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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

中学生に なると、どうして 夜に 目が さえるの?

思春期に夜型になるのはなぜか ── 体内時計が後ろへずれる年ごろ

思春期の睡眠位相の遅れ ── 朝型から夜型へ、そして20歳前後の折り返しまで

分野:からだ

小学生の ころは 朝 早く 起きられたのに、大きく なると 夜に 目が さえて、朝が つらく なる ことが あります。なまけて いるのでは ありません。

この メモでは、年れいごとの 数字と、研究けんきゅうで わかって きた ことを 見て、体内時計の ふしぎを たどります[2]。

小学生のころは朝早く起きられたのに、中学生や高校生になると、夜になっても目がさえて、朝がつらくなることがあります。それは気持ちの問題だけではないようです。

この記事では、ドイツの調査の数字と、日本の公的な資料、いくつかの研究の要旨を突き合わせて、思春期に体内時計が後ろへずれていく話をたどります[2]。

思春期になると、眠る時刻も起きる時刻も後ろへずれていく。この現象は、国内外の資料で繰り返し述べられている[1][2]。

本稿では、研究の要旨とドイツ・米国の調査、厚生労働省の睡眠ガイドを突き合わせ、遅れの背景として論じられていること、数年後に朝型へ向かう変化、休日の寝坊との関係を整理する。原文本文まで確認できていない部分は、その旨を区別して書く。

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1. 赤ちゃんと 16さいでは、なにが ちがう?

1. 赤ちゃんは朝型、16歳では夜型が増える

1. 朝型・夜型の年齢変化 ── ドイツの子ども・若者26,214人

ドイツで、2万6214人の 子どもと わかい 人を、年れいごとに 調べた 研究が あります[4]。

0さいから 1さいの 赤ちゃんでは、朝に 強い 子が やく 70パーセントでした。夜に 強い 子は 1パーセントほどです。

16さいでは、朝に 強い 人は 5パーセントに へり、夜に 強い 人は 19パーセントに ふえて いました。

ただし、1人の 人を ずっと 追いかけた 調べでは ありません。ちがう 年れいの 人を くらべた もの です。

では、10だいの あいだに、体の 中で なにが 起きて いるのでしょう。

ドイツの子どもと若者2万6214人を対象に、朝型・夜型を年齢別に比べた研究があります[4]。

0〜1歳では、朝型がおよそ70%、夜型は約1%でした。16歳になると、朝型は5%まで減り、夜型は19%に増えています。

これは同じ人を何年も追いかけた結果ではなく、年齢の違う人たちを並べて比べた横断的なデータです。ドイツでの調査という点も覚えておく必要があります。

それでも、10代のどこかで体内時計の向きが変わっているらしいことは伝わってきます。次に、その変化が公的な資料でどう説明されているかを見てみます。

Randler らは、ドイツの子ども・若者26,214人の横断データから、朝型・夜型の年齢変化を報告している。0〜1歳では朝型が約70%、夜型が約1%だが、16歳では朝型が5%、夜型が19%だった[4]。

注意点が2つある。1つは、1人を追跡した結果ではなく、年齢別の比較であること。もう1つは、対象がドイツの調査であることだ。日本でそのまま同じ数字になるとは限らない。

夜型が1%から19%へ増えるあいだに、朝型は約70%から5%へ減っている。この間に何が起きているのか、以下で追う。

2. 10だいの あいだに、時計は どちらへ ずれる?

2. 10代のあいだに、眠る時刻が後ろへずれる

2. 睡眠・覚醒の時刻は10代で後ろへずれる ── 国際的な要旨と日本の公的資料

研究者の まとめでは、人の ねむる 時間と 起きる 時間は、10だいの あいだに 後ろへ ずれて いきます[1]。

日本の 厚生労働省こうせいろうどうしょうも、「ねむりの ガイド」の 中で、思春期から 大人に なる ころは、ねる 時間が おくれやすいと 書いて います[2]。

つまり、夜に 目が さえるのは、めずらしい ことでは ありません。多くの 人が 通る 道の ようです。

ヒトの睡眠と覚醒の時刻は、10代の間に後ろへずれていく、と国際的な研究のまとめは述べています[1]。

日本の厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、思春期が始まるころから睡眠・覚醒のリズムが後ろへずれ、夜に寝る時刻が遅くなって朝起きにくくなる傾向がある、と書いています[2]。

国が違っても、同じ方向の変化が報告されています。夜に目がさえるのは、特別なことではなさそうです。

Crowley らの論文要旨は、睡眠・覚醒のタイミングが、ヒトの生後2番目の10年、つまり10代のあいだに後ろへずれると述べている[1]。

国内では、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が、思春期の始まる頃から睡眠・覚醒リズムが後退し、メラトニンの分泌開始が遅れて夜に寝る時刻が遅くなる傾向を挙げる[2]。国際的な要旨と国内の公的資料が、同じ方向の変化を指している。

ただし、いつ始まり、どれだけずれるかには個人差があると考えられる。ここでの記述はいずれも、集団の傾向についてのものだ。

3. 夜ふかしの せいだけ なの?

3. 夜更かしだけが原因ではない ── 眠気のたまり方と体内時計

3. 睡眠の恒常性調節と概日調節が思春期に変わる

夜ふかしを するから、朝 おきられないのだと 思う 人も いるでしょう。けれども、研究者の 中には、体の 中の しくみも かわる ためだと 考える 人が います[3]。

ねむく なる 合図は、ふたつの しくみが 出して います。ひとつは、起きて いる 時間が 長く なるほど たまる 「ねむけ」です。バケツに 水が たまる ようすに にて います。もうひとつは、体内時計で、かべの 時計が 「そろそろ 夜だよ」と 知らせる ような ものです。

思春期には、この ふたつの はたらきが どちらも かわる、と いわれます。夜に 明るい 光を あびると、ねる 時間の おくれが 強まる とも 書かれて います[3]。

ただし 本当の 体は、バケツや かべ時計より ずっと ふくざつです。くわしい ことは、いまも 研究が つづいて います。

夜更かしをするから朝起きられない、と考える人は多いでしょう。ところが研究者は、思春期には眠りを調節するしくみそのものが変わる、と論じています[3]。

眠くなる合図は、大きく2つの仕組みから出ています。1つは、起きている時間が長いほどたまっていく「眠気」です。バケツに水がたまっていくようすに似ています。もう1つは体内時計で、壁の時計が「そろそろ夜ですよ」と知らせるようなものです。

この2つの調節が、思春期に変わることが、睡眠の遅れにつながるとされます。夜に明るい光を浴びると、その遅れが強まるとも書かれています[3]。

バケツや壁時計のたとえは、あくまでイメージです。実際の体はもっと複雑で、どう変わるのかの細部は、研究が続いています。

Hagenauer らの論文の要旨は、思春期に睡眠の恒常性調節(眠気のたまり方)と概日調節(体内時計)の両方が変化し、これが睡眠位相の遅れを促すと論じている。この遅れは夜間の光曝露によって強まる、とも述べる[3]。

「夜更かしが原因」だけで説明するのは不十分で、生物学的な変化も関わる、という理解になる。ただしこれは1つの論文の要旨であり、変化の大きさや、各要因の寄与の割合までは、要旨からは読み取れない。

体内時計の周期や光への感じ方の変化などが、遅れの仕組みの候補としてよく挙げられる。だが、確定した説明としてはここでは書かない。

4. ほかの どうぶつも 同じ なの?

4. 思春期の遅れは、多くの哺乳類にも見られるらしい

4. 思春期の睡眠位相の遅れは、哺乳類で共通する可能性がある

この 夜がたへの ずれは、人間だけの ことでは ないかも しれません。

思春期に ねる 時間が おくれる のは、多くの 哺乳類ほにゅうるいで 同じように 起きる ことが 多そうだ、と 研究者は 書いて います[3]。

どの どうぶつで 調べられたのかは、その まとめには 書かれて いませんでした。ですから、ここでは 「そうかも しれない」と いう ところまでに して おきます。

思春期に睡眠が後ろへずれる現象は、人間の思春期に特有のものではなく、多くの哺乳類に共通する可能性が高い、と研究者は書いています[3]。

ただし、どの動物で確かめられたのか、何種で調べられたのかは、この要旨には書かれていません(論文の本文には、サルやネズミの仲間などが挙がっています)。「可能性が高い」という表現なので、確定した事実として受け取るのは避けたほうがよさそうです。

もしそうなら、思春期の夜型化は、人間の暮らし方や習慣だけで生まれたものではないことになります。

同じ論文の要旨は、思春期の睡眠位相の遅れは、ヒト特有ではなく哺乳類で広く見られる現象である可能性が高い、と述べる[3]。

要旨には種名が書かれていない(本文には、アカゲザル・デグー・ラット・マウス・ファットサンドラットの5種が挙がる)。「likely(可能性が高い)」という限定つきの記述でもあるので、共通する現象だと言い切ることは避ける。

この見方が正しければ、思春期の遅れは、現代の生活習慣だけでは説明できない生物学的な性質を含むことになる。ただし、なぜそのような性質が進化したのかは、今回の資料からは言えない。

5. 夜ふかしの 時計は、ずっと つづくの?

5. ずれは続かない ── 15歳から20歳前後の折り返し

5. 朝型への転換点 ── 女子15.7歳・男子17.2歳と、19歳前後のピーク

ずれは、ずっと つづく わけでは ないようです。

さきほどの ドイツの 研究では、朝がたに むかう 向きが かわる 年れいは、女子が 15.7さい、男子が 17.2さいでした[4]。

アメリカで 12年ぶんの 時間の 使い方を 調べた 研究では、おそく なる のが いちばん 大きい のは 19さい ごろで、その あとは 少しずつ 早く なると 書かれて います[5]。

ふたつの 数字は ずれて います。はかり方が ちがうからだ と 考えられます。ですから、「10だいの 終わりごろから 20さいごろ」と、はばを もたせて おぼえて ください。

ドイツの研究では、朝型へ向かう転換点は、女子が15.7歳、男子が17.2歳でした[4]。

米国で12年分の時間の使い方を調べた研究の紹介では、遅さのピークは19歳前後で、その後は年齢とともに再び早くなるとされています[5]。

2つの数字は食い違っています。測っているものが違うからだと考えられるので、どちらか1つだけを正解とせず、「10代後半から20歳前後」と幅をもたせて受け取るのがよさそうです。

夜型に傾く時期は、一生続くのではなく、ある時期を過ぎるとまた前へ向かうようです。

Randler らのデータでは、朝型へ向かう転換点は女子15.7歳、男子17.2歳だった[4]。一方、米国の時間の使い方調査(12年分)の解析では、遅さのピークは19歳前後で、その後は年齢とともに再び早くなるとされる[5]。

2つの年齢は一致しない。前者は朝型・夜型の分布から出した転換点、後者は時間の使い方の調査から出したピークで、測り方が異なるためと考えられる。どちらかだけを取り上げて断定するのは適切でない。

この論点は、ヒトの体内時計が思春期を過ぎて前へ戻る時期の目安を、複数の指標で見る必要があることを示している。なお、後者は二次的な紹介からの引用であり、原文の本文までは確認できていない。

6. 休みの 日に ねぼうすると どうなるの?

6. 休日の寝坊と、朝の光の役目

6. 休日の起床の遅れと、朝の光によるリセット ── 厚生労働省ガイドから

10だいは、学校で 朝 早く 起きる ため、ねむりが たりなく なりやすい と、ガイドは 書いて います[2]。

学校の ない 休みの 日に、たりない ぶんを とりもどそうと おそく 起きると、午前中の 日光を あびられません。すると、体内時計は 後ろへ ずれやすく なる、と 説明せつめいして います[2]。

そこで ガイドは、休みの 日も ふだんと 同じ 時間に 起きて、日光を あびる ことを すすめて います[2]。

朝の 光は、体内時計を ととのえる 手がかりに なるのです。

厚生労働省のガイドによると、10代は部活動や勉強、デジタル機器の使用などで夜遅くまで活動することが増える一方、朝は登校のために起きなければならず、睡眠不足がたまりやすくなります[2]。

学校のない休日に、不足を取り戻そうと起床を遅らせると、午前中に日光を浴びられず、睡眠・覚醒のリズムはさらに後ろへずれやすくなる、と説明されています[2]。

そのため同じガイドは、休日もふだんと同じ時刻に起きて日光を浴びることを勧めています[2]。

朝の光は、体内時計を整える手がかりになっているようです。

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(こども版)は、思春期には夜更かしや睡眠不足が生じやすく、学校のない休日に睡眠負債を解消しようと起床を遅らせると、午前中に日光を浴びられず、睡眠・覚醒リズムが後退しやすくなると説明している[2]。

対策として同ガイドは、週末休日も普段と同じ時刻に起床して日光を浴びることを挙げる[2]。思春期に体内時計が後ろへずれやすいことと、休日の起床の遅れ、朝の光が、1本の線でつながる。

ただし、これは集団に向けた一般的な説明であり、個人の睡眠の悩みに対する助言ではない。気になる場合は、学校の先生や家族、医療機関など身近な人や機関に相談する道もある。

7. じぶんでも たしかめて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

1しゅうかん、朝 起きた 時間を、紙に 書いて みましょう。たてに 日にち、よこに 時間を とって 点を うつと、休みの 日に 点が どこへ 動くか、線で 見えて きます。

ほかの 人と くらべて、いい わるいを きめる ひつようは ありません。としょかんで、「体内時計」の 本を さがして みるのも いいですね。

1週間、朝起きた時刻を紙に書いてみましょう。縦に日付、横に時刻をとって点を打ち、線でつなぐと、休日に点がどちらへ動くかが見えてきます。

ほかの人と比べて、良い悪いを決める必要はありません。図書館で体内時計の本を探して、この記事の書き方とどこが同じで、どこが違うか、見比べてみるのもおもしろいと思います。

この記事の数字は、複数の資料を突き合わせて書いている。自分の体でも確かめられる。

  • 1週間、朝起きた時刻を紙に書き、縦に日付・横に時刻をとって点を打つ。平日と休日で点がどちらへ動くかを見る。
  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の思春期の節を読み、この記事の説明と照らし合わせる[2]。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

出典について:研究の要旨、ドイツ・米国の調査、厚生労働省の資料を突き合わせて使った。各出典は、下の( )に書いた説明に使った。

  1. Crowley SJ, Acebo C, Carskadon MA (2007) Sleep Medicine(要旨) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17383934/ (10代で睡眠の時刻が後ろへずれることについて)
  2. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf (思春期の睡眠の遅れ、休日の朝寝坊と朝の日光について)
  3. Hagenauer MH et al. (2009) Developmental Neuroscience(要旨) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19546564 (眠気のたまり方と体内時計の変化、哺乳類での共通性について)
  4. Randler C et al. (2017) Scientific Reports https://www.nature.com/articles/srep45874 (ドイツの朝型・夜型の年齢別の割合と転換点について)
  5. Chronotypes in the US(PLOS One, 2017) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5479630/ (米国での遅さのピークの年齢について)

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