このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

つるは めも てもないのに、どうして まきつけるの?

目も手もないつるは、どうやって支えを見つけて巻きつくのか

つる植物の巻きつき ── 回旋運動・接触屈性・巻き方向の遺伝と「左巻き」呼称の変更

分野:自然

アサガオの つるは、ぼうを 見つけると、くるくると まきつきます。でも、つるには 目も 手も ありません。

どうして ぼうが どこに あるか わかるのでしょう。しらべた ことを、いっしょに たどって みましょう。

アサガオのつるは、支柱に触れると、すっとそれに巻きついていきます。けれども、つるには目も手もありません。支えがどこにあるのかを、何で知るのでしょうか。

巻きつく前の動き、触れた後に起きること、巻く向きを決めているものを、いくつかの資料を見比べながら追います。

つる植物のうち、アサガオのように茎そのものが巻きつくものは、支えを探して先端を大きく回し(回旋運動)、触れると接触刺激に応じて巻きつくと説明される[1][4]。

このメモでは、その仕組みの説明、巻く向きが種ごとに遺伝で決まり地球の自転とは関係がないこと[6]、「左巻き」の呼称が定義の変更で逆になった経緯[5]、さらに査読前の最新の報告[7]を、複数の資料を突き合わせてたどる。

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2. さわった ところで、なにが おきるの?

2. 触れたあと、茎の中では何が起きるのか

2. 接触屈性 ── 触れた側と反対側の成長のちがい

つるが ぼうに さわると、さわった がわは のびるのが とまります。はんたいがわは、もっと のびます[2]。

かたほうだけ ながく なると、つるは ぼうの ほうへ まがります。おなじ ながさの かみを 2まい はりあわせて、かたほうだけ ながくしたら、ながく なった ほうが そとに なって まがる ようす、と おなじです。

ただし 本当は かみでは なく、生きた つるの ぶぶんが のびて います。かたがわずつ のびるので、つるは くるくると まきついて いきます。

触れた面は止まり、反対の面は伸びる

つるの先端が支えに触れると、触れた面は伸びが止まり、反対の面は伸びが増すと説明されます[2]。片側だけが長くなるので、茎は支えのほうへ曲がり、これが続くと巻きつきになります。「接触屈性」と呼ばれる反応です[1]。

千葉大学の解説では、これを、性質のちがう2枚の金属を貼り合わせた「バイメタル」が曲がるのと同じ原理、と表現しています。ただし金属の熱膨張とは別で、たとえとして使われています。

説明の言い方が少しちがう

新潟大学の解説では、接触した部分より下は成長が遅くなり、上は速いままなので巻きつくとされます[3]。「触れた側と反対側」と「下と上」で、見ている向きがちがう説明です。

つる植物の巻きつきの多くは接触屈性(せっしょくくっせい)による。先端を不規則に動かしながら伸び、支柱に触れると、接触側と反対側の細胞が伸長して巻きつく[1]。千葉大学の丸尾達教授の解説では、触れた面の伸びが止まり、反対の面の伸びが増すことで巻いていく[2]。

説明の軸は資料で異なる。新潟大学の解説では、接触部より下は成長が緩慢になり、上は速いままなので巻きつくとされる[3]。前者は「触れた側/反対側」、後者は「下/上」と、見ている向きが異なる。

丸尾教授の解説は、この曲がり方をバイメタルにたとえるが、金属の熱膨張ではなく、たとえとして使われている[2]。触れたことを植物がどう感じ取るのか、その分子レベルの仕組みは、今回確認した資料では分からなかった。

3. まく むきは、だれが きめるの?

3. 巻く向きは、種ごとに決まっている

3. 巻き方向 ── 遺伝と、呼称の定義変更

アサガオは、上から 見ると、とけいと はんたいまわりに まきます[5]。これは 地球が まわって いる せいでは ありません。

まく むきは、植物の しゅるいごとに、いでんで きまって いると いわれます。オーストラリアの アサガオも、日本と おなじ むきです[6]。同じ 場所に、ぎゃくむきに まく しゅるいも あります。

ただし、むきを きめる いでんしは、まだ 見つかって いません[6]。

地球の自転とは関係がない

アサガオは、上から見て反時計回りに巻きます[5]。「北半球だから」「地球の自転のせいだ」と考えたくなりますが、日本植物生理学会のQ&Aでは、巻く向きは種ごとに遺伝で決まり、南半球のオーストラリアのアサガオも日本と同じ向きで、同じ地域に逆巻きの種もあると説明されています[6]。

向きを決める遺伝子は、まだ特定されていません[6]。

「左巻き」が「右巻き」になった

アサガオの巻き方は、昔は「左巻き」と呼ばれていました。今の定義は、つるに沿って進んだとき右回りなら右巻き、というネジと同じ決め方で、これだとアサガオは「右巻き」です。呼び方が変わったのは、2012年の回答の時点で約40年前(1970年代ごろ)のことだと、学会のQ&Aは説明しています[5]。本や資料を読むときは、どちらの定義か確かめるとよさそうです。

アサガオは上から見て反時計回りに巻く。日本植物生理学会のQ&Aによれば、この向きは種ごとに遺伝で決まり、北半球・南半球や地球の自転とは無関係で、オーストラリアのアサガオも日本と同じ、同じ地域に逆巻きの種もある[6]。巻き方向を決める遺伝子は同定されていない[6]。

呼称には定義の問題がある。以前は上から見た回転方向に基づいてアサガオを「左巻き」と呼んだが、現在の定義は、つるに沿って進むとき右回りなら右巻き(ネジと同じ)で、アサガオは「右巻き」に当たる。呼び方の変更は、2012年の回答の時点で約40年前とされる[5]。新潟大学の解説の題名が「左回り」なのは、回転方向を上から見て言っているためと読める[3]。文献を読むときは、どちらの定義か確認する必要がある。

4. どうして まきつくように なったの?

4. なぜ巻きつくようになったのか

4. 巻きつきの意義 ── 光を得るための能力という仮説

つるは、くきだけでは 立って いられません。だから ほかの 木や ぼうに もたれて、上へ のびます。

上へ いくと、日の 光を あびやすく なります。まきつく ちからは、そのために 身に つけたのだろう、と 考えられて います[2]。

茎だけで自立できないつる植物は、他の植物との競争で不利になりそうです。上へ伸びて光を受けやすくするために、巻きつく力を身につけたと考えられています[2]。ただし、これは進化の理由についての「考えられている」説明で、断定できる話ではありません。

アサガオやヤマフジのように茎が巻くもののほか、ブドウやキュウリのように巻きひげで登るもの、ツタのように吸盤のような部分で貼りつくものなど、登り方は少なくとも5タイプに分けられます[1]。

茎だけでは自立できないつる植物が、他の植物に競り勝つため、上へ伸びて光を得やすくする能力として巻きつきを身につけたと考えられている[2]。ただし、これは進化の理由についての説明であり、断定はできない。

レファレンス協同データベースの回答では、登り方は、ひっかかり類・巻きひげ類・付着盤類・気根類・巻きつる類の5タイプに分けられ、アサガオとヤマフジは巻きつる類、ブドウとキュウリは巻きひげ類、ツタは付着盤類とされる[1]。この回答は、いずれも接触刺激で巻きつきが始まるとするが、すべての種に当てはまるとは限らない。

5. さいきんの けんきゅうでは?

5. 最近の報告 ── 回旋運動は「支えの強さ」も測る?

5. 2026年のプレプリント ── 臨界トルクと巻きつきの開始

2026年3月に、まだ ほかの 研究者の 点けんを うけて いない はっぴょうが 出ました。つるが まわる うごきは、ぼうが しっかり して いるかを たしかめる やくわりも ある、という はなしです[7]。

まだ たしかな こととは いえません。これから、ほかの 研究者が この けっかを しらべて いきます。

2026年3月に公開されたプレプリント(査読前の論文)では、回旋運動は、支えが安定しているかを測る役割もあり、茎が一定の力(トルク)に達したときにだけ巻きつきが始まると報告されました。回転を速めると数分で巻きつき、遅くすると触れ続けても巻かない場合があったとのことです[7]。

ただし査読前の報告なので、確かな定説ではありません。今後ほかの研究者による確認が進むかどうかを、見守る必要があります。

2026年3月のbioRxivのプレプリント(査読前)は、回旋運動が支えの安定性を測る役割を持ち、茎が臨界のトルクに達したときにだけ巻きつきが始まる、と報告した。回転を速めると数分で巻きつき、遅くすると触れ続けても巻かない場合があったという[7]。

査読前の報告であり、確定した定説として扱うことはできない。従来の「触れたら巻く」という説明に、力の大きさという条件を加える可能性がある報告として、追試や査読の結果を待つ位置づけになる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

ぼうや フェンスに つるが からんで いる ところを 見つけたら、上から 見て、どっちまわりか 見て みましょう。とけいと おなじか、はんたいか。ネジの みぞの むきとも 見くらべて みましょう。

つるを むりに ひっぱったり、ほどいたり しては いけません。見るだけに しましょう。

もっと 知りたい とき

日本植物生理学会の 「みんなのひろば」には、つるの まきかたに ついての しつもんと こたえが あります。おうちの 人と 見て みましょう。

身近なつるで観察

学校の花だん、公園、ベランダなど、棒やフェンスにつるが絡んでいるところを探してみましょう。上から見て、時計回りか反時計回りかを確かめ、同じ種類は同じ向きなのか、ほかの種類と比べます。ネジの向きとも見比べると、「右巻き」の定義が実感できます。つるを引っぱったり、ほどいたりはしないでください。

資料を読むなら

日本植物生理学会「みんなのひろば」のQ&Aは、巻き方について日本語で読めます。出典欄に載せたので、気になった人は元の文章を読んでみてください。

身近なつるで確かめる

棒やフェンスに絡んだつるを見つけたら、上から見た回転方向と、つるに沿って進んだときの向きの両方を記録し、種ごとに比べる。前者は「反時計回り」、後者は「右巻き」のように、同じ巻き方でも定義で呼び名が変わることを、自分の目で確かめられる。つるは引っぱらない。

資料

本文で使った資料は出典欄にある。日本植物生理学会のQ&AとbioRxivのプレプリントも、出典欄から読める。プレプリントは査読前の報告だ。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で実際に使った資料だけを載せています。用途は各項目の末尾に記しました。

  1. レファレンス協同データベース(国立国会図書館)「つる植物が支柱に巻き付くしくみが知りたい」 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000140061 (接触屈性と、登り方の5タイプ)
  2. コカネット「今日のはてな」(千葉大学 丸尾達教授の解説) https://www.kodomonokagaku.com/read/hatena/5268/ (触れた面と反対の面の成長、巻きつきの意義)
  3. 新潟大学 和田正三「アサガオのつるは左回り」 https://www.sc.niigata-u.ac.jp/biologyindex/wada/p33/p33-1.html (回旋運動の向きと、接触部の上下の成長)
  4. Wikipedia "Nutation (botany)" https://en.wikipedia.org/wiki/Nutation_(botany) (回旋運動)
  5. 日本植物生理学会 みんなのひろば Q&A「アサガオのつるの巻き方」 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2740 (右巻き・左巻きの定義と呼称の変更)
  6. 日本植物生理学会 みんなのひろば Q&A「巻く方向と太陽の動き・地球の自転」 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2296 (巻く向きの遺伝と自転との関係)
  7. bioRxiv preprint "Circumnutations drive embodied mechanical sensing and support selection in twining plants"(2026年3月、査読前) https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.03.16.712031v1 (回旋運動と臨界トルク)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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