさの ちがう えんぴつ(あれば 2Hと 2Bなど)で おなじ 字を 書いて、けしゴムでの 消えやすさを くらべて みる。
えんぴつの さきで 人や じぶんを つつかないように 気を つけましょう。
家にある鉛筆で、実際に確かめてみましょう。
やってみる
- 紙に字を書いて、指でそっとこすってみる。黒い粉が指につくか確かめる。
- 濃さの違う鉛筆(2Hと2Bなど)で同じ字を書き、消しゴムでの消えやすさを比べてみる。粘土の割合の違いが、消えやすさにどう影響するか考える[2]。
鉛筆の先で人や自分を突かないよう気をつけましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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出典について:伊藤黒鉛工業、三菱鉛筆、日本鉛筆工業組合、ヒノデワシ、株式会社シード、文房具の解説サイト(bunbogu.jp)、McGill大学(英語)、講談社の子ども向けメディア(コクリコ)、武蔵野美術大学の公開情報を使いました。消しゴムの開発年など、出典によって細部の記載が異なる場合は、企業の公式沿革など、より確実な情報源を優先しています。このメモは、これらの機関・企業のものではなく、個人のまとめです。
- 伊藤黒鉛工業株式会社「黒鉛の結晶構造について」。 https://www.graphite.co.jp/graphite_wp/knowledge/黒鉛の結晶構造について/ (黒鉛の層状構造、層内の共有結合、層間のファンデルワールス力)
- 三菱鉛筆株式会社「えんぴつのナゾを解く」。 https://www.mpuni.co.jp/special/qa/mistery.html (芯が砕けて紙の繊維にくっつくしくみ、黒鉛と粘土の配合比、消しゴムが消せる理由)
- 日本鉛筆工業協同組合「鉛筆の始まり」。 https://www.jwima.org/pencil/02rekishi/02rekishi.html (黒鉛の発見〔1560年代、ボローデール〕、コンテによる鉛筆芯製法の発明〔1795年〕)
- bunbogu.jp「プラスチック消しゴムとは?溶けるって本当?」。 https://bunbogu.jp/plastic-eraser/ (プラスチック消しゴムの主成分ポリ塩化ビニルと可塑剤の役割。学術資料ではなく文房具紹介サイトの解説)
- ヒノデワシ株式会社「消しゴムの歴史」。 https://www.hinodewashi.co.jp/history/ (プリーストリーによる天然ゴムの発見、1770年)
- 株式会社シード「シード100年の歩み」(企業公式の沿革ページ)。 https://www.seedr.co.jp/seed100/ (1953〜54年ごろの研究開始、1956年9月の生産開始〔世界初〕、1959年の販売部門分離という時系列)
- McGill University Office for Science and Society「How Do Erasers Work?」。 https://www.mcgill.ca/oss/article/general-science/how-do-erasers-work (消しゴムの種類によっては、吸着だけでなく研磨作用も黒鉛の除去に関わること。英語の解説記事)
- コクリコ(講談社)「まさかの『鉛筆』誕生ストーリー 鉛筆はナポレオンのムチャぶりから生まれた!」。 https://cocreco.kodansha.co.jp/cocreco/general/education/Ot7xc (英仏間の戦争で黒鉛の輸入が止まり、ナポレオンの命令でコンテが8日間で芯の製法を発明した経緯)
- 武蔵野美術大学 造形ファイル「木炭画用消し具(食パン・布)」。 https://zokeifile.musabi.ac.jp/木炭画用消し具(食パン・布)/ (木炭デッサンで食パンが使われる理由:柔らかさが木炭粒子を取りこみ、木炭紙の肌理を傷めないこと)
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