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じんこうえいせいは、どうして 落ちて こないの?

人工衛星は、どうして落ちてこないのか

人工衛星は、どうして落ちてこないのか

分野:宇宙・天文

空の うえを ずっと まわりつづける 人工えいせい。

じつは、「落ちて こない」のでは なく、「落ちつづけて いる」のだと したら?

空の上をずっと回りつづける人工衛星。

実は、「落ちてこない」のではなく、「落ちつづけている」のだとしたら?

人工衛星や国際宇宙ステーションは、なぜ地球に落ちてこないのか。この問いへの答えは、17世紀にニュートンが考えたある思考実験までさかのぼる。そして実のところ、衛星は「落ちていない」わけではない。

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1. 大ほうを どんどん つよく うつと、どうなるか

1. 大砲をどんどん強く撃つと、どうなるか

1. ニュートンは大砲の思考実験で軌道の仕組みを説明した

17せいきの 学しゃ ニュートンは、こんな ことを かんがえた[1]。たかい 山の 上から、大ほうの たまを 水平に うつ。よわい ちからで うてば、たまは すぐ 下に 落ちる。もっと つよく うてば、もっと とおくまで とんでから 落ちる[1]。では、もっともっと つよく うったら、どうなるか。じつは、ある はやさに なると、たまが 落ちる カーブと、地きゅうの まるい カーブが、おなじに なる。たまは 地めんに とどかないまま、地きゅうを ぐるっと 一しゅうして もどって くるのだ[1]

17世紀の学者ニュートンは、こんなことを考えた[1]。高い山の上から、大砲のたまを水平に撃つ。弱い力で撃てば、たまはすぐ下に落ちる。もっと強く撃てば、もっと遠くまで飛んでから落ちる[1]。では、もっともっと強く撃ったら、どうなるか。実は、ある速さになると、たまが落ちるカーブと、地球の丸いカーブが、同じになる。たまは地面にとどかないまま、地球をぐるっと一周してもどってくるのだ[1]

17世紀、アイザック・ニュートンは著書の中で、次のような思考実験を示した。空気の抵抗がないものとし、非常に高い山の頂上から、大砲のたまを水平方向に発射する。速度が小さければ、たまは放物線を描いてすぐに落下する。発射速度を上げていくと、落下地点はどんどん遠くなる[1]。この考えを推し進めると、ある速度に達したとき、たまが落下していく軌跡の曲がり方と、地球表面が丸く曲がっていく度合いが一致する。たまは地面に到達しないまま地球を一周し、発射地点に戻ってくることになる[1]。これが、物体が地球を「回りつづける」ことの基本原理である。

2. 「おちて いない」のでは なく「おちつづけて いる」

2. 「落ちていない」のではなく「落ちつづけている」

2. 衛星は落下しつづけることで軌道を保っている

この かんがえかたで いくと、人工えいせいは「落ちて こない」ので はなく、「地きゅうに むかって 落ちつづけて いるのに、よこむきの はやさが あるせいで、地めんに とどかないまま すすんで いる」と いう ことに なる[2]。まるで、空気の ていこうが ない ところで、ボールを ものすごい はやさで よこに なげたら、そのまま えんの ように とんで いくようなものだ(ただし ほんとうは、ボールでは なく、空気の ない たかさに ある 人工えいせいの 話だ)。

この考え方でいくと、人工衛星は「落ちてこない」のではなく、「地球に向かって落ちつづけているのに、横向きの速さがあるせいで、地面にとどかないまま進んでいる」ということになる[2]。まるで、空気の抵抗がないところで、ボールをものすごい速さで横に投げたら、そのまま円のように飛んでいくようなものだ(ただし本当は、ボールではなく、空気のない高さにある人工衛星の話だ)。

JAXAはこの現象を2つの視点から説明している。地球の外から見れば「とても速く投げると、地球の丸みにそって、いつまでも落下しつづけながら飛ぶことができる」という自由落下の視点であり、衛星と一緒に回転する立場から見れば「地球の重力と遠心力がつり合って、軌道を保っている」という視点である[2]。どちらも誤りではなく、どの立場(座標系)から見るかによって同じ現象の説明の仕方が変わる、という点がこの話の面白さである。

3. じっさいの えいせいは、どれくらい はやいのか

3. 実際の衛星は、どれくらい速いのか

3. ISSは高度400キロメートルを秒速およそ7.7キロメートルで飛ぶ

もし 地めんの すれすれの たかさで 地きゅうを 一しゅうしようと したら、びょうそく やく7.9キロメートルの はやさが ひつようだと される[3]。国さいうちゅうステーション(ISS)は、地じょうから やく400キロメートルの たかさを、びょうそく やく7.7キロメートルで とんで いる[3]。じそくに なおすと、なんと やく28000キロメートル。この はやさで、地きゅうを 一しゅうするのに、やく90分しか かからない[3]

もし地面すれすれの高さで地球を一周しようとしたら、秒速およそ7.9キロメートルの速さが必要だとされる[3]。国際宇宙ステーション(ISS)は、地上からおよそ400キロメートルの高さを、秒速およそ7.7キロメートルで飛んでいる[3]。時速になおすと、なんとおよそ28000キロメートル。この速さで、地球を一周するのに、およそ90分しかかからない[3]

地表すれすれの高度で円軌道を保つために必要な速度(第一宇宙速度)は、秒速およそ7.9キロメートルとされる[3]。国際宇宙ステーション(ISS)は、地上からおよそ400キロメートルの高度を、秒速およそ7.7キロメートル(時速にしておよそ28000キロメートル)で飛行しており、地球を一周するのにおよそ90分しかかからない[3]

4. でも、じつは すこしずつ 落ちて いる

4. でも、実は少しずつ落ちている

4. 大気の抵抗により軌道は少しずつ低下する

じつは、この 話には つづきが ある。ロケットが とぶ たかさにも、ごく うすい 空気が のこって いて、それが すこしずつ 人工えいせいの はやさを おそくして いく[4]。はやさが おちると、えいせいは すこしずつ 下に さがって いく。1957年に とばされた、せかい はじめての 人工えいせい スプートニク1ごうも、うちあげから 92日で、この うすい 空気に ぶつかって もえつきて しまった[4]

実は、この話にはつづきがある。ロケットが飛ぶ高さにも、ごくうすい空気が残っていて、それが少しずつ人工衛星の速さをおそくしていく[4]。速さが落ちると、衛星は少しずつ下に下がっていく。1957年に飛ばされた、世界はじめての人工衛星スプートニク1号も、打ち上げから92日で、このうすい空気にぶつかって燃えつきてしまった[4]

衛星が飛行する高度にも、ごく希薄な大気がわずかに残っており、これが大気抵抗として衛星の速度をわずかずつ低下させる。速度が落ちれば軌道高度も低下し、より濃い大気の層に達すると抵抗はさらに強まる[4]。1957年10月4日に打ち上げられた世界初の人工衛星スプートニク1号は、近地点215キロメートル・遠地点939キロメートルの楕円軌道を周回していたが、1958年1月4日、打ち上げから92日・約1440周を経て大気圏に再突入し、燃え尽きた[4]。ニュートンの思考実験の「一周して戻ってくる」たまも、現実には大気抵抗を受けつづければ、いずれ地上に落ちてくることになる。

5. ISSは、ときどき たかさを もちあげられて いる

5. ISSは、ときどき高さを持ち上げられている

5. ISSは軌道の低下を補うため定期的に再上昇させている

ISSも、スプートニク1ごうと おなじように、ほうって おくと すこしずつ たかさが 下がって いく[5]。そこで、ISSに くっついた うちゅう船の エンジンを つかって、ときどき 高さを おしあげる「もちあげ」が おこなわれて いる[5]。人が すんで いる ばしょだからこそ、落ちないように、たえず てを かけつづけて いるのだ。

ISSも、スプートニク1号と同じように、放っておくと少しずつ高さが下がっていく[5]。そこで、ISSにくっついた宇宙船のエンジンを使って、ときどき高さを押し上げる「リブースト」がおこなわれている[5]。人が住んでいる場所だからこそ、落ちないように、たえず手をかけつづけているのだ。

ISSもスプートニク1号と同様、高度400キロメートル付近に残るわずかな大気抵抗を受けて、放っておけば徐々に高度が低下する[5]。そのため、補給船のエンジンを噴射して軌道を再び持ち上げる「リブースト」が定期的に実施されている[5]。常時、人が滞在する施設であるからこそ、軌道の維持には継続的な手当てが欠かせない。

6. もっと たかい ところに いる えいせいも ある

6. もっと高いところにいる衛星もある

6. 静止衛星は異なる高度・仕組みで軌道を維持している

いっぽう、天気よほうや テレビの ちゅうけいに つかう「せいし えいせい」は、ISSより ずっと たかい、地じょう やく36000キロメートルを とんで いる[6]。ここまで たかいと、空気の ていこうは ほとんど ない。その かわり、太ようや 月の 引力に すこしずつ 引っぱられて ばしょが ずれて いくので、こちらも、ときどき ロケットを ふかして ばしょを なおす ひつようが ある[6]

いっぽう、天気予報やテレビの中継に使う「静止衛星」は、ISSよりずっと高い、地上およそ36000キロメートルを飛んでいる[6]。ここまで高いと、空気の抵抗はほとんどない。そのかわり、太陽や月の引力に少しずつ引っぱられて位置がずれていくので、こちらも、ときどきロケットの噴射で位置を直す必要がある[6]

いっぽう気象観測や放送中継に用いられる静止衛星は、ISSよりはるかに高い、赤道上空高度およそ35786キロメートルの静止軌道を周回している[6]。この高度では大気抵抗はほぼ無視できるが、かわりに地球の重力場のゆがみ、太陽・月の引力、太陽輻射圧などの影響でわずかに位置がずれていく。そのため静止衛星も、燃料を使って定期的に軌道を補正する「軌道保持」を必要とし、燃料が尽きると寿命を迎え、より高い「墓場軌道」へ移されて運用を終える[6]

ボールを なげて、おちかたを かんさつして みる

ボールを投げて、落ちかたを観察してみる

投げる速さと落下の軌道の関係を観察してみる

ひろい ばしょで、ボールを よわく なげたときと、つよく なげたときの、おちる ばしょの ちがいを 見て みよう。つよく なげるほど、とおくに とんでから おちる。ニュートンが かんがえた「もっと つよく なげたら、地きゅうを 一しゅうする」と いう 話が、すこし イメージ しやすく なるはずだ。

広い場所で、ボールを弱く投げたときと、強く投げたときの、落ちる場所のちがいを見てみよう。強く投げるほど、遠くに飛んでから落ちる。ニュートンが考えた「もっと強く投げたら、地球を一周する」という話が、少しイメージしやすくなるはずだ。

広い場所で、ボールを弱く投げたときと強く投げたときの落下地点の違いを観察してみよう。投げる速さが増すほど、より遠くまで放物線を描いてから落下することが分かる。ニュートンの思考実験は、この延長線上に「地球を一周してしまうほどの速さ」を想定したものであり、実際に体を動かして確かめることで、軌道という考え方が具体的にイメージしやすくなる。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. Wikipedia「Newton's cannonball」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Newton%27s_cannonball (ニュートンが、空気抵抗のない状況を仮定し、高い山の頂上から大砲を水平に発射して速度を上げていくと、たまが地球を周回する軌道を描くようになるという思考実験を、著書『A Treatise of the System of the World』(1728年刊)の中で示したことは同出典による)
  2. JAXA有人宇宙技術部門「人工衛星やISSは、なぜ、地球に落ちてこないのでしょうか」。 https://humans-in-space.jaxa.jp/faq/detail/000683.html (地上から見れば「とても速く投げると地球の丸みにそって落下しつづけながら飛ぶ」という自由落下の視点、衛星自身の立場からは「重力と遠心力がつり合って軌道を保つ」という視点の、2通りの説明があることは同出典による)
  3. 天文学辞典(日本天文学会)「宇宙速度」、JAXA有人宇宙技術部門「ISSは1日に地球を何周するのですか」。 https://astro-dic.jp/cosmic-velocity/ https://humans-in-space.jaxa.jp/faq/detail/000467.html (地球表面すれすれを人工衛星として飛行するために必要な速度(第一宇宙速度)が秒速およそ7.9キロメートルであることは1点目の出典による。ISSが高度約400kmを秒速約7.7km(時速約28000km)で飛行し、地球を約90分で1周・1日に約16周することは2点目の出典による)
  4. Wikipedia「Sputnik 1」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Sputnik_1 (1957年10月4日に打ち上げられたスプートニク1号が近地点215km・遠地点939kmの楕円軌道を周回し、1958年1月4日に打ち上げから92日・約1440周を経て大気圏に再突入したことは同出典による)
  5. フリー百科事典『ウィキペディア』「国際宇宙ステーション」、JAXA「プログレス補給船」用語集。 https://ja.wikipedia.org/wiki/国際宇宙ステーション https://humans-in-space.jaxa.jp/glossary/detail/000399.html (ISSが大気抵抗により毎月約2.5kmずつ高度を落とすこと、ズヴェズダのエンジンやドッキング中の補給船で軌道を持ち上げる「リブースト」が実施されることは1点目の出典による。プログレス補給船がスラスタを使った軌道上昇・姿勢制御を担ってきたことは2点目の出典による)
  6. フリー百科事典『ウィキペディア』「静止衛星」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/静止衛星 (静止衛星が赤道上空高度約35786キロメートルの静止軌道を周回すること、地球の重力場のゆがみ・太陽と月の引力・太陽輻射圧により位置がずれるため定期的な軌道制御(軌道保持)が必要なこと、燃料が尽きると墓場軌道へ移されて運用を終えることは同出典による)

なおした ところ

更新履歴

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