水は つめたいと かたく なるって ほんと?

水は冷たいと硬くなるってほんと?

液体の粘度と温度 ── 「硬い」の正体をさぐる

分野:自然

つめたい はちみつは、どろっとして なかなか たれません。 これは 水が「かたく」なって いるのでしょうか。

こおって いない のに、なぜ こんな ことが おきるのでしょうか。

この きじでは、その ひみつを 見て いきます。

冷たいはちみつは、どろっとしてなかなか垂れません。これは 水分が「硬く」なっているのでしょうか。

凍っていないのに、なぜこんなことが起きるのでしょうか。

この記事では、その秘密を見ていきます。

「水は冷たいと硬くなる」という感覚は、多くの人が経験的に 知っています。しかしこれは、正確には「硬さ」の話ではあり ません。

この記事では、「粘度(ねばりけ)」という物理量の正体、 血液の研究から生まれた法則、そしてエンジンオイルの規格 まで、液体と温度の関係をたどります。

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1. 「かたい」の しょうたいは、ねばりけ

1. 「硬い」の正体は、ねばりけ

1. 「硬さ」と「粘度」 ── 別の物理量

こおった 水(こおり)は、たしかに かたいです。でも、 さめた みずや はちみつが「かたく」なるのは、こおるのとは ちがう げんしょうです。

正しくは、「ねばりけ(ねばる ちから)」が つよく なって いるのです。この ねばりけの ことを、りかの ことばで 「ねんど」と いいます。

氷が硬いのは、こおったから

こおった水(氷)は、たしかに硬いです。でも、冷えた水や はちみつが「硬く」感じられるのは、凍るのとはちがう 現象です。

正体は「粘度」という物理量

正しくは、「ねばりけ(流れにくさ)」が強くなっているの です。このねばりけを、理科のことばで「粘度」と呼びます。 粘度が高い液体ほど、さらさら流れにくくなります。

「硬さ」とは本来、固体が変形や破壊に抵抗する度合いを表す 物理量です。一方、冷たい水やはちみつが示す「流れにくさ」 は、液体の性質である「粘度(粘性係数)」の増加によって 説明されます。

両者は物理的にまったく別の概念ですが、日常の感覚では 「かたい」という同じ言葉で表現されがちです。この記事が 扱うのは、あくまで粘度の変化についてです。

2. なんで 冷たいつめたいと ねばねばに なるの?

2. なぜ冷たいと、ねばねばになるのか

2. 分子の運動 ── 粘度が変わる理由

水や はちみつは、目に 見えない くらい 小さな つぶ (ぶんし)が、たくさん あつまって できて います。

こんで いる でんしゃの 中でも、みんなが きびきび うごけば すきまを すりぬけやすいですよね。それと にた ことが つぶの 世界でも おきて います(ただし 本当は、つぶは じぶんで うごこうと しているのでは なく、ねつで ゆれて いるだけです)。あたたかい ときは、つぶが げんきよく うごきまわり、つぶ どうしが すれちがいやすく なります。だから さらさら ながれるのです。ぎゃくに 冷たいつめたい ときは、つぶの うごきが ゆっくりに なり、つぶ どうしが くっつきやすく なるので、ねばねばして ながれにくく なります。

あたたかいと、粒が元気に動く

水やはちみつは、目に見えないほど小さな粒(分子)が、 たくさん集まってできています。あたたかいときは、この粒が 元気に動きまわり、粒どうしがすれちがいやすくなります。 だから、さらさら流れるのです。

冷たいと、粒どうしがくっつきやすい

反対に冷たいときは、粒の動きがゆっくりになり、粒どうしを 引き合う力(分子間力)の影響が強く出るようになります。 その結果、粒どうしがくっつきやすくなり、流れにくく= 粘度が高くなるのです。

液体は、分子どうしが互いに引き合いながらも、自由に位置を 変えられる状態です。温度が高いとき、分子は熱運動によって 活発に動き回り、分子間力の影響を振り切って移動しやすく なります。これが「流れやすさ」の正体です。

温度が下がると分子の熱運動が弱まり、相対的に分子間力 (分子どうしを引き合う力)の影響が強くなります。分子が 自由に動きにくくなることで、液体全体としての流れにくさ、 すなわち粘度が上昇します。液体の種類ごとに分子の構造や 分子間力の強さが異なるため、温度による粘度変化の度合いも 液体ごとに異なります。

3. はちみつで、じっさいに ためして みると

3. はちみつで、実際にためしてみると

3. 体感できる変化 ── はちみつと水あめ

れいぞうこで 冷やしたひやした はちみつは、びんを かたむけても なかなか たれて きません。でも、おゆで あたためると、 さらさらと たれる ように なります。

これは、はちみつの ねばりけが、温度で 大きく かわる からです。はちみつは もともと、水より ずっと ねばりけの 強い 食べものです。

冷たいと垂れない、温めるとさらさら

冷蔵庫で冷やしたはちみつは、びんをかたむけてもなかなか 垂れてきません。でも、お湯であたためると、さらさらと 垂れるようになります。

水よりずっとねばりけが強い

はちみつは、もともと水よりずっと粘度の高い食べものです。 この粘度が、温度によって大きく変わるため、冷やしたときと 温めたときで、流れ方が劇的にちがって感じられるのです。

はちみつは、常温でも水よりけたちがいに高い粘度を持つ、 代表的な高粘度の液体です。糖分が水に高濃度で溶けこんだ構造をして おり、分子どうしが水よりも強く相互作用するため、もとも との粘度が高くなっています。

この粘度は温度変化にとても敏感で、冷蔵庫で冷やすと流動性 がほとんど失われたように感じられ、逆に湯せんで温めると さらさらと流れるようになります。水自体の粘度も、0℃付近 では約1.79mPa·s、20℃では約1.00mPa·s、100℃では約0.28mPa·s と、温度によって6倍以上変化します[1]

4. 血えきの けんきゅうから 生まれた ほうそく

4. 血液の研究から生まれた法則

4. ポアズイユ ── 医師が見つけた粘度の法則

1800年代の フランスに、ポアズイユと いう お医者さんが いました。ポアズイユは、細い かんの 中を 血えきが どう ながれるかを しらべて いました[2]

この けんきゅうから、細い かんを 流れる 水の りょうと、 ねばりけの かんけいを あらわす しきが 生まれました。 いまでは、この しきは くすりや、きかいの せっけいにも つかわれて います[2]

血液の流れを調べていた、お医者さん

1800年代のフランスに、ジャン・ポアズイユという医師がい ました。ポアズイユは、細い管の中を血液がどう流れるかを しらべていました[2]

1840年、粘度の法則が生まれた

この研究から、1840年、細い管を流れる液体の量と、粘度の 関係を表す式が導かれました。ドイツのハーゲンも1839年に 同じ関係を見つけており、いまではこの式は「ハーゲン・ ポアズイユの法則」と呼ばれています[2] [4]

19世紀フランスの医師ジャン・ポアズイユは、細い毛細管の 中を血液がどのように流れるかを研究していました。1838年 の実験にもとづき、1840年、円管を流れる液体の体積流量が、 管の両端の圧力差と液体の粘度によって決まることを示す 法則を導きました[2]

ドイツの技術者ゴットヒルフ・ハーゲンも、1839年に独立して 同様の関係を見出しており、この法則は現在「ハーゲン・ ポアズイユの法則」と呼ばれています[4]。 もともと血流の研究から生まれたこの式は、いまでは工業製品 の配管設計や医療機器の開発など、幅広い分野で使われています [2]

5. くらしの中の ねばりけ ── くるまの あぶら

5. くらしの中の粘度 ── 車のオイル

5. 応用 ── エンジンオイルの粘度規格

くるまの エンジンに 入れる あぶら(エンジンオイル)にも、 ねばりけの きまりが あります。「0W-20」のような すう字と 文字で しめされて いるのを、見た ことが あるかも しれません。

これは、寒い ときと あつい ときの ねばりけを あらわす きまりです。寒い ときでも きちんと ながれる あぶらを えらぶ ことが、エンジンを まもる ために 大切なのです [3]

数字とアルファベットで示される規格

車のエンジンに入れるオイル(エンジンオイル)にも、粘度の 決まりがあります。「0W-20」のような数字とアルファベットで 示されているのを、見たことがあるかもしれません。

「0W」は低温、「20」は高温の目安

これはSAE(アメリカ自動車技術者協会)が定めた粘度の規格 です。「0W」は低温での流れやすさを、「20」は高温での粘度の 等級を表しています。寒いときでもきちんと流れるオイルを 選ぶことが、エンジンを守るために大切なのです [3]

エンジンオイルの粘度は、SAE(米国自動車技術者協会)が 定めるSAE J300という規格にもとづいて表示されています。 「0W-20」のような表記のうち、Wの前の数字は低温時の始動性 ・ポンプ吸い上げ性を、後ろの数字は主に100℃での動粘度の 等級を示します[3]

気温が低いとオイルの粘度が上がりすぎてエンジンの始動性が 悪化し、逆に高温になりすぎるとオイルの粘度が下がりすぎて エンジン部品の保護能力が落ちます。この記事で見てきた 「温度が下がると粘度が上がる」という性質を逆手に取り、 幅広い温度帯で適切な粘度を保てるよう設計されているのが、 現代のエンジンオイルです。

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちに ある はちみつや 水あめで、ねばりけの ちがいを かんさつして みましょう。

あんぜんな ばしょで できる こと

  • れいぞうこで 冷やしたひやした はちみつと、しつおんの はちみつを くらべて みる。 スプーンで すくって、たれる はやさの ちがいを 見て みましょう。
  • おうちの 人と いっしょに、くるまの エンジンオイルの ひょうじを 見て みる。 「0W-20」のような すう字が ないか、さがして みましょう。
メモの すすめ

きょう 出て きた ことばを 1つだけ ノートに 書いて おきましょう。「ねんどって なに?」だけで じゅうぶんです。

おうちにあるはちみつや水あめで、ねばりけのちがいを観察 してみましょう。

今日できること

  • 冷蔵庫で冷やしたはちみつと、常温のはちみつを比べて みる。 スプーンですくって、垂れる速さのちがいを見てみましょう。
  • おうちの人と一緒に、車のエンジンオイルの表示を見て みる。 「0W-20」のような数字がないか、さがしてみましょう。
メモのすすめ

気になった言葉を1つだけ書いておくと、あとで調べる入口に なります。「ポアズイユって、他に何を発見したの?」だけ でも十分です。

はちみつや水あめの温度と流れやすさの関係を観察すると、 この記事で扱った粘度の性質が身近に感じられます。

手を動かして確かめる

  • 異なる温度のはちみつが流れる速さを比べる。 冷蔵・常温・湯せんの3条件で、同じ量が流れきる時間を 計ってみましょう。
  • エンジンオイルの粘度表示を調べる。 自宅の車や、カー用品店の商品で「0W-20」のような表示を さがし、意味を確認してみましょう。

一次情報にあたる

SAEの規格や、水の粘度の詳しい数値は、専門機関のサイトで 公開されています。

メモのすすめ

気になった数字や言葉を1つだけノートに記録しておきましょう。 「水の粘度は0℃と100℃で6倍以上ちがう」という一文でも かまいません。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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出典について:専門メディア・百科事典・業界団体の公開情報を使っています。

  1. 機械技術ノート「水の粘度と動粘度一覧」。 https://tec-note.com/322 (0℃・20℃・100℃など、温度ごとの水の粘度の数値についての解説)
  2. Wikipedia「ジャン・ポアズイユ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャン・ポアズイユ (血流の研究と、1840年のハーゲン・ポアズイユの法則についての解説)
  3. Unilopal LUBRIFIANTS「SAE粘度について」。 https://unilopal.jp/2024/08/sae/ (エンジンオイルのSAE粘度規格(例:0W-20の意味)についての解説)
  4. Wikipedia「ハーゲン・ポアズイユ流れ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ハーゲン・ポアズイユ流れ (ゴットヒルフ・ハーゲンが1839年に独立して同じ関係を発見したことについての解説)

なおした ところ

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