1. クジラは 魚では ない
1. まず、クジラは魚ではない
1. 陸から海へ戻った動物という前提
クジラは 海に います。 形も 魚に にて います。
でも、中身は ぜんぜん ちがいます。
| 魚 | クジラ | |
|---|---|---|
| いきの しかた | エラ | はい(人間と同じ) |
| 子ども | たまご | 赤ちゃんを うむ |
| そだて方 | そだてない ものが 多い | おちちを あげる |
| しっぽの むき | たて | よこ |
しっぽの むきを 見て ください。
魚は、しっぽを 左右に ふります。 クジラは、上下に ふります。
これは、むかし クジラの せんぞが りくを 歩いて いたからです。
四本あしの 生きものが 走る とき、 せなかは 上下に うねりますね。
その 動きが、 そのまま のこって いるのです。
海にいて、形も魚に似ています。けれど、中身は別ものです。
| 魚 | クジラ | |
|---|---|---|
| 呼吸 | エラで水から酸素をとる | 肺で空気から酸素をとる |
| 子ども | 多くは卵 | 子を産む |
| 育て方 | 多くは育てない | 母乳で育てる |
| 体温 | 多くは周囲の水温に近い | 一定に保つ |
| 尾びれの向き | 縦(左右に振る) | 横(上下に振る) |
尾びれの向きが、来歴を語っている
いちばん分かりやすいのが、尾びれの向きです。
魚は尾を左右に振ります。クジラは上下に振ります。
なぜでしょう。
クジラの祖先は、陸を歩いていた四本足の動物だったからです。 そして陸の哺乳類が走るとき、背骨は上下にうねります。 犬やチーターが走るところを思い出してください。
その動きを、そのまま水中に持ちこんだ。 だから上下なのです。
だから、話がややこしくなる
海に戻ったのに、肺呼吸のままです。エラは手に入りませんでした。
進化は、まっさらな状態から設計し直すことができません。 いま持っているものを作り変えるしかない。
そこでクジラは、まったく別の解き方を選びました。 息を止めて潜るという方法です。
そのために体をどう作り変えたのか。次の章から見ていきます。
鯨類は、いったん陸上生活へ移行した哺乳類が、 ふたたび水中生活へ戻った系統です。 この来歴が、潜水の戦略を決めています。
| 項目 | 魚類 | 鯨類 |
|---|---|---|
| ガス交換 | 鰓(水から溶存酸素を得る) | 肺(大気から得る) |
| 繁殖 | 多くは卵生 | 胎生・授乳 |
| 体温 | 多くは外温性 | 内温性 |
| 推進 | 尾を左右に振る | 尾を上下に振る |
尾の振動方向が示すもの
推進方向の違いは、単なる形の差ではありません。
陸上哺乳類の走行では、脊柱が背腹方向にうねります。 鯨類の遊泳は、この運動様式をそのまま水中で用いたものです。 系統の由来が、運動の形に残っているということです。
制約としての肺呼吸
重要なのは、鯨類が鰓を再獲得しなかったという点です。
進化は白紙から設計をやり直せません。 既存の構造を改変する形でしか進めない、という制約があります。 そのため鯨類は、水中で酸素を取り込む方向ではなく、 取り込める量を増やし、消費を減らす方向へ進みました。
この記事の残りは、その具体的な中身です。課題は3つに整理できます。
| 課題 | 内容 | 本記事 |
|---|---|---|
| 酸素の携行 | 限られた量をどう最大化するか | 2章 |
| 酸素の配分 | 限られた量をどう配分し、節約するか | 3章 |
| 圧力と溶解ガス | 高圧下で窒素が溶けこむ問題をどう避けるか | 4章 |
2. さんそを、体に ためて いく
2. 酸素を、肺ではなく体にためる
2. 酸素の貯蔵 ── ミオグロビンという解
人間が もぐる とき、 大きく いきを すいますね。
はいに 空気を ためて もぐります。
クジラも 同じだと 思いますか。
じつは、ちがいます。
クジラは、体の 中に ためて いくのです。
にくの 中に、さんそを つかまえて おく ミオグロビンと いう ものが あります。
これが、りくの 生きものの 何ばいも あるそうです[1]。
つまり、クジラの にくは さんそボンベの ような ものです。
もう ひとつ すごい ところが あります。
いきを する とき、 シロナガスクジラは 一どに 2000リットルも 入れかえます[1]。
人間は 0.5リットル くらいです[1]。
しかも、人間は 中の 空気の 10分の1 くらいしか かえられません。
クジラは ほとんど ぜんぶ 入れかえます[1]。
人が潜るとき、大きく息を吸ってから潜ります。 肺に空気をためていくわけです。
クジラは違います。肺だけにたよらず、血液と筋肉にも酸素をためていきます。
筋肉が酸素ボンベになっている
筋肉の中には ミオグロビン というタンパク質があります。 酸素をつかまえておく働きをします。
クジラのミオグロビンは、陸上の哺乳類の数倍にも及びます[1]。
つまりクジラの筋肉は、動くための器官であると同時に、 酸素をためておく倉庫でもあるのです。
クジラの肉が赤黒いのは、このミオグロビンが多いためです。
呼吸の効率が桁違い
もうひとつ、呼吸そのものが違います。
量が4000倍ちがうだけではありません。 入れかえる割合もまるで違います。
人はふだんの呼吸では、肺の空気の1割ほどしか入れかわりません。 クジラはほとんど全部を入れかえます。
クジラが浮上して「ブシュッ」と潮を吹くのを見たことがありますか。 あれは、ものすごい勢いで一気に全部を吐き出している音です。
潜っていられる時間が限られている生きものにとって、 水面にいる時間は短いほどいい。だから一気にやるのです。
潜水時間を延ばす方法は、原理的には2つしかありません。 持っていく酸素を増やすか、使う速さを落とすかです。 この章は前者を扱います。
貯蔵場所を肺から体組織へ移す
ヒトの素潜りは、主に肺の空気を酸素源とします。 鯨類の戦略はこれと異なり、血液と筋肉に酸素を保持します。
その中心が ミオグロビン です。 筋肉中で酸素と結合するタンパク質で、 鯨類では陸上哺乳類の数倍にも及ぶ量が含まれます[1]。
この設計には、深く潜るうえで決定的な利点があります。
- 肺は水圧で圧縮されるが、組織中の酸素は圧力の影響を受けにくい
- 使う場所(筋肉)に置いてあるので、運ぶ必要がない
- 4章で見るように、肺を潰しても酸素を失わずに済む
肺に頼らない設計にしたことが、深く潜れることの前提になっています。
換気効率
浮上時の呼吸も効率化されています。
注目すべきは容量よりも換気率です。 ヒトは1回の呼吸で肺内の空気の1割程度しか入れ換えませんが、 鯨類は大部分を入れ換えます[1]。
水面滞在時間が制約条件になる生活では、 短時間で完全に入れ換えられることが直接の適応度につながります。 噴気(潮吹き)が爆発的なのは、この要求の帰結です。
マッコウクジラは1時間以上潜水し続けることができ、 通常の鯨類でも15分から60分に一度程度の呼吸で足ります[1]。
3. さんそを、けちけち つかう
3. 酸素を、大事なところにだけ回す
3. 潜水反応 ── 徐脈と血流の再配分
さんそを たくさん もって いっても、 どんどん つかったら すぐ なくなります。
そこで クジラは、 つかい方も くふうして います。
もぐる とき、体の 中では こんな ことが 起きます。
- 心ぞうが、ゆっくりに なる
- 手足や 皮ふへの 血を へらす
- 心ぞうと 頭と 大じな にくにだけ 血を おくる[1]
つまり、だいじな ところを ゆうせんして、 あとは しばらく がまん して もらう。
電気が 足りない とき、 大じな ところだけ つけて おくのと 同じですね。
じつは、これに にた ことは 人間にも 起きます。
つめたい 水に かおを つけると、 心ぞうが 少し ゆっくりに なるのです。
クジラほど 強くは ありませんが、 同じ しくみが のこって いると いう ことです。
酸素をたくさん持っていても、使い方が下手なら、すぐなくなります。 クジラは使い方も変えています。
潜ると、体が省エネモードに入る
潜水が始まると、体の中でいくつかのことが同時に起きます。
- 心拍がゆっくりになる(心臓が使う酸素も減る)
- 手足や皮膚など、末梢へ行く血を減らす
- 心臓・脳・重要な筋肉に血を集中させる[1]
これによって、血液中の酸素の消費が節約されます[1]。
停電のときに、大事な機器だけに電気を回すのと同じ考え方です。 全体を少しずつ動かすのではなく、優先順位をつける。
人間にも同じしくみが残っている
ここが面白いところです。
冷たい水に顔をつけると、人間でも心拍がゆっくりになります。 自分の意思とは関係なく、勝手に起きます。
クジラほど強くはありません。けれど、同じ種類の反応が残っているのです。
哺乳類が共通して持っているしくみを、 クジラは極端に強めたと考えられます。
まったく新しい能力を作ったのではなく、 もともとあったものを伸ばした。 進化には、こういう例がよくあります。
酸素貯蔵量を増やしても、消費速度が変わらなければ潜水時間は伸びません。 そこで働くのが 潜水反応(diving response)です。
3つの要素
| 反応 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 徐脈 | 心拍数が低下する | 心臓自身の酸素消費が減る |
| 末梢血管収縮 | 皮膚・四肢などへの血流を絞る | 優先度の低い組織への配分を止める |
| 血流の再配分 | 心臓・脳・重要な筋肉へ集中させる[1] | 血中酸素の消費を節約する[1] |
これは意識的な調節ではなく、反射として起こります。
設計思想として読む
この仕組みは、資源制約下の配分問題への解答になっています。
- 総量が限られている(酸素は補給できない)
- 用途によって重要度が違う(脳の停止は不可逆、筋肉の一時的な不足は許容できる)
- したがって均等配分ではなく、優先順位づけが合理的
水道の記事では、 需要変動を貯留で吸収する設計を見ました。 こちらは供給が固定されているときに、需要側を絞るという別の解です。 制約の性質が違えば、解も変わります。
ヒトにも残っている
潜水反応は鯨類固有のものではなく、哺乳類に広く見られる反射です。
ヒトでも、冷水に顔を浸すと徐脈が生じます。 意識的な制御を必要としません。
つまり鯨類は、新規の機構を発明したのではなく、 既存の反射を極端に強化したと理解できます。
1章で見た「進化は白紙から設計し直せない」という制約が、 ここでも同じ形で現れています。 手持ちのものを転用し、強化する。 これが進化の基本的なやり方です。
4. 深い ところの 力に、どう たえる?
4. 水圧と、あわの問題
4. 高圧下の窒素 ── 肺を潰すという解
深く もぐると、水に おされます。
プールの そこで 耳が いたく なった ことは ありませんか。
あれです。深いほど、強く おされます。
3000メートルも もぐったら、 ものすごい 力です。
では、クジラの はいは どう なると 思いますか。
じつは、つぶれます。
こわれるのでは ありません。 わざと つぶれる ように できて いるのです[4]。
なぜだと 思いますか。
空気が はいに のこって いると、 その 空気が 血の 中に とけこんで しまいます。
そして、上に もどって きた とき、 その とけた ものが あわに なります。
あわが 体の 中に できると、たいへんです。
だから、さいしょから とけこませないように して いるのですね。
2の 章を 思いだして ください。
クジラは さんそを にくに ためて いました。
だから、はいが つぶれても こまらないのです。
深く潜ると、水に押されます。プールの底で耳が痛くなる、あれです。
水深が深いほど、圧力は強くなります。 3000メートルとなると、想像を超える力です。
肺は、つぶれる
クジラの肺はどうなるのでしょう。
答えは、つぶれます。 しかも、こわれるのではなく、つぶれるようにできています。
肺を潰すことで空気を気道側へ送り、 ガス交換が行われにくくしているのです[4]。
なぜ、わざとつぶすのか
空気が肺に残っていると、困ったことが起きます。
高い圧力のもとでは、空気の成分(とくに窒素)が 血液に溶けこんでしまいます。
そして浮上すると圧力が下がり、溶けていたものがあわになります。 炭酸飲料のふたを開けると泡が出るのと同じ理屈です。
体の中にあわができると、血管をふさいだりして危険です。 人間のダイバーが気をつける「潜水病」がこれです。
だからクジラは、溶けこむ量をおさえるという方法をとりました。 肺をつぶしてしまえば、空気が血に触れにくくなります。
2章とつながっている
ここで、2章の話が効いてきます。
クジラは酸素を肺ではなく、筋肉と血液にためていました。
だから、肺をつぶしても酸素が足りなくならないのです。
もし人間のように肺に頼っていたら、この方法は使えません。 2章の選択があったから、4章の解決ができる。 ばらばらの工夫に見えて、つながっています。
入口をふさぐ。 あとから取り除くより、そもそも入れないほうが確実です。
深海潜水では、酸素の不足だけが問題になるのではありません。 圧力、正確には高圧下で窒素が体液に溶解することも、 大きな制約になります。
問題の構造
- 圧力が上がると、気体の液体への溶解度が上がる(ヘンリーの法則)
- 肺に空気が残っていれば、窒素が血液へ溶けこむ
- 浮上して圧力が下がると、溶解していた窒素が気泡化する
- 気泡が血管を閉塞し、組織を傷害する(減圧症)
ヒトのダイバーがゆっくり浮上するのは、この気泡化を避けるためです。 しかし鯨類は、急速に浮上します。
肺虚脱という解
鯨類の解は、問題の入口を塞ぐことでした。
鯨類は肺を潰すことにより空気を気道に送り、 ガス交換が行われにくくしています[4]。
肺胞から気道側へ空気が移動すれば、 ガス交換の起きる面積が減り、窒素の血中への移行が抑えられます。
胸郭や肋骨が柔軟で、潰れることを許容する構造になっているとされます。 頑丈にして耐えるのではなく、変形させて逃がすという発想です。
2章との依存関係
この解が成立するには、前提条件があります。
肺だけを酸素源にしていないこと。
2章で見たとおり、鯨類は酸素を血液と筋肉のミオグロビンに保持します[1]。 したがって肺を潰しても、酸素供給は途絶えません。
2章の設計が、4章の解決を可能にしている。 個々の適応が独立に存在するのではなく、 相互に依存した一つのシステムになっています。
問題を処理するのではなく、発生させない。 対処療法より、入口の設計で解くほうが確実だという例です。
ただし、無敵ではない
注意すべき点があります。
鯨類が減圧症と完全に無縁というわけではありません。 座礁した個体に減圧症に似た所見が見つかった例が報告されており、 人為的な騒音などによって通常とは異なる浮上パターンを強いられた場合に 問題が生じうると議論されています[5]。
つまり鯨類の適応は、 本来の潜水パターンを前提として成立しているものであり、 その前提が崩れれば機能しない可能性がある、ということです。 これは研究途上の議論であり、断定はできません。
5. どれくらい すごい 記ろくなの?
5. 記録を並べてみる
5. 記録 ── アカボウクジラという極端な例
いちばん すごい クジラは、 体長7メートル ほどの アカボウクジラと いう なかまです。
大きな クジラでは ありません。
それなのに、記ろくが すごい。
3000メートル。 高い 山を さかさまに した くらいの 深さです。
そこには 光が とどきません。 まっくらです。
そんな ところへ、 いきを 止めた まま 行って、 ごはんを 食べて、帰って きます。
しかも、大きな 体では なく 中くらいの クジラが、です。
体の 大きさでは ないのですね。
いちばん深く、いちばん長く潜るのは、意外な種類です。
アカボウクジラ。体長7メートルほどの、中型のクジラです。
| 種 | 深さ | 時間 |
|---|---|---|
| アカボウクジラ | 2992メートル[2] | 3時間42分(222分)[3] |
| マッコウクジラ | 約3000メートル[2] | 最大90分[2] |
| ミナミゾウアザラシ | 2000メートル余り[2] | 最大120分[2] |
マッコウクジラは体長15メートルを超える大型のクジラです。 そのマッコウクジラより、アカボウクジラのほうが長く潜れる。
体の大きさで決まるわけではないということです。
どうやって分かったのか
こういうことは、どうやって調べるのでしょう。
クジラに小さな記録装置をつけるのです。 深さ、時間、動きが記録され、あとで回収して読みます。
3時間42分の記録は、2017年につけた装置のデータでした[3]。 研究チームは2014年から2018年にかけて、 23頭を追跡し、3680回ぶんの潜水データを調べています[3]。
1回の観察ではなく、何千回も集めて初めて分かる。 鳥山の記事でも同じ方法が出てきました。 動物に機械をつけて調べる、バイオロギングという手法です。
潜水記録の上位は、意外な種が占めています。
| 種 | 体長 | 最大深度 | 最長時間 |
|---|---|---|---|
| アカボウクジラ | 6.7〜7メートル程度 | 2992メートル[2] | 222分=3時間42分[3] |
| マッコウクジラ | 15メートル超 | 約3000メートル[2] | 最大90分[2] |
| ミナミゾウアザラシ | 数メートル | 2000メートル余り[2] | 最大120分[2] |
体長15メートルを超えるマッコウクジラより、 7メートル前後のアカボウクジラのほうが長く潜れます。 体サイズと潜水能力は、単純には対応しません。
記録がどう得られたか
2014年に報告された2992メートル・138分の記録は、 アカボウクジラに記録装置を装着した調査によるものです[2]。 (深度と時間は、それぞれ別の個体で記録された最大値です。)
222分の記録は、2017年に装着されたタグのデータで、 米デューク大学の研究チームが2020年に 『Journal of Experimental Biology』で報告しました[3]。 2014年から2018年にかけて23頭を追跡し、 3680回の潜水データを分析した中の1例です[3]。
極端値の読み方
この222分という数字の扱いには注意が要ります。
- これは通常の潜水ではなく、記録された最大値である
- 3680回の中の1例であり、日常的にこの時間潜っているわけではない
- 異常な状況(撹乱など)で生じた可能性も、検討の対象になりうる
最大値は能力の上限を示すが、生態を代表するとは限らない。 記録として面白い数字ほど、その位置づけを確認する価値があります。
手法としては バイオロギング(動物装着型記録計)です。 鳥山の記事で扱ったアホウドリの調査と同じ系統の手法で、 人が行けない場所を、そこへ行く動物に測ってもらうという発想です。
6. じぶんでも たしかめて みる
6. 自分でも調べてみたくなったら
6. 自分で確かめる ── 体感と、資料
クジラには 会えませんが、 こんな ことは できます。
- いきを 止めて みる。 何びょう できますか。 クジラは 3時間 42分でした。
- 水ぞくかんで イルカを 見る。 イルカは クジラの なかまです。 いきを する ところを 見て みましょう。
- しっぽの むきを たしかめる。 魚は たて、イルカは よこ です。
- プールの そこで 耳を たしかめる。 (むりを しないで、あさい ところで) 深いほど おされるのが わかります。
いきを 止める れんしゅうは、 水の 中では ぜったいに しないで ください。 とても きけんです。
クジラに直接会うのは大変ですが、確かめられることがあります。
- 水族館でイルカを見る。イルカはクジラの仲間です。 呼吸のタイミング、尾びれの向き、噴気孔の位置を観察できます。
- 尾びれの向きを確認する。魚は縦、イルカ・クジラは横。 1章の話が、その場で確かめられます。
- 骨格標本を見る。博物館にあれば、前足の骨を見てください。 指の骨が残っています。陸を歩いていた名残です。
- 息を止めて時間を計る。陸上で、安全な場所で。 自分の記録とクジラの記録を比べると、けた違いさが分かります。
息を止める練習を、水の中で行わないでください。 水中での息止めは、意識を失って溺れる危険があります。 冷たい水に顔をつける実験も、ひとりではやらないでください。
関連する記事
- 鳥が集まっているとき、水の中で何が起きているのか(同じバイオロギングの話が出てきます)
直接観察は難しい分野ですが、資料と標本から確かめられることは多くあります。
やってみる
- 骨格を見る:博物館の鯨類骨格標本で、前肢の指骨と、 後肢の痕跡(骨盤の名残)を探す。陸上生活の証拠が形として残っている
- 呼吸間隔を測る:水族館でイルカの呼吸間隔を記録する。 個体差や活動状態による差が見える
- 記録の位置づけを調べる:222分という値が、 3680回のデータの中でどこに位置するかを、元の論文の要旨で確認する
- 圧力を計算する:水深10メートルごとに約1気圧増える。 2992メートルでは何気圧になるか
調べる入口
- 大塚製薬「クジラはなぜ海の中に長く潜っていられるのか?」
- 『Journal of Experimental Biology』(アカボウクジラの潜水記録が報告された雑誌)
- 国立科学博物館などの鯨類展示・骨格標本
考えてみると面白いこと
- いったん陸へ上がった動物が海へ戻るとき、なぜ鰓を作り直さないのか
- 「最大値」と「代表値」を区別しないと、何を見誤るか
- 個々の適応が相互依存しているとき、ひとつだけ真似しても機能しないのはなぜか
水中での息止めは、意識喪失(ブラックアウト)による溺水の危険があります。 この記事の内容を、水中で試さないでください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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- 大塚製薬「酸素研究所」より「クジラはなぜ海の中に長く潜っていられるのか?」 https://www.otsuka.co.jp/oxygen-lab/column/whale.html (ミオグロビンが陸上哺乳類の数倍にも及ぶこと、シロナガスクジラの1回の呼吸が約2000Lで80〜90%が入れ換わること、人は約500mLで10〜15%程度であること、潜水時に末梢の血液を心臓・脳・筋肉に集中させて血中酸素の消費を節約すること、マッコウクジラが1時間以上潜水できること)
- ナショナル ジオグラフィック日本版「哺乳類最強の潜水能力? アカボウクジラ」(2014年3月28日) https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9077/ (水深2992メートルと138分の記録。いずれも別々の個体で記録された最大値。マッコウクジラ約3000メートル・最大90分、ミナミゾウアザラシ2000メートル余り・最大120分との比較。なお同記事は調査主体としてスクリップス海洋研究所とカスカディア研究集団を挙げていますが、元論文の所属とは異なるとの指摘があるため、本文では機関名を書いていません)
- ニューズウィーク日本版「3時間42分にわたって潜水するクジラが確認される」(2020年9月29日) https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/09/342-1.php (222分=3時間42分の潜水。2017年に装着されたタグのデータ。米デューク大学の研究チームが2020年9月23日に『Journal of Experimental Biology』で発表。2014年から2018年に23頭を追跡し3680回の潜水データを分析)
- 川崎水族館「カワスイ アクア&アニマルスクール」より「潜水艦よりも深く潜る海洋哺乳類の秘密」 https://school.kawa-sui.com/blog/3127/ (肺を潰すことで空気を気道へ送り、ガス交換が行われにくくしていること)
- ナショナル ジオグラフィック日本版「イルカ・クジラの『潜水病』、集団座礁の一因か」 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/082400231/ (鯨類にも減圧症に類する所見が報告され、集団座礁との関連が議論されていること)
潜水反応(徐脈と末梢血管収縮)がヒトを含む哺乳類に広く見られること、 高圧下で気体の溶解度が上がること、 陸上哺乳類の走行では脊柱が背腹方向にうねることは、 生理学・物理の一般的な内容として書いています。 4章の座礁との関連は研究途上の議論であり、断定を避けています。
なおした ところ
更新履歴
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