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アシカ・オットセイ・アザラシ・トドは、どう ちがうの?

アシカ・オットセイ・アザラシ・トドは、どう違うのか

アシカ・オットセイ・アザラシ・トドは、どう違うのか

分野:生きもの

アシカ、オットセイ、アザラシ、トド。この 4しゅるいの どうぶつは、見た目が よく にて いて、まよって しまう。

でも、耳を 見るだけで、かんたんに 見分けが つく どうぶつたちも いる。

アシカ、オットセイ、アザラシ、トド。この4種の動物は、水族館でもよく似た姿で並んでいて、見分けるのがむずかしい。

しかし、耳の形を見るだけで、はっきり区別できる動物たちがいる。

アシカ、オットセイ、アザラシ、トド。この4種はどれも水族館でおなじみだが、遠目にはよく似ていて区別がつきにくい。ところが耳の形に注目すると、アシカの仲間とアザラシの仲間は、はっきり見分けがつく。

かつて別々の祖先から進化したと考えられていたこの仲間たちが、実はカワウソに似た共通の祖先から分かれたと分かった経緯、歩き方や鳴き声の違い、そして水族館や漁業をめぐる人間とのかかわりまでをたどる。

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1. 耳たぶが あるか ないかで、見分けが つく

1. 耳たぶがあるかないかで、見分けがつく

1. 外耳の有無が、アシカ科とアザラシ科を見分ける確実な目安になる

アザラシには、耳の あなは あるが、耳たぶ(人の 耳の、そとに 出て いる ぶぶん)が ない。いっぽう、アシカ、オットセイ、トドには、小さいけれど 耳たぶが ある[1]

つまり、アザラシは「アザラシの なかま」、アシカ・オットセイ・トドは「アシカの なかま」と いう、ちがう グループに 入って いるのだ[1]

アザラシには、耳の穴はあるが、耳たぶ(人の耳の、外に出ている部分)がない。いっぽう、アシカ、オットセイ、トドには、小さいけれど耳たぶがある[1]

つまり、アザラシは「アザラシの仲間」、アシカ・オットセイ・トドは「アシカの仲間」という、ちがうグループに入っているのだ[1]

アザラシ科の動物には耳介(外耳)がなく、耳の穴だけが開いている。一方、アシカ科に属するアシカ・オットセイ・トドには、小さいながらも耳介があり、この違いが両者を見分けるうえで最も確実な特徴とされる[1]

耳介の目立ち方にも種による差があり、たとえばオットセイは耳介が比較的よく目立つとされる。この耳介の有無は、「アザラシ科」と「アシカ科」という分類群を見分ける、分類学上の重要な目安になる。なお、鰭脚類にはこのほかにセイウチ科という第三のグループもあり、セイウチにも耳介はない[1]

2. アシカは 歩けるが、アザラシは はって うごく

2. アシカは歩けるが、アザラシははって動く

2. 後ろヒレの使い方が、陸上での動き方を決める

アシカの なかまは、後ろ足の ひれを 前に むけて つく ことが できる。だから りくの 上でも、4本足で 歩ける[2]

でも アザラシは、後ろ足の ひれが 後ろを むいたままだ。犬や ねこが 歩く ように 歩く ことは できず、体を くねらせて、イモムシの ように はって うごく(ただし ほんとうは むしでは なく、どうぶつの うごきかたの ちがいだ)[2]

アシカの仲間は、後ろ足のヒレを前に向けてつくことができる。だから陸の上でも、4本足で歩ける[2]

でもアザラシは、後ろ足のヒレが後ろを向いたままだ。犬やねこが歩くように歩くことはできず、体をくねらせて、イモムシのようにはって動く[2]

アシカ科の動物は、後肢のヒレを体の前方に向けて回転させることができ、陸上でも四肢を使って歩行できる。前肢のヒレも大きく発達しており、体を持ち上げる際に使われる[2]

一方、アザラシ科の後肢は後方を向いたまま固定されており、歩行には使えない。陸上では体幹をくねらせて推進する、いわゆる尺取り虫のような動き方になる。この違いは、泳ぎ方にも直結しており、アシカ科は主に前肢で、アザラシ科は主に後肢で水をかいて泳ぐ[2]

3. 「アウッ アウッ」は、カリフォルニアアシカの なきごえ

3. 「アウッ アウッ」は、カリフォルニアアシカの鳴き声

3. 鳴き声と体の大きさにも、見分けるヒントがある

水ぞくかんで「アウッ アウッ」と なく こえを 聞いた ことが あるだろうか。あれは カリフォルニアアシカの こえで、オットセイは ふつう そう なかない[3]

体の 大きさも ちがう。トドは、アシカの なかまで いちばん 大きい。オットセイは、アシカの なかまでは 小がらな ほうだ[3]

水族館で「アウッ アウッ」と鳴く声を聞いたことがあるだろうか。あれはカリフォルニアアシカの声で、オットセイはふつうそう鳴かない[3]

体の大きさもちがう。トドは、アシカの仲間でいちばん大きい。オットセイは、アシカの仲間では小がらなほうだ[3]

「アウッアウッ」という特徴的な鳴き声は、カリフォルニアアシカでよく聞かれるもので、オットセイはこのような鳴き方をしないとされる。体毛にも違いがあり、オットセイは下毛(下ばえ)が綿毛状でふさふさして見えることが多い[3]

体の大きさにも種による幅があり、トドはアシカ科の中でも最大級で、オスの体長は3メートルを超えることもある。一方、オットセイはアシカ科の中では小柄な部類に入るとされるが、雌雄差も大きく、種によって体格には幅がある[3]

4. じつは、みんな 同じ ご先ぞから 分かれた

4. 実は、みんな同じ祖先から分かれた

4. 単系統説が、二系統仮説を覆した

むかしは、アシカの なかまと アザラシの なかまは、べつべつの どうぶつから すすんで きたと かんがえられて いた[4]

でも 今では、けんきゅうが すすんで、アシカも アザラシも、カワウソに にた すがたの、水べに すむ どうぶつから、同じように 分かれて できた ことが わかって きた[4]

昔は、アシカの仲間とアザラシの仲間は、別々の動物から進んできたと考えられていた[4]

でも今では、研究がすすんで、アシカもアザラシも、カワウソに似た姿の、水べにすむ動物から、同じように分かれてできたことが分かってきた[4]

かつては「鰭脚類二系統仮説」が主流で、アシカ科・セイウチ科はクマ類から、アザラシ科はイタチ類から、それぞれ独立に進化したと考えられていた。しかしその後の免疫学的研究や分子系統学的研究により、この見方は覆された[4]

現在では、鰭脚類全体が単一の系統(単系統群)であるとする「単系統仮説」が広く支持されている。ただし、食肉目の中でどの系統に最も近縁かという位置づけや、科どうしの関係の細部には、なお研究上の議論が残っている。共通祖先の姿については諸説あるが、約2300万年前にヨーロッパに生息していたポタモテリウムのような、カワウソに似た半水生の動物に近い姿だったのではないかとする見方が紹介されている[4]

5. 水ぞくかんの ショーに、アシカが えらばれる わけ

5. 水族館のショーに、アシカが選ばれるわけ

5. 陸上で自在に動けることが、ショーへの起用につながる

水ぞくかんの ショーで かつやくする のが 多いのは、アシカだ。かしこくて、いろいろな げいを おぼえられる ことに くわえて、後ろ足で 立って 歩ける ことも、りゆうの 1つだと 考えられる[5]

アザラシは、後ろ足で 歩けない ので、ショーで 見せられる うごきが、アシカとは ちがって くる[5]

水族館のショーで活躍するのが多いのは、アシカだ。かしこくて、いろいろな芸をおぼえられることに加えて、後ろ足で立って歩けることも、理由の1つだと考えられる[5]

アザラシは、後ろ足で歩けないので、ショーで見せられる動きが、アシカとはちがってくる[5]

水族館でショーの主役をつとめることが多いのはアシカだ。たとえば鳥羽水族館では、新人トレーナーが約10か月間かけて、輪くぐりジャンプやダンス、フリスビーキャッチといった種目を、ベテランのアシカとともに練習し、ショーの本番に臨んでいる[5]。後肢を使って陸上を器用に動けることが、こうした芸を覚えやすくしている一因だろう。

対照的にアザラシは後肢による歩行ができないため、水中での動きを中心に見せる展示が主になりやすい。同じ鰭脚類でも、体の構造の違いが、人前での見せ方を左右しているのだ[5]

6. トドは りょうで こまり、オットセイは けがわで ねらわれた

6. トドは漁で困りもので、オットセイは毛皮でねらわれた

6. トドは漁業被害をもたらし、オットセイは毛皮のために乱獲された

冬に 北海道の 海に やって くる トドは、あみに かかった さかなを 食べたり、あみを やぶったり して しまう。ぎょぎょうを する 人たちに とって、大きな もんだいに なって いる[6]

いっぽう オットセイは、めいじじだい、けがわを とる ために たくさん とられて しまった。あまりに へって しまった ため、日本を ふくむ 国どうしで、とりすぎない ように やくそくを むすんだ[6]

冬に北海道の海にやってくるトドは、網にかかった魚を食べたり、網を破ったりしてしまう。漁業をする人たちにとって、大きな問題になっている[6]

いっぽうオットセイは、明治時代、毛皮をとるためにたくさんとられてしまった。あまりに減ってしまったため、日本をふくむ国どうしで、とりすぎないように約束を結んだ[6]

冬季に北海道沿岸へ来遊するトドは、漁網にかかった魚を捕食したり漁網を破損させたりするため、深刻な漁業被害の原因となっている。2013年度には年間およそ20億円の被害額が報告された。いっぽう、北海道へ来遊するトドの主な繁殖地とされる千島列島の個体数は、1960年代におよそ2万頭とされていたが、その後大きく減少し、1990年代以降は低い水準で推移しているとされる。漁業被害への対策と、個体数が減少した種の保護という、相反する課題を抱えている[6]

オットセイは、19世紀に欧州で毛皮の価値が高まったことをきっかけに乱獲の対象となり、日本も明治時代初頭からこの猟に加わった。北太平洋のオットセイの生息数は激減し、乱獲や遠洋での漁業をめぐる各国間の摩擦が長く続いた。この状況を受けて1911年、日本・アメリカ・イギリス・ロシアの4か国間で、オットセイの保護と漁業紛争の調整を目的とした国際条約が締結された[6]

耳たぶの ある なしを、じぶんの 目で たしかめよう

耳たぶがあるかないかを、自分の目でたしかめてみよう

陸上での動き方まで見くらべると、分類の違いがよく分かる

水ぞくかんに 行く きかいが あったら、どうぶつの 耳を よく 見て みよう。耳たぶが あるか ないかで、アザラシの なかまか、アシカの なかまかが わかる。

水族館に行く機会があったら、動物の耳をよく見てみよう。耳たぶがあるかないかで、アザラシの仲間か、アシカの仲間かが分かる。歩き方や、後ろ足の向きにも注目してみるとおもしろい。

水族館で鰭脚類を見る機会があれば、まず耳介の有無を確かめてみよう。そのうえで、陸上での移動の仕方(四肢歩行か、体をくねらせる動きか)を観察すると、アシカ科とアザラシ科という分類上の違いを、実際の行動として理解できる。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. 新江ノ島水族館トリーター日誌「海驢と海豹の見分け方」、雑学ナビ「一瞬で見分けられる!アザラシ・アシカ・オットセイ・トド・セイウチの違いと決定的な特徴」、Webいきもの図鑑「セイウチ」。 https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=01202 https://ikimonopedia.com/walrus/ https://zatsunavi.com/pinnipedia/ (アザラシに耳介がなく耳の穴のみであることは新江ノ島水族館による。アシカ科〈アシカ・オタリア・オットセイ・トド〉には耳介があること、その中でもオットセイの耳介が比較的よく目立つことは雑学ナビによる。鰭脚類にはアシカ科・アザラシ科のほかセイウチ科があり、セイウチには分類上アシカ上科に近いにもかかわらず外に飛び出す耳介がないことはWebいきもの図鑑による。両者とも耳介の有無を見分けの基本とする点で一致)
  2. 新江ノ島水族館トリーター日誌「海驢と海豹の見分け方」、鰭脚類の陸上移動を扱った学術文献(Pinniped Morphology and Locomotionほか)。 https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=01202 https://www.researchgate.net/publication/379150215_Pinniped_Morphology_and_Locomotion (アシカが四肢を使って陸上を歩行できイモムシのようには這わないこと、アザラシが陸上を這うように動くことは新江ノ島水族館による。学術文献では、アシカ科〈Otariidae〉が後肢を体の下に回転させ陸上移動に使えるのに対しアザラシ科〈Phocinae〉は後肢を使えず陸上ではうねる動きで移動すること、水中ではアザラシ科が後肢を、アシカ科が前肢を主に使って泳ぐことが示されている)
  3. ひれあし図鑑「アオッアオッ!その鳴き声の正体は?」、スッキリ「『アシカ』『アザラシ』『オットセイ』『トド』『セイウチ』の違いとは?」。 https://pinnipedology.com/guide/academic/pinniped_vocalization1/ https://gimon-sukkiri.jp/ashika-azarashi-ottosei-todo-seiuchi/ (カリフォルニアアシカが「アオッアオッ」「オッオッオッ」という甲高い声で鳴きオットセイは違った鳴き方をすることはひれあし図鑑による。オットセイの下毛が綿毛状でふさふさして見えること、トドがアシカ科の中でも最大級でオスの体長が3メートルを超えることもあることはスッキリによる。オットセイがアシカ科の中で比較的小柄とされる一方、種や性別による体格の幅も大きいことは複数の資料に共通する傾向として記載)
  4. 統計数理研究所「鰭脚類の起源と進化」、フリー百科事典『ウィキペディア』「鰭脚類」。 https://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/56-1-081.pdf https://ja.wikipedia.org/wiki/鰭脚類 (かつて鰭脚類二系統仮説でアシカ科・セイウチ科がクマ類からアザラシ科がイタチ類から独立に進化したと考えられていたこと、免疫学的・分子系統学的研究により単系統仮説が支持されるようになったこと、鰭脚類がイタチ上科・クマ科と近縁でクマ下目に含まれること、共通祖先が約2300万年前のポタモテリウムのようなカワウソに似た半水生動物だったと考えられていること)
  5. 鳥羽水族館公式サイト「新人トレーナーがアシカショーデビュー!」、Aqua Picks「見分け方と特徴を解説」。 https://aquarium.co.jp/topics/250118_01 https://aquariumpicks.com/sea-mammal (鳥羽水族館では新人トレーナーが約10か月間の訓練を積み輪くぐりジャンプ・ダンス・フリスビーキャッチなどの種目をベテランアシカと練習することは鳥羽水族館公式による〈1施設の事例〉。アザラシが後肢による歩行ができず水中中心の展示になりやすいという構造的な違いはAqua Picksによる)
  6. note「【いきものの話#01】トドによる漁業被害を知っていますか?」、フリー百科事典『ウィキペディア』「膃肭獣保護条約」、環境省・生物多様性センター「第5回自然環境保全基礎調査」報告書。 https://note.com/polo_the_rat/n/n0541a91308a9 https://ja.wikipedia.org/wiki/膃肭獣保護条約 https://www.biodic.go.jp/reports2/5th/kaisei_h10/5_kaisei_h10.pdf (トドが冬季に北海道沿岸に来遊し漁網の魚の捕食や破損などの漁業被害をもたらすこと、2013年度の被害額が約20億円だったことはnoteによる。北海道へ来遊するトドの主な繁殖地である千島列島の個体数が1960年代に約2万頭、1984年に約4千頭と大きく減少したことは環境省・生物多様性センターの調査報告による。19世紀の欧州での毛皮需要をきっかけにオットセイが乱獲され日本も明治初頭から加わったこと、1911年に日米英露4か国でオットセイの保護と漁業紛争の調整を目的とした膃肭獣保護条約が締結されたことはウィキペディアによる)

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