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レアメタルは、なぜ とくていの 国に かたよって いるの?

レアメタルは、なぜ特定の国に偏っているのか

レアメタルは、なぜ特定の国に偏っているのか

分野:自然

2010年、海の 上で、日本の 船と 中国の 船が ぶつかる できごとが あった。その あと、中国から とどく はずの「レアアース」と いう 金ぞくが、とつぜん とどかなく なった。

レアメタルと よばれる 金ぞくは、とくていの 国に かたよって うまって いる。その わけを たどって みよう。

2010年、海の上で、日本の船と中国の船がぶつかる出来事があった。そのあと、中国から届くはずの「レアアース」という金属が、突然届かなくなった。

レアメタルと呼ばれる金属は、特定の国に偏って埋まっている。その理由をたどってみよう。

2010年9月、尖閣諸島沖での漁船衝突事件をきっかけに、中国から日本へのレアアース輸出が事実上滞ったことがある。自動車や電機メーカーが使う磁石の原料が、外交上の駆け引きの材料になったのだ。

タングステンの9割以上を中国が、コバルトの7割近くをコンゴ民主共和国が占めるように、レアメタルの産地は特定の国に偏っている。地質的な理由、実は「掘る」より難しい「精錬」という工程、そして日本近海に眠る資源と都市鉱山という選択肢から、この偏りの背景を追う。

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1. 「レア」には、2つの いみが ある

1. 「レア」には、2つの意味がある

1. レアメタルは、31鉱種として定義されている

日本では、タングステンや コバルトなど、31しゅるいの 金ぞくを 「レアメタル」と きめて いる。「レアアース」は、その 中の 17この 元そを まとめて、1しゅるいとして あつかった ものだ[1]

「レア(めずらしい)」には、2つの いみが ある。1つは、ちきゅうに ある りょうが すくない こと。もう 1つは、ほり出したり きれいに する ことが むずかしい こと。この 2つが そろうと、「レアメタル」と よばれる[1]

日本では、タングステンやコバルトなど、31種類の金属を「レアメタル」と定めている。「レアアース」は、その中の17個の元素をまとめて、1種類として扱ったものだ[1]

「レア(まれ)」には、2つの意味がある。1つは、地球にある量が少ないこと。もう1つは、掘り出したり、きれいにしたりすることが難しいこと。この2つがそろうと、「レアメタル」と呼ばれる[1]

「レアメタル」に国際的に統一された定義はなく、日本では、鉱業審議会が指定した31鉱種を「レアメタル」と呼んでいる。「レアアース」はこのうち、スカンジウム・イットリウムとランタノイド15元素の合計17元素を、まとめて1鉱種としてカウントしたものである[1]

レアメタルの「レア」は、単に地球上の存在量が稀であることだけを指すのではない。技術的・経済的な理由で抽出が困難であることも含んだ定義であり、この2つの条件と、工業需要の存在をあわせ持つ鉱種が指定されている[1]

2. とくべつな 土地でしか、こい 金ぞくは できない

2. 特別な土地でしか、濃い金属はできない

2. レアメタルは、特殊な地質構造にしか濃集しない

レアメタルは、じつは せかいじゅうの 土や 岩に、うすく まざって いる。ひろい すな場の 中に、ほんの すこしだけ まざった、きらきら光る すなつぶの ような ものだ。ただし ほんとうは、すなでは なく、岩の 中に うすく まざった 金ぞくだ。でも、あつめて つかえるくらい こく あつまって いる 場しょは、かぎられて いる[2]

こく あつまるには、とくべつな 地しんの うごきや、大むかしの かざんの はたらきなど、その 土地ならではの じょうけんが ひつようだ。だから、レアメタルの とれる 場しょは、うんに ちかい かたよりが 生まれる。

レアメタルは、実は世界中の土や岩に、うすく混ざっている。でも、集めて使えるくらい濃く集まっている場所は、限られている[2]

濃く集まるには、特別な地下の動きや、大昔の火山の働きなど、その土地ならではの条件が必要だ。コバルトやインジウムのように、単独ではなく、銅や亜鉛などを掘るときについでに採れる金属もあり、金属の種類によって偏りの理由は少しずつ違う。だから、レアメタルの採れる場所は、運に近い偏りが生まれる。

レアメタルの多くは、地球上の岩石にごく微量ずつ分散して存在している。経済的に採掘可能な濃度まで濃集するには、特定のマグマ活動や熱水活動、あるいは長い年月をかけた風化・堆積といった、その土地固有の地質学的条件が必要になる[2]

また、コバルトやインジウム、ガリウムなど一部のレアメタルは、単独で採掘されるのではなく、銅や亜鉛など主要な金属を採掘する過程の副産物として生産されることが多く、鉱種によって偏在の成り立ちは異なる[2]。こうした条件がそろう鉱床は地球上に限られているため、レアメタルの産出は、政治的な思惑以前に、地質学的な偶然によって特定地域へ偏る構造を持っている。

3. じつは、「ほる」より「きれいに する」ほうが むずかしい

3. 実は、「掘る」より「精製する」方が難しい

3. 精錬という工程が、環境コストの壁になる

レアメタルの 岩には、つかう 元そと いっしょに、体に よくない ほうしゃせいの ぶっしつが まざって いる ことが 多い。それを 分けて、きれいな 金ぞくに する さぎょうを 「せいれん」と いう[2]

せいれんを すると、体に よくない のこりかすが たくさん 出る。この のこりかすを、あんぜんに かたづける ことに、大きな てまと お金が かかる[2]

レアメタルの鉱石には、使う元素といっしょに、体によくない放射性の物質が混ざっていることが多い。それを分けて、きれいな金属にする作業を「精錬」という[2]

精錬をすると、体によくない残りかすがたくさん出る。この残りかすを、安全に片づけることに、大きな手間とお金がかかる[2]

レアアースを含む鉱石の多くには、トリウムやウランといった放射性物質が随伴していることが多く、目的の元素だけを分離・精製する「精錬」の工程で、放射性廃棄物が発生する[2]

国・地域によって、環境規制の厳しさや廃棄物処理にかかるコストは異なる。こうした規制や処理コストの違い、精錬技術の蓄積といった複数の要因が重なり、精錬の世界シェアが特定の国・地域に偏る構造ができている。つまりレアメタルの供給は、資源そのものの偏在だけでなく、環境コストや技術・産業基盤を誰が担うかという構造によっても左右されている[2]

4. 2010年、レアアースが とつぜん とどかなく なった

4. 2010年、レアアースが突然届かなくなった

4. 2010年、レアアース禁輸が日本産業を直撃した

2010年、海の 上で、中国の 船と 日本の せんぱく(見はりの ふね)が ぶつかる できごとが おきた。この あと、中国から 日本への レアアースの ゆしゅつは、ほとんど とまって しまったと つたえられて いる[3]

日本の 自どう車 会社などは、レアアースを つかった じしゃくが 手に 入りにくく なり、こまった[3]

2010年、海の上で、中国の漁船と日本の巡視船(見はりの船)がぶつかる出来事が起きた。このあと、中国から日本へのレアアースの輸出は、事実上ほとんど止まってしまったと報じられた[3]

日本の自動車会社などは、レアアースを使った磁石が手に入りにくくなり、困った[3]

2010年9月、尖閣諸島沖で中国漁船が日本の海上保安庁巡視船に衝突する事件が発生した。この直後、中国から日本へのネオジムやジスプロシウムなど主要なレアアースを含む輸出は、事実上停滞したと報じられた[3]

トヨタや日立などが使用する高性能磁石の原料の入手が難しくなり、価格の上昇も問題になったとされる。2012年、日本・米国・EUはこの輸出規制をWTOに提訴し、WTOは中国の措置をルール違反と判断、中国は2015年に対日輸出枠と輸出税を撤廃した[3]

5. 南鳥島の 海の 中に、たからものが ねむって いる

5. 南鳥島の海の中に、資源が眠っている

5. 南鳥島沖に、レアアース泥という資源が眠る

日本の いちばん 東に ある 南鳥島(みなみとりしま)の 近くの 海の 中には、レアアースを たくさん ふくんだ 「どろ」が しずんで いる[4]

2018年、研究しゃたちは、この どろの 中に、せかいの じゅようの すう百年分にも あたる レアアースが ある ことを たしかめた。ただし、ふかい 海の 中から ほり出す ほうほうは、まだ せかいで つかわれる ほど かんせいして いない[4]

日本のいちばん東にある南鳥島(みなみとりしま)の近くの海の中には、レアアースをたくさん含んだ「泥」が沈んでいる[4]

2018年、研究者たちは、この泥の中に、世界の需要の数百年分にもあたるレアアースがあることを確かめた。ただし、深い海の中から掘り出す方法は、まだ世界で使われるほど完成していない[4]

日本最東端の南鳥島周辺の排他的経済水域内の海底には、レアアースを高濃度に含む堆積物(レアアース泥)が広く分布している[4]

2018年、研究チームは約2,500平方キロメートルの海域に、レアアース酸化物換算で1,600万トン以上、世界需要の数百年分に相当すると推計される資源量が存在することを明らかにした。この数値はあくまで資源量の推計であり、実際に採掘できる埋蔵量を示すものではない。水深5,000メートルを超える深海からの採泥・選鉱・輸送には技術的・経済的な課題が残っており、商業採掘の実用化には至っていない[4]

6. まちの 中にも、かくれた こうざんが ある

6. まちの中にも、隠れた鉱山がある

6. 「都市鉱山」から、掘らずに資源を得る

つかわなく なった けいたい電話や でんきせいひんには、レアメタルが たくさん つかわれて いる。これらを あつめて、金ぞくを とりだす ことを 「都市こうざん」と いう。すてられた せいひんの 中に、金ぞくが うまって いる、と いう いみだ[5]

日本に すてられた せいひんに ふくまれる インジウムと いう 金ぞくは、せかいに うまって いる りょうの やく61%にも なる、と いう しらべも ある[5]

使わなくなった携帯電話や電化製品には、レアメタルがたくさん使われている。これらを集めて、金属を取り出すことを「都市鉱山」という。まちの中に隠れた鉱山がある、という意味だ。ただし本当は、山ではなく、捨てられた製品の中に、金属が埋まっている、ということだ[5]

日本に捨てられた製品に含まれるインジウムという金属は、世界の埋蔵量の約61%にもなる、という調査もある[5]

使用済みの携帯電話や電子機器に含まれるレアメタルを回収・再利用する取り組みを「都市鉱山」と呼ぶ。廃棄物の中に、鉱山に匹敵する資源が眠っているという考え方である[5]

2008年の物質・材料研究機構の調査では、日本国内に蓄積されたインジウムは世界埋蔵量の約61%、タンタルは約10%に相当すると推計されている。海外から掘り出す以外に、既に国内にある製品から回収するという選択肢もある[5]

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

つかわなく なった けいたい電話や おもちゃが おうちに あったら、その中に どんな 金ぞくが つかわれて いるか、しらべて みよう。市や 町に ある、あつめる ばしょも さがして みよう。

使わなくなった携帯電話やゲーム機が家にあったら、その中にどんな金属が使われているか、調べてみよう。自治体にある回収場所も探してみよう。

自宅に使われなくなった小型家電があれば、小型家電リサイクル法にもとづく回収拠点が近くにないか調べてみよう。その製品に、どんなレアメタルが使われているかを合わせて調べると、都市鉱山という言葉が、より具体的な実感を伴って見えてくる。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. 産業環境管理協会「レアメタルとは」。 https://www.cjc.or.jp/raremetal/overview/about (鉱業審議会レアメタル総合対策特別小委員会が31鉱種をレアメタルと定義したこと、レアアースが17元素をまとめて1鉱種としてカウントされること、レアの定義が存在量の希少性と技術的・経済的な抽出困難性の両方を含むこと)
  2. note「レアアースは『レア』ではない。中国独占の理由は『環境コスト』」、地層科学研究所「レアメタル・レアアース」。 https://note.com/asap/n/nae868a664bac https://www.geolab.jp/documents/science/science-151/ (レアメタルが地球上に広く薄く分布していること、経済的に採掘可能な濃度への濃集には特定の地質学的条件が必要なこと、レアアース鉱石にトリウムなど放射性物質が随伴し精錬過程で放射性廃棄物が発生すること、環境規制の緩やかな国が精錬の負担を引き受けている構造)
  3. 危機対応学「2010年のレアアース危機」、海幹校戦略研究「日本のレアアース政策とWTO提訴」。 https://web.iss.u-tokyo.ac.jp/crisis/essay/2010-2010979192-924201042010-wto201092219412010-nhk924924-120109220310180922461012781200920112102010.html https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/assets/pdf/ssg2015_12_05.pdf (2010年9月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を契機に中国が対日レアアース輸出を実質停止したこと、ネオジム価格が数倍に高騰したこと、日米欧のWTO提訴により中国が2015年に輸出枠・輸出税を撤廃したこと)
  4. 東京工業大学ニュース「南鳥島レアアース泥の資源分布の可視化と高効率な選鉱手法の確立に成功」、東京大学「南鳥島沖に眠る世界需要の数百年分のレアアース資源」。 https://www.titech.ac.jp/news/2018/041231 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00070.html (2018年に南鳥島周辺の約2,500平方キロメートルの海域でレアアース酸化物換算1,600万トン以上、世界需要の数百年分に相当する資源が確認されたこと、深海からの採掘には技術的・経済的な課題が残ること)
  5. 物質・材料研究機構(NIMS)「都市鉱山:日本の眠る資源」(2008年1月11日発表)、フリー百科事典『ウィキペディア』「都市鉱山」。 https://archive.nims.go.jp/news/press/2008/01/p200801110.html https://ja.wikipedia.org/wiki/都市鉱山 (使用済み電子機器等に含まれる金属資源を都市鉱山と呼ぶこと、2008年の物質・材料研究機構の調査で日本国内のインジウムが世界埋蔵量の約61%、タンタルが約10%に相当すると推計されたこと)

なおした ところ

更新履歴

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