1. からさは、あじ なの?
1. 辛さは「味」なのか
1. 辛味は痛覚・温度感覚の刺激として説明される
あまい、しょっぱい、すっぱい、にがい、うまい。これは、舌で わかる あじです。
からさは、この なかまとは すこし ちがうと いわれます。くちの 神経が、いたい とか あつい と いう しらせを おくって いるからです[2]。
そのしらせと、においが いっしょに なって、あの からい カレーの 「おいしさ」に なると かんがえられて います[2]。
2. あつさと からさは、おなじ かぎあな
2. 熱さと辛さは、同じ「鍵穴」で感じる
2. TRPV1は43℃以上の熱・酸・カプサイシンで開く
くちの 神経には、受容体と いう、しらせを うけとる ぶぶんが あります。かぎあなの ような ものです。
とうがらしの からさの もとは、この かぎあなに ぴたっと はまります。じつは おふろの おゆが あつすぎる ときにも、おなじ かぎあなが はたらきます。
ただし 本当の かぎと かぎあなとは ちがい、ひとつの 受容体が、ちがう しゅるいの しらせにも はんのうします[2]。
あついスープに からい ものを 入れると、よけいに からく かんじる ことが あります。いっしょに はたらくと、つよく なるためだと されて います[2]。
3. かぎあなを みつけた けんきゅうグループ
3. 熱の受容体を探して、辛さの受容体に出会った
3. 1997年の同定とノーベル賞(2021年)
デイビッド・ジュリアスさんたち 研究グループは、とうがらしの からさを うけとる かぎあなを さがしました。
その 遺伝子を つきとめて みると、その かぎあなは あつさにも はんのうする ことが わかりました[3]。
この 発見は、1997ねんに 発表されました。のちに ジュリアスさんは、ノーベルしょうを もらって います[3]。
4. とりは、からくないの?
4. 鳥は唐辛子を辛く感じにくいという報告
4. 鳥類TRPV1とカプサイシンへの感受性の低さ
とうがらしを つついて たべる 鳥が います。ある けんきゅうでは、鳥の からさを かんじる かぎあなは、からさの もとに はんのうしにくいと ほうこくされています[4]。
かぎあなの かたちが、ほんの すこし ちがうと いわれます。すべての 鳥が そうかどうかは、まだ わかっていません。
鳥が たべると、たねが とおくへ はこばれる ことが あります。これが とうがらしに とって どんな とくに なるかは、かんがえ方の ひとつ(かせつ)で、たしかめられた 話では ありません[4]。
5. わさびは、はなに ツーン!
5. ワサビの刺激は、別の受容体と鼻
5. ワサビ:AITCとTRPA1
わさびを たべると、はなが ツーンと します。これも、からさと おなじ なかまの かぎあなが かんけいします。
すりおろした わさびからは、アリルイソチオシアネートと いう ものが できます。これが TRPA1と いう べつの かぎあなに はたらくと、ツンと した いたさが おきると いわれて います[2]。
わさびの からさは、したよりも はなや のどに、ツンと くる ことが あると 言われます[5]。
6. さんしょうの 「びりびり」は?
6. 山椒の「しびれ」は痛みだけでは説明できない
6. サンショオールとKCNK3・KCNK18
さんしょうを たべると、くちが びりびり します。これは、とうがらしの からさとは ちがう かんじです。
さんしょうの ものも TRPV1に はたらきますが、からさは とうがらしより ずっと よわいと いわれます[2]。
びりびり する ところは、べつの しくみが かんけいして いると、研究で しめされました。いたい 神経だけでなく、さわった ことを つたえる 神経も うごかすと しめされました[2]。
辛味は弱く、しびれは別の仕組み
山椒の成分サンショオールもTRPV1を活性化しますが、辛味の強さはカプサイシンよりずっと低いとされます[2]。
麻酔薬にも似たしびれは、TRPV1だけでは説明できません。ヒドロキシα-サンショオールが、カリウムチャネルのKCNK3とKCNK18を抑えることで、痛覚だけでなく、触覚に分類される感覚神経まで活性化することが、Bautistaらによって示されました[2]。
山椒のサンショオールもTRPV1を活性化するが、辛味の強さはカプサイシンよりはるかに低い。しびれ(麻酔薬に似た感覚)はTRPV1のみでは説明できず、Bautistaらは、ヒドロキシα-サンショオールがKCNK3とKCNK18を抑制し、痛覚だけでなく触覚に分類される感覚神経も活性化することを示した[2]。
辛さ・熱さ・冷たさ・しびれは、TRPチャネルやカリウムチャネルなど、複数の分子が分担している。「辛い」の一語の下に、少なくとも別々の経路がある。
「からさ」を もっと しりたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちで できる こと
おうちの 人と、しょくひんの ふくろの うしろを 見て みましょう。こしょう、わさび、さんしょうなど、からい ものが 入って いるでしょうか。
むりに たべて くらべたり しない ように しましょう。とうがらしに さわった 手で、目や はなを こすっては いけません。
今日できること
家にある香辛料やチューブ入りのワサビの、原材料表示を読んでみましょう。「唐辛子」「わさび」「山椒」のどれが入っているかで、この記事の話とつながるはずです。
辛いものを無理に食べたり、家族に食べさせたりする必要はありません。
公的な情報を読む
農林水産省のカプサイシンの解説ページに、食品の安全の観点からのまとめがあります。
今日できること
香辛料やチューブ入りワサビの原材料表示を読み、唐辛子・ワサビ・山椒などが、どの製品に使われているかを見る。辛いものを試すことまでは求めない。
資料を読む
- 農林水産省「カプサイシンに関する詳細情報」:性質と受容体についての解説
- 川端二功「スパイスの化学受容と機能性」日本調理科学会誌46(1):辛味・ワサビ・山椒を1本で整理した総説
- Nature 1997(389: 816–824):TRPV1の同定(英語)
辛いものの摂取や、目・鼻への刺激には、無理をしないこと。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の参照番号は、下の資料の番号と対応しています。英語の資料は、junior の資料案内と出典欄にのみ置いています。
- 農林水産省「カプサイシンに関する詳細情報」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/syousai/ (カプサイシンとTRPV1、灼熱感)
- 川端二功「スパイスの化学受容と機能性」日本調理科学会誌46(1), 2013 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/1/46_1/_pdf (TRPV1、ワサビ、山椒の総説)
- Hot to touch(PMC総説), 2021 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8560496/ (TRPV1の発見とノーベル賞)
- Conservation of Tubulin-Binding Sequences in TRPV1 throughout Evolution, PLoS ONE, 2012 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3322131/ (鳥のTRPV1とカプサイシン)
- カガクなキッチン「アリルイソチオシアネート」 https://kagakucook.com/allyl-isothiocyanate/ (ワサビの揮発の説明。一般向けの解説)
なおした ところ
更新履歴
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