1. さきっぽは、どれくらい ながいの?
1. 先頭の長さを比べる ── 0系とE5系
1. 先頭部はどう長くなったのか ── 3.9mから15mへ
1964ねんに はしりはじめた 0けいでは、さきっぽの ながさは 3.9メートルほどと いわれます[4]。
いま はしって いる E5けいでは 15メートルです。くるまの ながさは 27メートルなので、はんぶん より ながい ことに なります。
どうして こんなに のびたのでしょう。
2. トンネルの でぐちで、なにが おきるの?
2. トンネルの出口で起きる「ドン」の正体
2. トンネル微気圧波の発生機構
しんかんせんが トンネルに はいると、まえの くうきが ぎゅっと おされます。おされた くうきは、あつい かたまりのように なって、おとの はやさで トンネルの なかを すすみます[1]。
そして でぐちに つくと、「ドン」と いう あつりょくの なみと なって、そとへ とびだします。これが 「トンネルドン」です。
ストローの かたほうを ゆびで ふさいで、すばやく くうきを おしこむと、はんたいがわから ふっと かぜが でます。それに すこし にて います。ただし ほんとうは、もっと ずっと おおきな ちからです。
3. はやくなると、どう なるの?
3. 速くなるほど、急に強くなる
3. 突入速度と微気圧波の強さ
この「ドン」は、しんかんせんが はやいほど、ぐんと つよく なります。つよさは、はやさを 3かい かけた ぶんだけ ふえると いわれます[3]。
たとえば、はやさが 1.5ばいに なると、つよさは 3ばいより すこし おおきく なります。
むかしの とうかいどうしんかんせんは、さいこう 210キロでした。この ころは、あまり もんだいに ならなかったと いわれます[6]。
ところが、さんようしんかんせんが できて はやく なると、おとが つよく なって いったと されます。
4. ドンを へらす くふうは、どんな もの?
4. 代表的な二つの対策 ── 車両の形と、トンネルの口
4. 低減対策 ── 車両側の形状最適化と地上側の緩衝工
だいひょうてきな くふうは、ふたつ あります[1]。
ひとつめは、トンネルの ほうに つける しかけです。トンネルの あなの くちに、あなの あいた もうひとつの トンネルのような ものを つけて、くうきを すこし にがして やります。これを かんしょうこうと いいます。
ふたつめは、しんかんせんの さきっぽを ながく して、かたちを くふうする ことです。くうきを ゆっくり おしこむ ように します。
いまは、この くふうの おかげで、ドンの もんだいを おさえながら、さいこう 320キロで はしって います[1]。
代表的な対策は大きく二つあります[1]。一つは地上側の設備で、トンネルの坑口に取り付ける緩衝工です。圧縮された空気の一部を開口部から逃がし、圧力の上がり方を時間をかけてゆるやかにして、出口のドンを弱めます。
もう一つが、車両の先頭部を小型化・延長し、形を最適化する方法です。車両を細長くすると、トンネルに入るときに、空気を少しずつ押し込めるからです。
両方の組み合わせで、いまは微気圧波の問題をおさえつつ、最高320km/hの営業運転が行われています[1]。緩衝工を付ける目安は、たとえば民家の近くでピーク値が20Pa以上、出口から20mの地点で原則50Pa以上とする案があるそうです[2]。
実用化された低減対策のうち代表的なものは、地上側のトンネル緩衝工と、車両側の先頭部の小型化・延伸・形状最適化に大別される。両者が組み合わされ、現在は微気圧波の問題をクリアしつつ最高320km/hの営業運転が実現している[1]。緩衝工は地上側の設備で、車両の工夫とは別である。
緩衝工は、圧縮された空気の一部を開口部から逃がすことで圧力上昇に時間をかけ、出口側のパルス波を弱める。標準的なものはトンネル本体より断面積が大きく、側面に開口部がある、と解説される。設置する側(入口側か出口側か)は資料により表現が分かれ、この記事では判断しない。
設置の目安として、鉄道・運輸機構の設置基準案は、民家近傍でピーク値20Pa以上、坑口中心から20m地点で原則50Pa以上を挙げる[2]。
5. コンピュータは、かたちを どう きめたの?
5. N700系 ── 約5000通りを試して決めた形
5. N700系の先頭形状 ── 遺伝的アルゴリズムによる最適化
N700けいの さきっぽは、ながさが 9.62メートルです。まえの 700けいより 37センチ ながい だけです[7]。
もっと ながく したくても、おきゃくさんの いる ばしょを へらす わけには いきません。そこで、コンピュータで 5000とおりほどの かたちを ためして、いちばん よい ものを えらんだと いわれます。
ちからの ピークを ばらけさせて、「ドン」を ちいさく する ためです[7]。
N700系の先頭「エアロ・ダブルウィング」は、長さが9,620mmで、700系の9,250mmより370mm(37cm)長いだけです[7]。
700系の形のまま300km/hで走ると、微気圧波は約1.26倍になる試算でした。かといって、先頭を大きく伸ばすと客室が狭くなります。
そこで、約5000パターンのコンピュータシミュレーションと、生物の進化になぞらえた計算方法(遺伝的アルゴリズム)で形を選び、圧力のピークを分散させたとされます[7]。
N700系の先頭「エアロ・ダブルウィング」は9,620mmで、700系の9,250mmより370mm長い[7]。700系の形のまま300km/hで運転すると微気圧波が約1.26倍になるという試算があったが、客室を大きく削れないため、約5000パターンのシミュレーションと遺伝的アルゴリズムを用いて形を決め、ピークを分散させた、と解説される。
資料によって先頭の長さの記載は異なる。
6. がいこくの でんしゃは、みじかいの?
6. 外国の高速列車は、なぜ先頭が短いのか
6. 欧州の高速列車と新幹線では、先頭形状がどう違うのか
フランスの TGVは、じそく 300キロで はしりますが、さきっぽは にほんの しんかんせんより みじかくて、かんたんな かたちだと いわれます[8]。
どうして ちがうのでしょう。日本は やまが おおく、トンネルが おおい ことが かんけい するようです。ヨーロッパは トンネルが おおきく、おとの きまりも ゆるやか だからと いわれます[8]。
日本の なかでも、E7けいや W7けい(じそく 275キロ)は、E5けい(320キロ)より かんたんな かたちです[8]。はやさに あわせて、かたちが かわるのです。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること
かみに、0けいと E5けいの さきっぽを かいて みましょう。E5けいは 0けいの 4ばいくらい ながいので、かみの はしまで のばして くらべます。
出かけてできること
えきで しんかんせんを 見る ことが あれば、さきっぽの かたちを よく 見て みましょう。いろいろな かたちが あります。
こうしきの じょうほう
てつどうの ほんや、てつどうの はくぶつかんの ひとに 聞いても おもしろいです。
今日できること
紙に、0系とE5系の先頭の横顔を描いて比べてみてください。E5系の先頭は15m、0系は3.9mなので、車体の長さを27mとして、同じ縮尺で描くと差がよく分かります。
出かけてできること
駅で新幹線を見る機会があれば、先頭の形の違いを観察します。速さや路線ごとに、先頭の形が違うか、考えてみてください。
公式情報
鉄道総合技術研究所やJR各社のホームページに、微気圧波や先頭形状の解説があります。
もっと調べる
「緩衝工」で写真を探すと、トンネルの坑口(あなの入口や出口)にある変わった形の建物が見つかります。
今日できること
0系・500系・N700系・E5系・E7系の先頭部の写真を同じ縮尺で並べ、長さと断面の変化を比べる。先頭が長いほど速いのか、走る路線の条件も関係するのか、仮説を立てる。
出かけてできること
駅で複数の形式を見比べ、速度・路線と形の関係を観察する。トンネル坑口の緩衝工も、安全に見られる場所があれば探してみるとよい。
公式情報
鉄道総合技術研究所の技術解説、JR東海の環境影響評価資料、数値流体力学シンポジウムの論文を読み、圧力勾配と先頭形状の関係、緩衝工の設置側の記述の食い違いを一次資料で確かめてみるのもよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
現象の仕組みと対策は鉄道総研とJR東海の資料による。0系の長さ・500系・N700系・外国との比較は解説記事による二次資料で、一次資料は未確認。
- 鉄道総合技術研究所「トンネル微気圧波低減対策」 https://www.rtri.or.jp/rd/division/rd51/rd5120/rd51200101.html (現象の仕組み・二つの対策・最高320km/h)
- JR東海 中央新幹線 環境影響評価(静岡県)9 トンネル微気圧波 https://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/assessment/document/shizuoka/_pdf/eis1_shizuokas09.pdf (現象の説明・緩衝工の設置目安)
- 第29回数値流体力学シンポジウム D09-4 https://www2.nagare.or.jp/cfd/cfd29/data/cfd29_web_publications/paper_web/D09-4.pdf (速度の3乗・圧力勾配)
- 乗りものニュース「新幹線にも『翼』がある? 先頭車のノーズ」 https://trafficnews.jp/post/81122 (0系とE5系の先頭の長さ)
- 新幹線500系電車(Wikipedia日本語版) https://ja.wikipedia.org/wiki/新幹線500系電車 (500系の先頭と営業開始)
- トンネル微気圧波(Wikipedia日本語版) https://ja.wikipedia.org/wiki/トンネル微気圧波 (問題が強まった経緯)
- エアロ・ダブルウィング(Wikipedia日本語版) https://ja.wikipedia.org/wiki/エアロ・ダブルウィング (N700系の先頭の長さ・最適化)
- 鉄道コム「新幹線の先頭部が長い理由」 https://www.tetsudo.com/column/968/ (TGVとの比較・E7系との違い)
なおした ところ
更新履歴
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