1. むすこの ために 作った、空気の 入る タイヤ
1. 息子のために作った、空気の入るタイヤ
1. 息子の頭痛から生まれた発明
ジョン・ボイド・ダンロップと いう じゅう医さんの むすこ、ジョニーは、三りん車に のる たびに、頭が いたく なって いました。それまでの タイヤは 木や かたい ゴムで できて いて、石だらけの 道の でこぼこが、そのまま 体に つたわって いたのです。
1888年、父の ダンロップさんは この もんだいを かいけつしようと、ゴムの チューブに 空気を 入れて タイヤの まわりに まきつける ほうほうを 考えました[1]。
空気を 入れた タイヤに かえてから、ジョニーの 三りん車は、ずっと 乗り心地が よく なりました。
ジョン・ボイド・ダンロップという獣医さんの息子、ジョニーは、三輪車に乗るたびに、頭が痛くなっていました。それまでのタイヤは木や硬いゴムでできていて、石だらけの道のでこぼこが、そのまま体に伝わっていたのです。
1888年、父のダンロップさんはこの問題を解決しようと、ゴムのチューブに空気を入れてタイヤの周りに巻きつける方法を考えました[1]。
空気を入れたタイヤに変えてから、ジョニーの三輪車は、ずっと乗り心地がよくなりました。
2. じつは、もっと まえに おなじ アイデアが あった
2. 実は、もっと前に同じアイデアがあった
2. 40年以上前に眠っていた、もう一つの特許
ダンロップさんの アイデアは、大人気に なりました。ところが、その あと おどろく ことが わかります。
じつは、ダンロップさんより 40年も 前に、トムソンと いう べつの 発明家が、おなじような 空気入りタイヤの アイデアを、すでに とっきょ(発明した 人だけが つかえる けんり)に して いたのです[2]。
ダンロップさんの とっきょは、この あと、みとめられなく なって しまいました。それでも、空気入りタイヤを 広めた 人として、今でも ダンロップさんの 名まえが のこって います。
ダンロップさんのアイデアは、大人気になりました。ところが、そのあと驚くことが分かります。
実は、ダンロップさんより40年も前に、トムソンという別の発明家が、同じような空気入りタイヤのアイデアを、すでに特許にしていたのです[2]。
ダンロップさんの特許は、このあと、認められなくなってしまいました。それでも、空気入りタイヤを広めた人として、今でもダンロップさんの名前が残っています。
ダンロップの発明は自転車業界で瞬く間に広まったが、その後、思わぬ事実が判明する。1845年、スコットランド出身の発明家ロバート・ウィリアム・トムソンが、すでに空気入りタイヤの特許をイギリスで取得しており、1846年にはフランスで、1847年にはアメリカでも特許を得ていた[2]。
当時はゴムの製造コストが高く、トムソンの発明は実用化されないまま忘れられていた。この先行特許が発見されたことで、ダンロップの特許は1890年前後に無効と判断された(無効の判断年は1890年とする資料と1892年とする資料がある)[2]。
それでも、実用的な空気入りタイヤを普及させた人物として、ダンロップの名は今も自動車部品メーカーの社名に残っている。その後、自動車用タイヤも改良が重ねられ、1946年にはフランスのミシュラン社が、スチールベルトを使った「ラジアルタイヤ」の特許を登録し、1951年には初めて量産車に採用された[3]。
3. 空気は、ばねの かわりに なる
3. 空気は、ばねの代わりになる
3. 空気がクッションになる仕組み
じてん車も 車も、タイヤの 中に 入って いる 空気の しくみは おなじです。
ふうせんを おすと、少し へこんで、また もとに もどります。タイヤの 空気も、これと にた はたらきを します。地めんの でこぼこを、空気が おしちぢんで うけとめて くれるのです。ただし ほんとうは、タイヤの 中の 空気は、ふうせんより ずっと つよい 力で おしこまれて います[4]。
もし タイヤに 空気が 入って いなかったら、木の 車りんと おなじで、でこぼこが そのまま 体に つたわって しまいます。
自転車も車も、タイヤの中に入っている空気の仕組みは同じです。
風船を押すと、少しへこんで、また元に戻ります。タイヤの空気も、これと似た働きをします。地面のでこぼこを、空気が押し縮んで受け止めてくれるのです[4]。
もしタイヤに空気が入っていなかったら、木の車輪と同じで、でこぼこがそのまま体に伝わってしまいます。
4. ほそい じてん車の タイヤの ほうが、空気を ぎゅっと つめて いる
4. 細い自転車のタイヤのほうが、空気をぎゅっと詰めている
4. 細いタイヤほど、空気圧が高くなる理由
ここで クイズです。じてん車の ほそい タイヤと、車の ふとい タイヤ。空気を ぎゅうぎゅうに つめて いるのは、どちらでしょうか。
こたえは、じてん車の ほうです。じてん車の タイヤは、車の タイヤより、空気を つよく おしこんで あります[5]。
じてん車の タイヤは、せっちする 地めんの めんせきが せまいので、体重を ささえるには、空気を つよく つめる ひつようが あるのです。
ここでクイズです。自転車の細いタイヤと、車の太いタイヤ。空気をぎゅうぎゅうに詰めているのは、どちらでしょうか。
答えは、自転車のほうです。自転車のタイヤは、車のタイヤより、空気を強く押し込んであります[5]。
自転車のタイヤは、接地する地面の面積が狭いので、体重を支えるには、空気を強く詰める必要があるのです。
意外に思われるかもしれないが、自転車のタイヤの空気圧は、一般的な目安として80〜110psi程度であるのに対し、自動車のタイヤはおよそ30〜35psi程度と、自転車のほうがはるかに高いことが多い(車種やタイヤの種類による幅はある)[5]。
圧力とは、単位面積あたりにかかる力である。同じ荷重でも、タイヤの接地面積が小さいほど、単位面積あたりにかかる力は大きくなり、必要な空気圧も高くなる。自動車は自転車よりずっと重いが、タイヤの接地面積もそれ以上に大きいため、単位面積あたりの荷重はむしろ小さくなる。接地面積が非常に小さい自転車のタイヤでは、より高い空気圧が必要になる[5]。
この関係は、細いハイヒールのかかとが、幅の広い靴底より地面に食い込みやすいことと同じ理屈である。
5. せかいでも とくに 大きい タイヤ
5. 世界でも指折りの大きさのタイヤ
5. 世界最大級のタイヤ ── 直径4メートル超
日本の ブリヂストンと いう 会社は、せかいでも とくに 大きい タイヤを 作った ことが あります。作られた ときは、せかいで いちばん 大きい タイヤでした。
その 大きさは、たての 長さが 4メートルを こえます。キリンより 高いのです。おもさは 5トンいじょうで、ゾウ 1頭に ちかい おもさです[6]。
この 大きな タイヤは、こうざんで はたらく、とても 大きな トラックに つかわれて います。
日本のブリヂストンという会社は、世界でも指折りの大きさのタイヤを作ったことがあります。作られたときは、世界で一番大きいタイヤでした。
その大きさは、縦の長さが4メートルを超えます。キリンより高いのです。重さは5トン以上で、ゾウ1頭に近い重さです[6]。
この大きなタイヤは、鉱山で働く、とても大きなトラックに使われています。
6. 空気を ほうって おくと、あぶない
6. 空気を放っておくと、危ない
6. 空気圧を放置すると起きること
タイヤの 空気は、なにも しなくても、1か月に すこしずつ へって いきます[7]。
日本の JAFと いう だんたいが、空気が すくない タイヤで、はやい スピードで 走る じっけんを しました。すると、タイヤの ひょうめんが 波の ように うねりだし、おんどが 100ど いじょうに なって、さいごには タイヤが やぶれて しまいました[7]。
ちょうどよい 空気の りょうを たもった タイヤでは、おなじ スピードでも、おんどは 60どぐらいで、もんだいは おきませんでした。
タイヤの空気は、何もしなくても、1か月に少しずつ減っていきます[7]。
日本のJAFという団体が、空気が少ないタイヤで、速いスピードで走る実験をしました。すると、タイヤの表面が波のようにうねりだし、温度が100度以上になって、最後にはタイヤが破れてしまいました[7]。
ちょうどよい空気の量を保ったタイヤでは、同じスピードでも、温度は60度ぐらいで、問題は起きませんでした。
タイヤの空気圧は、走行していなくても自然に低下し、日本自動車タイヤ協会によると1か月でおよそ5%減少するとされる[7]。
JAFが2016年に行った検証実験では、適正空気圧の半分に減らしたタイヤで時速200kmまで加速したところ、タイヤ表面が波打つ「スタンディングウェーブ現象」が発生し、表面温度が100℃を超えた。時速210kmでは、このタイヤはバースト(破裂)した。一方、適正空気圧のタイヤは、同じ時速210kmでも外見上の異常はなく、表面温度もおよそ60℃にとどまった[7]。
日常の速度域では同じ現象は起きにくいが、空気圧不足は摩耗の偏りや燃費の悪化にもつながるため、月に1回程度の点検が推奨されている[7]。
じぶんでも やって みる
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
じぶんの じてん車の タイヤを、大人と いっしょに 見て みましょう。ゆびで おして みて、かたいか、やわらかいか たしかめて みて ください。
タイヤの がわめんに、小さな 文字で 数字が 書いて あります。その 中に、その タイヤに あった 空気の りょうが 書いて ある ことも あります。
空気入れを つかう ときは、大人と いっしょに 行いましょう。タイヤに 空気を 入れすぎないように、ちゅういして ください。
自分の自転車のタイヤを、大人と一緒に見てみましょう。指で押してみて、硬いか、柔らかいか確かめてみてください。
タイヤの側面に、小さな文字で数字が書いてあります。その中に、そのタイヤに合った空気の量が書いてあることもあります。
空気入れを使うときは、大人と一緒に行いましょう。タイヤに空気を入れすぎないように、注意してください。
自転車のタイヤの空気圧を測ってみる
空気圧計つきの空気入れがあれば、自分の自転車のタイヤの空気圧を実際に測り、タイヤの側面に書かれた適正値(psiまたはbar表記)と比べてみる。自動車の運転席ドア付近に貼られている適正空気圧の表示も、あわせて確認してみると、自転車と自動車の違いを実感できる。
一次資料を読む
- JAFのタイヤバースト実験の映像や記録を見て、スタンディングウェーブ現象が起きる速度と空気圧の関係を確認してみる。[7]
空気入れや空気圧計の使用は、大人と一緒に行うこと。指定された空気圧の範囲を超えて入れすぎないこと。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
- Wikipedia(英語版)「John Boyd Dunlop」。 https://en.wikipedia.org/wiki/John_Boyd_Dunlop (ダンロップが息子ジョニーの三輪車のために1888年に空気入りタイヤを考案したこと、当時のタイヤが木や硬化ゴムだったこと、同年12月7日の特許取得、翌年の会社設立)
- Britannica「Pneumatic tire」ほか複数の百科事典的解説。 https://www.britannica.com/technology/pneumatic-tire (ロバート・ウィリアム・トムソンが1845〜1847年に空気入りタイヤの特許を英・仏・米で取得していたこと、当時は実用化されず忘れられていたこと、ダンロップの特許が1890年前後〔資料により1890年または1892年〕に無効と判断されたこと)
- Michelin Group公式サイト「The triumph of the radial tyre」ほか。 https://news.michelin.co.uk/articles/the-triumph-of-the-radial-tyre (ミシュランが1946年6月4日にスチールベルト入りのラジアルタイヤ「ミシュランX」の特許を登録し、1951年に初めて量産車〔ランチア・アウレリアB20〕に採用されたこと)
- 一般的なタイヤの構造・機能に関する解説(自動車工学の基礎知識)。 (タイヤ内の空気が路面の凹凸を吸収するクッションとして働くこと、車体の重さを接地面全体に分散させる役割)
- 自転車・自動車のタイヤ空気圧に関する複数の専門解説記事(一般的な空気圧の目安:自転車80〜110psi程度、自動車30〜35psi程度。車種やタイヤの種類による幅がある)。 (自転車のタイヤが自動車のタイヤより高い空気圧を必要とする理由が、接地面積の違いにあること)
- 株式会社ブリヂストン公式サイト「ブリヂストン物語」、Merkmal「『世界最大のタイヤ』――その驚異のサイズとは!?」。 https://www.bridgestone.co.jp/corporate/history/story/10_03.html /https://merkmal-biz.jp/post/99316/2 (「59/80R63」の直径4.02m・重さ5.1t・1本で100トン以上の荷重に耐えること・価格約350万円、400トン級ダンプトラックへの装着、開発当時〔2001年〕のギネス世界記録掲載)
- JAF「空気圧不足でも起きるタイヤのバースト(JAFユーザーテスト)」。 https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/driving-environment/burst (2016年の実験で、適正空気圧の半分のタイヤが時速200kmでスタンディングウェーブ現象を起こし表面温度が100℃を超えたこと、時速210kmでバーストしたこと、適正空気圧のタイヤは同条件で温度約60℃にとどまったこと、タイヤの空気圧が1か月で約5%自然低下すること)
なおした ところ
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