1. 声が ひっくりかえるのは、なぜ?
1. 声が裏返るのは、壊れたからではない
1. 声の「裏返り」 ── 変化の途中で起こる現象
声がわりの とき、声が とつぜん 高く なったり、ひくく なったり します。これを「声が ひっくりかえる」と いいます。
それは、体が 新しい のどに、まだ なれて いない とちゅうだから、と せつめいされて います[1]。
この じきは、数か月ほどで おさまると いわれます[1]。
2. のどの 中の 「ゴム」が ながく なる
2. 声帯が伸びると、振動がゆっくりになる
2. 喉頭の成長と声帯の伸長 ── 長いほど振動は遅い
のどの おくには、「こうとう」と いう 小さな はこが あります。声は、その 中の 二つの 「せいたい」が ふるえて 出ます。せいたいは、のどの 中に ぴんと はられた ゴムの ような ものです[1]。
思春期に なると、こうとうが 大きく なり、せいたいも 長く 太く なります[1]。
わゴムを 思いうかべて ください。長い ゴムは ゆっくり ふるえて、ひくい 音が 出やすいです。せいたいも 長いと ゆっくり ふるえて、声が ひくく なります[3]。
ただし、声の 高さは 長さだけでなく、あつさも かんけい します。それに 本当の せいたいは、ゴムではなく、のどの 中の きんにくの ような ものです。ゴムは、わかりやすく した たとえです。
喉頭という箱と、その中の声帯
のどの奥には、喉頭(こうとう)と呼ばれる軟骨の箱があり、その中に左右2本の声帯が張られています。声帯は、輪ゴムのように喉頭の中に渡されています[1]。息が通ると声帯が振動して、声になります。
長くて厚いほど、ゆっくり振動する
思春期になると、喉頭が大きくなり、声帯も長く厚くなります[1]。声帯が長くなるほど、振動はゆっくりになるので、声の高さは下がります[3]。長い弦のほうが低い音が出やすいのと似ています。声の高さは長さだけでなく厚さにも関係し、輪ゴムや弦は簡単にしたたとえです。
声帯の膜の部分の長さは、赤ちゃんのころは男女とも約2ミリで、大人では男性が最大約16ミリ、女性が約10ミリと報告されています[2]。約8倍と約5倍になる計算です。
喉頭は軟骨で構成された発声器官で、内部に左右一対の声帯が張られている。思春期には喉頭が大きくなり、声帯は長く厚くなる[1]。声帯が長くなるほど振動は遅くなり、基本周波数が下がる[3]。高さは長さだけでなく厚さなどにも左右される。
NCVSによれば、声帯の膜様部の長さは乳幼児では男女とも約2 mmで、成人では男性で最大約16 mm、女性で約10 mmである[2]。これは声帯全体ではなく膜様部の長さであり、別の資料の値とは測り方が違うので、単純に比べてはいけない。
思春期の声帯の伸びは男性で約10.9 mm、女性で約4.2 mmとする論文がある[4]。上の「2 mm→16 mm」とは測る部位・条件が異なる可能性があり、差を引き算して照らし合わせることはしない。
3. のどぼとけは、なぜ とび出す?
3. 喉仏が目立つのは、喉頭が傾くから
3. 喉仏(アダムのりんご)と喉頭の傾き
おとなの 男の 人の のどに、ぽこっと 出ている ところが あります。これが 「のどぼとけ」です。
こうとうが 大きく なると、首の 中で かたむきが かわり、前に つき出します。それが のどぼとけです[1]。
女の 子の こうとうは、そんなに 大きく ならないので、あまり 目立ちません[1]。
4. 声がわりは、いつ はじまる?
4. いつ始まり、どのくらい続くのか
4. 時期と期間 ── 男子のテストステロンと第二次性徴、日米の資料の幅
声がわりは、体が おとなに 近づく 思春期の 一つです。男の 子は、ホルモンの はたらきが かかわると いわれます[6]。
日本の しりょうでは、体が おとなに なって いく はじまりは、男の 子は 13さいくらい、女の 子は 11さいくらいから はじまる、と されて います[5]。
多くの 子は、3か月から 1年ほどで おとなの 声に おちつきます。そのあとも、2年ほどは 声が 安定して いく、と いわれます[5]。
ただし、はじまる 年は 人に よって ちがいます。はやくても おそくても、めずらしい ことでは ありません。
きっかけは思春期のホルモン
声変わりは、第二次性徴と一緒に起こります。特に男子では、男性ホルモンのテストステロンの働きによる第二次性徴のあらわれとして起こる、と解説されています[6]。米国の資料は、多くの場合、身長が急に伸びた直後に始まるとしています[1]。
始まりと、落ち着くまで
日本の資料では、第二次性徴は男子は13歳前後、女子は11歳前後から始まるとされます[5]。米国の資料は、男子は11〜14歳半ごろに変わり始めると書いています[1]。資料によって幅があるので、「この年になったら」と決めることはできません。
日本の資料では、通常は3か月から1年ほどで成人の声に落ち着き、その後も2年ほどかけて安定していくとされています[5]。
5. 女の 子にも 声がわりは ある
5. 女子にも声変わりはある ── ただし小さい
5. 男女差 ── オクターブの低下と数半音の低下
男の 子の 声は、思春期に 1オクターブほど ひくく なると いわれます。ピアノで、ドから ひとつ 下の ドまで さがる ぐらいです[1]。
女の 子にも 声がわりは あります。でも、ひくく なる のは、ドから レか ミの あたりまで の 小さな ちがいです[1][4]。
女の 子でも、こうとうは 大きく なります。息が もれる 感じが したり、声が かすれたり する こと も あります[2]。へんかが 小さいので、自分も まわりも 気づかない こと が 多い のです。
6. 三百年まえの がっしょうだんの 男の 子は?
6. バッハの合唱団の少年の声変わりを調べた論文
6. ライプツィヒ聖トーマス教会合唱団(1727〜49年)と変声年齢の変化
むかし、ドイツの バッハと いう 音楽家の がっしょうだんに、男の 子たちが いました。三百年ほど まえの 話です。
その 男の 子たちの 声がわりの 年れいから、その ころの 思春期の 年れいを しらべた 文しょうが あります[7]。
この メモでは、その 文しょうの だいめいまでしか たしかめて いません。その ころの 年れいや、いまとの ちがいは、もとの 文しょうを 読んで たしかめて みて ください。
合唱団の少年たち
作曲家バッハが活躍した時代のライプツィヒの聖トーマス教会合唱団では、少年たちの声変わりの年齢から、当時の思春期の年齢を調べた論文が、1970年に出ています[7]。
このメモで確かめたのは、その論文の題名までです。当時の具体的な年齢や、今との違いは論文の本文で確かめる必要があるので、ここでは書きません。
S. F. Dawは、1727〜49年のライプツィヒで、J. S. Bachの合唱団員の声変わりから、少年の思春期の年齢を推定する論文を発表している[7]。
本メモで確認できたのは論文の題名までであり、当時の具体的な変声年齢や現代との差は、論文の本文にあたって確かめる必要がある。ここでは数値を示さない。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの 人に、「いつごろ 声がわりしたか」を きいて みましょう。人に よって ちがう ことが、わかると おもいます。話したく ない ときは、むりに きかなくて だいじょうぶ です。
のどぼとけの 上に、ゆびを かるく のせて 「あー」と 声を 出して みましょう。ふるえが わかります。強く おさえては いけません。
今日できること:のどぼとけのあたりに、指を軽くのせて「あー」と声を出してみましょう。声帯の振動が指に伝わるのが分かります。低い声と高い声で、振動の感じがどう違うか比べてみます。強く押さないでください。
この記事は医療の助言ではありません。声が高いまま戻らない、低い声が出にくい状態が続くときは、耳鼻咽喉科など医療機関に相談してください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:米国の小児医療サイト、音声学の研究機関、医学論文、日本の企業コラムなどを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Nemours KidsHealth「Your Child's Changing Voice」。https://kidshealth.org/en/parents/changing-voice.html (喉頭と声帯、男女の低下幅、時期、裏返り、喉仏について)
- NCVS (National Center for Voice and Speech)「Voice Changes Throughout Life」。https://ncvs.org/tutorials/voice-changes-throughout-life/ (声帯の長さ、女子の声の変化について)
- Center for Vocal Health「Voice Changes in Young Singers」。https://www.centerforvocalhealth.com/your-voice-your-health/voice-changes-in-young-singers-female-and-male-voice-change-with-puberty (声帯が長いほど振動がゆっくりになることについて)
- PMC9450590(声帯病変と変声に関する論文)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9450590/ (思春期の声帯の伸びと男女の低下幅について)
- 龍角散 のど研究室「子どもの声変わり」。https://www.ryukakusan.co.jp/nodolabo/column/article/56 (日本での時期・期間、裏返りの説明について)
- ウィキペディア「変声」。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E5%A3%B0 (第二次性徴とテストステロンの関係について)
- S. F. Daw, Human Biology 42(1):87-89 (1970)。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4910711 (バッハの合唱団の変声年齢を扱った論文の題名について)
なおした ところ
更新履歴
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