1. がっこうで ごみを もやして いたって、ほんとう?
1. 学校で燃やしていたごみ ── 小型焼却炉という設備
1. 学校のごみを燃やしていた小型焼却炉とは何か ── 定義と使われ方
むかしの がっこうでは、出た ごみを、がっこうの なかで もやして いました。もやす ための きかいが、しょうきゃくろです。
いま おうちでは、ごみを ぶんべつして 出します。それを しゅうしゅうしゃが あつめに きます。むかしの がっこうは、それとは ちがう やりかたを して いたのです。
この きじでは、しょうきゃくろが きえて いった わけを、じゅんばんに たどります。まずは、その きかいの おおきさから みて みましょう。
どうして がっこうに あったのかは、ここで みた しりょうだけでは わかりませんでした。
今の学校では、ごみを分別して出し、自治体に回収してもらいます。かつては、学校の敷地の中でごみを燃やして処理する設備がありました。
論文では、1時間あたりの焼却能力が200kg未満で、火格子(ごみを載せて燃やす台)の面積が2㎡未満の小さな焼却炉を「小型焼却炉」と呼び、かつては手軽なごみ処理施設として学校や事業所などで広く使われていたと説明しています[1]。
学校が焼却炉を持っていた理由を、直接説明した公的資料は、今回は見つかりませんでした。次の章では、その炉の煙突に目を向けます。
小型焼却炉は、1時間あたりの焼却能力が200kg未満、かつ火格子面積が2㎡未満の廃棄物焼却炉を指し、かつては簡便なごみ処理施設として学校や事業所などで汎用されていたと、環境科学の論文は述べる[1]。
ここで注意したいのは、学校に炉が置かれた理由や、設置が始まった時期、全国の設置数は、今回参照した公的資料では確認できなかった点だ。分かるのは「広く使われていた」という状況までで、なぜ学校にあったのかを因果として書くことはできない。次の章では、この炉から立ちのぼる煙の行き先に目を向ける。
2. どうして えんとつは、あんなに たかいの?
2. 高い煙突は何のためにあるのか
2. 煙突を高くすると何が変わるか ── 拡散と着地濃度
しょうきゃくろには、たかい えんとつが ついて いました。もやした ときの けむりは、この えんとつから 空へ のぼります。
えんとつが たかいと、けむりは ひろい はんいに ちらばります。ちらばると、地めんに おりて くる ところの こさは、うすく なります。ごみを もやす しせつの えんとつを しらべた しりょうに、そう かいて ありました[5]。
ただし、これは おおきな しせつの しりょうです。がっこうの えんとつが、なぜ あの たかさだったのかは、はっきりした しりょうが みつかりませんでした。
けむりの なかには、あとで もんだいに なる ものも まざって いました。つぎの ページで、その はなしを します。
焼却炉といえば、高い煙突を思い浮かべる人が多いかもしれません。ごみ焼却施設の煙突高さを検討した自治体の資料には、煙突が高くなるほど排ガスの拡散する範囲は広くなり、地面に降りてくる地点の濃度は低くなる、と書かれています[5]。
煙を空高くまで運んで、薄めて散らす。煙突の役目は、そういうことのようです。ただし、これは大きな施設の検討資料です。学校の煙突の高さの由来までは、書かれていません。
そして、煙に含まれる物質そのものが、やがて大きな問題になります。次の章では、その物質を見ていきます。
ごみ焼却施設の煙突高さを検討した高山市の資料には、煙突が高くなるにつれて排ガスの拡散範囲は広くなり、着地点の濃度は低くなる、という趣旨の説明がある[5]。煙突を高くすると、排ガスは広く拡散し、地上の濃度が下がると説明されている。
ただしこれは大型施設を対象にした検討資料であり、学校の煙突の高さがどう決まったのかを示すものではない。
薄めて散らすという発想は、逆に言えば、煙の中身をなくす方法ではない。では、燃やすことで何ができてしまうのか。次の章で、1997年の基準づくりの背景を見る。
3. もやすと、なにが もんだいに なったの?
3. 煙の中の「ダイオキシン類」と、1997年の基準づくり
3. 燃やすと何が問題になったのか ── ダイオキシン類と、1997年の構造・維持管理基準
ごみを もやすと、ダイオキシンるいという ものが できて しまう ことが あります。だれかが つくろうと した わけでは なく、もえるときに できて しまうのです。
この ものは、かんきょうの なかで なかなか なくなりません。はんぶんに なるまでに、なんじゅうねんも かかると いわれて います[1]。
そこで 1997ねんに、ごみを もやす きかいの きまりが みなおされました。もやす おんどや、けむりを ひやす せつびなどが きまりました[4][6]。
1997ねんや 2002ねんに きまりが みなおされて、たくさんの ちいさな しょうきゃくろが、つかえなく なって いきました[1]。
ダイオキシン類は、ごみなどを燃やしたときに、意図せずできてしまう物質の総称です。分解されにくく、環境中で半分に減るまでに数十年かかるとされています[1]。
この物質を減らそうと、1997年、廃棄物処理法の施行令・施行規則が見直されました。8月29日に公布され、12月1日に施行されています。焼却施設の構造や維持管理の基準を見直し、小規模な施設への規制も強めた、と環境省(当時は厚生省)の報道発表は説明しています[4]。
基準の中身には、燃焼ガスを800℃以上に保って2秒以上とどめる、約200℃以下に冷やす設備をつける、排ガスの処理設備を備える、温度や一酸化炭素を連続して測る、といった項目がありました[6]。
この改正などで、焼却炉に構造基準と維持管理基準が設けられ、多くの小型焼却炉は、ごみの焼却に使えなくなったと論文は述べます。法改正は1997年と2002年です[1]。
では、学校の炉は、この基準を満たせなかったから使えなくなったのでしょうか。その因果を直接示す資料は、今回は見つかりませんでした。ここで、学校に何が伝えられたのかを見てみます。
ダイオキシン類は、ごみ等の焼却で非意図的に生成される物質の総称で、難分解性のため環境中の半減期が数十年と長い[1]。だから、発生を抑える対策は、焼却炉の構造と運転条件に向かった。
1997年8月29日に公布され12月1日に施行された廃棄物処理法の施行令・施行規則は、ダイオキシン削減の観点から焼却施設の構造・維持管理基準を見直し、小規模施設に対する規制強化のために許可対象範囲も見直した[4]。許可対象は、原則として1日5t以上の施設から、1時間200kg以上(または火格子面積2㎡以上)へ広げられた。構造面では、燃焼ガスを800℃以上で2秒以上滞留させること、約200℃以下への冷却設備、排ガス処理設備、温度と一酸化炭素の連続測定が定められた[6]。
小型焼却炉の定義(200kg/h未満)は、この許可対象の線の手前にある。ところが論文によれば、維持管理基準と構造基準の設定に伴い、多くの小型焼却炉が使えなくなったのは、1997年と2002年の改正による[1]。ただし、学校の炉が具体的にどの基準を満たせなかったのかは、資料で確認できていない。
その後、1999年7月にはダイオキシン類対策特別措置法が議員立法で制定され、基本指針は、今後4年以内に全国の排出総量を1997年に比べ約9割削減するという目標を掲げた[7]。学校の炉の話は、こうした国全体の流れの中にあった。では、学校自身には何が伝えられたのか。
4. 1997ねん、がっこうに なにが つたえられたの?
4. 7月は「紙だけ」、10月は「原則やめる」── 2つの通知
4. 文部省通知の二段階 ── 紙類に限る焼却から、原則使用中止へ
1997ねんの 7がつ 23にちに、もんぶしょうから、がっこうの ごみに ついての つうちが 出ました。「もやして いいのは、かみるいだけ」と いう ないようです[2]。
ごみを へらして、ぶんべつして、リサイクルする ことも、いっしょに もとめられました。
それから 3かげつほど あとの 10がつには、もっと つよい つうちが 出ました。「がっこうの しょうきゃくろは、げんそくとして つかうのを やめましょう」という ものです[1]。
おなじ ねんに、「かみだけ」の つうちと、「げんそく やめる」の つうちが、つづいて 出されました。
学校のごみ焼却炉をめぐっては、1997年に2つの通知が出たことが、京都市の記録や論文から分かります。
1つめは7月23日付の通知「学校におけるごみ処理等について」です。焼却炉の使用を紙類の焼却に限ること、ごみの減量と分別の徹底、リサイクルの実施を求める内容でした[2]。
2つめは、その3か月ほど後の10月です。文部省は都道府県の教育委員会などに、学校のごみ焼却炉の使用を原則として取りやめるよう通知しました[1]。この通知の日付は、京都市の資料では10月30日、論文の文献欄では10月31日と、資料で少しずれています。そのため、ここでは「10月」とだけ書きます。
同じ年に、紙類に限る通知と、原則中止の通知が続いて出されました。
京都市学校労組の記録によれば、文部省は1997年7月23日付で各都道府県教育委員会に通知「学校におけるごみ処理等について」を出し、焼却炉の使用を紙類に限ること、ごみの減量と分別の徹底、リサイクルの実施を求めた[2]。これは焼却を全面的に禁じるものではない。
ところが3か月ほど後の10月には、学校のごみ焼却炉の使用を原則として取りやめるよう通知している[1]。通知の日付は、京都市の資料が10月30日、論文の文献欄が第292号を10月31日と記し、資料間で一日ずれる。本稿では10月に留める。
なぜ、2回に分けて出されたのか。その理由は資料に書かれておらず、通知の原文も入手できていない。分かるのは、「紙類に限る」から「原則中止」へと、同じ年に、紙類に限る通知と原則中止の通知が続いて出されたという経過までだ。では、通知を受けた現場は、どう動いたのか。
5. しょうきゃくろを やめた あと、ごみは どこへ いくの?
5. 京都市の場合 ── 4月1日に廃止、13日から回収
5. 廃止から回収への移行 ── 京都市の日程に見る切りかえ
きょうとしでは、1998ねんの 4がつ 1にちに、がっこうの しょうきゃくろを つかうのを やめました[2]。
その あいだに、ぜんぶの がっこうと ようちえんに、ごみを いったん ためておく コンテナが おかれました。4がつ 10にちまでに おわった そうです。
そして 4がつ 13にちから、もやせる ごみを、かいしゅうしゃが とりに くる ように なりました。
やめて すぐ、あたらしい ごみの だしかたに かわった のです。ただし、これは きょうとしの はなしです。ぜんこくで おなじ ひに なった わけでは ありません。
京都市では、1998年4月1日に学校焼却炉の使用が廃止されました。4月10日までに、全市の学校と幼稚園に、ごみを一時保管するためのコンテナが置かれ、13日からは全校で燃えるごみの定期回収が始まりました[2]。
燃やす場所が消えた分、出す場所と取りに来る仕組みが用意されたことになります。数日のうちに、学校のごみの行き先が「敷地の中」から「市の回収」へ切りかわりました。
ただし、これは京都市の例で、全国が同じ日程で動いたわけではありません。切りかえ後の様子について、1999年4月の教育専門紙は、記事の冒頭で、焼却炉の原則廃止から2年、ごみの一時保管や処理に戸惑いは残るものの、環境教育の一環としてごみの分別と処理が進んだと紹介しています[3]。
京都市では、1998年4月1日をもって学校焼却炉の使用が廃止され、4月10日までに全市の学校・幼稚園にごみ一時保管用のコンテナの設置が完了、13日から全校で可燃ごみの定期回収が始まった[2]。廃止から回収開始まで12日あり、ごみの行き先は敷地内の焼却から、市の収集へと切りかわった。
ただし、これは京都市の一例であり、全国一斉の日程ではない。設置の状況も自治体ごとに違ったはずだ。
切りかえの後の様子を、1999年4月23日付の教育専門紙は、記事の冒頭で、焼却炉の原則廃止から2年が経ち、ごみの一時保管や処理に戸惑いは残るものの、環境教育の一環としてごみの分別・処理が進んだと紹介している[3]。では、役目を終えた炉そのものは、どうなったのか。
6. つかわれなく なった しょうきゃくろは、どうなったの?
6. 役目を終えた炉のその後 ── 撤去と、灰の調査
6. 廃止後の炉と残された灰 ── 埼玉県の撤去事例
つかわれなく なった しょうきゃくろの なかには、いれぐちが かぎで とじられたり、ビニールの シートで おおわれたり した まま おかれた ものが おおかった ようです[1]。
さいたまけんでは、あとで たくさんの しょうきゃくろを かたづけました。なかに のこって いた はいも しらべられました。つかわなく なった あとも、はいの ちょうさが ひつように なりました。
これは さいたまけんの はなしで、ぜんこくの ようすでは ありません。
「しょうきゃくろ」の ことを、もっと しりたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
きょう できること
おうちの おとなに、「しょうがくせいの ころ、がっこうで ごみは どうして いた?」と きいて みましょう。しょうきゃくろの おもいでが 出て くるかも しれません。とし ごとに ちがう はなしが きけたら、そのとしを メモして みると おもしろいです。
おうちで できること
がっこうで 見られる はんいで、ごみばこを 見て みましょう。なんしゅるいに わかれて いますか。ぶんべつは、この きじの ながれの さきに あります。
くわしく しりたい とき
かんきょうしょうや、すんで いる まちの ホームページには、ごみの だしかたが のって います。
今日できること
家の人に、「小学生のころ、学校でごみはどうしていた?」と聞いてみましょう。焼却炉の思い出が出てくるかもしれません。年代によって話が違うなら、その年もメモしておくと、今回の年表と見比べられます。
身近でできること
学校で見られる範囲で、ごみ箱が何種類に分かれているかを見てみましょう。学校のごみの分け方を見ながら、1997年の通知で分別が求められたことを思い出せます。
もっと知りたいとき
環境省や、自分の住む自治体のホームページには、ごみの出し方や処理の資料が載っています。通知の原文や、他の自治体の切りかえの日程も、調べる手がかりになりそうです。
資料を読むなら
- 埼玉県環境科学国際センターの論文(環境化学 Vol.22 No.4)── 小型焼却炉の定義と撤去後の調査
- 京都市学校労組の記録 ── 通知と廃止・回収開始の日程
- 環境省の報道発表・環境白書 ── 1997年の法令改正と1999年の特別措置法
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
公的機関の資料と論文を中心に使いました。出典の日付が割れる箇所は本文で明記しています。
- 環境化学 Vol.22 No.4(2012)埼玉県環境科学国際センター https://www.jstage.jst.go.jp/article/jec/22/4/22_193/_pdf (小型焼却炉の定義・使われ方・10月の通知・撤去と灰の調査)
- 自治労 京都市学校労組「焼却炉の廃止とごみ処理」 https://www.jichiro.gr.jp/jichiken_kako/report/rep_yamagata28/jichiken_hokoku/kankyo27/kankyo27.htm (7月の通知と京都市の廃止・回収の日程)
- 教育新聞「焼却炉なくしてゴミ減量」(1999年4月23日) https://www.kyoiku-press.com/post-160607/ (廃止後の様子。本文は会員限定のため冒頭のみ確認)
- 環境省(厚生省)報道発表 平成9年8月25日 https://www.env.go.jp/recycle/kosei_press/h970825a.html (1997年の施行令・施行規則の見直し)
- 高山市 資料5 煙突高さについての検討資料(案) https://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/469/3siryou5.pdf (煙突の高さと拡散。大型施設の資料)
- 環境省 法令通知(平成9年) https://www.env.go.jp/hourei/11/000459.html (構造基準・許可対象の範囲)
- 環境白書(平成18年版) https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h18/html/kh0604011600.html (ダイオキシン類対策特別措置法と削減目標)
なおした ところ
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