1. 水は どこから はいって くる?
1. 水が入るのは「壁」ではなく「口」から
1. 問いの整理 ── 壁は通さず、口は開いている
ながぐつの 中に 水が はいるのは、いつでしょう。水が 上の 口を こえた ときです。あしを ぬらす 水は、かべを とおって きたのでは ありません。
つまり ながぐつは、かべに 「あな」が ない ふくろのように なっています。この かべが 水を とおさない わけを、ざいりょうと 作り方に わけて 見て いきます。
長靴の中に水が入るのは、水位が履き口を越えたときです。足首のあたりの壁や底から、しみて入ってくるのではありません。壁がすきまなくつながった袋の、口だけが開いている形だからです。
そうだとすると、知りたいことは2つに分かれます。壁の素材はなぜ水を通しにくいのか。壁に穴が開かないよう、どう作っているのか。順に見ていきます。
長靴の水の入り方は、履き口の高さを水位が越えたときに限られる、と日常の経験から整理できる(この点を明記した公的資料は取得していないため、第7章の観察で確かめる形にした)。壁と底が連続した袋で、開口部が履き口だけという構造だ。
したがって問いは、(a)壁の素材がなぜ水を通しにくいか、(b)壁に穴ができないようにどう作られているか、の2つになる。以下、素材(第2・3章)、製法(第4・5章)、歴史(第6章)の順に見る。
2. ゴムの 木の しるは 水と なかよく ない
2. ゴムの木の樹液は、水になじみにくい
2. 天然ゴムの成分 ── 炭化水素という物質
ゴムの もとは、ゴムの 木から とれる しるです。その しるの 中の おもな ぶぶんは、水と なじみにくい なかまの ものだと せつめいされて います[1]。
水と あぶらを コップに 入れても、まざりませんね。ゴムの もとも、水とは まざりにくい ほうの なかまです。ただし ゴムは あぶらそのものでは ありません。
この しるで ふくや くつを 水から まもる くらしは、南アメリカに むかしから あったと つたえられます。1730ねんだいに、ヨーロッパへ しらされました[2]。
3. ゴムの くつは、あつい 日に べたべたに なった
3. 「暑いとべたつき、寒いと割れる」を直した発明
3. 加硫の発明 ── グッドイヤーと米国特許3633号
ゴムは、そのままだと こまった ことが ありました。あつい 日は べたべたに なり、さむい 日は かたく なって われます。ゴムの くつや ふくは、そんな ぐあいでした[3]。
1839ねんごろ、アメリカの グッドイヤーさんが、ゴムに いおうを まぜて 火で あつくすると、ちょうど いい ゴムに なると 見つけたと されます。1844ねんに、とっきょを とりました[3]。
ばらばらの ひもを ところどころ むすぶと、あみに なります。かたちが くずれにくく なるのと にています。ただし ほんとうは、目に 見えない ちいさな くさりの おはなしです[1]。
4. ゴムの ながぐつは、はって やいて 作る
4. 貼り合わせて焼く長靴
4. ゴム長靴の製法 ── 型抜き・貼り合わせ・窯焼き
小樽の 工場では、ゴムを のばして、かたを ぬき、はりあわせて、かまで やいて ながぐつを 作ります。1足ずつ、人の 手で 作る やり方です[6]。
ふつうの くつは、糸で ぬい合わせる ことが あります。糸を とおす ところには、小さな あなが あきます。ながぐつは、はって やいて つなぐ ものが あります。そういう ながぐつは、かべが すきまなく つながる ように 作られて いると 考えられます。ただし、ぬう ところが ある ながぐつも あり、せいひんに よって ちがいます。
この 工場では、1年に 10万足くらい 作ると しょうかいされて います[6]。
北海道・小樽の第一ゴムは、ゴムを伸ばし、型を抜き、貼り合わせ、窯で焼く工程で、一足ずつ手作業で長靴を作っています。この製法は80年以上変わっていないと紹介されています。年間の生産は約10万足です[6]。
布や革の靴は糸で縫うことが多く、針で開けた穴が水の通り道になりえます。貼り合わせて焼く長靴は、パーツを接着と加熱でつなぐ作り方です。縫い穴があるかどうかは製品によります(この資料には、貼り合わせと焼きのあとに縫製と防水検査の工程があるとも書かれています)。
この資料には、天然ゴムの比率が高いとしなやかで割れにくいとされる、という説明もあります[6]。
第一ゴム(小樽、1935年創業)は、ゴムを伸ばし、型を抜き、貼り合わせ、窯で焼く工程で、一足ずつ手作業で長靴を製造する。この製法は80年以上変わらないとされ、年間生産は約10万足という[6]。天然ゴムの比率が高いほどしなやかで割れにくいとも説明される。
糸で縫う靴では針穴が水の通り道になりうる。第一ゴムの例では、貼り合わせと加硫の後に縫製と防水検査の工程があるとされ、縫い穴の有無は製品ごとに異なる。縫い目を「なくす」と言い切れる製法ではなく、防水検査で確かめる工程が組み込まれている点が要点だ。
5. ビニールの ながぐつは、かたに 流しこむ
5. ビニール製の長靴は「一体成形」
5. 塩化ビニル製長靴と射出成形
ながぐつには、ゴムの ものの ほかに、ビニールの ものも あります。ビニールの ながぐつには、かなぐの かたに とかした ざいりょうを おしこんで 作る やり方が あります[7]。
かたの 中で ひとつづきの かたちに なるので、つぎめが すくなく なります。たとえば、ゼリーを かたに 入れて かためると、つなぎ目の ない かたちに なるのと にています。ただし 本当の ながぐつは、とても あつい ざいりょうを つかいます。
長靴の素材は、ゴム製とPVC(ポリ塩化ビニル)製が主流です。ビニール製には、金型に溶かした材料を流し込んで成形する「射出成形」で作る、インジェクション長靴と呼ばれるものがあります[7]。
金型の中で一つの形に固まるため、貼り合わせや縫い合わせの継ぎ目を減らせると考えられます。
長靴の素材はゴム製とPVC(ポリ塩化ビニル)製が主流で、PVC製には金型に材料を射出して成形するインジェクション長靴がある[7]。金型内で全体が一体に成形される製法であれば、縫製や貼り合わせの継ぎ目を減らせる、というのが本稿の解釈である(個々の製品の構造は製品による)。
6. ながぐつは、どう 日本まで きたの?
6. 革の長靴から、ゴム長、そして日本へ
6. ウェリントンブーツの系譜と日本のゴム靴
ながぐつの もとは、19せいきの はじめに、イギリスの ウェリントン公という 人が 考えた、かわの ながい くつだと いわれます。ゴムの ものが 作られたのは、1850ねんだいです[4]。
日本では、大正の ころ、小樽で たびの そこに ゴムを はったのが、ゴムの しごとの はじまりと されます[5]。
7. 水の どこから はいるか、たしかめよう
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
ながぐつが あったら、おうちの人と いっしょに、おふろの 水で ためして みましょう。
ながぐつの 口より ひくい ところまで、水の 中に しずめます。中は ぬれて いないでしょうか。口の 高さを こえたら、どうなるでしょうか。水が ふかい ところで こけないよう、ぬれても いい ばしょで、おうちの 人と いっしょに してください。
ながぐつの 中と そとを 見て、ぬい目が ないか さがして みるのも おもしろいです。うんどうぐつと くらべて みましょう。
今日できること
長靴があれば、浴室や庭の洗面器・バケツなど、ぬれてもよい場所で、履き口より低い深さまで水に沈めてみてください。中は乾いたままでしょうか。履き口を越えたらどうなるかも見てみましょう。履き口を越えると水が入ることが確かめられます。
長靴と運動靴を並べて、縫い目を探すのもよい観察です。糸の穴は見つかるでしょうか。
もっと調べるなら
小樽の第一ゴムなど、実際にゴム長靴を作る会社の紹介を読むと、貼り合わせて焼く工程の写真や説明が見られます[6]。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の参照番号は、下の資料の番号と対応しています。Wikipediaは誰でも編集できるため、参考にとどめ、ほかの資料と合わせて読みました。
- 日本大百科全書「ゴム」(コトバンク) https://kotobank.jp/word/%E3%82%B4%E3%83%A0-2815058 (天然ゴムの成分・加硫の説明)
- Wikipedia「ゴム」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%A0 (南米の防水の習慣と報告の年)
- Wikipedia: Charles Goodyear https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Goodyear (加硫の発明と特許)
- Bodmin Keep(博物館のページ) https://bodminkeep.org.uk/?p=8851 (ゴム製ウェリントンブーツの始まり)
- かいホッカイドウ「北の名人」 https://kai-hokkaido.com/kitanomeijin008/ (小樽のゴム工業の始まり)
- 小樽市 第一ゴム企業紹介 https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2021110400045/file_contents/print.pdf (貼り合わせて焼く製法・年間生産数)
- Wikipedia「長靴」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E9%9D%B4 (素材の種類と射出成形)
なおした ところ
更新履歴
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