1. 木は どこが ふとるの?
1. 幹は外側にだけ層を足していく
1. 形成層 ── 幹が太る場所
木を 切ると、切り株に まるい 縞模様が 見えます。これが 年輪です。
木が ふとる ところは、まんなかでは ありません。樹皮の すぐ 内がわに ある、うすい ところです。ここを 形成層と 言います。形成層は、内がわに 木の 部分を、外がわに 皮の もとに なる ものを つくります[1]。
ですから、いちばん 新しい 年輪は、いつも 外がわに あります[2]。ゆきだるまに、まわりから ゆきを まいて 大きく するのに にて います。ただし ほんとうは ゆきではなく、小さな 細胞が ふえて いくのです。
2. しまは どうして 1年に 1本?
2. 春〜夏と夏〜秋で、細胞の作りが変わる
2. 早材と晩材 ── 縞に見える細胞の差
形成層が つくる 細胞は、季節で すがたが かわります。
春から 夏に、木が げんきに そだつ ころは、大きくて かべの うすい 細胞が できます。夏から 秋に、そだちが おとろえる ころは、小さくて かべの あつい 細胞が できます[3]。
この 2つの ちがいが、色の うすい ところと こい ところに 見えます。うすい ところと こい ところで、1年ぶんです[3]。
ただし、そだつ 時期は 木や 場所で ちがいます。しらべた ところでは、そだち はじめは 4月の なかばから 6月の はじめ、おわりは 8月の なかごろから 10月まで と、ばらつきが ありました[3]。
3. しまが 見えない 木も あるの?
3. 縞ができない木・見えにくい木がある
3. 年輪は「成長の休み」が生む ── 熱帯と散孔材
年輪は、「そだつ 時期」と「やすむ 時期」の くりかえしで できます[4]。
1年じゅう あたたかい 熱帯雨林では、木が 1年じゅう そだつので、ふつう 年輪は できません[4]。でも、雨季と 乾季が はっきり 分かれる ところでは、乾季に そだつのを やすむので、年輪が 見える ことが あります[5]。
日本の コナラなどは、年輪が 見えにくい 木です。水を はこぶ くだの 大きさが、春の 部分と 秋の 部分で あまり かわらないからです[4]。見やすさは、木の 作りにも よります。
4. しまの はばが、天気を おぼえて いる?
4. 年輪の幅は、その年の気候を映す
4. 年輪幅と気候 ── 江戸時代の飢饉の年
年輪の 幅は、どの 年も 同じでは ありません。気候によって、ひろく なったり せまく なったり します[6]。
たとえば、江戸時代の 飢饉の 年は、気温が ひくくて 木の そだちが わるく、年輪の 幅も せまい ことが わかって います[6]。
木は しゃべりませんが、幅の ならびが、その 年の 天気の ようすを のこして いるのです。
年輪の幅は、気候によって広くなったり狭くなったりします[6]。成長に向かない年は、木が太る量が少なくなるためです。
例として、江戸時代の飢饉の年は気温が低く、木の成長が悪いので、年輪の幅も狭いことが分かっています[6]。文字の記録が少ない時代の天気を、木が別の形で残していることになります。
年輪幅は気候によって変動する。奈良文化財研究所の解説によれば、江戸時代の飢饉の年は気温が低く、木の成長が悪いため年輪幅が狭いことが分かっている[6]。
幅の変動を古い時代の気候の手がかりとして使えることは、次章の年代測定の前提にもなる。
5. しまの ならびで、木が 切られた 年が わかる?
5. 幅の並びをつなげて、年代の物差しにする
5. 年輪年代学 ── 1年単位で伐採年を当てる仕組み
年輪の 幅の ならびは、年ごとに ちがいます。生きている 木の 年輪から、ふるい 木の 年輪へと、ならびを 重ねて つないで いくと、年代の 物差しが できます[6]。これを 年輪年代学と 言います。
この やり方は、奈良文化財研究所が 1980年代に、つかえる ように しました。ヒノキと スギの 物差しは、やく 3000年ぶんに なります[7]。
ただし、ヒノキが 3000さい という ことでは ありません。たくさんの 木の ならびを つないだ 長さです。
これで、古い 柱などの 木が、何年に 育ったか、1年の ちがいで しらべられると 言われて います[9]。ただし、外がわが けずられて いる 木では、切られた 年が はっきり しない ことも あると 考えられます。
年輪の幅の並びは、年ごとに違います。この変動を、現在から古い時代へ向かってつなぎ合わせると、年代を測る物差しができます[6]。これが年輪年代学です。
つなぎ方は、年が分かっている生きた木から始めます。古い木材の年輪パターンを、すでにできている標準の曲線と比べ、重なる部分を見つけて、少しずつ過去へ延ばしていきます[8]。
日本では、奈良文化財研究所が1980年代にこの方法を実用化しました。ヒノキやスギの標準パターンは約3000年分です[7]。約3000年とは、ヒノキ1本が3000歳という意味ではなく、多くの木を重ねてつなげた長さのことです。
奈文研の説明では、木質の文化財に使われた木の年輪が何年に形成されたかを、1年の精度で明らかにできるとされています[9]。ただし、削られて外側が残っていない材では、伐採年が分かるとは限りません。
年輪年代学は、年輪幅の変動を現在から遡ってつなぎ合わせ、年代の物差しをつくる方法だ。文化財の木材について、年輪が形成された年を1年単位で特定できる。伐採年まで分かるかは、外側の材が残っているかによる。数ある年代測定法の中で最も精度が高いとされる[6]。
標準パターンは、年が既知の生きた木の年輪変動から蓄積し、古い試料の年輪パターンを既知の標準曲線と比較して重なりを見つけ、過去へ延ばして作る(クロスデーティング)[8]。放射性炭素年代測定は数十〜数百年の統計誤差を含むのに対し、年輪年代法は年単位で決まると説明される[8]。この比較の記述は百科事典による整理である。
日本では、奈良文化財研究所が光谷拓実らの研究を通じて1980年代に実用化した。ヒノキ・スギの暦年標準パターンは約3000年分に及ぶ。約3000年は、多数の木を接続した長さであり、1本の木の樹齢ではない。適用できる主な樹種は、ヒノキ・スギ・コウヤマキ・ヒバだ[7]。
奈文研の年代学研究室は、木質文化財に使われた木の年輪が何年に形成されたかを1年の精度で誤差なく明らかにできる、と説明する[9]。ただし、伐採年まで分かるのは樹皮直下まで材が残る場合に限られると考えられる。外側が削られた材では、示されるのは「その年以降」となる。
6. いちばん 長生きの 木は、なん年?
6. 年輪を数えて推定された、約4700年の木
6. メトセラ ── コア試料の年輪から推定された長寿樹
アメリカに、ブリッスルコーンパインと いう 木が あり、「メトセラ」と 名づけられて います。1957年に シュルマン博士が 見つけました[10]。
年輪を 数えると、やく 4700年と 考えられて います[10]。木を まもる ため、生えて いる 場所は ひみつに されて います[10]。
7. 切り株の 縞を 見に 行こう
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 出口 ── 縞を観察する/原典を読む
おうちに ある 木の まるい きれはしや、さわって よい 場所に ある 切り株を 見つけたら、縞を ゆびで そっと なぞって みましょう。ぜんぶ 数えられなくても だいじょうぶです。
いちばん 外がわが 新しい 年輪で、木の 皮の すぐ 下まで のこって いれば、切られた 年を しらべる てがかりに なります。ひろい 縞と せまい 縞を さがして、どちらが 多いか 見て みましょう。
家にある木の断面や、触れてよい場所にある切り株を探してみてください。外側(樹皮に近いほう)が新しい年輪です。幅の広い縞と狭い縞のどちらが多いか、縞が読みにくい木がないかを見てみましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:大学・学会・奈良文化財研究所の解説ページ、ニューヨーク植物園のブログ、百科事典を使った。熱帯の年輪と年代測定の比較の一部は、二次的な解説による。
- 山形大学「年輪の構造」。 https://www.tr.yamagata-u.ac.jp/~fi/Treering/Structure/ (形成層と木部・樹皮のでき方について)
- 子供の科学「木にはどうして年輪があるの?」。 https://www.kodomonokagaku.com/read/hatena/5145/ (外側の年輪ほど新しいことについて)
- 日本植物生理学会 植物Q&A「年輪のできる季節・時期」。 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=6028 (早材と晩材、成長の始まりと終わりの時期について)
- 日本植物生理学会 植物Q&A「落葉樹の年輪がはっきりしない理由」。 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=5157&key=&target= (熱帯で年輪ができにくいことと、散孔材について)
- もりわく「年輪からわかる樹木のこと」。 https://moriwaku.jp/learn/836/ (雨季と乾季のある地域の年輪について)
- 奈良文化財研究所 なぶんけんブログ(22)「年輪から知る年代と気候」。 https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2014/06/tanken22.html (年輪幅と気候、年代の物差しについて)
- 奈良文化財研究所 なぶんけんブログ「年輪年代学」。 https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2010/01/koukokagaku-nenrin.html (実用化の時期と、標準パターンの長さについて)
- 「年輪年代学」日本語版ウィキペディア。 https://ja.wikipedia.org/wiki/年輪年代学 (標準パターンの延ばし方と、放射性炭素年代測定との比較について)
- 奈良文化財研究所 年代学研究室。 https://www.nabunken.go.jp/org/maibun/dating.html (年輪年代法で分かることについて)
- New York Botanical Garden, Plant Talk "A Bristlecone Pine Named Methuselah". https://www.nybg.org/blogs/plant-talk/2011/12/gardens-and-collections/a-bristlecone-pine-named-methuselah/ (メトセラの発見と、年数の推定、場所の非公開について)
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