QRコードも、日本で うまれたよ

QRコードも日本生まれ ── 世界に広がった発明と、広がらなかった発明

QRコードも日本生まれ ── 世界に広がった発明と、広がらなかった発明

分野:技術

レストランの メニューや きっぷなどで 見る「QRコード」。 じつは、日本の かいしゃが つくった ものです。

おなじ ころ、日本では もう1つ べつの はつめいも うまれて いました。でも、そちらは せかいには あまり ひろがりませんでした。この きじでは、その ちがいを 見て いきます。

レストランのメニューやきっぷなどで見る「QRコード」。じつは、日本の会社が作ったものです。

同じころ、日本ではもう1つ、別の発明も生まれていました。でも、そちらは世界にはあまり広がりませんでした。この記事では、2つの発明のたどった道のちがいを見ていきます。

いまや世界中で見かける「QRコード」は、1994年、日本の自動車部品メーカーの現場が抱えていた悩みから生まれた。

開発者が特許をあえて手放した決断と、カメラ付き携帯電話の登場が重なり、QRコードは世界標準になった。一方、1999年に日本ではもう1つ、世界初をうたう通信サービス「iモード」が産声を上げていた。こちらは2026年、世界に広がらないままサービスを終えている。同じ日本生まれの技術が、なぜこれほど違う道をたどったのかを見ていく。

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1. QRコードは、こうじょうの なやみから うまれた

1. QRコードは、工場の悩みから生まれた

1. 起源 ── 1994年、工場の悩みから生まれたQRコード

むかしから つかわれて いる「バーコード」は、たての 線 だけで じょうほうを あらわす ため、いれられる もじの かずが かぎられて いました。

1992年、あいちけんに ある でんそう(いまの デンソーウェーブ)と いう かいしゃの こうじょうで、はたらく人が、 1日に なんども バーコードを よみとる ひつようが あり、 たいへんな おもいを して いました[1]

その もんだいを かいけつする ために、はら まさひろさん たちの チームが かいはつを はじめ、1年はんほど かけて 1994年に できあがったのが、いまの QRコードでした。 たてと よこの りょうほうに もようが ある ことで、 バーコードより ずっと おおくの じょうほうを いれられる ように なりました。ノートに 字を びっしり 書きこむ ような かんじです(ただし 本当は、字を 書くのでは なく、 くろと しろの ますの くみあわせで じょうほうを あらわして います)。

昔から使われている「バーコード」は、たての線だけで情報を表すため、入れられる文字の数が限られていました。

1992年、愛知県にあるデンソー(いまのデンソーウェーブ)という会社の工場で、作業員が1日に約1000回もバーコードを読み取る必要があり、かえって効率が悪くなるという問題が起きていました[1]

この問題を解決するために、原昌宏さんと渡部元秋さんのチームが開発をはじめ、1年半ほどかけて1994年に完成したのが、いまのQRコードでした。たてとよこの両方に模様があることで、バーコードよりずっと多くの情報を入れられるようになりました。ノートに字をびっしり書きこむような感じです(ただし本当は、字を書くのではなく、黒と白のマスの組み合わせで情報を表しています)。

きっかけは、自動車部品メーカーのデンソー(現デンソーウェーブ)の生産現場が抱えていた課題だった。当時使われていた一次元バーコードは、たて線だけで情報を表すため記録できる文字数が限られており、作業者は1日に約1000回もの読み取りを強いられ、かえって作業効率を落としていた[1]

1992年、この課題を解決するため、同社の原昌宏を中心に、渡部元秋らのチームが新しい符号(シンボル)の開発に着手した[2]。たてとよこの2方向に情報を持たせることで、従来のバーコードよりはるかに多くのデータを記録できる2次元コードとして、1年半ほどの開発期間を経て1994年に誕生したのが、QRコードである。

2. ひるやすみの いごから うまれた、QRコードの ひらめき

2. 昼休みの囲碁から生まれた、QRコードのひらめき

2. 昼休みの囲碁から生まれた、QRコードのひらめき

QRコードを、どんな むきから カメラで うつしても すぐに よみとれるように するには、くふうが ひつようでした。 はらさんは、ひるやすみに たのしんで いた「いご」と いう ゲームを 見て いて、ヒントを えたと いわれて います [3]

いごの ばんに ならぶ くろと しろの 石を 見て、「ますを ぜんぶ うめなくても、もようだけで ばしょが わかる」 ことに 気づいたのです。この かんがえから うまれたのが、 QRコードの 3つの すみに ある 四角い めじるし「ファインダーパターン」です。

QRコードを、どんな向きからカメラでうつしてもすぐに読み取れるようにするには、くふうが必要でした。原さんは、昼休みに楽しんでいた「囲碁」というゲームを見ていて、ヒントを得たといわれています[3]

囲碁の盤に並ぶ黒と白の石を見て、「マスを全部うめなくても、模様だけで場所が分かる」ことに気づいたのです。この考えから、QRコードの3つのすみにある四角い目印(ファインダーパターン)が生まれました。

この目印は、どの角度から線を引いても「黒:白:黒:白:黒=1:1:3:1:1」という比率になるよう設計されています。開発チームは、印刷物の中でこの比率がもっとも出現しにくいことを、多くの印刷物を調べて確かめました[1]

QRコードをどの角度から撮影しても瞬時に読み取れるようにするには、コードの位置と向きを正確に把握するしくみが必要だった。原は、昼休みに親しんでいた囲碁の対局を見ていて着想を得たとされる[3]。碁盤に置かれた黒と白の石は、マス目をすべて埋めなくても、全体の配置から位置関係を認識できる。この発想から、QRコードの3つの隅に配置された四角形の目印「ファインダーパターン」が生まれた。

ファインダーパターンは、中心を通るどの方向の直線上でも、「黒:白:黒:白:黒=1:1:3:1:1」という比率になるよう設計されている。開発チームは、あらゆる印刷物を調べ、この比率が印刷物の中でもっとも出現しにくい組み合わせであることを突き止めた。そのおかげで、周囲に紛らわしい模様があっても、読み取り装置は瞬時にコードの位置を特定できるようになった。開発は、プロジェクト開始から1年半をかけて完成した[1]

3. QRコードの とっきょを てばなす、という きめかた

3. QRコードの特許を手放す、という決め方

3. 特許を手放し、世界規格になるまで

ふつう、あたらしい はつめいを した かいしゃは、「とっきょ」 と いう けんりを つかって、ほかの 人が かってに つかえないように します。

でも、デンソーウェーブは、「きまりどおりに つくられた QRコードなら、とっきょの けんりを つかいません」と きめました[4]。だれでも じゆうに つかえるように した ことで、QRコードは せかい じゅうに ひろがって いきました。

ふつう、新しい発明をした会社は、「特許」という権利を使って、ほかの会社が勝手に使えないようにします。

でも、デンソーウェーブは、「規格どおりに作られたQRコードについては、特許の権利を行使しない」と発表しました[4]。だれでも自由に使えるようにしたことで、QRコードは世界中に広がっていきました。

規格化も進みました。1997年に国際自動認識工業会(AIM)の規格、1999年に日本工業規格(JIS)、2000年には国際規格(ISO/IEC 18004)に採用されました[4]

通常、新しい技術を発明した企業は、特許権を行使して他社の無断使用を制限する。しかしデンソーウェーブは、「より多くの人にQRコードを使ってもらいたい」という開発者の意思のもと、「規格化されたQRコードについては権利行使はしない」と宣言した[4]

この決断と並行して、規格化も急速に進んだ。1997年に国際自動認識工業会(AIM International)の規格として制定され、1999年には日本工業規格(JIS X 0510)に、2000年には国際標準化機構の国際規格(ISO/IEC 18004)に採用された[4]。特許を手放しつつ国際規格として認められたことで、世界中の企業が自由にQRコードを採用できる土台が整った。

4. カメラつき けいたいで、いっきに ひろがった

4. カメラ付き携帯電話で、一気に広まった

4. 2002年 ── カメラ付き携帯電話が生んだ普及の波

さいしょ、QRコードは こうじょうなどでしか つかわれて いませんでした。でも、2002年に、QRコードを よみとれる きのうの ついた けいたい電話が 日本で うられるように なりました[4]

ふしぎな もようが、カメラで うつすだけで ホームページに つながったり する べんりさが 目を ひき、QRコードは あっという間に 日本じゅうに ひろまりました。いまでは、 めいしや チケット、しはらいなど、せかいじゅうの あちこちで つかわれて います[4]

最初、QRコードは工場などでしか使われていませんでした。でも、2002年に、QRコードを読み取れる機能のついた携帯電話が日本で売られるようになりました[4]

不思議な模様が、カメラでうつすだけでホームページにつながったり、クーポンをもらえたりする便利さが人の目を引き、QRコードはあっという間に日本じゅうに広まりました。いまでは、名刺やチケット、支払いなど、世界じゅうのあちこちで使われています[4]

QRコードは当初、工場や物流センターでの部品管理という限られた用途で使われていた。転機となったのは2002年、QRコードの読み取り機能を搭載した携帯電話が日本国内で発売されたことだった[4]

カメラでかざすだけで携帯サイトに接続でき、クーポンを取得できるという手軽さから、QRコードは急速に世間へ浸透していった。特許を手放していたことで、国内外の携帯電話メーカーやアプリ開発者が自由に読み取り機能を組み込める点も、普及を後押しした。現在では、名刺、電子チケット、空港の発券システム、各種決済など、ビジネスと日常生活のあらゆる場面でQRコードが使われている[4]

5. せかいに ひろがらなかった、もう1つの 日本うまれの はつめい

5. 世界に広がらなかった、もう1つの日本生まれの発明

5. iモード ── 世界に広がらなかった、もう1つの日本生まれ

QRコードが うまれてから 5年後の 1999年、日本の でんわ 会社 NTTドコモは「iモード」と いう、けいたい電話で インターネットを つかえる サービスを はじめました。 せかいで さいしょの、この しゅるいの サービスでした [5]

iモードは、フランスや ドイツなど、たくさんの くにに ひろがりました。でも、ながくは つづかず、2000年代の おわりごろまでに、かいがいの サービスは つぎつぎに おわって いきました。日本の けいたい電話は、せかいとは べつの みちを すすむように なり、この ようすは 「ガラパゴスか」と よばれました[5]。 iモードは、2026年3月に サービスを おえました [5]

QRコードが生まれてから5年後の1999年2月、日本の電話会社NTTドコモは「iモード」という、携帯電話でインターネットを使えるサービスを始めました。世界で最初の、このしゅるいのサービスでした[5]

iモードは、フランスやドイツなど、たくさんの国に広がりました。でも長くは続かず、2000年代のおわりごろまでに、海外のサービスは次つぎに終わっていきました。海外の電話会社が受け取る取り分の割合が日本国内より高かったことや、日本のような定額の通信料プランが無かったことなどが、理由の一つと考えられています[5]

日本の携帯電話は、世界とは別の道を進むようになり、この様子は「ガラパゴス化」と呼ばれました。iモードは、2026年3月にサービスを終えました[5]

QRコードが生まれてから5年後の1999年2月22日、NTTドコモは携帯電話向けインターネット接続サービス「iモード」を開始した。世界初の携帯電話IP接続サービスとされ、フランス、ドイツ、イギリス、オランダなど、最盛期には10数か国に展開された[5]

しかし、海外での普及は長続きしなかった。携帯電話事業者が受け取る利益の割合は、日本国内が10%だったのに対し海外では50%に上っており、これが海外展開の障壁の一つだったとする見方がある[5]。また、海外では日本の「パケ・ホーダイ」のような定額の通信料プランが普及しておらず、通信料への不安が普及を妨げたという指摘もある。加えて、海外では通話とSMSが利用の中心で、メールやネット閲覧はパソコンで行うのが一般的だったという、利用文化の違いも指摘されている[5]

海外の通信事業者は2000年代後半にかけて次つぎとサービスから撤退し(オランダ・オーストラリアは2007年、イタリアは2009年など)[5]、日本の携帯電話は世界の主流とは異なる独自の進化を続けることになった。この状況は「ガラパゴス化」と呼ばれた。iモードは、2026年3月31日、3G回線(FOMA)の停波とともにサービスを終えた[5]

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

みの まわりで QRコードを さがして みましょう。

あんぜんな ばしょで できる こと

  • おうちの中や おみせで、QRコードを さがして みる。 どんな ところに つかわれて いるか、かぞえて みましょう。
  • QRコードの すみに ある、四角い もようを よく 見て みる。 3つの すみに おなじ もようが ある ことに 気づくかも しれません。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「ファインダーパターンって なに?」だけで じゅうぶんです。

身のまわりでQRコードをさがしてみましょう。

今日できること

  • おうちの中やお店で、QRコードをさがしてみる。どんなところに使われているか、数えてみましょう。
  • QRコードのすみにある、四角い模様をよく見てみる。3つのすみに同じ模様があることに気づくかもしれません。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口になります。「iモードって、どんなことができたの?」だけでも十分です。

身のまわりのQRコードのファインダーパターンを観察したり、日本と海外で普及した技術の違いを調べたりすると、この記事で扱った内容が身近に感じられます。

手を動かして確かめる

  • QRコードの3つの隅の模様を定規で測ってみる。黒白の比率がどこもだいたい同じになっているか、確かめてみましょう。
  • 「ガラパゴス化」した日本発の技術をほかにも調べてみる。携帯電話以外にも、似た例があるか探してみましょう。

一次情報にあたる

デンソーウェーブの公式サイトには、QRコードの開発経緯や規格についての詳しい解説が公開されています。

メモのすすめ

気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。「QRコードの特許は行使されなかった」という一文でもかまいません。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事は、下にあげた公開情報をもとに書いています。文章や図を無断で転載してはいません。もっと正確に知りたいときは、必ず下の出典にあたってください。リンク先の内容や、リンク先で起きたことについて、当サイトは責任を負いません。

出典について:企業の公式サイトと、基礎的な経緯の解説にWikipedia・雑誌記事を使っています。

  1. デンソーウェーブ公式サイト「QRコード開発|テクノロジー」。 https://www.denso-wave.com/ja/technology/vol1.html (開発の背景、1日約1000回の読み取り、ファインダーパターンの比率1:1:3:1:1、1年半の開発期間についての公式解説)
  2. 原昌宏 - Wikipedia(日本語版)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/原昌宏 (1994年のQRコード開発者としての経歴についての解説)
  3. Newsweek日本版「QRコードを生み出した技術者、原昌宏。ヒントは囲碁だった」。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2021/08/post-96818.php (昼休みの囲碁がファインダーパターンのヒントになったという逸話についての記事)
  4. デンソーウェーブ公式サイト「道のり|QRコードドットコム」。 https://www.qrcode.com/history/ (特許を行使しない旨の宣言、1997〜2000年の規格化の経緯、2002年のカメラ付き携帯電話による普及についての公式解説)
  5. iモード - Wikipedia(日本語版)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/iモード (1999年2月22日のサービス開始、海外展開と撤退の経緯、取り分の違い、2026年3月31日のサービス終了についての解説)

なおした ところ

更新履歴

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