1. ヤドカリは、どうして お引っこしが できるの?
1. ヤドカリの殻は「借り物」
1. 対比の基準 ── ヤドカリの宿貝
ヤドカリは、エビや カニの なかまです。おなかが やわらかくて、かたい こうらで おおわれて いません[7]。
だから、まきがいの からに おなかを 入れて、まもって います。この からは、ヤドカリが つくった ものでは ありません。
大きく なって からが きゅうくつに なると、べつの からに お引っこしを します[8]。ちょうど いい からが すぐ 見つかるとは かぎりません。
2. かたつむりの からは、体の いちぶ
2. 殻は「家」ではなく体の一部
2. 殻は体の器官の一つ
かたつむりの からは、ヤドカリの からとは ちがいます。かたつむりの 体の 一つの 部分で、からの 中に ないぞうが 入って います[1]。からは 体と つながって いて、かたつむりが からの 中に おさまって いるのです。
むりに からを とろうと すると、かたつむりは 死んで しまうと せつめいされて います[1]。ですから、生きた まま からを はずす ことは できません。
3. からと 体を つなぐ きんにく
3. 殻と体をつなぐ筋肉
3. 殻軸筋による固定
かたつむりの からは、ぐるぐると まいて います。その まんなかの じくに、体を からへ つなぐ きんにくが つきます。「かくじくきん」と いいます[2]。
かたつむりが からの 中へ ひっこむのは、この きんにくが ちぢむ からです[1]。ゴムを ひっぱって はなすと 手もとに もどるのと、少し にて います。ただし、ほんとうは きんにくで、ゴムでは ありません。
4. からは、だれが つくるの?
4. 殻をつくる外套膜
4. 外套膜による分泌と三層構造
からを つくるのは、体を つつんで いる 「がいとうまく」と いう まくです。この まくが、からの もとに なる ざいりょうを 出して、からを つくります[3]。
からの おもさの ほとんどは、石の ような 「ミネラル」だと、かいせつ記事では 書かれて います[4]。
5. からは、どうやって 大きく なるの?
5. 殻は、入り口のふちで大きくなる
5. 殻口縁での成長
かたつむりが 大きく なると、からも 大きく なります。からは、入り口の ふちの ところで、ざいりょうが すこしずつ たされる、と せつめいされて います[2]。
いちばん さいしょに できた 小さな まきは、てっぺんに のこって います。そこから、まきが 少しずつ 大きく なって いくのです。
だから、小さな からを ぬいで、大きな からに 着がえる ひつようが ありません。体と いっしょに、からも そだって いきます。
6. からが われたら、なおるの?
6. 傷ついた殻は、どう直るのか
6. 損傷と修復 ── 内側に足される新しい材料
からに きずが ついても、がいとうまくが、からを なおして くれる ことが あります[5]。ただ、大きく われた ときは、死んで しまう ことも あると せつめいされて います[1]。
うみの 貝の なかまの かさがいで、こんな 研究が あります。からに あなを あけると、あなは うめられるのでは なく、からの 内がわに あたらしい ざいりょうが たされて ふさがりました[6]。ただし、これは うみの 貝の 研究です。かたつむりで 同じ ことが おきるとは 言えません。
からを 見て みよう
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
あき からを 見つけたら
げんかんの まわりや こうえんで、かたつむりの あきがらを 見つけたら、ようすを 見て みましょう。もちろん、生きて いる かたつむりを、つかまえて とる ひつようは ありません。見つからない ときは、いえに ある 図かんや しゃしんの かたつむりで、まきの かずを かぞえても いいですよ。
- まきの かずを かぞえる。てっぺんから 入り口まで、ぐるぐる 何かい まいて いるか、ゆびで なぞって みます。
- 入り口の ふちを 見る。ふちの ちかくに、すじや、われて なおった あとが ないか、さがして みましょう。
見つけたら、手を あらいましょう。
今日できること
空き殻が見つかれば、次の2点を観察できます。生きているカタツムリを、採ったり触ったりしなくてかまいません。空き殻が見つからなければ、家にある図鑑や写真で巻きの数を数えてみてもよいでしょう。
- 巻きを頂上から数える。殻口のふちまで、何回巻いているか。大きい殻と小さい殻で、巻きの数がどう違うか比べる。
- 殻口のふちと殻の表面を見る。成長した跡のような筋や、割れて直ったような跡がないかを探す。ある場合、どこが厚くなっているか。
観察のあとは、手を洗ってください。
自分で確かめてみる
空き殻を観察する。殻頂の初期殻から殻口へ巻きを数え、殻口縁付近の成長線と、傷の跡がないかを探して、上の説明(殻口縁での成長、内側に足される修復)と照らしてみる。生きた個体には手を出さない。観察後は手を洗う。
続けて観察するなら
大きさの違う空き殻を並べ、巻きの数と殻口の厚みを比べる。見つからなければ、図鑑や写真で代用してよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
殻と体のつながり、殻の形成、修復、ヤドカリとの対比を、複数の資料で突き合わせました。いずれも解説資料が多く、一次論文は[6]だけです。
- カタツムリ - Wikipedia(日本語)。殻と体の関係、殻軸筋、殻を外せない理由。 https://ja.wikipedia.org/wiki/カタツムリ (殻と体の関係)
- Gastropod shell - Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Gastropod_shell (殻軸、三層、成長)
- Mantle (mollusc) - Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Mantle_(mollusc) (外套膜が殻をつくること)
- ナゾロジー、カタツムリの殻の記事。 https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/88446 (殻の成分の割合)
- Carnegie Museum of Natural History: Mollusks. https://www.carnegiemnh.org/science/mollusks/predators.html (殻の修復)
- Impact damage and repair in shells of the limpet Patella vulgata. Journal of Experimental Biology 219(24), 2016. https://journals.biologists.com/jeb/article/219/24/3927/16554/Impact-damage-and-repair-in-shells-of-the-limpet (カサガイの殻の修復)
- 環境省 せとうちネット、ヤドカリの解説。 https://www.env.go.jp/water/heisa/heisa_net/setouchiNet/seto/g1/g1chapter4/g1chapter4-2/ikimono-yadokari.html (ヤドカリが殻を借りること)
- 名古屋港水族館、ヤドカリのお家事情。 https://nagoyaaqua.jp/study/column/26175/ (ヤドカリの引っ越し)
- 科学バー、カタツムリとナメクジについて。 https://kagakubar.com/snail/02.html (解剖で殻を割ること)
- Snail - Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Snail (ナメクジとカタツムリ)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。